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Title 継承語教育文献データベースの構築

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Title 継承語教育文献データベースの構築
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Issue Date
継承語教育文献データベースの構築 : 中間報告
中島, 和子; 田中, 順子; 森下, 淳也
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究. 7 P.1-P.23
2011-03-31
Text Version publisher
URL
http://hdl.handle.net/11094/25043
DOI
Rights
Osaka University
継 承語教育文献 データベースの概 築
一中尼扉鞍告 一'ψ 島 和 子 田φ 順 子 森 ア淳 也
《 招待論文 》
継 承 語 教 育文 献 デ ー タ ベ ー ス の構 築
一中間報告一
中 島 和 子(ト
ロ ン ト大 学 名 誉 教 授 ・桜 美 林 大 学 言 語 教 育 研 究 所 特 任 研 究 員)
nakajima●utoronto.ca
田 中順 子(神
戸 大 学 准 教 授)
[email protected]
森 下 淳 也(神
戸 大 学 教 授)
[email protected]
The
of the
Development
Studies
Kazuko
of Bibliographical
of Heritage
NAKAJIMA,
Language
Junko
Database
Education:
TANAKA,
& Junya
Interim
Report
MORISITA
キ ー ワー ド:継 承 語 、 継 承 語 教 育 、 マ イ ノ リテ ィ 言 語 、 文 献 デ ー タベ ー ス 、
入力 支援 システム
要
旨
グローバル化 に伴 って 国を越 えて移動す る年少 者や 異言語 環境 で学齢 期 を過 ごす2世
児、3世 児 が増 え る一方 で ある。 このよ うな年少 者 の言 語形 成 、人 問形成 に とって現地
語 の教 育 と同時 に、親 の母語 ・母 文化 継 承(つ ま り子 どもに とって の継 承 語 ・継 承文
化)は 教 育上 重 要 な意 味 を持つ。 国 内の言 語 的、 文化 的 に多様 な背 景 を持つ外 国人児
童生 徒 に も継 承 語 教 育 は必 要不 可欠 で あ り、長 い歴 史 を持つ継 承 日本語 教 育 の知 見 が
今 やいか され るべ き時が来 ている。 本研 究 は、未整 理 のまま放 置 されて きた継 承語教 育
の文献 を収集 、整 理 、統括 した もの をデー タベース化 して母 語 ・継 承 語 ・バ イ リンガル
教育研 究会(MHB)会
員 にMHBホ
ー ムペ ージ上で公 開す ることを 目的 とす る。 この
ために、世界 各地 に在 住す る母語 ・継 承語 ・バイ リンガル教 育研 究会(MHB)会
員の
中か ら文 献調 査協 力者 を募 り、現在2,135点 の継承 語文 献が集 まった ところである。 本
稿 は、デー タ収集 ・書 誌情 報入力 をす る とい う取 り組み と、継 承語 文献デ ータベー スを
構 築 してサーバー に搭 載す る とい う取 り組 み の両 面か ら見 たプ ロジ ェク トの初 めの2年
間の報告 であ る。
一1一
母 語1・継 承謬 ・バ イ グンカシ〃教 育64〃 切 研 究Volume7MARCH20ア
1.背
ア
景 と 目的
海 外 に移 住 した 日本 人 が 、 自分た ちの母 語 ・母 文化 であ る 日本 語や 日本 文 化 を次 世
代 に継 承す る 「
継 承語 と しての 日本 語教 育 」は100年 以 上 の長い歴 史 を持 つ。 しか し、
日本 語 を教 える教育 機 関が 教 育者 不在 の零 細 な営み であ るこ とが多 く、世 界 各地 に散
在す る文 献や 隋報が入 手 しに くいこ と、またその よ うな教 育 的営み を研 究 の対象 とす る
専 門家 がい なかった ことな どの理 由に よって 、 「
継承 語 と して の 日本語 教 育」 は 日本 語
教 育 の 中で もっ とも未 整 理 な領 域 の1つ と言 われ る(佐 々木,2003;中
島,2003)。 昨
近 、 日本 国 内に在 住す るブラジル 系 、中 国系、ベ トナ ム系、 フ ィ リピノ系その他 のマイ
ノ リテ ィ言 語児 童 生徒 に対 して も、母語 ・継承 語 ・継 承 文化 教 育の重 要 陛が認識 され
つつ あ り、 これまで海外 で蓄積 されて きた継 承 日本語 教育 の軌跡 とその知見 が国 内でい
か され るぺ き時が来 ている。
高齢 化 ・少子 化 のため労働 人 口減少 には どめのかか らな くなってい る 日本 に とって、
外 国人 の受 け入れ に対す るニーズは増 える一 方で あ り、それ に伴 って外 国人 年少者 の言
語 と文 化 の継承 問題 が 浮上 してい る。 海外 の 日本 人児 童 生徒 が経 験 して きた よ うに、
日本 の公立 小 中学校 で 日本 語 を学習言 語 として学ぶ 外 国人児 童 生徒 は、社 会 的 に圧 倒
的に優 勢 な 日本 語 のプ レッシ ャーの もと、 家庭 で親 が使 用す る母語(子 どもに とっては
継承 語)が 伸 び 悩み 、親 が母 語 で話 しか けて も子 どもは 日本語 で応答す る とい う状況 に
陥 りが ちである。 この よ うな2言 語 使用 は親 子 の コ ミュニケー シ ョンに支障 を来 たす ば
か りでな く、2つ の文化 にまたが る健 全 なアイデ ンテ ィテ ィを育て る上 で も、 また年 齢
相応 の学力 を獲 得す る上 で も大 きな支 障 とな るものである(湯 川,2006;中
島,2007)。
しか しなが ら、国 内 の現 状 は、継 承 語の保 持 ・伸 長 の必 要性 に関す る認 識 が深 ま り
つつ あ る とは言 え、継 承 語 の制 度 上 の位 置 づ けもまた実 践 的 な取 り組 み も地方 自治 体
やNPO任
せ とい う状況 にあ る。 もっ とも憂 慮すべ き ことは、継承 語 、継承 語教 育 を専
門領 域 とす る大 学教 育機 関 も学 会 もな く、 そのために専 門家が極 めて育 ちに くい状 況 に
ある こ とで ある。 この よ うな空 白をわず かな りとも埋 め る役 割 を担 ってきた のが、 「
母
語 ・継 承語 ・バ イ リンガル 教 育(MHB)研
究会 」 であ る。MHB研
究 会 は2003年 に
発 足 して以 来 、年 次大 会 、 研 究集 会 、教 師研 修 ワー クシ ョップ、 紀要 の発 刊 な どの諸
活 動 を通 して、母 語 、母文 化 継承 の問題 と取 り組 んできてい る。現 在 、 国内 をは じめ、
世 界 各 地 に500名 強 の会員 を擁 す る研 究会 で、 その対 象領 域 も幅 が広 く、海 外 の 日系
人 児 童 生徒 、補 習 授 業校 児 童 生徒 をは じめ、 国内 のオール ドカマー の民族 語 ・民族 文
化 教 育 、ニ ューカマー の母語 ・継承 語 教育 、 ろ う児 の母 語(手 話)教 育 と多 岐にわた
一2一
纈 語教 育蒲 データベースの轢
一中甥鞍 告一'φ 島 初 子 房 中贋 テ:森 ア淳 也
る。
本 プ ロジェク トは、科 学研 究費 補助金 の支援 を受 けて2009年 度 か ら2011年 度 までの
3年 計 画 で始 まった ものであ る。 研 究課題 は、 「
継 承 目本 語教 育 に関す る文 献のデー タ
ベ ー ス化 と専 門家 の養 成 」(研 究 代表 者 中島和子 ,研 究 分担 者佐 々木 倫子,略 して以
下継 承 語科研 と呼ぶ)で 、その名 称 が示す よ うに、2つ の 目的 を持 ったものである。第1
