Comments
Transcript
Title インテリジェント・シティー(近況・随筆) Author(s) 高阪, 宏行 Citation
Title Author(s) Citation Issue Date URL インテリジェント・シティー(近況・随筆) 高阪, 宏行 お茶の水地理 1986-05-10 http://hdl.handle.net/10083/11727 Rights Resource Type Departmental Bulletin Paper Resource Version Additional Information This document is downloaded at: 2017-03-28T19:08:01Z ず ,ナポ リとポ ンペ イの見学 は シ ンポ ジ ウ ムに組 ローマか ら ローカル線 の電 車が あ り,チス テル ナ み込 まれ ていた が ,そ の他 の歴史 的都市 を巡 る こ ・デ ィ ・ラチ ナは ローマ ・ナポ リ間 の幹線 鉄 道 の 0 k mを歩 けば 日帰 り可 沿線 で あ るか ら, この間約 2 とはで きなか った。 能 な筈 で あ る。 シンポジ ウムの始 まる前 の一 日だけの 自由な 日 を ,ア ッピア街 道 の踏査 に費 した。周知 の とお り, イ タ リアの 9月は まだ暑 く,乾燥 してい て 日射 「 全 ての道 は ローマに通ず」 といわれ た 古代 ロー Lは強 く,持 っていた小 さな水筒 はた ち ま ち空 に マ道 は ,直 線 的 な路 線 を と って計 画 的 に測 設 さ な って ,猛烈 に喉 が渇 いて ど うな る ことか と思 っ れ ,現在 もなおそ の痕跡 は ヨー ロ ッパ各地 に残 っ た のが 思 惑 外 だ った が ,結 局 は 目的 を 果 した 。 てい る。その最 も著名 な ものが ア ッピア街 道 で , ローマ道 が 日本 の古代道 と共通す る処 が多 い こ と ローマ郊外 の部 分 は ローマオ リン ピ ックの際 に は を実感 した のは大 きな収穫 で あ った。 この こ とに マ ラソンコースに も組 み入れ られ ,訪れ る観 光 客 つ いては ,『 歴史地理学 』1 2 4号 ( 1 9 84 )に 「日本古 も多 い。 代駅路 とローマ道 との比較研究- しか し,私 が 見た いのは観光客 な どの来 な い所 序説- 」 と 題 して小論 を書 いてい るので ,興味 のあ る方 は 一 読 していただ けれ ば幸 いで あ る。 で ,で きるだ け古 い状態 を留 めて い る部分 で , し か も ローマか ら 日帰 り可能 な所 で ある 従 来 , 日 しか し, ここで強調 した いのは地 図の効 用 に つ 。 本 の古代道 で あ る駅路 は ,自然発 生的な踏 分 路 を いてで あ る 若 干拡幅整備 した程度 の ,曲折 の多 い小路 で ロー で実行 した もので あ るが ,言葉 も通 じない初 め て マ道 とは 性格 も形態 も全 く異質 な もの と考 え られ の土地 で も,地 図 さえあれ ば案 内者 が な くて も 自 ていた。 それ が ,私 もそ の一 翼をにな って きた近 由に行動が で きて ,ある程度 の調査 も可能 で あ る 年 の歴史地理学 的研究 に よって , 日本 の古 代 道 も ことを体験 して大 きな 自信 を持 った。 。 この小調査行 は独 りで計 画 して独 り 9 84 年 の国際地理学会議 ( Ⅰ これ に味 を 占めて ,1 また古代 的中央 集権 国家 の官道 の世界 的例 に もれ ず ,直線 的な計 画道 で あ った ことが しだい に 明 ら ・G ・C) の時 には ,小林健 太郎 ( 滋賀大) ・大獄 かにな って きた ところか ら,名 に し負 うロー マ道 幸彦 ( 上越教 育大) の両氏 を誘 って ,パ リ西 北 郊 の ,ご く普通 の所 を この 目で 見た い と思 った か ら に残 る ローマ道 の痕跡 の踏査 に一 日を費 した 。 こ で ある。 の時 は同行者 が あ るだけに気 が楽 で ,何 よ りも フ 5, 0 0 0 地形 図 を検 討 出発前 に ,イ タ リアの 1/2 ランス語 に堪能 な大獄教授 が一緒 なのが心 強 か っ して見付け 出 した のが , ローマ東 南方約 2 0k mの 火 た。 山の中腹 にあ るアルバ -ノか ら,火 山麓 の チ ス テ 思 えば ,地 図は万 国共通 の言語みた いな もの で ル ナ ・デ ィ ・ラチナ まで ,火 山の山腹 を斜 め に 直 あ る。 この言葉 を解す る者 に とって ,そ の行 動 範 線 に通 る部分 で あ る。 ア ッピア街道 は現在 の 国道 囲は地 図 が あ る限 り拡 大 す る。 地 理 を学 ぶ者 に 9世 紀 に に踏襲 され る部分が多 いが , この区間は 1 とって大 きな力 とな る もので あ って ,我 々は これ 建設 された新道 が迂 回路 を作 って , これが 現 在 の を大事 に したい。 以来 ,私 は各地 の ローマ道 を地 国道 とな ってい るので ,旧道 は多 分に昔時 の面 影 図上 で歩 いてい る。 