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知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会

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知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会
い~な
あまみ
中 央
しらさぎ
さくら
大阪+知的障害+地域+おもろい=創造
知の知の知の知
社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 1488 号 2013.8.19 発行
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障害者の健康増進に
京都市南区にトレーニング室
京都新聞 2013 年 08 月 18 日
和室を改装し、新たに開設されたトレーニング室(京都市南
区上鳥羽・市障害者教養文化・体育会館)
京都市は障害のある人がスポーツ活動を楽しむ
「市障害者教養文化・体育会館」
(南区上鳥羽)に、
トレーニング室を開設した。
同会館は障害のある人の健康増進を目的に、市障
害者スポーツ協会が運営している。二つの体育館は
一般にも有料で開放され、利用者は増えているが、
一般約1万2千人(昨年度)に対し、障害のある人の利用が約7千人にとどまっている。
同協会が運営する障害者スポーツセンター(左京区)でトレーニング室の利用が伸びて
いるため、和室を改装して自転車型トレーニング機器4台とルームランナー1台、ベンチ
プレスなどのコンビネーション機器2台を置いた。
同協会では市営地下鉄竹田駅との送迎バス運行も検討中で、利便性向上を図る。午前9
時~午後9時(日曜は午後5時)
。一般は有料。問い合わせは同会館TEL075(682)
7140(水曜休館)
。
中津川めぐり切手発売
自閉症の伊藤さん名所、特産品描く
読売新聞 2013 年 8 月 19 日
(上)フレーム切手「アカカくんの中津川めぐり」
(下)イラストを描いた伊
藤さん(中央)と母親の典世さん(右は青山市長)
中津川市の観光地や名産品をほのぼのとしたイラストで描いた
県立下呂特別支援学校高等部1年の伊藤翼さん(16)
(中津川市
加子母)の作品が、日本郵便のフレーム切手の絵柄に採用され、
東濃5市と中濃の一部計15市町村の105局の郵便局で販売が
始まった。50円切手10枚で1シート900円。
自閉症の障害を持つ伊藤さんは、粘土遊びが好きで、小学2年
生からは絵を自由に描き始め、家族や担任教師らに見守られ才能
を伸ばしてきた。
今回のきっかけは、伊藤さんを小さい頃から知る、加子母郵便
局の桂川洋策局長が今年4月中旬、母親の典世さん(41)に、
中津川をテーマにしたイラストの作成を依頼したこと。最初は戸惑ったものの、1日2枚
のペースで1か月かけて描き、自分で切手となる10枚を選んだという。
大好きなイタチ科のオコジョにアカカと名付けたオリジナルキャラクターで、作品のタ
イトルは「オコジョのアカカくんの中津川めぐり」
。馬籠宿や栗きんとん、加子母の芝居小
屋「明治座」など10種類の中津川の名所や特産品をアカカくんが楽しむ様子が描かれて
いる。地元の明治座以外は、写真などを見てイメージしたという。
大塚茂夫東海支社長から青山節児中津川市長への切手の寄贈式に母親と出席した伊藤さ
んは「難しかった。これからはもっとすてきな絵にしたい」と話していた。
伊藤さんの作品展は、恵那市のコスモブックセンターや中津川市加子母総合事務所で開
かれており、18日にはポスターやチケットのイラストを担当した可児市文化創造センタ
ーで開かれた金管楽器のコンサート会場でも作品が展示された。
第 47 回日本作業療法学会開催
