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ユーロドル円相場:失地回復はリアルかダマシか?

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ユーロドル円相場:失地回復はリアルかダマシか?
外貨投資の視点
(No.220)
リサーチ部 チーフ為替ストラテジスト 植野 大作
2015年5月19日
ユーロドル円相場:失地回復はリアルかダマシか?
ポイント
 ユーロドル相場が3月中旬のボトムから約2ヶ月間で10%近くも急騰、「リアル」か「ダマシ」かの議論が活性化
 テクニカル的に見ると、過去最長となる「9ヶ月連続の陰線並び」を記録した後、多少反発するのは自然な現象
 既往の下落局面で抱え込んだ「負の貯金」は重たく、一段の急騰を想定しない限り年末頃までトレンドは下向き
 ECBが量的緩和を開始してわずか数ヶ月後に語られる「ECB版テーパリング・ストーリー」は、あまりに時期尚早
 欧米間の金融政策格差に趨勢判断の軸足を置く大局観に誤りが無ければ、やがてユーロ安トレンドが復活へ
ユーロドル相場が反発、
13 年 2 ヶ月ぶりの安値か
ら、わずか 2 ヶ月間で 1 割
近く上昇
ユーロドル相場の反発が目立っている。5月15日(金)のニューヨーク市場では一時
1.1467ドルと、2月6日(金)以来、約3か月ぶりの水準へ上昇する場面があった。3月16日
(月)のウェリントン市場で記録した13年2ヶ月ぶりの安値が1ユーロ=1.0458ドルだったの
で、約2ヶ月間で観察されたユーロドル相場の反発は、値幅で+1009ポイント、騰落率換
算では+9.65%にも達している。その後は流石に一息入り、節目の1.1500ドルを目前に
伸び悩んでいるが、イースター休暇明けのユーロドル相場を突然襲った急騰劇の余韻が
残り、下値が目立って柔らかくなりそうな気配も漂っていない。
ユーロドル相場の反発
は、果たして「リアル」か
「ダマシ」か?
ここもと観察されるユーロドル相場の急激な反発が、過去約1年間にわたって進んでき
たユーロ安・ドル高局面の「終わりの始まり」なのか、一時的なスピード調整による踊り場に
過ぎないのか、市場の見解は分かれている。今年はまだ折り返し点を過ぎていないが、ユ
ーロドル相場の予測を生業とする市場関係者にとって、恐らく「最大の勝負どころ」が訪れ
ている印象だ。市場の審判はいずれ現実のプライス・アクションによって下されることにな
るが、青息吐息でノックダウン寸前の状態から息を吹き返し始めたユーロ強気派と、ちょっ
と前までの楽勝ムードが急に怪しくなって日々不安に苛まれているユーロ弱気派の、一
体どちらが笑って大晦日を迎えることになるのだろうか。
「ユーロドル=右肩下が
り」の大局観をキープする
2 つの理由
結論から先に述べると、我々は「ユーロドル=右肩下がり」の大局観をキープしたいと
考えている。近年のユーロドル相場は、難解なプライス・アクションが特徴の通貨ペアだっ
ただけに、短期間にこれだけ強烈な反騰劇を目撃させられると、率直に言って不安な気
持ちで一杯だ。だが、以下に述べる2つの理由から、ここもと観測されるユーロドル相場の
急騰について、本格的なユーロ高・ドル安トレンド復活の予兆だとは考えていない。
「9 ヶ月連続の陰線」は、
流石に売られ過ぎだった
第一は、ユーロドル相場のチャート・フェイスから得られる印象だ。例えば、ユーロ発足
以来の月足チャートを俯瞰すると、昨年7月から今年3月にかけて、ユーロドル相場は「9ヶ
月連続」という過去最長の陰線並びを記録していたことが分かる(図1)。昨年6月の欧州
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し
てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
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外貨投資の視点
中央銀行(ECB)理事会でのマイナス金利導入以降、あまりにも分かり易い欧米金融政策
サイクルの違いが鮮明になり過ぎたことにより、この間のユーロドル相場は、方向を誤って
いた訳ではないものの、明らかに「スピード違反」を犯しつつ、一方的に売られていた嫌
いがある。古今東西、各種主要通貨の対米ドルレートの月足チャートをみても、何年間も
続いた通貨の下落あるいは上昇トレンドの最中にあっても、9ヶ月以上の長期にわたって
ローソク足の符号条件が全く変わらず連続するケースは非常に稀だ。ちなみに、ポンドド
ル相場で調べてみると「陰線並び8ヶ月」、「陽線並び9ヶ月」が現行制度下では過去最長
記録であり、ドル円相場では陰線も陽線も連続8ヶ月が過去最長だ。9ヶ月間も陰線が続
いたユーロドル相場が、その後やや大きめの陽線を数か月程度に並べたからといって、
