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数 学 Ⅱ 2 次方程式
数学 Ⅱ ラジオ 学習メモ 第1章 方程式・式と証明 第 5 回〜第 8 回 第2節 2 次方程式 第 5 回 複素数(1) 講師:渡 部 儀 隆 負の数の平方根 これまで,有理数,実数の範囲での数を考えてきたが,ここで は,さらに数の範囲を広げて考えてみよう。 実数 虚数単位 複素数 実数 方程式 2x = 3 は,有理数の範囲で解 x = 3 を 2 もつ。方程式 x2 = 2 は,実数の範囲まで広げると, x =± 2 という解をもつ。実数は 2 乗すれば正の 数または 0 になるので,方程式 x2 =− 3 は,実数 範囲でも解をもたない。そこで……, 実数 2 有理数 3 2 3 2 - 2 -3 虚数単位 2 乗すると− 1 になる新しい数を考え,これを記号 i で表す。i は, i2 = -1 きょ すう たん い と定義し,実数と同じ計算法則にしたがうとする。iを虚数単位という。虚 数単位をも用いると,〈例1〉のように負の数の平方根を考えることができ る。 〈例1〉 3 i と− 3 i の 2 乗をそれぞれ計算すると ( 3 i)2 = ( 3)2 i2=3 × ( − 1) =− 3 ( − 3 i)2 = ( − 3)2 i2 = 3 × ( − 1) =− 3 したがって, − 3 の平方根は 3 i と− 3 i である。 すなわち, x2 =− 3 の解は x = 3 i,− 3 i である。 一般に,a>0のとき,−a の平方根は, a iと,− a iである。すなわち,x2=−a の解は,x=± a i。また, −a は,−aの平方根のうち a iと表す。 〈例2〉 (1) − 2 = 2 i (2) − − 4 =− 4 i =− 2 i 〈例3〉 (1) x2 =− 7 の解は x =± 7 i (2) x2 + 25 = 0 の解は x2 =− 25 より x =± 25 i すなわち x =± 5 i 高校講座・学習メモ 数学 Ⅱ ラジオ 学習メモ 第 1 章 方程式・式と証明 第 2 節 2 次方程式 第 5 回 複素数(1) 負の数の平方根 複素数 負の数の平方根を利用して,方程式 x2 − 2x + 5 = 0 の解を求めよう。 x2 − 2x + 5 = 0 (x − 1)2 − 1 + 5 = 0 (x − 1)2 =− 4 x − 1 =± 4 i したがって, x=1±2 i この 1 + 2 i や 1 − 2i のように,実数 a,b と虚数単位を用いて a+bi ふく そ すう と表される数を複素数という。このとき,aを じつ ぶ きょ ぶ 複素数の実部,bを虚部という。 複素数a+b iで,b=0のときa+0 i=aとな きょ すう り,実数を表す。b≠0である複素数を虚 数 と いう。 複素数 実数 虚数 0 π 2 1 3 2 i i 3 − 5i 高校講座・学習メモ 数学 Ⅱ ラジオ 学習メモ 第 6 回 複素数(2) 第 1 章 方程式・式と証明 第 2 節 2 次方程式 講師:渡 部 儀 隆 複素数を用いた計算 複素数の性質と計算について学ぶ。 複素数の相等 複素数の計算 共役な複素数 複素数の相等 2 つの複素数が等しいのは,その実部,虚部ともに等しいときにかぎる。 つまり, 複素数の相等 a, b, c,d が実数のとき a + bi = c + di (A a = c かつ b = d B:A ならば B,B ならば A は,A と B が同じ内容であることを表す。) 〈例 4〉 次の等式を満たす実数 x,y を求めてみよう。 (3x − 1) + (2y + 1)i = 5 − 7i 左辺と右辺が等しいから { 3x − 1 = 5 2y + 1 =− 7 したがって x = 2,y =− 4 《問3》 等式 (x + 2) + (y − 1)i = 0 を満たす実数 x,y を求めなさい。 *実部も虚部も 0 と考える 左辺と右辺が等しいから { x + 2 = 0 y − 1 = 0 したがって x =− 2,y = 1 複素数の計算 複素数の計算では,虚数単位 i はふつうの文字と同様に扱い,i2 は− 1 に おきかえればよい。 〈例5〉 (1) 3i − 5i =− 2i (2) 4i × 3i=12i2 = 12 × ( − 1) =− 12 (3) (2 + 3i) + (1 − 5i) = (2 + 1) + (3i − 5i) = 3 − 2i (4) (2 + 3i)(1 − 5i) = 2 − 10i + 3i − 15i2 = 2 − 10i + 3i − 15 × ( − 1) = 17 − 7i 高校講座・学習メモ 数学 Ⅱ ラジオ 学習メモ 第 1 章 方程式・式と証明 第 2 節 2 次方程式 第 6 回 複素数(2) 複素数を用いた計算 共役な複素数 きょうやく ふく そ すう 2 つの複素数 a + bi と a − bi を,互いに共役な複素数という。 〈例6〉 (1) 3 + 2i と共役な複素数は 3 − 2i (2) 3i と共役な複素数は − 3i 互いに共役な複素数 a + bi と a − bi の和と積は,つねに実数となる。 (a + bi) + (a − bi) = (a + a) + (b − b)i = 2a (a + bi)(a − bi) = a2 − (bi)2 = a2 + b2 〈例7〉 (3 + i) ÷ (1 − i) を計算してみよう。 (3 + i) ÷ (1 − i) = 3+i 1−i 分母と共役な複素数 1+ i を分母と分子にかけると (3 + i)(1 + i) 3 + 3i + i + i2 = となり (1 − i)(1 + i) 12 − i2 共役な複素数の性質を用い,i2 を -1 におきかえ, 2 + 4i 2 = 2( 1 + 2i) 2 = = 1 + 2i 複素数の加減乗除の結果は,つねに複素数になり,a + bi の形に表すこ とができる。 高校講座・学習メモ 10