週刊医学界新聞 2013 年 8 月 19 日
第 47 回日本作業療法学会が,6 月 28-30 日,長辻永喜学会長(藍野大)のもと大阪国
際会議場(大阪市)にて開催された。今学会のメインテーマは「地域に暮らす――生活を
支える作業療法」
。学会場は 6000 人を超える参加者で賑わった。
◆作業療法士はがん患者にどうかかわるか
長辻永喜学会長
学会長講演「民のまち大阪:リハビリテーションのあゆみ」で長辻氏は,
自身も長く勤務した大阪府立身体障害者福祉センター(2007 年に大阪府
立急性期・総合医療センターと統合)の歴史をたどりながら,大阪のリハ
ビリテーションの軌跡を振り返った。氏はセンターでの作業療法の主な目
標の変遷を三つの時期に分けて説明。第一期は職業更生,第二期は生活自
立と作業への適応,第三期は重複障害を持つ対象者の生活の場の確保と
QOL 向上の時期と位置付け,各期がオーバーラップしつつ大きく移り変わってきたと解説
した。
シンポジウム「がんとともに生きる人を支える作業療法」では,目良幸子氏(東名古屋
病院附属リハビリテーション学院)の進行のもと三氏が登壇。田尻寿子氏(静岡県立静岡
がんセンター)は,がん患者・がんサバイバーが生活する上での作業療法の役割を具体的
に紹介し,就労支援の必要性を訴えた。島﨑寛将氏(ベルランド総合病院)はがん患者へ
の作業療法アプローチを病期と場面に分けて解説。真のニーズを引き出すためにはコミュ
ニケーション・スキルが重要と述べた。和田文香氏(広島大病院)は小児がん患者への作
業療法と遺族会の取り組みを紹介。小児では家族とのふれあいや発達,復学の視点が重要
となること,遺族会には家族のグリーフケアになる役割と同時に作業療法士自身のバーン
アウトを防ぐ側面があると述べた。
会場からの質疑応答では,作業療法士ががん患者にかかわるようになって病院全体の意
識が変わったことも報告された。最後に目良氏が「作業療法士だからこそできることを明
確にしていきたい」と今後の可能性に期待を寄せて,シンポジウムを締めくくった。
虐待の老人福祉施設が介護報酬水増し受給 OBS 大分放送ニュース 2013 年 8 月 18 日
女性介護士による利用者虐待が発覚した別府市の高齢者介護施設が、昨年度分の介護報酬
の一部を不正に受給していたことが新たに分かりました。別府市によりますと、別府市北
鉄輪の高齢者介護施設「茶寿苑」は、昨年度、デイサービスなどを提供する施設の管理を
事務長が兼務していたにも関わらず、市に専任の管理者がいると報告し、介護報酬の加算
額およそ1800万円を受け取っていたということです。女性介護士が利用者を虐待して
いるとの内部告発を受けた県や市が行った監査で、今回の不正受給が発覚したということ
です。茶寿苑は「指導を受けたことを改善し信頼を築けるよう努力していきます」と話し
ています。市は施設に対し、今回支払われた加算分について返還請求を行う予定です。
精神障害者割引進まず 全国のバス・鉄道、未導入6割超 西日本新聞 2013 年 08 月 19 日
路線バス、鉄道を運行する全国の交通機関(自治体を含む)のうち6割超が、うつ病な
ど精神障害のある人に運賃割引を実施していないことが国土交通省の調べで分かった。身
体障害者、知的障害者の運賃割引はほぼ全ての機関が実施しているという。分け隔てなく
障害者の社会参加を促す障害者基本法の趣旨に基づき、三つの障害間の格差是正を図って
いる国は、再三にわたって精神障害者にも運賃割引を実施するよう各機関に要請してきた
が、対応にはばらつきがある。
国交省によると、身体、知的障害者の場合、障害者手帳を提示すれば運賃の半額割引を
受けられるのが一般的。介護人も半額になるところもある。しかし、精神障害者保健福祉
手帳を提示しても、全国の路線バス1819社のうち63%の1143社が運賃を割引し
ていない(2012年10月現在)