は、 前 述 した よ うに継 承語 、継 承 語教 育 関係 の主要 文 献 を収集 、整理 、統括 してデー
タベ ー ス化 してMHB研
究会 のホームペー ジ上 で公 開す る こと、 第2は デー タベー ス作
成 の 作 業 を通 して継 承 語教 育 の専 門家 の養 成 、 質 の高い継 承語 教 師の 育成 に寄 与す る
ことで ある。 第1の 目的を達成 す るた めには、デー タベー ス構 築 に関す る専 門的知識 と
継 承 語 教育 に関す る知 識 と関心の ある数 多 くの人材 を必 要 とす る。 そ こで、 目的1の 作
業 に な るべ く多 くのMHB会
員 を巻 き込む こ とに よって、 目的2の 継承 語教 育 の専 門家
の養 成 につなげ る とい うこ とを考 えた のであ る。 プ ロジェク トは、 図1の よ うな構想 の
も とに進 めるこ とに した。 まず文 献 収集 と書 誌 情報 の入 力 に は、世 界 各地 に在 住す る
MHB会
員 に広 く呼 びか けて(B)の 文 献 調査 協 力者 を募 集 して協 力 を仰 ぐこ と、(A)
地 域 あ るいは領 域 に分 けて、文献 の収集や 入力 に 関す る整 理や統 括 をMHB研
究会 理事
にお願 いす るこ と、(D)専 門家チームが人 文科 学系デ ータベー ス を構築 して稼働 させ る
こ と、 そ して(C)は 、(A)(B)と(D)を
つな ぐこ と、つ ま り、入 力 書誌 情 報 をデー タ
ベー ス本 体の構 築 との 関係 で整 備、修 正 して一 括 して(D)に 文 献 を提 哄す るこ とであ
る。
(A)MHB理
事
葺
(B)地 域 別 調 査 協 力 者 ・領 域 別 調 査 協 力 者
璽
(C)入 力 作 業 統 括 チ ー ム
理
(D)デ ー タベ ー ス 専 門 家 チ ー ム
図1継
承語文献データベース構築の構図
以上 の よ うな構 想 の も と、(A)に は11名 の理事 、(B)に は延 べ70名 近 くの会 員 が参
加 、(C)は 、継 承語 科 研 代 表者 で ある中 島 と トロン ト在 住 の調査 協 力者 で ある福 川美
沙 さん、そ して(D)に
は、神 戸大 学大 学 院国 際文化 学研 究 科の森 下淳也 教 授、 同 じく
一3一
母 語 ・継 承 語 ・ノ1イ{ノ
ン カヲ〃教 育 ひ4月砂 研 究Volume7MARCH2011
同研 究科 准教 授 でMHB会
員 で もある田 中順 子 准教 授に連 携研 究者 となって本研 究 に
加 わっていただき、継 承語 データベースの構築 をお願い した1)。
現在 本研 究 は2年 目の終わ りを迎 えて、や っ と道 半 ばに達 したかの感 がある。 ここで
これ まで の経緯 を しっか り振 り返 り、完成 に向けての今 後 の指針 としたい。 以 下 、本 中
間報告 は7節 か らな り、1節 一3節 は 中島が執筆 、4節 一7節 はデー タベー ス構 築 の立 場
か ら田中が森 下 との協 力 の もとに執筆 したものであ る。
2.デ ー タベ ー ス の作 成手 順 と現 在 に至 る まで の経 緯
2.1.文
献収 集 開始 期
ERICやGoogleScholarやNACSISWebcatの
ユ ー ザー で あ っ て も、 そ の 裏 の 構
造 や 成 り立 ち につ いて 考 え る人 は そ ん な に 多 く ない で あ ろ う。(C)担
当 の 中 島 に とっ て
も、 デ ー タベ ー ス 構 築 の プ ロ ジ ェ ク トは 、 そ の 必 要 性 は 分 か っ て も、 そ の構 築 とな る と
全 くの 門 外 漢 で あ り、 まず(D)で
あ る神 戸 大 学 の 人 文 科 学 デー タベ ー ス の 専 門 家 にデ ー
タベ ー ス とは 何 か とい う話 を 聞 く とこ ろ か ら始 め ざ る を 得 な か った 。(D)と
は、 初 年 度 の2009年5A19日
の 話 し合 い
を 皮 切 りに頻 繁 に行 われ 、 神 戸 大 学 訪 問 回 数 は2年 間 で
計8回 に 及 ぶ 。
つ ぎ に 取 りかか った の が 、(A)のMHB理
力 者 募 集 で あ る(2009年5月30日)。
事 へ の 協 力 の お願 い と、(B)の
文 献調 査協
継 承 語 教 育 と一 口に 言 って もマ イ ノ リテ ィ言 語 の
教 育 で あ るた め 、 それ ぞ れ の 国 の 言 語 政 策 の影 響 を も ろに 受 け る。 そ の た め 、 海 外 在 住
のMHB会
員 に それ ぞれ の 国 の 事 晴 を踏 ま えて 継 承 語 文 献 を集 めて も ら うとい うこ とは、
本 プ ロ ジ ェ ク トの も っ と も強 い 点 で あ る 。 こ の 特 徴 を フル に い か す べ く、 世 界 を6つ の
地 域 に分 け 、 国 内 は4っ の 領 域 に分 け て 協 力 者 を募 集 す る こ とに した。 そ の 結 果65名 の
会 員 の 協 力 が 得 られ た。
そ こで調 査 協 力 者 間 の 相 互 意 思 疎 通 の た め に 、 ヤ フー の メー リング リス トを 立 ち上 げ、
初 年 度10月1日
か らエ クセ ル 版 仮 テ ンプ レー ト 「
継 承 語DBVersion1」
献 入力 が 始 ま っ た 。Version1は
、 書 誌 情 報 が28∼48項
を使 った文
目あ り、 そ の 後 改 訂 を加 え て
初 年 度 の 終 わ りにそ の 改 訂 版 で あ る 作 業 用 テ ン プ レー ト 「継 承 語DBVersion2」
を
配 付 した 。 この 間 、 顔 の 見 え ない 相 手 を な るべ く見 え る 関 係 にす るべ く、 調 査 協 力 者 相
談 会 を4回 開 催 して い る。 初 年 度 は 第1回(2009年6月)、
(2010年3月)、
次 年 度 は4回(2010年8月)で
第2回(同
あ る。 第3回
第3回
目の 折 に は 、 全 体 会 と分
化 会 を 開 き 、 地 域 別 ・領 域 別 調 査 協 力 者 の顔 合 わ せ を行 った 。
一4一
年8月)、
一y"/BOO一
顰鷂 懿
離
蒙 招難
文 献 収 集 が軌 道 に 乗 るに した が っ て文 献 デ ー タ を一 時 保 存 す る格 納 庫 が 必 要 とな り、
ク ラ ウ ド型 の オ ン ラ イ ン ス トレー ジ を使 っ た 無 料 文 書 ホ ス テ ィ ン グサ ー ビス の1つ で あ
るマ イ ク ロ ソ フ トのWindowsLiveSkyDriveを
使 っ て 、 地 域 別 ・領 域 別 に 文 献 を保
存 す る こ とに した 。
2.2.文
献 収 集 の基 本 方 針
プ ロジェク トがまず 直面 したのは、継承 語 、継承 語教 育 に関す る文 献 とは何 か とい う
問題 であ る。 そ こでつ ぎの1∼Vの5点
に焦点 を 当てて文献 収集 を行 うことに した。 前
述 した よ うに、継 承 語教 育 がマイ ノ リテ ィ言語 の教育 で あるがた めにホス ト国の言語 政
策や 施 策 の影 響 をもろに受 けるこ と、歴 史 的 にさま ざま な経緯 を経 て現在 に至 ってい る
とい う視 点 、ま た英 語 教 育や 国語 教 育 と比べて言 語 や言語 能 力 に焦点 を合 わせ た専 門
的な調 査研 究 が極 端 に少 ないこ と、 とい うよ うな事 晴を踏 ま えて考 えた基本方 針で ある。
1継 承語 全般 に対 して ホス ト国が どの よ うな言語 政策 を持 ってい るか
II継 承 語教 育 は、歴 史 的に どの よ うな経緯 で現在 に至ってい るか
皿 現 時点 での国 ・地域 ・対 象 グノ
レープ の継承 語教 育 は、 どの よ うな状況 にあ るか
IV継 承 語教 育 の成 果 が どの ぐらい上 がってい るか
V継
承 語教 育 の将 来 の課 題は何か
つ ぎに文献 の種 類 であ るが、 最 終的 にはつ ぎの5種 類 のテ ンプ レー トに分 けて入 力 を
