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トランプ氏勝利後のトルコリラの動向

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トランプ氏勝利後のトルコリラの動向
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欧州
2016年11月24日
トランプ氏勝利後のトルコリラの動向
米国でトランプ次期大統領選出後、政策への期待から米国の金利が上昇し、新興国通貨の対ドル安傾向が見られ
ますが通貨安の程度は同じではなく、リラは同国の政策運営やぜい弱なトルコ経済を反映、大幅に下落しています。
トルコ中銀金融政策会合:据え置きが予想さ
れるが、口先介入も
トルコ中央銀行は2016年11月24日に金融政策決定会合を
開催する予定です。市場予想では、主要政策金利となる1週
間物レポ金利は7.5%で、上限金利となる翌日物貸出金利を
8.25%、下限金利となる翌日物貸出金利を7.25%で据え置くこ
とが予想されています(図表1参照)。トルコ中央銀行はイン
フレへの警戒心を強めていないこと、トルコリラ安傾向が続
いていることなどが据え置きを予想する背景となっています。
しかし、トルコのエルドアン大統領はトルコ中銀の金融政策
会合の前日に、利下げをためらうトルコ中央銀行を公然と批
判しました。
米国でトランプ氏が次期大統領に選出され、政策への期待
から米国の金利が上昇したため、新興国通貨はドルに対し
売られる傾向が見られます。ただ通貨安の程度は同じでは
なく、トルコリラは同国の強権的な政策運営や脆弱なトルコ
経済を反映して大幅に下落しています。
トランプ次期大統領選出後、新興国通貨安が進行する中、
金利が低いハンガリーなど東欧通貨と共に、(高金利の)ト
ルコリラも売られています(図表1参照)。他の通貨では米国
の影響が大きい南米や、政局が不安定な南アの通貨も安く
なっていますが、トルコリラに比べれば現状、小幅安です。
リラの動向を見るうえでポイントは以下の通りです。
1つ目は経済の軟調さです。GDP(国内総生産)成長率は3%
台を維持していますが先行指標は低下しておりマイナス成
長が懸念されています。失業率は足元11.3%と高水準です。
一方でインフレ率は前年同月比で7.2%とトルコ中銀の目標
(3%~7%)の上限を超え、高インフレ、低成長となっています。
2点目は、対外ポジションの悪化です。トルコは観光収入の
減少や軟調なドル建輸出で経常収支が悪化、ドル収入が低
下傾向です。一方、トルコの対外債務の通貨構成を見るとド
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:トルコの主要政策金利とリラ(対ドル)の推移
(日次、時点:2015年11月23日~2016年11月23日)
11.0
政策金利(左軸)
リラ/ドル 3.5
下限(左軸)
上限(左軸)
リラ・ドル(右軸)
%
3.3
10.0
9.0
3.1
8.0
2.9
7.0
15年11月
16年3月
16年7月
安 リラ 高
どこに注目すべきか:
トルコ経済、対外債務、エルドアン政権
ルの割合が高く(図表2参照)、外貨のやりくりが苦しい状況で
す。トルコの格付けが悪化していますが、格付け会社は対外
ポジションの悪化を要因の一つとしています。
3点目は政治の介入です。低成長、高インフレという状況はブ
ラジルにも見られましたが、ブラジル政府はインフレ抑制を優
先して利上げを黙認していました。一方、トルコでは強権的な
エルドアン大統領がトルコ中銀に注文をつけています。トルコ
中銀のインフレレポートからは物価抑制を優先させたい意向
が感じられますが、政治の介入については通貨市場はリラ安
で反応する傾向が見られます。
新興国通貨市場の変動要因については、トランプ次期大統領
以外にも注意したほうが良いようです。
2.7
16年11月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
図表2:トルコ対外債務の通貨別構成比
(時点:2016年6月末)
その
リラ ,
他,
7 .0%
1 .5%
円,
2 .4%
ユー
ド ル,
ロ,
5 7 .3%
3 1 .9%
トルコ対外負債内訳:
総額: 4,214億ドル
短期セクター
1,075億ドル
長期セクター
3,140億ドル
ドルは2,413億ドル(57.3%)
出所:トルコ財務省のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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