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カザフスタン、石油・ガス
テレビ 学習メモ 第 33 回 今回 学ぶこと 地理 関先生 _ 再 監修:関 啓 子 [世界の諸地域を学ふ] ロシア・中央アジアへようこそ ユーラシア大陸の大半を占める広大なロシアとその南に 位置する中央アジアのカザフスタンは、著しい経済発展を 遂げているが、その秘密は何だろうか ? まず、ロシアを横 断するシベリア鉄道で旅することによって、ロシアの自然 環境や社会発展の姿を見て、経済発展の原動力を探ろう。 次に、カザフスタンの遊牧民のくらしに触れ、社会発展の 現状を見てみよう。 学習前 チェック □ロシア連邦を地図帳で確認しよう。 □ウラル山脈の位置とシベリアの広さを地図帳で見てみよう。 □中央アジアの5か国、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン、トル クメニスタンの位置を地図帳で確認しよう。 ▼ 1ststage 世界最大の国土とシルクロードゆかりの地域 ロシア連邦は世界最大の国土を有しているが、それの ほとんどが冷帯 ( 亜寒帯 ) と寒帯に属している。寒冷地 ではあるが、シベリアには広大なタイガ ( 針葉樹林帯 ) が広がり、石油などの地下資源にも恵まれている。 中央アジアは、シルクロードゆかりの地域である。北 部には草原と乾燥地帯が広がり、遊牧民が独特の文化を 育んできた。南部はオアシス都市を中心に定住民がくら し、農耕が行われてきた。 2ndstage 経済発展の原動力としての石油と天然ガス ソ連邦 ( ソビエト社会主義共和国連邦 ) 解体後、ロシ ア連邦は経済危機を克服し、エネルギー産業を基軸に経 済発展を遂げた。石油・天然ガスなどの豊かな資源が、 − 76 − 高校講座・学習メモ 地理 エネルギーをめぐる旅 ロシアの経済を支えている。他方、経済の状態が国際 的な資源価格に左右されるという問題を抱えており、産 業構造の多角化が課題となっている。 カザフスタンも石油によって経済発展を遂げ、豊かに なり、同じく中央アジアのトルクメニスタンでも天然ガ スが経済を支えている。 3rdstage 社会的な課題 ロシア連邦もカザフスタンも、多民族国家である。ロシ ア連邦には多様な民族がくらし、また、ロシア正教やイス ラーム、ユダヤ教、仏教などの多様な宗教が存在している。 さまざまな民族と文化と宗教の共生は、ロシア連邦の課題 である。カザフスタンには、カザフ人ばかりでなく、ウズベ ク人やロシア人やクルグズ人など多様な民族が生活している。 ここでも民族の共生は課題である。 ロシア連邦は豊かになったが、富裕層と貧困層との生 活水準の格差が拡大しているという社会問題を抱えている。 ▼ 中央アジアのキルギスは独立後 2 度の政変を経験した。 中央アジア諸国の課題は、安定した民主的な社会の発展 である。 今回のまとめ ソ連邦が解体して誕生したロシア連邦と中央アジア5か国は、計画経済から市場経済へ の転換に取り組んだ。困難を克服して、経済発展の軌道にのったのは、石油や天然ガス の資源に恵まれた国々である。ロシア連邦とカザフスタンの経済発展は目覚ましい。 ロシア連邦との間には北方領土問題があるが、ロシア連邦は隣国であり、日本は木材や 魚介類を輸入している。文化交流も盛んで、また、石油などの資源開発でも協力関係を 深めている。こうした文化的、経済的な交流の積み重ねによって、両国間によりよい関係 が築かれることが課題である。 中央アジアは、シルクロードへの関心から文化的な興味を喚起する地域である。それば かりでなく、昨今は、留学生をはじめとする人材交流が盛んである。また、中央アジア は、資源供給地域としても期待され、日本との協力関係も深まりつつある。 − 77 − 高校講座・学習メモ