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学習メモ
芸術 テレビ 学習メモ 美術Ⅰ 第 11 回 今回 学ぶこと あなたのまわりをデザイン ~椅子/インテリア~ 監修:上野行一 講師 デザイナー・武蔵野美術大学教授 五十嵐久枝 椅子や照明などのインテリアは、生活空間をデザインする身近なアートだ。 今回の講師の五十嵐さんは、花瓶や椅子などの身近なインテリアデザインだ けでなく、イベントスペースや店舗など、空 間全体のデザインを数多く手がけている。環 境、空間のデザインは、居心地のよさや心の 安らぎが大切。椅子とトレーシングペーパー を使ったワークショップでは、人とモノ、人 と空間のかかわりを意識しながら空間作りを 五十嵐久枝さん(左)と聞き手の KIKI さん 学習前 チェック 体験する。 自分の身の回りの壁や床の色や材質。机や椅子、家具のデザインを見てみよう。 また、店舗の陳列棚や展示方法がどのように工夫されているか考えてみよう。 ▼ Point1 椅子と空間 ワークショップの課題は、椅子に合わせた空間のデ ザイン。使用する素材のトレーシングペーパーは元々 製図作業などのときに、図を写し取るのにつかわれて いた紙で、半透明のため重ねると明るさが変わったり、 腰が強いので立体工作に使われたりする。紙の特性を 生かした空間作りを考える。 今回の演習では、世界的なデザイナーが作った名作 椅子を使用し、その椅子に合わせた空間をデザインし た。使用した椅子は ハンス・コーレイ作 / ランディ(1938) (アルミ製の丸い穴のあいた椅子) コンスタンティン・グルチッチ作 / チェアワン (2003) (黒いフレームの椅子) ジャスパー・モリソン作 / プライチェア(1989) − 24 − 高校講座・学習メモ 芸術 美術Ⅰ あなたのまわりをデザイン (木製のフレームが細い椅子) 椅子を置いた空間の中に入り、空間を実際に体験し ながら制作する。 Point2 デザインでよみがえらせる イサム・ノグチ(1904 〜 1988)は、ロサンゼルス生 まれの日系アメリカ人アーティスト。インテリアデザイ ンや彫刻、造園など幅広い分野で活躍した。戦後岐阜市 ちょうちん を訪れたイサムノグチは、岐阜の提灯をもとにして、竹 と和紙を使った照明「あかり(AKARI) 」をデザインし た。形や材料からインスピレーションを得て、日本の伝 統的な照明を「光の彫刻」 として現代によみがえらせた。 イサムノグチは、亡くなるまでまでに、約 200 種類もの デザインを生み出し、その製品は、現在でも世界中で親 しまれている。 ▼ Point3 和のデザイン 観賞ワークショップでは、東京国立博物館所蔵の、 きりたけもんきょう てん か いち 「桐竹文鏡」を観賞。安土桃山時代に鏡師だった天下一 あおいえつぐ 青家次によって作られた鏡だ。古代から江戸時代まで、 日本で鏡といえば金属製だった。鏡面を磨いて像を映 し、背面にはさまざまな文様が装飾されている。高い技 術による文様などが施され、装飾豊かで優れたデザイン は、時代を超えて残されている。 まとめ ワークショップの課題は、椅子に合わせた空間のデザイン。素材はトレーシングペー パー。紙の特性を生かした空間作りがポイント。 日系アメリカ人アーティスト、イサム・ノグチは、日本の伝統的な提灯を新たなデザ インで照明器具としてよみがえらせた。 古代から江戸時代まで、一般に使われていたのは金属製の鏡だった。豊かな装飾が施 された優れたデザインの鏡は、時代を超えて現代に伝わっている。 − 25 − 高校講座・学習メモ