。鉄道173社でも68%に当たる118社が実施して
いない(4月現在)
。
九州7県では、路線バス61社のうち31社、
鉄道16社のうち6社がそれぞれ未実施。路線
バスでは、業界団体で導入を決めた長崎県(1
5社)や熊本県(7社)では全社が半額割引。
一方、大分県(9社)は1社も実施せず、福岡
県(13社)も実施は1社にとどまる。
12年7月、国交省は中小の路線バス会社が
参考にする「約款のモデル」を見直し、精神障
害者への運賃割引を明記。同11月には九州運
輸局が「精神障がい者に対する運賃割引等の拡
大に関する協力依頼」とする文書を各機関に送
付したが、効果はなかった。
グループのバスや鉄道会社すべてで未実施の西日本鉄道(福岡市)は「精神障害者の社
会参加の促進など趣旨は分かるが、行政負担の福祉施策で実施すべきで、慎重にならざる
を得ない」
(広報室)と主張。JR九州も「これ以上の負担は国や自治体が担うべきだ」
(同)
とするなど大手は割引に伴う減収を懸念しているもようだ。
福岡市の地下鉄を運営する市交通局は、精神障害者手帳を持つ市民のみ割引している。
厚生労働省によると、うつ病、統合失調症、不安障害などのある精神障害者は全国で約
320万人。このうち精神障害者手帳の所持者は約63万人(九州は約6万8千人)。18
年4月からは精神障害者の雇用が企業に義務付けられ、社会進出が進むとみられている。
身体、知的障害者の手帳所持者は計約608万人。
精神障害者の家族会でつくる全国精神保健福祉会連合会(東京)は「三つの障害間で格
差があるのはおかしい。精神障害への偏見も懸念される。運賃割引導入を早期に拡大して
ほしい」と訴えている。
◆利用者増えるメリットも
福岡県立大の住友雄資教授(精神保健学)の話 精神障害者が身体、知的障害者と同じ
割引を受けられない合理的な理由はない。障害者差別解消法も成立し、そのような状況は
改善されなければならない。割引による減収を気にしているところがあるようだが、精神
障害者の社会参加で利用者が増えるメリットもあるはずだ。デメリットだけを強調して導
入を拒むのはおかしい。
災害時の障害者支援を 東北大院の医師・田中さん
中日新聞 2013 年 8 月 19 日
東日本大震災の被災地で、障害者支援をした小児科医で東北大大学院准教授の田中総一
郎さん(49)が十八日、県庁講堂で講演し、南海トラフ巨大地震などに備えて障害者を
手助けする仕組みの必要性を訴えた。
田中さんは震災後、宮城県内の障害者宅や特別支援学校を巡回診察したり、障害者向け
のおむつを全国から募って届けたりする活動をした。
講演では、震災時に多くの障害者が周囲に気兼ねし、避難所でなく車などで過ごした実
態を指摘。自治体が指定を進めるバリアフリー化された「福
祉避難所」の充実や、助けが必要な障害者が「災害時は支援
を」と書かれたカードを携帯するアイデアを紹介した。
災害時の障害者支援の在り方を話す田中さん=県庁講堂で
講演は県立草の実リハビリテーションセンター(津市)が
主催し、医師や特別支援学校教諭、障害者の家族ら百人が参
加。田中さんは「いろんな関係者が意見を出し合い、支援の
方向性を考えてほしい」と呼び掛けた。
(河北彬光)
ふれあいまつり:来月1日のバザー、物品提供呼びかけ−−鶴見の障害者ホーム /神奈川
毎日新聞 2013 年 08 月 18 日
横浜市鶴見区生麦4の「障害者地域活動ホームふれあいの家」は9月1日に「第30回
ふれあいまつり」を開催する。運営資金に充てるため当日行うバザーの物品提供を呼びか
けている。
まつりは地域交流を図り障害者への理解を訴える目的で毎年開催し今年で30回目。バ
ザーのほか焼き鳥やカレーの模擬店が出る。午前10時〜午後2時。
提供を求めるバザー用品は、新品かクリーニング済みの衣類や日用品。家具、家電は受
け付けない。提供する人は8月28日までの日・月曜日以外に同ホームに持参する。問い
