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学習メモ
地 理 テレビ学習メモ 第 25 回 さまざまな地図と地理的技能編 地図で日本を旅する 学習のねらい 監修・講師 田代 博 国土地理院が発行する地形図は、日本のさまざまな地図のベースとなる。大 きな特徴は、等高線により標高が正確に示されていることと、地表の様子が各 種の地図記号で示されていることである。等高線を含め、記号の特徴を理解しよう。地形図は、 作成方法も表現のしかたも時代により変化してきた。過去の地形図と現在の地形図を比較すれ ば地域の変化を具体的に知ることができる。実際に地形図を手にして、そこに込められている さまざまな地域の情報を読み取れるようにしよう。 学習前チェック 家に2万5千分1地形図があるか探してみよう。 地形図にはどんな地図記号があるか、調べてみよう。 地形図の折り方を調べてみよう。ユニークなものに「ミウラ折り」がある。実際に自分でも折ってみよう。 地図帳で昭和基地の場所を確認しよう。 ▼ 地形図の特徴 現在発行されている縮尺 2 万 5 千分の 1 の地形図 4,418 枚で日本全土を網羅している。この 地形図の大きな特徴である等高線は、等高線間隔の疎密で傾斜の違いを表している。間隔がまば らになっているところは緩やかな傾斜、密なところは急傾斜である。名称が地形図となっている が、地形だけでなく、市街地や植生、鉄道を含め、地表の様子を総合的に表した地図である。地 形図は1世紀以上の長い歴史を持っている。今はコンピュータを用いて作成されるが、かつては 専門の技術者により手作業で作成された芸術品ともいえるものであった。 また、戦前は参謀本部陸地測量部という軍隊の組織が作成していたため、軍事施設などは白抜 かいびよう きになったり、あえて実際とは違ったように表現したりすることもあった(「戦時改描」という)。 今、地形図を自由に目にすることができるのは「平和の象徴」であるともいえよう。 − 55 − 高校講座・学習メモ 地理 地図で日本を旅する 地図ができるまで かつては実際に現地に行き測量していた地形図だが、その後、飛行機から撮った空中写真をも とに作成されるようになった。視点が異なる位置から重複して撮影した 2 枚の空中写真を左右 の目で同時に眺めれば、写真を立体的に見ることができる。この原理を利用して「立体図化機」 という機械で等高線を描くのである。今はコンピュータを使いデジタル処理をしているが、原理 は同じである。その元になる空中写真があれば、どこでも等高線の入った地図を作ることができ る。国土地理院では南極大陸の地図も作成している。 地図を使ったフィールドワーク 地形図を読み解く基本は、等高線と地図記号である。記号の由来や時代による変化を調べてみ ると興味深い。老人ホームや風車のように公募により選ばれたものもある。地図は「タイムマシ ン」と呼ばれることがある。かつて作られた地図(旧版地図)は、今となっては見ることのでき ない過去の地表の様子を正確に再現しているからである(国土地理院の本院、東京地方測量部な どで実際に閲覧できる)。 フィールドワークに地形図は不可欠であるが、事前に旧版地図を見ておくと、どこに注目すれ ▼ ばよいかがよくわかる。地形図に表現してあるからこそわかることがある一方、現地に行かなけ ればわからないこともある。どんな町にも必ず個性、特徴がある。地域をより深く知るために地 形図を持って町を歩いてみよう。 − 56 − 高校講座・学習メモ