す るこ とに した。 しか しなが らデ ータベ ース本体 は1つ で あるため、5種 に分かれて はい
るものの 、文献 隋報 の入力 方法 にゆれのない よ うに、統 一 が とれ た形 で入力 作業 を進 め
る必 要が あった。 この点 に関 しては本稿5節 に詳 しい説 明が ある。
1.著
書 ・章 ・論 文 ・報 告 書
2.口
頭 発 表 ・ポ ス ター セ ッシ ョン
3.教
科 書 ・教 材 ・ソ フ ト ・作 品 等
4.雑
誌 ・新 聞 記 事
5.政
府 刊 行 物 ・法 律 ・条 例 ・(公 的)ガ イ ドライ ン ・ス タ ン ダ ー ド ・学 習 指 導 要 綱
等
これ らの うち、 「
継 承 語DBVersion1」(2009)は
一5一
上 記 の1.か
ら3.の
み 、 「
継 承 語
母 語 ・,継承謬 ・ノrイグンカシ〃教 育 ひ4〃.,究Volume7MAR(}120〃
DBVersion2」(2010)に
な って は じめて1.か ら5.の 全 体 を含 む もの とな った 。 どの 文
献 もつ ぎ に リス トした よ うな さま ざま な書 誌 情 報 をエ クセ ル 上 の入 力 欄 に タイ プ す る と
い う形 に な って い る。 ま た 各 欄 に は 、 入 力 す る 際 の 決 ま りや 注 意 事 項 が 掲 載 され て い る。
い わ ゆ る入 力 マ ニ ュ アル の 簡 易 版 で あ る。
[通 し番 号]
[主 要 文 献 清報](著
者 名 、 編 者 名 、 年 号 、 タ イ トル)
[文 献 晴 報](出
版 地 、 出版 社 、 掲 載 書 、 章 、巻 ・号 、ペ ー ジ数 、 版 回数 、 要 旨 ・
ア ブ ス トラ ク ト、 概 要 、 キー ワー ド、 翻 訳 、 訳 者 名 、 訳 本 ・原 書 名)
「
文 献 関連 隋報 」(著
書 種 別 、 論 文 嬲1」、 大 学 名 、 報 告 書 に 関す る情 報 、 執 筆 形 態 、
使 用 言 語 、ISBN、
[入 力 関連 隋報](対
文 献 入 手 先 、 関 連 学 会)
象 領 域 、対 象 地 域 ・国名 、対 象 言 語 、入 力 日、 入 力 者 名 ・チ ェ ッ
ク者 名)
[備 考(1)(2)]
上 に示 した の はテ ンプ レー ト1の 著 書 ・章 ・論 文 の入 力 項 目で あ る。 実 は 、 テ ン プ レー
トの 種 類 に よ っ て 多 少 情 報 項 目が 異 な る。 例 え ば 、 テ ン プ レー ト2で は セ ッシ ョン ・パ
ネ ル 名 、 開 催 期 間 、 テ ンプ レー ト4で は 、 副 題 、 特 集 名 、 発 刊 日、 連 載 開 始 日、 連 載
終 了 日な どが入 力 欄 が 加 わ って い る。 仮 テ ン プ レー トか ら改 訂 作 業 用 テ ン プ レー トへ と
移 行 す る際 に 、 項 目数 を 少 な く して ス リム化 を ね らった の で あ るが 、 表1に 示 す よ うに
テ ン プ レー トに よっ て は か え って 項 目数 が 増 え た もの も あ る。
表12つ
の テ ンプ レー トの 入 力 項 目数 の 比較
テ ン プ レー
継承語DB
ト
合
著 書 ・論 文
口頭 発 表
ほか
教材 ・
ソ フ トほ か
新
聞
雑誌記事
政府刊行 物
ほか
Version1
48
32
28
29
30
167
Version2
30
34
36
34
32
161
計
前 述 した よ う に、 世 界 各 地 に在 住 す る調 査 対 象 者 を6つ の 地 域 に 分 類 、 国 内 に 関 し
て は4つ の 対 象 グルー プ に 分 類 した 。6つ の 地 域 とは 、 カ ナ ダ 、 米 国 、 オー ス トラ リア 、
南 米(ブ
ラ ジル 、 ボ リ ビア 、 ア ル ゼ ン チ ン)、 ア ジ ア(台
湾 、 韓 国 、 タ イ 、 中 国)、EU
(イ ギ リス 、 フ ラ ン ス 、 ドイ ツ 、 オ ラ ンダ)で あ る。 実 は 当初24力 国 もの 参 加 が あ っ たが 、
一6一
継 承 語 教育 文謝 デ ータ ベース の髏
一ψ 燭 鞍 告 一,・ °r子
毋 中 順 テ:森 τ 淳 也
参加 を希 望 した もの の諸 事 盾の た め機 能 しなか った 地 域が あ り(例 えば 、スイ ス 、 ス ウェー
デ ン 、 イ タ リア 、 メ キ シ コ、 ペ ル ー な ど)、2年 目を 迎 え る ころ に は 、12力 国 とな っ て 現
在 に い た って い る。 一 方 、 国 内 の 方 は大 ざっ ぱ に っ ぎ の 対 象 グノレープ別 に 分 類 す る こ と
に した 。
オ ール ドカ マ ー(在
日朝 鮮 人 ・韓 国 人 、 中 国 人)、 ニ ュー カ マ ー(就
的 で 来 日 した 労 働 者 の 子 ど もた ちや 中 国 帰 国3世
も な ど)、 イ ン タ ー ナ シ ョナ ル ス ク ール(国
労を目
・4世 や 過 疎 地 の 呼 び 寄 せ 花 嫁 の 子 ど
内 、 国 外 を 含 む)、 海 外 ・帰 国 児 童 生 徒 、
な どで あ る。 各 地 域 お よ び対 象 グル ープ の 担 当理 事 と して 統 括 の 労 を取 っ て くだ さっ た
のは 、 カル ダー淑 子 、 ダ グ ラス 昌子(米
木 倫 子(南
国)、 中島 和 子(カ ナ ダ とオ ース トラ リア)、 佐 々
米 とア ジ ア)、 真 嶋 潤 子(EU)、
清 田淳 子(ニ
湯 川 笑 子(オ
ュー カ マ ー)、 小 澤 伊 久 美(帰
ー ル ドカ マ ー)、 友 沢 昭 江 、
国児 童 生 徒)、 櫻 井 千 穂(ニ
ペ イ ン 語 系) 、 津 田 和 男 の 代 理 と して の 大 山全 代(イ
ン タ ーナ シ ョナ ル)の
ューカマー ス
諸 氏で ある
(敬称 略)。
プ ロジ ェ ク ト2年 目に な っ て 、 継 承 語 の 言 語 能 力 に 関 す る実 証 的 研 究 に 関 す る文 献 が
非 常 に少 ない こ とに鑑 み 、 目 的2の 専 門 家 養 成 を か ね て 、OBC会
ガル 読 書 力 評 価(B-DRA)に
話 力 評 価 や バ イ リン
関 す る ワー ク シ ョップ の 開催 と同 時 に 、 言 語 能 力 測 定 を
目的 とす る言 語 能 力 調 査 協 力 者 を募 集 した 。 この た め約 半 数 が 「
継 承語 文 献調 査」 か
ら 「
継 承 語 言 語 能 力 調 査 」 に 移 行 す る 結 果 に な った 。 言 語 能 力 調 査 協 力 者 は 、 希 望 す
る言 語 能 力 の 領 域 に 関す る企 画 書 を提 出 し、 そ の結 果 言 語 能 力 調 査 協 力 者 と認 定 され
た50名 のMHB会
員 で あ る。 そ の領 域 は 、 バ イ リンガ ル 作 文 調 査 、OBC会
話 力調 査 、
実 態 調 査 、 意 識 調 査 と多 岐 に わ た っ て い る。 文 献 調 査 協 力 者 の 数 は減 少 した が 、 将 来
継 承 語 に 関 す る よ り質 の高 い調 査 研 究 が そ の 代 価 とな っ て返 っ て くる 可能 性 を信 じたい 。
2.3.収
集 文 献 の 修 正 ・整 理 ・統 括
エ クセ ル を使 う人 は 多 い だ ろ うが 、50項
目近 く もあ る横 長 の テ ン プ レー トと格 闘す る
の は決 して 楽 で はな い。 しか も慣 れ な い入 力 規 定 にそ って 、 名 字 と氏 名 の 問 に全 角 スペ ー
ス を入 れ る、 キー ワー ドは 必 ず 半 角 コン マ で つ な ぐ、 日付 を一 定 の書 き方 で 埋 め るな ど、
さま ざま な 些 細 な こ とに 留 意 して の入 力 で あ る。 項 目 を設 定 す る側 も、 人 知 を尽 く して
万 全 を期 した つ も りで も、 実 際 に使 っ てみ る とい ろ い ろな 不 具 合 が 生 じるの で あ る。 例
