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(北朝鮮)からなっている。
テレビ 学習メモ 第32 回 今回 学ぶこと 地理 監修:高 橋 宏 高橋宏先生 [世界の諸地域を学ぶ] 朝鮮半島へようこそ 朝鮮半島は、南の大韓民国(韓国)と北の朝鮮民主主 義人民共和国(北朝鮮)からなっている。 2 つの国は南北に分断されて以来、対立が続いているが、 平和に向けた努力が行われている。朝鮮半島はいつ、どの ような経緯で 2 つの国に分かれたのか? 今、大きく飛躍 している韓国の経済はどのように発展してきたのか?北朝 鮮は、どのような課題を抱えているのか? 同じ民族であ る 2 つの国の、今と昔を学んでいこう。 学習前 チェック □現代の朝鮮半島の歴史はどのようなものであったか、確認しよう。 □1960年代以降の韓国の経済発展がどのように進んできたか見ておこう。 □北朝鮮の抱える問題には、どのようなものがあるか確認しよう。 □朝鮮半島の安定と平和および地域の安全に向けた南北対話と周辺諸国の動きを見ておこう。 ▼ 1st stage 韓国の経済発展 〜変わる貿易相手国〜 朝鮮半島は、1945 年の第二次世界大戦終結により、 南と北に分割統治され、1948 年に南に韓国、北に北朝 鮮が樹立された。そして、1950 年〜 53 年の朝鮮戦争に より南北の分断が決定的となった。 韓国は、1960 年代に入り経済開発を推進して、輸出 に向けた積極的な政策などにより年 10% を超える経済 成長率を達成した。70 年代には重化学工業の開発に乗 り出し、製鉄・造船・石油化学・自動車などが基幹産業 に育った。その後、電気・電子産業を発展させ、現在は 輸出も鉄鋼・電子製品などが大きく伸びている。また輸 出相手国は、かつてはアメリカと日本が大きなシェアを 占めていたが、近年は中国が第1位となっている。 − 73 − 高校講座・学習メモ 地理 朝鮮半島へようこそ 2nd stage 北朝鮮の抱える課題 〜政治・経済〜 朝鮮半島は、かつては「南農北工」といわれたように、 南部が農業・軽工業中心で、北部は地下資源や水資源に 恵まれ重化学工業を発達させていた。北朝鮮は、朝鮮戦 争後の復興を目指し、ソ連などの援助も受けつつ社会主 義化を進めた。1960 年代までは北の経済が南よりも進 んでいたが、その後、社会主義計画経済の非効率性など により経済が低迷し、とくに 70 年代に入ってから南北 の経済力は逆転した。 また、1990 年代の半ば以降、北朝鮮は農業生産の減 少などで、経済状況が厳しい状況になり、食糧不足・飢 餓といった危機に瀕したため、国際的な援助を求めた。 政治的には、北朝鮮の核開発問題をめぐり、平和的解決 に向けた諸外国との協議(日本、アメリカ、韓国、中国、 ロシア、北朝鮮の間の6か国協議)が開催されているが、 解決の道のりは遠く緊張が続いている。 ▼ 朝鮮半島および北東アジアの繁栄・安定・安全保障の 観点から、不安定要因を取り除くことが重要な課題と なっている。 3rd stage 南北対話をめぐる周辺諸国の動き 朝鮮半島は 1950 年代初め南北に分断されて以来、対 立が続いているが、 「南北関係を発展させて、平和統一 を実現する」目的から、南北間の対話も行われている。 1972 年には南北共同宣言が出され、91 年には南北基本 合意書が締結され、南北の和解、南北不可侵、南北交流・ 協力についての合意がなされた。 2000 年には北朝鮮の首都・ピョンヤン(平壌)で初 めての南北首脳会談が開かれ、相互理解の増進と南北関 係の発展により、平和統一を実現するための重大な意思 が表明された。 しかしこの間も、ラングーン事件・大韓航空機爆破事 件・軍事紛争などが引き起こされ、南北対話の目指す平 和・統一という目標への歩みは決して平坦な道のりでは ない。両国間の平和に向けた努力には、地域の安定を目 − 74 − 高校講座・学習メモ 地理 朝鮮半島へようこそ 指す周辺国・関係国との話し合いもますます重要となっ ている。 ▼ 今回のまとめ 朝鮮半島は、38度線近くの軍事休戦ラインで南北に分断されている。 韓国は1960年代以降、目覚ましい経済発展をとげ重化学工業・電子産業などを発展さ せ、それら製品の輸出も盛んである。 北朝鮮は1970年代に入ってから、経済的な低迷を続け、90年代半ばには食糧危機を迎 えるなど、経済的に厳しい状況を抱えている。 南北対話も行われているが、目標を実現するための動きは一進一退であり、周辺国を 含めた繁栄・安定・安全保障の実現を目指す関係の継続が重要である。 − 75 − 高校講座・学習メモ