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アジア
2016年8月19日
台湾、輸出がようやくプラスに転じる
台湾経済の動向を大きく左右する輸出が底打ちからプラスに転じ、景気に底打ち感も見られます。物価は低水準で
政策金利は当面据え置かれると見られますが、将来的には景気動向により利上げを模索する展開も想定されます。
台湾7月貿易収支:輸出は前年同月比でプラ
ス1.2%とマイナス圏から脱却
台湾財政部は2016年8月8日、7月の貿易統計を発表しまし
た。7月の輸出は前年同月比+1.2%と、前月(同マイナス2.1%)、
市場予想(同マイナス2.1%)を上回りました(図表1参照)。輸入
は前年同月比マイナス0.2%と、前月(同マイナス10.0%)、市場
予想(同マイナス5.1%)を上回りました。
どこに注目すべきか:
輸出、中国向け輸出、政策金利、インフレ率
台湾経済の動向を大きく左右する輸出が底打ちからプラス
に転じ、景気に底打ち感も見られます。ただし物価は低水準
で政策金利は当面据え置かれると見られますが、将来的に
は景気動向により利上げを模索する展開も想定されます。
台湾経済は主に輸出の不振を背景に2015年後半からマイ
ナス成長となっていましたが、2016年4-6月期は、輸出の回
復に伴いプラス成長に転じました(図表1参照)。
7月の輸出の改善は次の点に見られます。
まず、地域別では中国をはじめアジア向けの台湾からの輸
出は回復傾向です。同地域のプラス経済成長を反映した動
きとなっています。ただ新興国では南米への輸出は概ね横
ばいとなっています。先進国では7月は日本向けの輸出が
大幅にプラスとなった一方、米国向け輸出はマイナスとなる
など地域的なバラツキが見られます。ただ輸出が軟調で
あった時期は日米欧向けの輸出が揃って軟調であっただけ
に改善は見られます。
次に、品目別で見ると台湾の主要産業である電子部品など
精密機器関連に底打ちの兆しが見られます。また、化学関
連など中間財の輸出に回復感が見られるなど他の分野にも
回復の兆しが見られます。
台湾経済の今後の注目点は輸出などに支えられ経済が回
復することが可能かどうかという点と、現在の緩和的な金融
政策をどこまで維持するかがポイントと見ています。
台湾中銀は1年ほど前から利下げを開始しています(図表2
ピクテ投信投資顧問株式会社
参照)。利下げ開始当時の消費者物価指数(CPI)は前年同月
比で0%程度と低水準でしたが、年前半の食品価格の高騰を除
いてみるとCPIは依然低水準です。ただし緩やかながら上昇
傾向とも見られ、物価面から当面政策金利を据え置く可能性
が高い一方、引下げ余地は縮小したようにも思われます。ま
た、前回の利下げ(16年6月)時の声明を見ると政策金利引き
下げの理由に英国の国民投票後の混乱をあげていました。現
時点ではこの要因の妥当性はやや低下したと見られます。
台湾経済の本格的な回復には、輸出地域や品目の伸びに広
がりが必要と思われますが、確認も必要であり、金融政策は
当面は据え置かれることが考えられます。
図表1:台湾GDP(前年同期比)と輸出(前年同月比)
月次、期間:2011年7月~2016年7月、GDPは四半期16年4-6月期迄
25
%
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
11年7月
台湾輸出(左軸)
台湾GDP成長率(右軸)
%
※16年4-6月期
GDP+0.7%
4
2
0
※台湾GDP成長率は
2015年後半から3四
半期マイナス成長
13年7月
6
-2
15年7月
図表2:台湾消費者物価指数(CPI)と政策金利の推移
(日次、期間:2013年8月16日~2016年8月16日、CPIは月次、7月迄)
2.00
%
%
2
※15年9月
利下げ開始
1.75
1
0
1.50
政策金利(左軸)
消費者物価指数(右軸)
1.25
13年8月
3
14年8月
※低温により生
鮮食品価格高騰
15年8月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
-1
-2
16年8月
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