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アジア
2015年11月12日
中国、投資も捨てたもんじゃない
中国の経済指標で底堅い小売売上高が示された一方、製造業や投資は軟調な傾向が示されました。中国当局が
主導する投資から消費への構造改革を示唆する内容ですが、投資の下落傾向がどこまで続くか注視は必要です。
中国経済統計:10月の工業生産は金融危機
以来の低い伸び、小売売上高は底堅い伸び
中国国家統計局が2015年11月11日発表した10月の工業
生産は前年同月比5.6%増と市場予想(同+5.8%)、前月(同
+5.7%)を下回りました。今年3月と同じ伸び率で、それ以前
では2008年来の小幅な増加となりました。また、10月の固
定資産投資は前年比+10.2%と市場予想(同+10.2%)に一致し、
前月(同+10.3%)を下回り、2000年以来の小幅な伸び率にと
どまりました(図表1参照)。
一方、10月の小売売上高は前年同月比+11.0%と市場予想、
前月(共に同+10.9%)を上回り、2015年に入って最も大幅な
伸びとなりました。中国経済の従来型の成長エンジンが低
調な中、消費主導型経済への移行が徐々に進んでいる状
況が示唆される結果となりました。
データであることも、注目点です(図表2参照)。
住宅投資は主要70都市の住宅価格動向を見ると住宅価格に
底打ち感が見られます。ただし、注意しなくてはならないのは
回復の兆しは主要都市に限られており、地方の住宅投資は
下落が拡大している状況だということです。
最後に、工業生産は全体ではエネルギー関連が伸び悩んだ
ことなどを受け軟調な伸びとなりましたが、自動車に底打ちの
兆しも見られました。自動車販売も10月には上昇しており、背
景として金融緩和と、自動車取得税の軽減措置などが考えら
れます。中国当局の景気対策が徐々に効果を発揮し始めた
可能性も考えられます。当面、金融、財政からの追加的な景
気対策が必要と思われます。
図表1:中国工業生産と固定資産投資の推移
(月次、期間:2000年10月~2015年10月)
60
どこに注目すべきか
個人消費、投資、鉄鉱石輸出、住宅価格
11日に公表された中国の経済指標で底堅い小売売上高が
示された一方、製造業や投資は軟調な傾向が示されました。
中国当局が主導する投資から消費への構造改革を示唆する
内容ですが、投資の下落傾向がどこまで続くか注視は必要と
見ています。
中国の習近平国家主席が方針と示した今後5年間の経済成
長率(最低で)6.5%を達成するには消費の回復と共に、投資の
底打ちも確認する必要があると思われます。理由は、中長期
的には間違いなく必要と見られる構造改革ですが、短期的に
推し進めるのは困難と思われるからです。米国や日本では
消費がGDPに占める割合は概ね6~7割程度ですが、中国で
は三中全会(図表2参照)後の2014年であっても4割を下回り、
2013年と比較して変化は小幅です。
そこで、中国の今後の投資の動向を占う上で関連する指標
に注目すると、底打ちの兆候も見られます。例えば、オースト
ラリア(豪)の中国向け鉄鉱石輸出額を見ると、2013年末から
の下落傾向に底打ちの兆しも見られます。また、豪統計局の
ピクテ投信投資顧問株式会社
%
工業生産(前年同月比)
固定資産投資 (累計、前年比)
40
20
0
00年10月
04年10月
08年10月
12年10月
図表2:豪中国向け鉄鉱石輸出額の推移
(月次、期間:2005年9月~2015年9月)
60 億豪ドル
40
オーストラリア鉄鉱
石中国向け輸出
※2013年11月の中国共産党第18期
中央委員会全体会議(三中全会)で市
場原理の導入、反腐敗などの方針が
示される
20
0
05年9月
08年9月
11年9月
14年9月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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