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輸入の急減が貿易黒字を押し上げる - 三菱UFJモルガン・スタンレー証券

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輸入の急減が貿易黒字を押し上げる - 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
「平成 28 年熊本地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げ
ますとともに、被災地の一日も早い復旧・復興を祈念いたします。」
景気循環研究所レポート
輸入の急減が貿易黒字を押し上げる
2016 年 5 月 23 日
3 ヵ月連続の貿易黒字
貿易黒字の拡大が続いている。財務省が 23 日に発表した 4 月の「貿易
統計(速報)
」によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は 8,235
億円の黒字となり、3 ヵ月連続の貿易黒字を計上した。4 月は輸出額、輸
入額ともに前年比で減少したが、輸入の減少幅が輸出を上回っている。輸
入に関しては、数量が 4 月に再び前年比マイナスとなり、かつマイナス幅
が 15 年 3 月以来の大幅な落ち込みとなったことが、輸入額全体の大幅な
減少に繋がった(図 1、図 2)。
在庫循環と輸入数量
平成 28 年熊本地震の発生により、九州地方の製造業は大幅な減産を余
儀なくされた。5 月に入っても製造業の減産圧力は強まっており、製造業
の在庫循環と連動する製造業 PMI(Nikkei 日本の製造業 PMI)は、5 月に
47.6 まで低下した(4 月は 48.2)。製造業の減産圧力の強まりが、輸入数
量の減少を通じて、4 月の貿易黒字を押し上げた格好である(図 1)。
中長期的には「国内回帰」
が輸入の増加に歯止め
もっとも、中長期的には、12 年末以降の円安を追い風にした製造業の
「国内回帰」によって、日本の輸入数量は増加しにくくなった可能性があ
る(図 3)。円安の定着に伴い、国産品の割高感が薄れ、企業は部品など
の調達先を海外から国内へとシフトしているとみられる。実際、電子部品
嶋中 雄二
景気循環研究所長
鹿野 達史
景気循環研究所副所長
や自動車用鋼材に代表される生産財の輸入浸透度は、15 年以降、上昇が
頭打ちとなっており、輸入数量も緩やかな減少傾向を辿っている。今後、
製造業の在庫調整が一巡すれば、需要の増加が国内生産の増加に繋がりや
すい状況といえよう。
図 1.在庫調整圧力の高まりを背景に、輸入数量が減少
シニアエコノミスト
宮嵜
24
浩
シニアエコノミスト
03-6627-5132
(前年比、%)
( 「改善 ・増加 」-「悪化 ・減少 」)
輸入数量指数
(四半期、左目盛)
18
12
70
65
60
6
55
0
50
圭亮
-6
45
シニアエコノミスト
03-6627-5133
-12
40
miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp
福田
fukuda-keisuke@sc.mufg.jp
本レポートは、嶋中雄二の見方に基づ
き、宮嵜・福田が執筆を担当しています。
景気循環研究所
東京都千代田区大手町 1-9-2
大手町フィナンシャルシティ
グランキューブ
-18
35
Nikkei日本の製造業PMI
(月次、右目盛)
-24
30
25
-30
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
17
(年)
(注1)輸入数量指数の直近は16年4月値。製造業PMIの直近は16年5月値。
(注2)Nikkei日本の製造業PMIは、「改善・増加」の回答率に「変化なし」の回答率の半数を
加えて算出。以下の5つの指数を加重平均:新規受注数 (30%)、生産高 (25%)、雇用 (20%)、
サプライヤー納期 (15%) 、購買品在庫 (10%)。
(資料)財務省「貿易統計」、日本経済新聞社をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気
循環研究所作成
1
2016 年 5 月 23 日
図 2. 輸出数量と輸入数量の推移
(前年比、%)
15
輸入数量指数
10
5
0
-5
-10
輸出数量指数
-15
12
13
14
15
16
(年、月次)
(注)直近は16年4月。
(資料)財務省「貿易統計」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
図 3. 生産財の輸入浸透度が示す「国内回帰」の進展
24
22
(%)
東日本
大震災
①
(%)
28
生産財の輸入浸透度(月次、左目盛)
24
20
18
20
16
16
14
製造業の海外現地生産比率(年度、右目盛①)
②
(10年=100)
12
12
8
10
8
6
4
輸入数量指数(月次、右目盛②)
0
98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16(年)
120
110
100
90
80
70
60
(注)輸入浸透度は総供給に占める輸入品の割合(生産財は鉱業を除く)。輸入数量指数は当研
究所季節調整値。海外現地生産比率の直近(15年度)は見込み。
(資料)内閣府「企業行動に関するアンケート調査」、経済産業省「鉱工業出荷内訳表、鉱工業
総供給表」、財務省「貿易統計」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環
研究所作成
(以
上)
みやざき
ひろし
(16.5.23 宮嵜
浩)
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際してはお客様
ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
2
2016 年 5 月 23 日
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本
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