え ば 、 著 者 は あっ て も編 集 者 、 訳 者 を 書 き込 む 項 目が な か っ た とか 、 執 筆 した もの が 書
物 の 一 部(つ
ま り章)の
場 合 に ど う入 力 す るか 、 とか い う問 題 がつ ぎつ ぎ に 出 て く る の
で あ る。
この よ うな試 行 錯 誤 の 状 況 の 中 で 、 第 一 回 の サー バ ー へ の移 行 が始 ま り、 参 照 デ ー タ
一7一
母 語 ・,纈
語1・バ イ{ノンカ ワレ教 育 砌 θ砂 研 究Volume7MARCH20ア
ア
533本 を も とに 「
継 承 語 文 献 デ ー タベ ー ス検 索 結 果 お 試 し版 」が 完 成 した 。 この サ ー バ ー
へ の 移 行 作 業 の 過 程 で 、 さ らに さま ざま な デ ー タ入 力 に 関す る 問題 点 が 浮 上 した 。 結 果
と して 、 項 目数 を減 ら した 作 業 用
「
継 承 語DBVersion2」
とい う形 に な り、修 正 ・加
筆 の 必 要 な デ ー タ とそ うで な い 優 良 デ ー タ に 分 け 、 優 良 デ ー タ のみ を対 象 に サ ーバ ー 移
行 の 試 み を 重 ね る こ とに な っ た。 しか し、 優 良 デ ー タ と分 類 され た デ ー タ に も、 か な り
修 正 が 必 要 な 点 が 明 らか に な り、 そ の 結 果 多 くの 協 力 者 に 入 力 デ ー タ の 修 正 ・加 筆 の
労 とっ て い た だ く こ とに な っ た。 こ のVersion1か
らVersion2へ
の 段 階 で 浮 上 した
問 題 点 につ い て は 、 本 稿4節 か ら6節 にデ ー タベ ー ス構 築 の 立 場 、 つ ま り図1の(D)の
立 場)か
ら詳 しい 説 明 が あ る。 今 後 、 引 き 続 き 入 力 文 献 数 を増 や して い く上 で 、 情 報
の 表 記 の ゆ れ の矯 正 が ど う して も 必 要 で あ る こ と、 そ れ が デ ー タベ ー ス 構 築 上 ど うし て
重 要 か 、 そ の意 義 につ い て詳 し く述 べ た も の で あ る。
2.4.「 継 承語 文 献 デ ー タ ベ ー ス編 集 管 理 シ ス テ ム」
2年 目の終 わ りに、つ いに これ までの収集 文 献 へのア クセス が ウェブ上 で可 能に なっ
た。 「
継 承語 文献 デー タベ ース編集 管理 システ ム」 が完成 したのである(2011年3月)。
パ スワー ドを入 れ て編集 管 理 システ ムを開 き、 「も う横 に長 いエ クセル を見 ないで いい
んで すね!」 と感 激 の声 を発 したのは 目夜エ クセル 上の修 正 に悩ま されて来た本プ ロジェ
ク ト助 手 の福 川 さんで ある。 本稿4節 の図4∼ 図9が その システ ムの表 示画 面 の例 であ
るが 、確 か に色合 い も優 しくデザ イ ンもす っき りしてい る。 そ してまた実 に使 い勝 手 が
いい。 表示 、修 正 、 削 除がすいすいで ある。 つぎつ ぎに出て くる文献 を眺 めているだ け
でも大い に勉 強 にな る。 こんな国 に こんな文 献が あったのか と謙 虚 な気持 ちになる と同
時に、 これ もあれ も読 んでみたい とい う学 習意欲 を駆 り立 て られ る。継 承語 の世界 はま
さに1っ とい う感 を強 くす るのである。
今後 は この編 集 管理 システ ムを使 用 して必要 な修 正 を行 い、 重複 デー タの 削除 その
他 を徹 底 的 に行 う。 そ してそ の作 業 が終 わ った ところで、MHB理
事 と文 献調 査 協 力
者 にパ ス ワー ドつ きで公 開す る予 定 であ る。 文 献 調査 協 力者 には 、未 記入 の入 力 項 目
(例えば、 キー ワー ドや入 手 先 の情報 な ど)を ウェブ上で加 え、それぞれ の文献 の書 誌
情報 の入 力 を完成 させ ていただきたい。
2.5.「500字
概 要 」 の 執 筆 と 「全 文 テ キ ス ト」の 収 集
学 術 論 文 に は著 者 執 筆 の ア ブ ス トラク トあ るい は 要 約 が 掲 載 され て い る こ とが 多 い が 、
これ と は別 に調 査 協 力 者 が 文 献 を読 ん で ま とめた
一8一
「500字 概 要 」、 「1000字 概 要 」、 そ し
懇 承語教育嫐
データベースの轢
一中局鞍 告 一!中
島 初 子 圧ヲ
ψ贋子 森τ淳也
て執筆 者 に提 供 をお願 いす る 「
全 文テ キス ト」(著者 最終原 稿)の3本
立てでプ ロジェ ク
トを進 めて きた。 しか し、初年 度 の終 わ りに集 まった 「500字概要 」 に 目を通 した とこ
ろ、500字 とい う制 限 にあま り意 味がない こ と、文 献の 内容 に よって は500字 以 上 の概
要が適 当であ ることな どの理 由で、500字 か ら1000字 ぐらい と余裕 を持 たせ ることに し
た。 「
全 文 テキス ト」は論 文 をそのまま掲 載す るこ とで ある。 すで に ウェブ上 に掲載 さ
れ てい る ものであれ ば、 リンク先 の提 供をお願 い し、まだ紙 媒体 の もので あれ ば、著者
に論 文 の提 洪をお願 い したい と思 っている。 この場 合著作権 の問題 を避 けるために、 出
版 社 の修 正が入 る前 の 「
著者 最 終原 稿 」 を提供 してい ただ くべ く、依 頼 状 を用 意 して
いる ところで ある。 継 承語 、継承 語 教 育 に関す る主 要文 献 は、MHB会
員 が書 いた も
のが多い こ とか ら、会員 同士の情報 交換 のためにも会員 の協 力 を仰 ぎたい と思っている。
3.文 献 収 集 に関 す る プ ロ ジェ ク トの 現 状
3.1.文
献 総 数 とそ の 内訳
まず これま でに どの ぐ らい文 献 が収集 で きたか とい うことで あるが、過 去2年 間の節
目節 目に入力 できた文 献数 は表2に 示 した 通 りで ある。 図2に 入力 済み文 献数 の推移 を
グラフ化 した。
表2入
力文献の累積 数
年月
入力文献数
概要 数
テ キ ス ト数
2010.2
1,205
0
0
2010.7
1,402
56
0
2011.2
1,769
91
0
2011.3
2,135
121
0
2500
2000
1500
1000
鑞 入力文献数
500
0
2010.2
2010.7
図2入
2011.2
力済 み文献 数の推移
一9一
2011.3
母 語 ・継 承謬 ・ノfイJンカワ〃教 育 ひ4〃砂 研 究1/olume7MARCH2011
3.2.収
集 地 域 と対 象 領 域 グ ル ー プ
つ ぎ に2011年2月
に 入 力 され た 文 献 を使 用 して 文 献 数 と 「
概 要 」 数 を 対 象 グル ー プ
別 に 文 献 数 の 多 い 順 番 に並 べ る と表3の よ うに な り、 国 別 に 同 じ く文 献 数 の 多 い順 番 に
並 べ る と表4の よ うな 結 果 にな る。 表4で み る と、 文 献 数 の 上 位1位
と2位 と3位 は ブ ラ
ジル ・米 国 ・カナ ダ で あ る。 そ れ に 続 くの が フ ラ ン ス 、 台 湾 で あ る。
表3対
象グループ別入力文献数 と 「
概要 」数
テ ン プ レー ト
対 象 グル ー プ別
著書 ・
論文
口頭
発表
教材 ・
ソフ ト
新聞雑
誌記事
政府
刊行物
合計
概要
ニ ュー カマ ー
173
0
0
0
0
173
22
海 外 ・帰 国 児 童 生 徒
112
32
0
2
0
156
20
インターナシ ョナルスクール
71
62
9
0
0
142
0
オ ー ル ドカ マ ー
62
2
51
1
0
116
10
表4国
別 入 力文 献 数 と 「
概要」 数
テ ン プ レー ト
国
名
著書 ・
論文
口頭
発表
教材 ・
ソフ ト
新聞雑
誌記事
政府
刊行物
合計
概要
ブ ラ ジル
211
1
46
1
