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Today’s Headline ご参考資料 ご参考資料 “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン 北米 2015年6月30日 そこが知りたい、プエルトリコ債 プエルトリコ債はほぼすべてが米国居住者の地方債ファンドなどで保有されている模様で、金融システミック・リスクに 発展する可能性が高いとは思われませんが、米連邦破産法の対象となるか不透明である点などに注意が必要です。 プエルトリコ:プエルトリコ知事、総額約720億 ドルの債務の返済繰り延べ要請へ 米自治領プエルトリコは財政再建と経済再生に向けた計画 の一環として約720億ドル(約8兆8,100億円)の債務につい てガルシア知事が2015年6月29日のテレビ演説で数年間の 返済繰り延べを要請しました。ガルシア知事はプエルトリコ 当局が8月30日までに債務再編計画をまとめると説明して います。知事の発言の後、プエルトリコ議会は新年度予算 を可決しています。規模は98億ドルで、歳出計画の15%に相 当する約15億ドルは債務の元利払いにあてる内容です。 知事の発言を受け、一部のプエルトリコ債の価格は6月29 日に急落、過去最安値を付けています(図表1参照)。 格付け会社フィッチ・レーティングスは6月29日、プエルトリ コの一般財源債の格付けを BからCCに引き下げました。ま た、ネガティブ・ウォッチ(格下げ方向で検討中)を継続する としています。 どこに注目すべきか: プエルトリコ債、コモンウェルス、三税免除 米国自治領(コモンウェルス:米合衆国を構成する州ではな い自治地域)であるプエルトリコが債務不履行(デフォルト) に直面しています。プエルトリコ債は、利子に対する連邦所 得税が減免される(特殊な)地方債で、保有者はほぼすべて が米国居住者で、地方債ファンドなどを通じて保有されてい る模様であり、金融システミック・リスクに発展する可能性が 高いとは思われませんが、連邦破産法の対象となるか不透 明である点などには注意が必要です。 まず、プエルトリコの特色はコモンウェルスという特殊な位置 づけとなっていることです。米国の州とは異なり自治領であ るプエルトリコ(の住民)は米国の市民権を有するものの、基 本的に連邦所得税が免除されます。また米国大統領選挙の 投票権や米国連邦議員の選出は行いません。 プエルトリコが発行した債券の特色は、通常、連邦、州、地 ピクテ投信投資顧問株式会社 方政府の所得税が免除となることから三税免除などと呼ばれ ています。米国の投資家は利子所得は通常総合課税となるた め、プエルトリコ債は富裕層などに購入されていた模様です。 その他では米国の機関投資家が地方債ファンドを通じて投資 しているケースが多いと考えられます。一般の国債のように幅 広い投資家に、担保など様々な目的で保有されていることが 想定されないため、金融システム全体に影響が及ぶリスクは 高くないと思われます。 また、プエルトリコの財政は、例えば2013年6月には公的債務 が700億ドルを超えるなど、ある程度悪化が想定されていた可 能性はあります。 しかし、問題もあります。まず、プエルトリコの地方債発行残高 は米国の州別の地方債残高でみると8番目程度に相当する規 模でサイズが大きい点に注意が必要です。 2つ目は、プエルトリコは米国の地方自治体ではないため、米 国の破産法に基づく債務再編を実施する資格がないと見られ ることです。プエルトリコは720億ドルに及ぶ債務負担の軽減 を求めており、ガルシア知事は、目標は交渉の末に債権者か ら長期に及ぶ債務の返済猶予(モラトリアム)を得ることで負 担を軽減して返済を目指す考えで、そのため米国政府に対し て破産法(チャプター9)の適用申請を許可するよう求めていま す。特殊な自治体としての立場がマイナスとなった格好です が、許可された場合にはよりスムースな再編も期待されるだけ に、今後の動向に注目しています。 図表1:プエルトリコ2035年償還の一般財源債の推移 (日次、期間:2014年3月11日~2015年6月29日) 110 債券価格 90 70 50 14年3月 プエルトリコ債 14年7月 14年11月 15年3月 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆 あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、 その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、 作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構 の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも のではありません。