合わせは同ホーム(045・504・0876)。【斎藤良太】
DV、セクハラ、性被害…政治変えよう 「女性と人権全国ネットワーク」結成
産經新聞 2013 年 8 月 19 日
「女性と人権全国ネットワーク」のメンバーら。
(左から)橘ジュ
ンさん、佐藤香さん、呼び掛け人の一人の近藤恵子さん、小森雅
子さん =東京都文京区(寺河内美奈撮影)
社会的立場が弱いため困難を抱えがちな女性の社会問
題を解決しようと、
「女性と人権全国ネットワーク」が東
京都内で結成された。長年、DV(ドメスティックバイ
オレンス)などの被害者支援に携わってきた女性らが政
治を変えるために立ち上げた任意団体。将来的には政治
に参加し、
「日本の政治に一石を投じたい」としている。(清水麻子)
◆女性地位の向上
呼び掛け人は、DV問題の研究に携わってきた、お茶の水女子大学名誉教授の戒能民江
(かいのう・たみえ)さんや、親からの虐待などにあった少女たちを支援中のNPO法人
「bond Project」代表の橘ジュンさん、セクシュアルハラスメントの被害者
支援に取り組む「パープル・ユニオン」執行委員長、佐藤香さんら。いずれも女性問題の
研究や当事者支援の第一線で活躍中だ。
6月末に11人だった呼び掛け人は、同ネットワークのホームページ(http://
projectjapanwomen.net)などを通じて広がりを見せ、約130人
にまでなった。趣旨に賛同する人も約200人に増えた。
同ネットワークが目指すのは、女性の人権確保や地位の向上。戦後、婦人運動の高まり
とともに女性の社会進出は進んだが、いまだに女性の人権が大切にされているとはいえな
い。
例えば、女性は子育てを口実に、働きたくてもパートや派遣といった非正規労働者とし
ての不安定就労を余儀なくされがち。フルタイムの正社員の賃金ですら男性の7割の水準
で、管理職に就く女性も少ない。職場でセクハラ被害に遭っても労災被害として認定され
ることは少ない。
児童ポルノなど少女への性暴力被害も深刻の一途をたどっている。
◆社会の関心低い
呼び掛け人らはこれまで、当事者支援の中で浮かび上がった課題を解決しようと、政府
に要望書を提出したり、シンポジウムを開催したり、超党派の国会議員に働きかけたりす
るなどして改善を求めてきた。
しかし、女性の国会議員が少なく、女性の声を代表する組織がないため、課題は山積。
同ネットワーク事務局の小森雅子さんは「先の参院選でも女性の人権に関する政策に注目
したが、政党や社会の関心は低いことを改めて感じた。女性問題に取り組む団体が普段か
ら政治に関心を持ち、折にふれてきちんと意思表示することが必要だ」と話す。
例えば、性被害に関しては、被害女性は身近な人にすら正直に被害実態を話せないばか
りか、警察発表や裁判で被害実態が明らかにされる「2次被害」を防ぐためのいわゆるレ
イプシールド法もない。
児童虐待についても、児童虐待防止法はあっても「少女が駆け込んだ先の学校が少女の
証言を否定することすらある」
(橘さん)など現場での課題が多い中で現実的解決策を考え
る。
同ネットワークは今月中に政策の骨子をまとめ、9月中には公表したい意向だ。
■日本は政治と関わる女性の比率で後進国
日本では、政治と関わる女性の比率は国際的に非常に低い。
ジュネーブに本部を置く国際機関「列国議会同盟」(IPU)の7月の調査では、日本の
衆院議員の女性議員比率は8.1%。189カ国中159位で、中東同様に、女性の政治
参加が低い後進国だと国際的に認知されている。
総務省の調査では都道府県や市区町村など地方議会の女性議員の比率も、一番多い東京
都でも24.3%にとどまる。
こうした中、自民党はあらゆる分野で指導的地位に占める女性の割合を平成32年まで
に30%に引き上げる目標を掲げており、今後の動向が注目されている。
心のつまずき 歌で癒やして
読売新聞 2013 年 8 月 19 日