「トレンド反転」の予兆と断じるのは、時期尚早な印象が拭えない。
図1:ユーロドル円相場の月足(完成ベース)と黄金分割水準
(ドル)
1.7
1.6038(0.0%)
1ユーロ=1.6038ドル
(史上最高値:08年7月15日)
1.6
1.5
(ドル)
1.7
米欧日の通貨当局
ユーロ売り介入準備密約
(2008年8月頃)
1.6
1.5
1.4195(▲23.6%)
1.4
1.4
1.3055(▲38.2%)
1.3
1.3
1.2114(▲50.0%)
1.2
1.2
1.1
1.0
0.8
1.0
1.0073(▲76.4%)
ユーロ買い・ドル売り
欧米協調介入
(2000年9月22日)
ECB単独介入
(11月3日、6日、9日)
0.9
0.7
1.1
1.1213(▲61.8%)
0.9
0.8
0.8230(▲100.0%)
0.7
1ユーロ=0.8230ドル
(史上最安値:00年10月26日)
1.0458(2015年3月)
0.6
0.6
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成
1 ユーロ=1.20 ドル程度
まで買い戻されても、今年
年末頃までは 52 週移動
平均線は下向きを維持
近年の週足チャートに目を転じても、今回の大幅な下落局面でユーロドル相場は
「2010年6月安値の1ユーロ=1.1877ドルと2012年7月安値の同1.2043ドルを結ぶ下値抵
抗ライン」を明確に下抜けしたほか、13週、26週、52週の移動平均線が次々にデッド・クロ
スを完成させて「短期・中期・長期のトレンド・ラインがいずれもハッキリ下に向く」という分
かり易いチャート・フェイスを完成させている(図2)。この先一段の失地回復が続いて、仮
に1ユーロ=1.2000ドルの節目を回復したとしても、前年同時期のプライス・アクションから
みて、その程度までの反発ならば、今年年末頃までユーロドル相場の52週移動平均線は
右肩下がりの傾向をキープすることになる。ややスピード違反気味に売られ過ぎたとはい
え、昨年年央以来の急落局面でユーロドル相場が抱え込んでしまった「負の貯金」は、容
易なことでは解(ほぐ)れにくい先安観を担保できるサイズだったと言えるだろう。
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し
てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
-2-
外貨投資の視点
図2:ユーロドル相場(週足)の推移
(ドル)
1.55
(ドル)
1.55
1.50
1.50
1.45
1.45
26週移動平均線
1.40
1.40
1.35
1.35
1.30
1.30
1.25
1.20
52週移動平均線
1.25
13週移動平均線
1.20
1.15
1.15
1.10
1.10
1.05
1.05
1.00
09年1月
1.00
10年1月
11年1月
12年1月
13年1月
14年1月
15年1月
出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成
トレンド下向きの状態で下
値探査が復活した場合、
攻防の目処はパリティー
目前になる
前掲の図1で示した長期のフィボナッチ分割でみても、足下のユーロドル相場は、発足
来最安値の0.8230ドルから最高値1.6038ドルまでの上昇分の「半値押し」に相当する
1.2134ドルという弱気転換の分水嶺となる攻防ラインを一気に割り込み、「61.8%押し」に
当たる1.1213ドルの攻略もひとまず明確に終わらせている。我々が標榜しているユーロド
ル相場の弱気予想が為替の神様の祝福を得て、この先も下値探査が進む場合、多くの
市場関係者が次に「下値攻略の目処」として意識しそうなレベルは「76.4%押し」に相当
する1ユーロ=1.0073ドル界隈になる。仮にそのレベルまでの下値追求が実現するならば、
1ユーロ=1ドルの等価交換(パリティー)までは、残りわずか73ポイントと、指呼の間まで
接近することなる。もしもそこまでやってしまったなら、「追加で約0.73ユーロ・セント分の下
値トライ」は、たぶん「行きがかりの駄賃」のイメージになっている。恐らくだが、パリティー
を試してみないと気が済まない雰囲気が蔓延しているのではなかろうか。仮にパリティー
をつけてしまった場合、かなりの確率でオプション絡みのストップロスがヒットするとみられ、
もう少し下のレベルに下ヒゲが伸びる可能性もあるだろう。
ユーロ圏の物価上昇率±
0.0%に復帰しただけで台
頭しているユーロ圏のテ
ーパリング期待は、流石
に時期尚早
第2に、既往のユーロ安・ドル高局面の基本的な背景となっていた欧米間の金融政策
格差は、依然として変化していないとみられる。本邦のゴールデン・ウィーク期間中に加