0
259
2
米国
225
2
1
1
0
229
24
カナ ダ
131
20
21
34
18
224
1
フ ラ ンス
33
12
0
0
86
134
0
台湾
87
16
0
0
0
103
0
イ ギ リス
56
13
25
2
0
96
0
ドイ ツ
50
0
0
0
0
50
10
タイ
20
1
0
3
0
24
0
オ ー ス トラ リ ア
20
2
0
0
1
23
0
ボ1丿 ビ ア
0
0
22
0
0
22
0
ア ル ゼ ンチ ン
0
0
19
0
0
19
0
10
2
0
0
0
12
0
韓国
3.3.文 献 の 種 別
つ ぎ に収 集 され た 文 献 の 種 類 をテ ン プ レー ト別 に 見 て み る と、 表5に 示 した よ うに な
る。 著 書 ・論 文 ・章 の 数 が 全 体 の74%と
圧 倒 的 に 多 く、 そ の 他 の 口頭 発 表 、 教 材 ・ソ
一10一
纈 島
語教育文献
一φ駕鞍 告一!中
初 子 毋データベースの髏
≠7贋テ:森 τ淳 也
表5入
力 文献 の種 別
著 書 ・論 文
口頭 発 表
教 材 ・ソ フ ト
新聞雑誌記事
政府刊行 物
合計
1,587
167
194
57
130
2,135
新聞雑誌記事
政府刊行物6%
教 材 ・ソ フ ト
口頭発表
74%
図3入
力済み文献の文献種別による分類
フ ト、 新 聞 雑 誌 記 事 、 政 府 刊 行 物 ほ か の テ ン プ レー トは 、 ほ ぼ 同程 度6%∼9%の
入力
数 で あ る。 これ ら を グ ラ フ化 した もの を 図3と して提 示 す る。
以 上 が 数 量 的 に見 た デ ー タベ ー ス の 状 況 で あ る。 今 後
集 管 理 シ ステ ム 」 上 で2,135点
「
継 承 語 文 献 デ ー タベ ー ス 編
の 文 献 が 見 られ る よ うに な っ た 段 階 で 、 文 献 の種 別 、 使
用 言 語 別 、 対 象 領 域 別 、 対 象 言 語 別 、 年 代 別 、 キー ワー ド別 そ の 他 、 さま ざ ま な 角 度
か らの 分 析 を試 み る予 定 で あ る。
4.デ
ー タ ベー ス構 築 上 の 問題
2.3.(収 集 文 献 の修 正 ・整 理 ・統 括)で
は 、デ ー タ を作 成 す る側 か らの 困難 点 につ い
て述 べ た 。 本 項 で はデ ー タベ ー ス を構 築 す る側 か ら見 たデ ー タベ ー ス の 作 成 プ ロセ ス と
そ の 困難 点 に つ い て 記 述 す る。
通 常 の デ ー タベ ー ス 作 成 で は 、 デ ー タベ ー ス に格 納 す るデ ー タ の性 質 が わ か って お り、
デ ー タ に 付 与 す るIDの
テ ー ブ ル や 各 項 目の 定 義 域 が 用 意 され て お り、 分 類 方 法 につ い
て も既 知 で あ る の が 通 常 で あ る(田
中 ・森 下 ・中 島,2009,p.4)。
しか し、 この 継 承
語 文 献 デー タベ ー ス につ い て は 、 当初 目的 とす る分 析 項 目が 固 ま っ て い なか った た めに 、
項 目の定 義 につ い て も不 定 で 流 動 的 で あ った 。 この た め、 デ ー タ を集 め な が ら、 デ ー タ
ベ ー ス を 作 りな が ら、 定 義 域 を調 整 す る とい う状 況 に な っ た 。 神 戸 大 学 側(図1のD)
と トロ ン ト側(図1のC)で
何 度 もや りと りを 重 ね て 、 トロ ン ト側 がデ ー タベ ー ス に持 っ
一II一
母語 ・継 承 謬 ・ノfイグンカフ〃教 育OW〃.,レolume7MARCHZO11
て い るイ メ ー ジ を あぶ り出 し、 どの よ うな もの した い の か を探 り、 デ ー タの 広 が りや 定
義 域 を 設 定 して 行 った 。
この 過 程 にお い て 定 義 域 が 変 化 す る こ とで 、 結 果 的 にエ ク セル の 入 力 項 目数 や 項 目の
属 性 が 変 移 して い く こ とに な っ た。 そ の 結 果 、 デ ー タ 収 集 を行 って い る最 前 線 の 情 報 提
供 者 は 、 提 供 され るエ クセ ル フ ァイ ル 上 に 、 項 目の増 減 や 、 項 目名 や そ の属 性 に 以 前 と
比 べ て 変 更 が 行 わ れ て い る こ と を 目にす る こ とに な っ た 。 そ の 背 後 に あ る ラ シ ョナ ー ル
(根本 的 理 由)が 不 明 の ま ま 、 対 応 をす る よ う求 め られ たデ ー タ 作 成 者 に とっ て は、 不
合 理 に思 え る作 業 だ っ た で あ ろ う。
項 目の 見 直 し と忍 耐 力 の い るエ クセ ル フ ァイ ル へ のデ ー タ 入 力 を 行 っ た結 果 、 現 在 の
2,000例 以 上 の テし タが 集 ま り、 そ れ ら2,000余 の デ ー タが 仮 デ ー タベ ー ス に 格 納 され た
状 態 で あ る。 現 状 で は 、既 存 のデ ー タ を整 理 す る た め の 「
編 集 管 理 シス テ ム」 を稼 働 さ
せ 、 入 力 済 み デ ー タ を 自分 た ち で 作 っ た 定 義 に 照 ら し合 わせ て 適 合 して い るか ど うか を
チ ェ ッ ク して い る。 こ の チ ェ ック の過 程 で 、 デ ー タが ク リー ン に な る と とも に 、 次 の 毀
階 で あ る 「入 力 支 援 機 能 を備 え た デ ー タ 管 理 シ ス テ ム 」 作 成 に 向 け て 、 項 目 自 体 や 定
義 の 妥 当 性 を 検 討 中 で あ る 。 以 下 で は 、 現 在 ま で の 過 程 に つ い て 、 当 初 予 定 して い た
プ ロセ ス と対 応 させ な が ら説 明 を 行 う。
当初 、 「継 承 語 教 育 文 献 デー タベ ー ス の構 築 」(田 中他2009)に
お い て 、デ ー タベ ー
ス 作 成 手 順 と して 次 の よ うな11の プ ロセ ス を 予 定 して い た 。 当 初 の(8)か
段 階 の プ ロセ ス が新 た に(8')(9')(11')の3段
イ ム(')を
階 に変 更 され 、(12)が
ら(11)の4
追 加 され た 。 プ ラ
つ け た 毀 階 は編 集 シ ス テ ム完 成 に 関 わ る 段 階 で あ り、 田 中他(2009)で
示
した プ ラ イ ム が っ い て い な い 段 階 と ほぼ 同 じ作 業 を行 うが 、 目的 が異 な る もの で あ る。
(1)仮 テ ン プ レー トの 作 成
(2)仮 テ ン プ レー トへ の 入 力
(3)仮 テ ン プ レー トの 入 力 項 目の チ ェ ック
(4)仮 デ ー タベ ー ス の稼 働
(5)作
業 用 テ ンプ レー トの 完 成
(6)入 力 マ ニ ュア ル の作 成
(7)一 部 入 力 済 み の テ ン プ レー トをSkyDriveに
(8')MHB作
収納
業 部 会 員 に よ るデ ー タ入 力
(9')神 戸 大 学 継 承 語 デ ー タベ ー ス に 流 し込 む
(10)削
除
一12一
継 承語 教 育 文 翫 デ ー タベ ース の 櫻
一ψ闘 報 告 一',.°
・i子::・-r-一子 森 下 淳 也
現 時 点(11')ウ
(12)入
ェブ イ ンター フ ェ ー ス に よる 編 集 管 理 シ ステ ム の 作 成
力 支 援 シス テ ム機 能 を もつ編 集 管 理 シ ステ ムへ の 直 接 入 力 と編 集 作 業
現 在 は 、 上 記 の(11')に
掲 げ て あ る よ うに ウェ ブ イ ン タ ー フ ェー ス を採 用 して 「編
集 管 理 シ ス テ ム 」 を作 成 す る と ころ ま で 到 達 した2)。
デ ー タ を受 け入 れ る入 り 口が ウェ
ブ 上 に 出 来 た ので あ る。 使 用 す るた めに は 、デ ー タ入 力/編
