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世界史
世界史
テレビ学習メモ
第 27 回
講師:山 下 範 久
産業革命と社会問題
今回学ぶこと
18 世紀の後半、イギリスで起こった産業革命とは工場で機械を用いる生産への
技術革新の連鎖のことであり、産業革命は綿工業から他部門へと広がり、欧米諸国
や日本へも波及した。産業革命は生産性の劇的な上昇をもたらし物質的な豊かさを
可能にしたが、他方で都市の工場で酷使される労働者の生活は悲惨をきわめ、そこ
からさまざまな社会問題が生じた。そうしたなか労働者の権利を擁護し、資本主義
社会の矛盾を克服しようとする社会主義の思想が体系化されるようになった。
学習前チェック
日本にはじめて蒸気機関の鉄道路線が開通したのはいつか調べてみよう。
綿を材料とする身の回りの品物を探し、それらの原産地を調べてみよう。
現代の社会において労働者の権利がどのように保護されているか調べてみよう。
▼
炭業などの発展を伴い、さらに交通機関の発展を
1st stage
も促した。1807 年にはフルトンが蒸気船を試作し、
産業革命が最初に起こったのはイギリスである。
イギリスでは従来毛織物工業が盛んであったが、17
1825 年にはスティーヴンソンの蒸気機関車が実用
化した。
世紀末からインドからの綿布の需要が高まった。
と
2nd stage
ひ
1733 年にジョン・ケイによって飛 び杼(縦糸の
間に横糸を通す道具)が発明されると、それに続い
イギリスで最初に産業革命が起こった理由は多様
て紡績機および織機の発明、改良が次々に起こった。
である。まず近代初期から商工業が盛んであったこ
1769 年にワットが蒸気機関を改良するとそれら
と。次に農村では大地主主導で土地の集積(第二次
の機械の動力として利用され、さらに生産効率が向
囲い込み)が進んでおり、進んだ技術で高い生産性
上した。綿工業の発展は、機械工業、製鉄業、石
を誇る農業部門があったことにくわえ、土地を追わ
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高校講座・学習メモ
世界史
産業革命と社会問題
れた農民が都市に労働力を供給したことである。
的権力が強力になった。
また、大西洋における三角貿易やインド交易など
産業革命は伝統的な生活様式をおおきく変容させ、
18 世紀までにオランダやフランスを抑えて広大な
人々の価値観や感性までもが変化した。特に都市で
海外市場を確保していたこと、さらに石炭、鉄など
は人口が集中し、衛生や治安などの問題が生じた。
の資源に恵まれていたことも要因として挙げられる。
また、多くの資本家は利潤を優先して、女性や子ど
もも含む労働者に低賃金と長時間の重労働を強制し
3rd stage
たため、労働問題・社会問題が発生したが、他方で
産業革命によって大規模な機械制工場が出現する
と、農家の家内制手工業やギルド制の小規模な手工
そうした問題の解決を目指す社会主義思想も生まれ
た。
業は没落し、大工場を所有・経営する資本家の社会
▼
今回のまとめ
18世紀後半にイギリスで最初の産業革命が起こった
産業革命は資本、技術、労働力、資源、市場などの諸要因が複合して可能となった。
産業革命は生産性の飛躍的な向上をもたらし、人々の生活様式を大きく変えたが、
他方で都市問題や社会問題を引き起こした。
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