を残 してい る と考 え られ ,また アルバ - ノ まで は ( 国学 院大学) イ ン テ リ ジ ェ ン ト ・シ テ ィ 一 高 阪 宏 行 この と ころ ,至 る所 で - イ テ ク ・ブ ー ムが 広 た。 そ こでは ,イ ンテ リジ ェン ト ・ビル の紹 介 を が ってい る。 先 日,なにげ な しに テ レビを つ け る 行 ってお り,私 には ,今 まで聞 いた ことの な い ど と,企 業 の - イ テ クを紹 介 す る番 組 を や って い ル の名前が頭 に残 っただけで あ った。 - 7 1 - 海外 におけ る最近 の計量地理学 は ,応用 ・政 策 この都市計画 ・管理 システ ムは ,計量 モデル 支 分野に急速 に広が ってい る。私 は ,これ らの成 果 援に よる計画 ・政策決定 システムを含み ,都 市 の を統合す る新 しい都市概念 が必要 である と考 えて 計画や政策決定に対 し適切 な情報を提供す る。 こ 世紀 の都市政策 を考 え い る。 この都市概念 は ,21 れは ,①情報 システム,②計量 モデル ,③ コ ミュ る上 で ,正 し く中心的な役割 をはたす もので なけ ニケーシ ョン ・システ ム,④ スーパ ー ・プ ラ ン, ればな らない。番組 を見た数 日後 に ,私 の脳 裏 に ⑤達成 指 標 ,の 5つ の要 素 か ら成 り立 って い る 「 イ ンテ 1 )ジ ェン ト ・シテ ィー」 とい う言 葉 が浮 (Cl ar ke,M.andWi l s on,A.G. ,1 9 8 5 ,Envi r on- んだ。 この用語 は ,すでに建設省の 「 高度 情 報 化 mentandPl anni ngB,Vol .1 2)。医療サー ビスの 社会 に対 応 した都 市 整 備 の あ り方 に関 す る懇談 例を とって ,この システ ムの働 きをみてみ よ う。 会」な どで使用 され てい る よ うであるが ,以 下 で まず ,医療関係者か ら現在抱 えてい る問題 が捉 起 され る 例 えば ,高齢者 医療機関の不足が あげ ら は私 な りに この用語 を定義 している。 。 イ ンテ リジ ェン ト ・ビル とは ,(1)情報 ・通信 れた としよ う。す ると,情報 システムでは ,地 区 システ ムの設備 ,(2) (1) を用 いたサ ー ビスの ごとの人 口構成や医療費支 出な どの最近 の デ ー タ 提供 ,(3)管理 システムの設備 ,の 3点を備 えた が収集 され る 9 85, 「 情報化 ビル」 と定義で きる ( 井上 ・洋本 ,1 。 これ らのデ ータは計量 モデ ル で利 用 され ,都 市内におけ る将来 の高齢者分布 や 医療 l‥ 1 9-1 3 )Oこの よ うな考 えを都 設備 と管理 ,vo 機 関の利用パ ター ンが予測 され る。 さらに ,現 医 市 に応用す る と,どの よ うなイ ンテ リジェン ト ・ 療施設 の ままの場合や新 しい施設を立地 した場 合 シテ ィ-が生 まれ るのであろ うか。 な ど,様 々な状態 の下 で シ ミュ レーシ ョンが行 わ まず ,イ ンテ リジ ェン ト ・シテ ィ-の構 成 員 れ る。 これ らの結果に対 し,問題解決の程 度 や 組 は ,市民 ,経済活動 ,行政体 の 3着か ら成 り立 っ 織 の効率性 な どの側 面か ら 目標達成 の指標 が 算 L H てい る。その理念 は ,市民 には豊かな生活 環 境 を され ,各状況に対す る評価 の基準が与え られ る。 提供 し,経済活動 には活気 に満 ちた経済環 境 を与 これ らの情報 は ,実戦的な ロー リング ・プ ラ ンで え ,行政体 は効率的で安定 した都 市経営 を 目指 す あるスーパ ー ・プランの中に組み込 まれ ,そ の プ ものであ る。そ の概念 の定義 は , ビルの場 合 と同 ランは ,モデル分析 の結果や達成指標 とともに , 情報 様 で ,上 記の (1)∼ (3)の 3点を備 えた 「 コ ミュニケーシ ョン ・システ ムにおいて,経 営 部 化都市」 と定義 で きよ う。第 1は ,情報 ・通 信 の 門や医療 部門な ど利害 の異 な る医療関係者 の間 で ネ ッ トワークを都市 内に張 り巡 らす とともに ,家 検討 され る。 以上 の よ うに,イ ンテ リジ ェン ト・シテ ィに お 庭や事業所 には端末装置 を普及 させ るので あ る。 第 2は ,これを用 いて ,(a)生活 サ ー ビス ,(b) いては ,特 に都市経営 ・管理 システムにお いて , 就業 サ ー ビス ,(C)教育 ・娯楽 サ ー ビスを提供す 計量地 理 学 の成 果 が広 く応 用 され る と考 え られ る。 aでは ,買物情報や医療情報 な どが得 られ る る。地理情報 システ ムや都市 モデル分析が ,計 画 とともに ,在宅 にて買物 サ ー ビスや医療 サ ー ビス ・政策 サイ ドに とって不可欠な存在 にな って い る が受け られ る。 bは就職情報や在宅就業 な ど と関 世 今 日,わが国において も計量地理学 の側か ら21 係 し, Cは現在 のテ レビの機能 を拡張 した もので 紀 の都市 のあ り方 に関 し,大 いに発言すべ きで あ ある 第 3は ,都市 を経営 ・管理す るシス テ ム と る。 。 関連 し, ここにおいて計量地理学 の成果が応 用 さ れ る。 17 2 - (日本大学)