タ と して 扱 う項 目を選 ぶ(図4)。
集 の トップ ペ ー ジ 上 で 、デ ー
例 と して 、 「著 書 ・章 ・論 文 文 献 シ ス テ ム」 を選 ん
で み よ う。
継 承語 デ ー タベース プ ロジ ェク ト{エクセ ル版1編 集 管理 シス テム
(2011/02)
鬩 窕するmを
ク リックして くだ さい。
一.一
靉 飜 雛騾
..…
驪鬮
'驪
躍コ1飆鯲' 覯 嬲 鑼 麟
一 一 一・ 一一一一 一一
著 書 ・章 ・論 文 文 獄 シス テ ム
著 書 ・章 ・論 文 の 文 献 シ ス テム で す。
口頭 ・ポ ス タ ー 発 表 文 献 シス テ ム
m・
教 秘 書 ・教 祕 ・ソ フ ト ・作 品 等 文
教 科 書 ・教 秘 ・ソ フ ト ・作 品 等 の 文 献 シス テ ム で
獻 システム
・
一一
ポスター発表 の文 献システム です。
す。
雑誌 ・新 聞記事 文 献 システム
雑誌 ・新 闘記事の文献 システムで す。
政 府 刊 行 物 ・条 例 ・パ ン フ レ ッ ト
政府刊 行物 ・条例 ・パ ンフ レット等の文献 システム
です。
等 文 献 システム
概要 文献 システム
概要 の文 献システムです。
この シスチム は最斬 のシステムk-°oわせ て作 られていまず。 入力が可能 ならば、多
鬟語の 混姦でき る櫃報 シス テム として、 文 字 コー ドをユ ニコー ドに統一いた しま し
た。
また、使 用する画函の大 きさ として、標準釣 なLO24x768蘯
ますも
図4継
素 の画図を想定 して い
承 語 デー タ ベー ス プ ロ ジ ェク ト(エ ク セ ル 版)編 集 管 理 シ ス テム トッ プペ ー ジ
一13一
母 語9纒
語 ・ノyイ{ノレ カ:ノ〃教 育0㌧ 〃イβ1)..レ'o!ume7ん4AR(:H2011
「
著 書 ・章 ・論 文
文 献 シ ステ ム 」 を 選 ぶ とデ ー タの リス トが 現 れ る(図5)。
この 画
面 で 、新 しく文 献 につ い て の 情 報 を入 力 したい 場 合 は リス トの最 上 部 に あ る 「
新 規作成 」
の ボ タ ン を 選 択 す る。 そ うす る と新 規 作 成 の ウィ ン ドウ(図6)が
現 れ る。 そ れ ぞ れ の
入 力 項 目行 の 右 端 に 、 入 力 方 法 に つ い て の 注 意 事 項 を 添 え た。 これ は 、2.2で 言 及 した
「入 力 す る 際 の 決 ま りや 注 意 事 項[で]...い わ ゆ る入 力 マ ニ ュ アル の 簡 易 版 」 を編 集 して
移 植 した も の で あ る。 この 入 力 注 意 事 項 を編 集 す る ま で に は 、 実 際 に持 ち 込 ま れ るデ ー
タの 種 類 と、 デー タを入 力 す る人 の 入 力 行 動 を数 多 く観 察 し、 そ れ に応 じてエ クセル シ ー
ト上 の 項 目を 編 集 す る こ とを 通 じて 、 知 識 を得 る こ とが 必 要 で あ った 。
継承議文献データペースDシ
ステム:薔
書 。章 ・諭文
以下の繕果が得 られました,
検粟結票
邑
漣 し番
号
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図6新
規作成の画面の一部
新 規 入 力 で は な く、 既 に 入 力 済 み の デ ー タ の 詳 細 を 表 示 した り、 編 集 した り、 削 除
した い 場 合 は 、 操 作 の列 か ら適 切 な ボ タ ン を 選 択 す る。 デ ー タ の詳 細 表 示 画 面 、 編 集
画 面 、 削 除 画 面 を 、 それ ぞ れ 図7、 図8、 図9で 示 す 。
この 図7で は 、 中 島 和 子 著 の 「
継 承 語 日本 語 学 習 者 の 漢 字 習 得 と国 語 教 科 書 」 につ
い て の詳 細 を表 示 した 場 合 を例 と して 示 して い る 。 こ の画 面 上 の デ ー タ を編 集 した い 場
合 は 、 左 上 の 「リス トに戻 る」 を選 択 して 、 図5の
リス ト表 示 に 戻 り、 右 端 の 「
操 作」
の欄 か ら 「
編 集 」 の ボ タ ン を選 択 す る。 そ うす る と編 集 画 面 が 表 示 され る(図8)。
一15一
図8
母 藷 ・継 承 語 ・バ イ{ノ
ンカル 教 育 ひ4〃B)研 究Volume7MARCH2011
継承 謖文 献 デー タベ ー スエ クセ ル 骸編 集 シ スT厶(著 書 ・鷺 ・陰 文:鐸
詳
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で は 、 中 島 和 子 ・鈴 木 美 智 子 著 の 「
継 承 語 と して の 日本 語 教 育一 カ ナ ダ の 経 験 を踏 ま
え て一 」 の 例 が 表 示 され て い る。 図7と は 異 な り、 著 者 名 や 年 号 な どの 項 目が 白抜 きの
ボ ック ス 内 に 示 され てお り、 白抜 きボ ッ クス 内 の 情 報 は変 更 す る こ とが 可 能 に な って い
る。 編 集 作 業 が 終 わ る と 、 画 面 上 部 の 「更 新 」 ボ タ ン を ク リッ クす る こ と に よ って 項 目
情 報 の 変 更 が デ ー タベ ー ス に と りこ まれ る 。 項 目情 報 の 変 更 をデ ー タベ ー ス に 取 り込 ま
せ た く な い 場 合 は 、 編 集 画 面 の 左 上 あ るい は左 下 に あ る 「リス トに も ど る」(左 下 に あ
る もの は 図8に は 含 ま れ て い な い)を
ク リ ックす る。
ま た 、 既 に入 力 した デ ー タ を 削 除 した い場 合 は 、 図5の
一16一
リス トー 覧 画 面 で 、 右 側 の 操
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作欄か ら 「
削 除 」 を選 択 す る と削 除 画 面 が 現 れ(図9)、
削 除 ボ タ ン を ク リッ クす る と
削 除 が 行 わ れ る。
既 に 入 力 したデ ー タ に 重 複 が あ っ た 場 合 等 は 、 こ の 「削 除 」 機 能 を使 っ て 、 重 複 し
て い る エ ン ト リー の うち の 一 つ を 削 除 す る こ と に な る。 図9の デ ー タ を 削 除 した とす る
と、 図9上 部 の 「通 し番 号 」 の642が
は 、 空 き 番 地 の642を
空 番 地 に な る。 次 に新 しい デ ー タ を追 加 した場 合
埋 め るの で は な く、 現 存 の最 大 の番 号 に1を 追 加 した 番 号 が 追 加
デ ー タ に 付 加 され る。 例 え ば 、 現 存 の 最 大 の 番 号 が785だ
っ た とす る と、 新 しい デ ー タ
を新 規 作 成 した場 合 に は そ の新 しい デ ー タ に786が 付 与 され る の で あ る。
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5.デ ー タ表 記 の 整 理 と著 者 と 「
人 」 と の対 応 の 問題 点
現在 は 、 デ ー タ 作 成 者 に よっ て集 め られ た デ ー タ を編 集 管 理 シ ステ ム に 投 入 した と こ
ろで あ る。 今 後 は 、(1)編
い 、 次 に 、(2)氏
集 管 理 シ ス テ ム 内 で表 記 を統 一 す る な どのデ ー タ の整 理 を行
名 と指 し示 す 対 象 との 対 応 の整 理 を行 う。 表 記 を 整 理 した 文 献 情 報
を 、人 と関 連 づ け て 、 別 の デ ー タベ ー ス に 移 植 す る。 この 移 植 後 の デ ー タベ ー ス が 一 般
ユ ー ザ に提 供 す るデ ー タベ ー ス とな る。 技 術 的 な 話 に な る が 、 非 常 に 重 要 な こ とで あ る
一18一
