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自動車の販売・生産は持ち直し、景気も再び上向きに

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自動車の販売・生産は持ち直し、景気も再び上向きに
景気循環研究所
鹿野達史の日本経済の視点
2015 年 7 月 3 日
自動車の販売・生産は持ち直し、景気も再び上向きに
●日銀短観は強めの内容との評価が多いが、自動車は弱めの動き
自動車の景況感は悪
6 月調査の日銀短観は、強めの内容となったとの評価が多いが、懸念材
化。輸送機械工業の
料として、自動車の弱めの動きが指摘されている。大企業・製造業の業況
生産も落ち込んでい
判断DIは、事前の平均予想が横ばいだったのに対して 3 ポイントの改善
る。
となったが、こうした中、自動車の業況判断DIは 4 ポイント悪化してい
る。中堅・中小企業でも、自動車の業況判断DIは、それぞれ 9 ポイント、
乗用車販売台数は、
前月比では、5、6 月
と、増加が続く。
6 ポイント低下し、全規模ベースでは、5 ポイントの悪化となっている。
また、輸送機械工業の生産をみても、弱含んでいる。14 年夏場をボト
ムに増産に転じ、15 年初まで持ち直していたが、2 月以降は減産基調にと
なっている。5 月の生産水準は 1 月比で 5%強、減少しており、鉱工業生
産の足踏みをもたらした一因となっている。
嶋中 雄二
景気循環研究所長
鹿野 達史
景気循環研究所副所長
シニアエコノミスト
03-6213-5224
shikano-tatsushi1@sc.mufg.jp
宮嵜
●乗用車販売は下げ止まり、持ち直している
自動車の景況感悪化や生産の落ち込みの背景として、販売台数の減少が
挙げられるが、足元では下げ止まっている。軽自動車大手 2 社のシェア争
いの激化から両社が販売促進策を強化し、14 年末にかけ販売が急増した
反動が出たことに加え、軽自動車税増税(15 年 4 月)前の駆け込みの反
動もあり、販売台数は大幅に落ち込んでいたが、15 年 5、6 月は前月比で
みると増加している(図 1)。反動減の一巡の一方、雇用・所得環境の改
善が続く状況の下、乗用車販売も持ち直してきているとみられる。
浩
シニアエコノミスト
03-6213-6573
(千 台)
図 1. 乗用車販売台数の推移
(千台 )
460
280
440
260
圭亮
420
240
シニアエコノミスト
03-6213-2608
400
miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp
福田
220
乗用車販売台数
(軽を含む:左目盛)
380
200
360
180
340
160
fukuda-keisuke@sc.mufg.jp
景気循環研究所
東京都千代田区丸の内 2-5-2
三菱ビルヂング
140
320
うち軽乗用車
(右目盛)
300
120
100
280
12
13
14
15
(注)当研究所推計の季節調整値。
(資料)自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会資料をもとに三菱UFJモルガンスタンレー証券
景気循環研究所作成
2015 年 7 月 3 日
●景気ウォッチャー調査は販売の持ち直しを示唆。生産も秋にかけ回復へ
景気ウォッチャー調
また、景気ウォッチャー調査の乗用車・自動車部品販売店の景気の現状
査の乗用車販売店の
判断、先行き判断DIも、当研究所推計の季調値でみると、改善基調とな
景況感は改善基調。
っている。乗用車販売店の景気ウォッチャーのコメントをみても、販売量
販売の持ち直しが続
の動きの良さや受注台数の順調な推移などが挙げられており、先行きにつ
き、生産も増加に転
いては、ウォッチャーは増税の影響の解消、新型車やボーナス商戦への期
じる見通し。
待などに言及している。過去をみると、乗用車・自動車備品販売店の先行
足踏み状態にある景
気も再び上向いてく
ることに。
き判断DIは乗用車販売の変動に 3 カ月程度先行して動いているケース
が多く、販売の持ち直しが続く可能性を示唆している(図 2)。
こうした中、自動車の生産も増産に転じることが予想される。輸送機械
工業の生産予測指数が、6、7 月と前月比で増加の見通しとなっているほ
か(6 月・前月比 2.1%増、7 月・同 2.6%増)、トヨタ自動車の生産計画
も、9 月にかけて増加基調が続く見通しになっている(当研究所推計の季
調値、図 3)。弱めの動きとなっていた乗用車販売の持ち直しが続き、自
動車生産も増産に転じることが見込まれるため、足踏み状態にある景気
も、夏場から秋にかけて再び上向いてくることになろう。
図 2. 乗用車販売と景気の先行き判断DIの推移
(3カ月前比、%)
(ポイント)
30
70
乗用車販売台数(左目盛)
20
10
60
0
50
-10
-20
40
-30
30
景気の先行き判断DI
乗用車・自動車備品販売店
3カ月先行(右目盛)
-40
20
-50
09
10
11
12
13
14
15
16
(注)販売台数、先行き判断DIともに当研究所推計の季調値、3カ月移動平均。
(資料)自動車販売協会連合会、軽自動車連合会、内閣府資料をもとに三菱UFJモルガンスタンレー証券景気循環研究所作成
(千台)
図3. 輸送機械、自動車生産の推移
400
(10年=100)
115
380
輸送機械の生産指数(右目盛)
110
360
340
105
320
100
300
280
95
260
90
240
トヨタ自動車の生産台数(左目盛)
220
85
12
13
14
15
(年、月次)
(注)輸送機械の直近は、生産予測指数をもとに先のばしした15年6、7月値。トヨタ自動車の生産台数は
当研究所推計の季節調整値、直近は15年6~9月計画。
(資料)日本自動車工業会、トヨタ自動車、日刊産業新聞などをもとに三菱UFJ モルガン・スタンレー証券
景気循環研究所作成
(15.7.3
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
2
鹿野 達史)
2015 年 7 月 3 日
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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引業協会
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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
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