速したユーロドル相場の急騰は、4月下旬に相次いで発表されたドイツとユーロ圏の消費
者物価上昇率が市場予想を上回り、「欧州中央銀行(ECB)による量的緩和の段階的な
縮小(テーパリング)期待が発生した」ことが一因になったと言われているが、現時点でそ
こまで先読みしてしまうのは、流石に気が早過ぎるのではなかろうか。ユーロ圏の消費者
物価上昇率の推移をみると、今年1月の前年比▲0.6%をボトムに上昇、4月には±0.0%
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し
てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
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外貨投資の視点
と5ヶ月ぶりに前年割れのデフレ状態から解放されてはいるが、当該期間中に観測された
物価上昇率の反転は、かなりの部分がエネルギー価格の下げ幅圧縮や、食品・たばこ・
酒類の値上がりなどの影響によってもたらされている。食品とエネルギーを除くコア・イン
フレ率でみると、4月時点でも依然として前年比+0.6%と「ECB発足以来の最低水準」で
低迷している。過去、トリシェ総裁時代のECBは、周縁国の債務危機たけなわの最中にあ
ってもインフレ率の加速を理由に2回も利上げを実施した「前科」があるため、平均的な為
替市場関係者の間で、ECBに対し「非常にタフなインフレ・ファイター」というイメージがあ
るのは事実だ。しかし、当時と比較してみても、足下の物価上昇率は、「ヘッド・ライン」、
「コア」のいずれの尺度で見ても相当低い(図3)。
図3:ユーロ圏のインフレ率と政策金利動向
(%)
6.0
(前年比、%)
6.0
消費者物価上昇率
5.0
5.0
限界貸出ファシリティー金利
4.0
4.0
欧州中銀
物価目標
3.0
3.0
2.0
2.0
1.0
1.0
0.0
リファイナンス金利
預金ファシリティー金利
0.0
コア・インフレ率
-1.0
-1.0
99年 00年 01年 02年 03年 04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年
出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成
時期尚早なユーロ高基調
へ の 転 換 は 、せ っ か く 伸
長し始めた欧州景気回復
の芽を摘んでしまうことに
なりかねない
改めて指摘するのも気が引けるが、ECBが月額600億ユーロの官民資産の購入による
現行の量的緩和を開始したのは、3月上旬の出来事だ。その後わずか2ヶ月程度しか経
っていない現下の局面で、真贋不明の「ECB版テーパリング・ストーリー」に絡めて一気に
ユーロを買い戻すなど、「いかにも為替らしい」と言ってしまえばそれまでだが、流石に今
回は「前のめり」に過ぎる印象が否めない。今年1-3月期のユーロ圏の実質経済成長率は、
前期比年率+1.6%と4年ぶりの高さに回復しているが、原油価格の下落による消費下支
えとユーロ安の進行に伴う輸出刺激効果に負うところが大きいとの評価が専らだ。今年3
月をボトムに原油価格は既に反発しており、今後為替までもが本格的なユーロ高基調に
転じてしまった場合、金融緩和とユーロ安の恩恵を受けて伸長し始めた欧州景気回復の
芽を摘んでしまいかねない。原油価格の反発を主因とする物価上昇に対し、ECBが時期
尚早なテーパリングに踏み切って、ユーロ高を招くのは非常に危険だ。
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し
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外貨投資の視点
ドラギ ECB 総裁は、2016
年 9 月までの量的緩和の
完全実施を明言、時期尚
早なテーパリング期待を
戒める可能性大
実際、ドラギECB総裁は先週の会見で「2016年9月まで継続する」と言って開始した現
行政策の「完全実施」を改めて明言している。今後も発言の機会があるたびごとに、時期
尚早なテーパリング期待を戒めるコメントが配信されるだろう。2016年10月以降の金融政
策運営については未知数だが、いきなり月間の資産購入金額が「0ユーロ」になって量的
緩和が打ち切られる可能性は低い。我々の外債市場分析チームでは、現行の量的緩和
プログラムが2016年9月に満期を迎えた後、1年ぐらいかけて毎月の資産購入金額を徐々
に減額、ECBによるテーパリングの完了は2017年秋頃になると予想している。
米国がどこかで政策金利
引き上げに動けば、独米
金利差のマイナス幅は再
び拡大へ
もしもユーロ圏の金融政策に関する我々の見解が正鵠を得ていた場合、最近一気に