継 承語教育文猷 データベースの櫻
一中闘 鞍告 一'φ 島1初子 毋中 順 子 森 ア淳 也
た め 、(1)と(2)の
(1)表
作 業 に つ い て 紹 介 を してお く。
記の統一
エ クセル で 作 成 され た デ ー タ の 中 に は 表 記 の 不 一 致 が 非 常 に 多 く見 られ た 。 例 え ば
次 の よ うな 例 が 表 記 の 不 一 致 で あ る と見 な され る。
スペ ー ス の有 無 、 スペ ー ス が全 角 ・半 角 で あ る か の 問 題
中島
良子(中
島 と 良子 の 間 に 全 角 スペ ー ス が あ る。 下 線 で 強 調 した 部 分 参 照)
中 島 良子(中
島 と 良子 の 間 に 半 角 スペ ー ス が あ る。 下 線 で 強 調 した 部 分 参 照)
中 島 良 子(中
島 と良 子 の 間 に スペ ー ス が な い)
表 記 法 の ゆれ に よ る 問題
NakajimaRyoko
NakazimaRyooko
NakashimaRyoko
上 記 の い ず れ の 例 に して も、 デ ー タ を 作 成 す る 人 が想 定 して い る著 者 は 同 一 対 象
者 を想 定 して 書 か れ た こ とは想 像 で き る。 しか しな が ら 、 コ ン ピ ュー タ プ ロ グ ラム 内
で は 同 一 の情 報 とは 見 な され な い た め 、 表 記 の 統 一 が必 要 とな る
も ち ろ ん 、 表 記 の 不 一 致 は著 者 名 に 関 わ るだ け で は な く 、 項 目を 区 分 けす るた め
の記 号 の用 法(読
点[、]、カ ンマ[,]、 コ ロン[:]等 の使 用)に
もあ て は ま る。
(2)氏 名 と氏 名 が 指 し示 す 対 象 で あ る 「
特 定 の 個 人 」 との対 応 の 整 理
山 田花 子 とい う名 を使 用 して い る 著 者 が2名(ト
学 の 山 田花 子)い
ロ ン ト大 学 の 山 田花 子 、 神 戸 大
る と想 定す る。 この 場 合 は 二 人 の 山 田花 子 に別 のIDを ふ る。 さ ら
に この 二 人 とも に い ろ い ろ な氏 名 の 表 象(い
わ ゆ る別 名 、alias)が
存 在 す る と想 定
し よ う。
い ろい ろな 氏 名 の 表 象(い
わ ゆ る別 名 、alias)
①
佐 藤 花子(学
術 論 文 を 書 く 際 の 氏 名 で 旧姓 を伴 うもの)
②
水 原 花 子(ペ
ンネ ー ム)
③
山 田 花 子(学
術 論 文 を 書 く 際 の 氏 名 で本 名 と同 一.ト
④Yamada,Hanako(英
語 表 記1)
⑤YamadaMackenzie,Hanako(英
⑥
山 田花 子(学
ロ ン ト大 学 所 属)
語 表 記2)
術 論 文 を 書 く 際 の 氏 名 で本 名 と同 一.神
一19一
戸 大 学 所 属)
母 語 ・`.承 語 ・ノ、"イ
砿 ンカ ヲ〃教 育 ひ4〃 β丿研 究Volume7MAR(}120〃
ID1(ト
図10ト
ID2(神
ロ ン ト大 学 の 山 田花 子)
戸 大学 の山 田花 子 〕
ロン ト大 学 の 山 田花 子 と神 戸 大 学 の 山 田花 子 をノ ー ドと して 文 献 を結 ん だ 図3)
こ の 二 人 の 著 作 と思 われ る文 献 が 複 数 あ る とす る。 デ ー タベ ー ス に 入 れ られ る よ うな
情報 に す る 為 に は 、 様 々 な 氏 名 の 中 か ら典 型 的 な 表 象(最
術 論 文 を書 く際 に使 っ て い る氏 名)を
も代 表 的 な 名 前 で 、 現 在 学
一 つ 選 択 し、 そ の 典 型 表 象 を 「
特 定 の個 人」 と
そ の 人 が 書 い た数 々 の論 文 とを つ な ぐ節(ノ
ー ド)と して 使 用 す る こ とで シ ソー ラス を
作 成 す る。 複 数 の 氏 名 と 「
特 定 の 個 人 」 との 間 の 関 係 性 を 見 分 けて 関 係 づ け るの は 、
そ の よ うな 判 断 をす る こ とが 可 能 な 人 で あ る。 ま ず は著 者 本 人 が 、 次 には 有 識 者(当
分 野 の 専 門 家)が
該
関係 づ け を行 え るで あ ろ う。 デ ー タベ ー ス を検 索 す る.rに は 、 この シ
ソー ラス を参 照 してデ ー タの 呼 び 出 しを行 う。 この よ うに して複 雑 な著 者 名 、 典 型 表 象 、
文 献 をっ な ぐこ とに よ っ て 、 後 で も述 べ るが デ ー タベ ー ス の最 終 的 な形 と して 一 般 に供
与 で き る形 にす る こ とが で き る。 今 後 は こ こ で述 べ た(1)や(2)の
よ うな こ とを解 決
で き る シ ス テ ム を 構 築 して い くこ とに な る 。
6.デ
6.1入
ー タ ベ ー ス 開発 の今 後
力 支援 シ ス テ ム の 開発
今 回 図4か ら図9で 提示 した編 集 システ ムは 、現在 限 られた人 間のみが アクセ ス可能
である。 将 来 的 には現在 の編集 システム を発 展 ・向上 させ て、デー タを作 成す る人 がエ
一zo一
継 承語教育 文献データベース の轢
一ψ燭鞍告 一!中 島 初子 毋φ 贋 子 森 下一
淳也
クセ ル フ ァイ ル の 形 で で は な く、 ウェ ブ 上 か らデ ー タを 入 力 で き る よ うに す る予 定 で あ
る。 そ の 際 に は 、 既 存 の デ ー タ を参 照 して 入 力 が で き る よ うにイ ン ク リメ ン タル サ ー チ
(語 の 一 部 を入 力 す る と、 そ の 後 に続 く文 字 の候 補 が 現 れ る よ うな シス テ ム)を 取 り入
れ る。
6.2.検
索 シ ス テ ム の 開発
このデ ー タベー スプ ロジェク トが想 定 してい るデー タベ ースのユー ザは学術機 関の研
究者や 、継 承語教 育の現 場で指導 に 当た る教員や 指導員 であ る。 この人達 が関心 を持 っ
ている言 語教 育や 言語 学 習状況 が他所 に存在 しないか、その よ うな状況 につ いての研 究
報告 が既 にな され てい ないか ど うか を検 索 でき るよ うにす るた めのイ ンター フェー スを
開発 す る予定 だが 、 どの よ うな検 索機 能 を持たせ るのか につい てはまだ未 定 である。論
理演 算(and,or,not等)を
プル ダ ウンメニ ューで選べ る よ うに してインターフェース
に埋 め込 んでキー ワー ドサーチ を可能 にす る、 あるいは シソー ラスを用意 して曖昧 検 索
がで きる よ うにす るか について は、デー タベー スを一般 供 与す る段 階 で考 えなけれ ばな
らないが 、現 在 はまだその毀階 ではない。
6.3.検
索 結 果 の 表 示 方 法 の検 討
検 索 結 果 の表 示 方 法 に つ い て は 、 一 般 ユ ー ザ 用 とプ ロ ジ ェ ク ト開 発 者 側 の 両 方 の 用
途 を 考 え な けれ ば な らな い 。 この 表 示 の 仕 方 につ い て は 一 般 のサ ー ビス に供 与す る段 階
で の 話 で あ り、 現 在 は ま だ検 討 中 で あ る。 検 討 中 の 一 案 を 紹 介 す る とす れ ば 、 一 般 ユ ー
ザ 用 と して は 本 デ ー タベ ー ス で検 索 した 結 果 をERICの
よ うな表 示 様 式 で 提 供 す る 方
法 が 挙 げ られ る。 検 索 したデ ー タに 該 当す るデ ー タ を リス トし、そ の リス トか ら当該 デ ー
タの ス ナ ップ シ ョ ッ ト(デ ー タ の 全 項 目を 一 つ のカ ー ド上 に提 示 した よ うな 形 態)を
表
示 で き る よ うにす る も の で あ る 。 最 適 な 見 せ 方 が どの よ うな も ので あ る の か につ い て 、
デ ー タ ベ ー ス の 開 発 と共 に 検 討 を続 けて 行 く。