うつ病患者や不登校の児童生徒らのための相談所「純和(じゅんな)センター」(高槻市)
を運営する同市の仲田純子さん(60)が、希望や救いを感じられる歌を集めた「あなた
へ」と題したCD(5曲入り)1000枚を自主制作した。生きる苦しみを感じたとき、
心の支えにしてもらおうと企画。相談所でかかわってきた人たちのほか、東日本大震災の
被災地にも届けている。
(上野将平)
仲田さんは子育てが一段落した2007年7月、同センターを開設。翌年、NPOで心
理相談員の認定を受け、うつを患う人や、不登校の中高生ら延べ約50人と面談してきた。
その中で心の回復の難しさを知った仲田さんは、自宅で一人でいても心穏やかに過ごせ
る方法を模索。昨年春、心を癒やす音楽を集めたCDの制作を決め
た。
「音楽で癒やしを」とCDを自主製作した仲田さん(高槻市で)
河合楽器製作所の復興支援プロジェクトから生まれ、「?きっとね
誰も一人ではない」と呼びかける曲「ほらね、」や、ミュージカル映
画「サウンド・オブ・ミュージック」で修道院長が主人公を励ます
のに歌った「すべての山にのぼれ」など5曲を選曲。知人の歌手や
ピアニストらに演奏を依頼し今年3月、自ら工面した50万円で、
1000枚を完成させた。
センターの利用者や、虐待経験のある親らの支援組織のほか、仙
台市の友人を通じて被災地へも届けた。これまでうつ病の女性から
「聴いて気持ちが軽くなった」との声も寄せられているという。仲
田さんは「孤独な時こそ、音楽が力を発揮する。費用が工面できれば、さらに制作を続け
たい」と話している。問い合わせは、メールで同センター(junnatokotoko@yahoo.co.jp)へ。
【主張】国保を都道府県に 赤字付け替えで終わるな
産經新聞 2013 年 8 月 19 日
財政難に苦しむ国民健康保険(国保)を立て直すには、広域化を図るしかない。
政府の社会保障制度改革国民会議が、積年の懸案だった国保再編について、運営主体を
市町村から都道府県に移すよう提言した。現実的な選択肢である。安倍晋三政権は直ちに
具体的な検討に入ってもらいたい。
超高齢社会において医療制度を維持するには、広域的な地域情報を把握できる都道府県
の役割が欠かせない。国保の財政運営に責任を持てば、地域内における医療の効率化も進
むだろう。
国保は、自営業者や農林水産業者を中心に発足したが、現在は会社を退職した高齢者や
非正規労働者、無職の人が大半を占める。
低所得の加入者が増え、保険料滞納が深刻化している。その一方で、高齢者が多いため
に医療費がかさみ、赤字額は毎年3千億円を超す。市町村が一般会計から穴埋めしている
のが実情である。
問題はこれにとどまらない。本格的な人口減少社会を迎え、過疎化する自治体では運営
そのものが困難になることが予想される。
移管には、乗り越えるべき課題が多い。構造的な財政問題を解決することなく都道府県
に移しても、赤字の付け替えに終わるだけだ。国保は国民皆保険の「最後のとりで」であ
る。国の積極的な支援が欠かせない。
国民会議は、保険料徴収は引き続き市町村が行うとしたが、権限なしに徴収業務を行う
のでは士気の低下は免れないだろう。保険料率も自治体ごとに異なる現状を容認する考え
方が出ている。これでは何のために広域化するのか分からない。激変緩和は必要としても
段階的に統一すべきだ。
国民会議は、国保財政への支援財源の確保策として、大企業の健保組合の負担を増やす
考えも示した。だが、
「取りやすいところから取る」というのでは、健保組合が反発するの
も当然だ。国保財政に無駄がないのか、徹底的に洗い出すことが先決だ。
関係団体を交えた意見調整はこれからだ。利害を超えて改革案をまとめ、移管を成功に
導くためには、政府が積極的に協力取り付けに動くことが肝要だ。
国保の行き詰まりは日本の医療制度の破綻を意味する。これ以上の先送りは許されない
との認識に立って作業を急いでほしい。
