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“ジュネーブから今を見る”
今日のヘッドライン
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欧州
2016年7月6日
英国不動産ファンド、解約停止は響きがよくない
英国のEU離脱の余波が英国不動産市場を揺るがしました。流動性が相対的に低い不動産市場でファンドが償還請
求に応じられなかっただけとも言えますが、市場のセンチメントが悪化している中リスク回避の動きが見られました。
英国不動産ファンド:顧客取引停止
相次ぐ解約で資金対応に苦慮
英国では大手不動産ファンドの対顧客取引停止が相次ぎ、
合計3本、約91億ポンド(約1兆2,100億円)の資産が凍結され
ました。英国民投票で欧州連合(EU)離脱が決まった後投資
家からの償還請求が急増し、手元資金が不足していたこと
が背景と見られます。
報道によると、3本のファンドの内訳は、2016年7月4日には
英保険スタンダード・ライフ傘下のスタンダード・ライフ・イン
ベストメンツが29億ポンド規模の英不動産ファンドの解約を
停止し、5日には英保険プルデンシャル傘下のM&Gインベス
トメンツが44億ポンド規模のファンド「プロパティ・ポートフォリ
オ」の取引を停止、英保険アビバ傘下のアビバ・インベスタ
ーズも18億ポンド規模の不動産投資信託(REIT)「プロパティ
・トラスト」を凍結しました。
どこに注目すべきか:
解約停止、パリバショック、不動産ファンド
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:英国株式市場と金融セクターの騰落率
(時点:2016年7月5日、前日比)
0.5%
0.0%
-0.5%
-1.0%
-1.5%
-2.0%
-2.5%
-3.0%
-3.5%
-4.0%
-4.5%
※傘下の不動産ファンドが解約
停止となった保険セクターの騰
落率のマイナスが大きい
FTSE100
銀行
不動産
保険
図表2:ポンドと円(対ドル)レートの推移
(日次、期間:2015年7月6日~2016年7月6日(日本時間正午))
1.6
ドル/ポンド
1.5
円/ドル 100
ポンド(対ドル、左軸)
円(対ドル、逆メモリ、右軸)
105
110
1.4
115
120
1.3
1.2
15年7月
高 通貨 安
英国のEU離脱の余波が英国不動産市場を揺るがし、英国
の株式市場では金融セクターが下落しました(図表1参照)。
理屈で考えれば、流動性が相対的に低い不動産市場に投
資するファンドが償還請求に応じられなかったに過ぎないと
も言えますが、市場のセンチメントが悪化している中、為替
市場ではポンド続落、円高進行と典型的なリスク回避の動
きとなりました(図表2参照)。
まず、ファンドの解約停止という響きがよくありません。リー
マンショックを知る投資家は「パリバショック」(BNPパリバ傘
下のファンドが解約停止を突然公表、リーマンショックの前
兆となった)でもこの言葉が使われたからです。
しかし、今回の英国の不動産市場での解約停止は中身が
違います。リーマンショックのときはサブプライムローンなど
得体の知れない証券に投資されていたという背景がありま
すが、英国の不動産ファンドの解約は、英国がEUに留まる
か不透明な中、商業用不動産市場への影響を回避するた
めの必然的な流れです。一方、不動産ファンドが解約に応じ
ての流動性は低いので解約対応に必要な処置と見られます。
また、理屈で考えれば、英国で不動産が売られてもビジネス
の移転先で不動産が買われ、トータルでは相殺されるかもし
れません。なお、英投資協会(Investment Association)の統
計によれば、英国の不動産ファンドの投資総額は約245億ポ
ンドでファンド全体の数%に過ぎないという規模の小ささも解約
対応に苦慮した背景となった可能性も考えられます。
理屈で考えれば英国がEUにとどまるか不透明なので不動産
を売っただけとも言えますが、きっかけとなった英国の国民投
票では理屈に情が勝っただけに今後も注視が必要です。
125
15年10月
16年1月
16年4月
130
16年7月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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