プ ロジ ェ ク ト開 発 者 側 につ い て の表 示 方 法 は 、 む しろデ ー タベ ー ス の評 価 の 問 題 に つ
な が る。 デ ー タベ ー ス の 入 力 シ ス テ ム が 完 成 し、 デ ー タ を作 成 す る 人 が 増 え て行 く と、
増 え続 け るデ ー タ が あ る 時 点 で ど の よ うな 形 で あ る の か を と らえ る為 に はデ ー タ の 分 析
が 必 要 に な る。 現 在 の よ うに デ ー タ数 が2,000件 程 度 で あれ ば 、 手 計 算 な り 目視 な りで
デ ー タの 中身 の概 要 を知 る こ とが で き る。 しか し、 デ ー タが10,000件
を 越 え たな ら ば手
計 算 や 目視 で 中身 を と らえ る こ とは 不 可 能 で あ る。 プ ロ ジ ェ ク ト開発 者 がデ ー タ の 現 状
を知 り、 デ ー タ の 分 析 をす るた め に も、 検 索 シ ステ ムが 必 要 とな る。
一21一
母 語 ・縟
7.ま
語 ∂ノfイグン カ シ〃教 卩
育0レ 〃イβ).,レolume7ルfAR(:H2011
とめ と今 後 の 展 望
現在 はデー タベースサー ビスの一 般へ の供 与 に向 けて作 業 を行 ってい る。今 後 、幸 い
にも一般へ のサー ビスが 開始 されたな らば 、次の よ うな問題 も検 討 が必要 であ る。 一 旦
デー タベ ースが完成 して 一般 に供 与 を始 める と、 どの よ うに使 用 され てい るのか を評 価
しなけれ ばな らない。 どのよ うなIPア ドレスか らどれ く らい の期 間ア クセスが あ り、 ど
の よ うな情報 が検 索 されてい るのか を評価 し、デー タベー スの使 用 実績や 、想 定 してい
たデー タベー スの使 用 目的 と実際 の使 用 との関連 を評 価す る。 この よ うな分 析 を可能 に
す るために も 「
きれい な」デ ータをデ ー タベー スに入 れ る必 要 が ある。 ま さにそれ を 可
能 にす るために今ま でに行 った よ うな項 目の整理や 、 定義 を明確化 す る等 の作 業が必 要
なので ある。 今 まで に時 間を とって行 って来 た作 業 はこのよ うな大 きな意義 のた めで あ
るか ら、 入力 作業 にあた って いた方 々 に とって一 見無 駄 な繰 り返 しに見 えた よ うな作 業
も、 その労 が報 われ るに違い ない。 前述 した よ うに、デー タベー スを一般 に供 与す るな
らば、 供与 しただ けで終 わ りではない。デー タベ ースの使 用 の実態 を評 価す ることが で
きて こそ、 このプロジェク トが完結す るのである。
注
1)本
プ ロジ ェ ク トは 、 多 くの 会 員 ・非 会 員 の方 々 に支 え られて き た。 この場 を借 りて感 謝
の意 を表 したい。 多 忙 を極 める 中デ ー タベー スのサ ーバー 上 の構 築 を 引 き受 けて くだ さっ
た神 戸 大 学 大 学 院 国 際文 化 学 研 究 科 の森 下淳 也 教授 、 同研 究 科 の 田 中順 子 准 教 授 を は
じめ と して、 調 査 協 力 者 として文 献 収集 ・入 力 作 業 に加 わ った70名 近 くの世 界 各 地 在
住 の会 員 、 指 導 、 整 備 、 統括 に 当 た って くだ さった 理 事 の 方 々 、 さらに 北 米 の著 作 権
事 情 を調 査 して くだ さった ダグ ラス 昌子 先 生 、著 作 権 問題 で 貴 重 なア ドバ イ ス を下 さっ
た新 潮 社 著 作 権 管 理 室の 宮部 尚氏 、 理 事 の カル ダー 先 生 、 同 じく箸 作 権 問題 で 力 を貸
して いた だい た 国 立教 育 政 策研 究所 の坂 谷 内 勝 教 授 に 心 か らお 礼 を申 し上 げ たい 。
2)今
後 さ らに(12)を 加 えて 、 最 終 的 に は ウェ ブイ ンター フ ェー ス を持 つ 「入 力 支 援 編 集
管 理 シス テ ム」 を作 成 す る。
3)図10の
人 物 イ ラス トはMicrosoft(2008)よ
り転載 した。
謝辞
本 研 究 は平成21-23年 度科 学研 究費補 助 金(基 盤 研 究(B)課 題 番 号21320096)研
代表 者 中島和 子
究
課題 名 「
継 承 日本語 教 育 に関す る文 献 のデー タベー ス化 と専 門家 の
養 成 」 の助 成 を受 けた もので ある。
一22一
継 承a育 文駢 データベース の轢
一中闘鞍告 一'中 島 初 子 田 中 ノ
贋子 森 τ 淳也
参考文献
Microsoft.(2008).Microsof七WordforMac2008[Computersoftware].Sea七
一
tle,WA:Microsoft.
国 立 国 語 研 究 所 目本 語 教 育 セ ン ター
「児 童 生 徒 に 対 す る 日本 語 教 育 のカ リキ ュ ラ ム に
関 す る国 際 的 研 究 」 研 究 チ ー ム(1996)「
キ ュ ラム に 関 す る国 際 的 研 究
児 童 生 徒 に 対 す る 日本 語 教 育 の カ リ
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国 立 国 語 研 究 所 日本 語 教 育 セ
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佐 々 木 倫 子(2003/2010)「3代
で 消 えな いJHLと
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継 承 語 ・バ イ リンガ ル 教 育 研 究 会 』 プ レ創 刊 号16-25.
田 中 順 子 ・森 下 淳 也 ・中 島 和 子(2009)「
回 公 開 シ ンポ ジ ウム
中 島 和 子(2007)「
継 承 語 教 育 文 献 デ ー タベ ー ス の 構 築 」 第15
「人 文 科 学 とデ ー タ ベ ー ス 」 発 表 論 文 集1-6.
外 国 語 習 得 と母 語 との 関 係 一
セ ミ リンガ ル 現 象 の 要 因 と教 育 的 処 置
に 関す る基 礎 的 研 究 」 科 学 研 究 費 補 助 金 基 礎 研 究(B)最
中 島 和 子(2008)「
終報 告
継 承 語 教 育 に 関 す る学 会 ・研 究 機 関 ・紀 要 ・機 関 誌 ・参 考 文 献 」
2008年 度 母 語 ・継 承 語 ・バ イ リンガ ル 教 育(MHB)研
究 会年 次大会
「
バイ リ
テ ラル ・バ イ カル チ ュ ラル の 育 成 を 目指 して 一 実 践 と課 題 一」 資 料 集45-54.
中 島 和 子(2003/2010)「JHLの
枠 組 み と課 題 一JSL/JFLと
ど う違 うか 」 『母 語 ・継
承 語 ・バ イ リン ガル 教 育 研 究 会 』 プ 哺 肝 凵号1-15.
中 島 和 子(2011)「
科 研(B)継
承 目本 語 教 育 に 関す る文 献 のデ ー タベ ー ス化 と 専 門
家 養 成 一 マ イ ノ リテ ィ児 童 生 徒 の 言 語 教 育 ・文 化 教 育 に 関す る総 合 的研 究 一」
2011年 度 桜 美 林 大 学 言 語 教 育 研 究 所 公 開 研 究 会
口頭 発 表2010年2月18日
桜 美 林 大 学 四 谷 キ ャ ンパ ス 地 下 ホー ル
半 田正 夫 ・紋 谷 暢 男 編(1982/1988)『
福 川 美 沙(2010)「
著 作 権 の ノ ウハ ウ』 第3版
有斐 閣選 書
デ ー タベ ー ス入 力 に お け る問 題 点 と留 意 点 」(桜 美 林 大 学)第2回
継 承 語 教 師 養 成 ワー ク シ ョ ップ 資 料 集71-73.
湯 川 笑 子(2006)「
年 少 者 教 育 にお け る母 語 保 持 ・伸 長 を考 え る」 『日本 語 教 育 』128
号13-23.
一23一
Fly UP