社説:視点・保育所と企業=福本容子(論説委員)
毎日新聞 2013 年 08 月 19 日
安倍政権が「5年間で待機児童ゼロ」を掲げている。ぜひ実現してほしいが、それには
既成概念にとらわれないアプローチが必要だ。企業が持つアイデアや資源を活用しない手
はない。
キーワードは「多様」
「柔軟」ではないか。JR東日本の取り組みを一例に挙げたい。
「線路の高架下」から保育所を連想することは普通ないだろう。だが、つくってみたら
通勤する親にとって便利だし、列車の騒音も子どもの声にかき消されて気にならない。高
架下の園庭は日が当たり、夏にはプール遊びもできる。定員はあっという間にいっぱいに
なった−−。
こうした駅近くの土地や設備を保育施設などに活用したJR東の事例は、1996年の
1号以来、70カ所を超えた。来月には山手線沿線初の認可保育所をJR大塚駅の新ビル
内に開園する。目標は100カ所だ。
活用する「場所」はJR東が考え、有料で提供するが、運営は専門の保育事業者が担当
する。組んだ相手は社会福祉法人もあれば株式会社もある。
タイプも多様だ。東京都武蔵野市の「コトニア吉祥寺」は都の認証保育所と通所型の介
護施設、それに要支援、要介護の認定を受けた高齢者専用のフィットネス施設を隣接させ
たユニークな複合型だ。庭がつながっており、園児と高齢者が自然な形で交流できるのが
売りである。
駅から離れているため定員に余裕がある保育所と連携したケースもある。駅に一時預か
り所を設け、提携先の各保育所と送迎バスで結ぶのだ。親は駅までの送り迎えで済むし、
既存の保育所もフル活用できる。
路線の利用価値を高めたいというJRならではの発想だが、いつも提案がすんなり実現
したわけではない。前例にこだわらず、柔軟に対処しようとする行政があって初めて、発
想をいかすことができたようだ。
待機児童問題が特に深刻なのは都市部だが、駅周辺など利便性の高い場所に保育所を新
設しようとすれば、近隣との意見調整も必要となる。その際、どれだけ自治体が前面に立
ち推進するかがカギを握る。豊島区・大塚駅の新施設はその成功例だ。
JR東に限らず、斬新なアイデアや活用できる土地・施設、人材を持ち合わせた企業は
少なくないはずだ。それらを総動員し、さらに国が規制をより柔軟に適用すれば、よりよ
いサービスをより安く受けられる利用者が早く増えるだろう。
待機児童解消への機運がようやく高まってきた。行政は門戸を広げ、新しい知恵を競っ
て吸収してほしい。
社説:ネット依存 付き合い方を考えよう
毎日新聞 2013 年 08 月 19 日
インターネットに依存している疑いの強い中学、高校生が全国で約51万8000人に
のぼると推計されることが厚生労働省の研究班の調査でわかった。予想以上に深刻な実態
だ。多角的な取り組みが急がれる。
10万人を超える中高生が回答した初めての全国調査だった。パソコンやスマートフォ
ンなどを使ったオンラインゲームやメール、チャットなどネットへの依存度を世界的に実
施されているテストで調べた。
「ネットで人間関係を台無しにしたことがある」
「やめようとすると不安やイライラを感
じる」など8項目の質問に答えるもので、「はい」が5以上だと「病的な使用で依存の疑い
が強い」
、3〜4だと「不適切な使用」と分類される。
その結果、依存の疑いが強い生徒は、男子が約6%、女子は約10%で、全体では約8%
だった。
ネット依存の疑いが強い生徒には、睡眠の質が悪いとか、午前中に調子が出ないといっ
た傾向が目立ち、健康や生活に大きな支障をきたしていることがうかがえた。夜更かしか
ら不登校になったり、ネットから離れられなくて栄養失調になったりする例もあるようだ。
2年前からネット依存の専門外来を設けている国立病院機構「久里浜医療センター」(神
奈川県横須賀市)では、これまでに約150人が受診し、今年11月まで初診の予約が埋
まっている。