急騰したドイツの国債利回りは再び低位安定基調に戻り、今年中のどこかで利上げを開
始しそうな米国との金利差は一段と開いていくことになるだろう(図4)。今後、米国景気が
腰折れして連邦準備制度(FED)が進める金融政策正常化の流れが頓挫でもしない限り、
「量的緩和を打ち切った上で適切な利上げ開始時期を模索し始めている米国」と「政策
金利の下限をマイナス圏に水没させた上で、月額600億ユーロの量的金融緩和を粛々と
実施し続けるユーロ圏」の印象格差が再び蒸し返され、既往のユーロドル相場の趨勢を
支配してきた右肩下がりのトレンドが、いずれ復活する時期が到来すると思われる(図5)。
図4:独米2年国債利回り格差とユーロドル相場
(%)
2.5
(ドル)
1.7
2.0
1.6
1.5
ユーロドル相場
(右軸)
1.0
1.5
0.5
1.4
0.0
1.3
-0.5
1.2
-1.0
独米2年国債利回り格差
(独-米、左軸)
-1.5
1.1
-2.0
1.0
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成
既往のユーロ安局面で膨
張したユーロ売り投機の
巻き戻しが一段と進めば、
1.15 ドル上抜けの可能性
もあるが・・・
あくまで私見だが、先月下旬以降に観察されているドイツ金利の急騰とユーロドル相場
の急反発は、昨年年央を境にECBが非常に強力な金融緩和に転舵する過程で急激に
膨張した先物主導の「ドイツ国債買い・ユーロ売り」のポジションの一時的な巻き戻しが主
因だと考えている。シカゴ通貨先物市場のデータから類推する限り、既往の一方的なユ
ーロ安局面で膨れ上がったユーロ・ショートの整理は、5月12日(火)時点ではまだ十分に
進んでおらず、更なる買い戻しが促される場合、節目の1ユーロ=1.1500ドルを一時的に
上抜けするぐらいの一段高が促される可能性はあるだろう(図6)。
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し
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外貨投資の視点
図5:世界三大中銀の総資産規模の推移(現地通貨ベース)
500
(2008年8月=100)
450
400
350
米国連邦準備制度(FED)
300
250
200
欧州中銀(ECB)
150
100
日本銀行(BOJ)
50
2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成
図6:シカゴ通貨先物市場の為替持ち高とユーロドル相場
(万枚)
15
(ドル)
1.7
シカゴ市場
ユーロドル持ち高
(左軸)
↑ユーロ買い持ち超過↑
10
1.6
5
1.5
0
-5
1.4
-10
1.3
-15
1.2
-20
ユーロドル相場(右軸)
1.1
-25
↓ユーロ売り持ち超過↓
1.0
-30
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
注:為替持ち高は前週火曜日時点での非商業筋と非報告筋の合計。為替相場は週平均値
出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成
ポジション調整一巡後は、
欧米金融政策の明らかな
違いを蒸し返したユーロ
安・ドル高基調が復活
だが、毎年6月末の決算を意識した一部投機勢による為替絡みの持ち高調整につい
ては、今後は徐々に一巡する時期に差し掛かってくる。「欧米間の金融政策サイクルの相
違」にユーロドル相場の趨勢判断の軸足を置いて動かさない、という我々の大局観に誤り
がなければ、明らかに時期尚早の感があるユーロ圏のテーパリング期待を半ば確信犯的
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外貨投資の視点
に利用して為替持ち高整理を進めてきた筋のプレイヤー達は、いずれユーロ売り・ドル買
いポジションの復元に向かうことになるだろう。具体的な時期と水準を特定するのは難し
いが、「ドラギECB総裁がこれまでより明確な口調で市場に流布する時期尚早なテーパリ
ング・ストーリーを戒める」、「地道な米国の経済指標ウォッチングの結果、米国の利上げ
開始時期に関する市場の期待が急速に凝固し始める」などの環境変化が生じるタイミン
グで、ユーロドル相場の「パリティー到達」を試すムードが復活してくるのではなかろうか。
「ユーロドル相場=右肩下がり」の予測パターンを維持しておきたい。
(5月19日 9:40)
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外貨投資の視点
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