今回の研究班メンバーでもある樋口進院長によると、患者の50%弱は中高生で、当初
はオンラインゲームにのめり込む男子が多かったが、最近はスマートフォンでの友人との
言葉のやりとりがやめられない女子が増えてきた。依存のために心に深いダメージを受け
た子もいるという。
ネットは情報収集にも、コミュニケーションにも、便利な道具だ。ネットから離れた生
活は今や考えにくいだろう。だからこそ、多方面から、この問題を考える必要がある。
家庭で話し合って、深夜の使用を禁止したり、ネット使用の制限時間を決めたりするな
ど、ルールをつくることは有効だ。子供の変化に気づいたら、早めに専門医の治療を受け
ることが望ましい。
学校でネットとの付き合い方を教育する必要もある。人との触れ合いやスポーツ、レク
リエーションなど、リアルな世界の楽しさを味わうことも大切だろう。
韓国では16歳未満が深夜にオンラインゲームに接続できない制度をつくるなど、国を
挙げて対策を講じている。今回の結果は現象の一面かもしれず、日本ではまず、詳細な実
態調査を進めるべきだ。そのうえで、専門の医療機関の充実や教育など、総合的に対策を
練りたい。
社説:ネット依存―次代のリスクに対策を
朝日新聞 2013 年 8 月 19 日
次代を担う青少年に「インターネット依存」が広がっている実態が数字で示された。
厚生労働省が初めて全国の中高生を対象に抽出調査した。10万人が回答し、8%がネ
ット依存とされた。中高生全体も同じ比率なら52万人が該当する。
パソコンやスマートフォンをネットにつないで使っていないとイライラなど情緒不安定
になり、生活に影響が出る。これがネット依存の広い意味だ。
症状が深刻になると、生活が昼夜逆転して不登校になり、本人の健康や人生設計、家族
関係が崩壊する場合もある。久里浜医療センター(神奈川県)に専門外来があるが、重症
で受診するのは大半が若者だ。
医学的には病気かどうかまだ議論もあるが、米精神医学会や世界保健機関が正式に病気
と認定する方向へ進んでいる。
日本でも広く問題意識を共有し、予防や治療のための対策を進めるべき時期にきている。
症状は多様で、一般には薄く広い問題でもあり、発見しにくい。深刻化しても、問題が
家庭の中に閉じこもりがちだ。
とくに短期間で不登校などへと発展する危険性が高いタイプとしては、オンラインゲー
ムへの依存が際だってきた。
これはネット上のゲーム空間で、複数の参加者が協力して戦闘や冒険を続けるものが多
い。メンバーがそろわないとプレーできない。参加は匿名なので、子どもが引き込まれる
連鎖の力も強い。ネットには「もう遅いから子どもは寝なさい」という人はいない。
この問題の対策では韓国が先を行く。IT立国の一環でブロードバンドとオンラインゲ
ームを広めたところ、ゲームのやりすぎで若者がエコノミー症候群のような状態で急死す
るなどして社会問題化した。
政府が乗り出し、早期発見や予防教育、治療態勢の整備などを組織的に進めている。ネ
ット断ちの合宿療法が知られるほか、未明の6時間は16歳未満のネット接続を強制遮断
する制度にも踏み切った。
どんな対策がいいかは国情にもよろう。だが、早期発見と適切なアドバイス、家族の協
力がかみ合えば深刻化をかなり防げる点は万国共通だ。
日本も、学校での呼びかけ、親たちへの啓発、学校や保健所のカウンセラーの研修、対
応できる医療機関の拡充などに取り組む必要があるだろう。
日進月歩で変化するネット環境に潜む未知のリスクに、社会が備える基盤づくりにもつ
ながるはずだ。
月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も
大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行
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