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Yano Research Institute Ltd
2015 年 5 月 28 日
パッケージ印刷市場に関する調査結果 2015
―軟包装分野における需要が堅調、当面は微増基調を予測―
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内のパッケージ印刷市場の調査を実施した。
1.調査期間:2015 年 1 月~4 月
2.調査対象:国内主要軟包装、紙器印刷加工事業者等
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話によるヒアリング、ならびに郵送アンケート、文献調査を併用
<パッケージ印刷市場とは>
本調査におけるパッケージ(外装用途)印刷とは軟包装分野と紙器分野を対象とし、これらの分野の印刷加工市
場を指す。このうち紙器に関しては、主に外装用途で使われる紙製の箱を指し、紙コップや液体カートンなどの液
体容器や紙袋は含まない。また紙器の中でも板紙に印刷加工が施された紙箱を対象にしており、仕上げ紙(くるみ
紙)で包み、貼り込んで作られる貼箱や印刷加工がされてない簡易箱、また段ボールは対象外としている。ただし、
段ボールにおいて、用途が重なっているマイクロフルート(F 段、G 段)や一部の板紙との合紙品は含む。
【調査結果サマリー】
 2013 年度のパッケージ印刷市場規模は 1 兆 3,193 億 4,300 万円、前年度比 1.5%増
パッケージ印刷市場は東日本大震災の影響で伸び悩んでいたが、経済情勢が上向く中で、ようや
く需要が回復傾向となった。コンビニエンスストア向け製品の好調やプライベートブランド(PB)
製品の増加など食品分野の需要が拡大した。また、2013 年度の第 4 四半期に消費増税前の駆け込
み需要が発生したことも市場拡大に寄与した。
 2014 年度のパッケージ印刷市場規模は 1 兆 3,220 億円、前年度比 0.2%増の見込、
当面は横ばいないし微増を予測
2014 年度は、第 1 四半期に前期の駆け込み需要の反動があり、これに加えて夏場の天候不良で
飲料分野など一部の需要分野で需要が減少した。しかし、軟包装分野における需要が総じて堅調で
あるため、同年度の市場規模は 1 兆 3,220 億円、前年度比 0.2%増の微増となる見込みである。
今後もパッケージ印刷市場は、大幅な伸長こそ見込めないものの、大きく落ち込む事態も想定し
難いため、当面は特殊要因が発生しない限り、横ばいないし微増で推移していくものと見る。
◆ 資料体裁
資料名:「パッケージ印刷市場の展望と戦略 2015 年版」
発刊日:2015 年 4 月 28 日
体 裁:A4 判 283 頁
定 価:120,000 円(税別)
 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。
Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd.
2015 年 5 月 28 日
【 調査結果の概要 】
1. 市場概況と予測
本調査におけるパッケージ(外装用途)印刷とは軟包装分野と紙器分野を対象とした印刷加工市
場を指すが、需要分野としては食品や飲料、日用品から医療・医薬品などに用いられる。
2013 年度のパッケージ印刷市場規模は 1 兆 3,193 億 4,300 万円、前年度比 1.5%増となった。2011
年に発生した東日本大震災の影響で、当該市場は伸び悩んでいたが、経済情勢が上向く中で、よう
やく当該市場における需要も回復傾向となった。コンビニエンスストア向け製品の好調やプライベート
ブランド(PB)製品の増加など食品分野の需要が拡大した。また、2013 年度の第 4 四半期に消費増税
前の駆け込み需要が発生したことも市場拡大に寄与した。
2014 年度は、第 1 四半期に前期の駆け込み需要の反動があり、これに加えて夏場の天候不良で
飲料分野など一部の需要分野で需要が減少、加えて価格競争や安価な PB 製品の増加が単価押し
下げへの圧力ともなった。しかし総じてみれば、特に軟包装の需要が堅調に推移しているため、2014
年度の市場規模は 1 兆 3,220 億円、前年度比 0.2%増の微増となる見込みである。
2. 分野別動向
軟包装や紙器はともに重量が缶や瓶などの他の包装材と比べて軽く、輸送コストという点において
は優位性がある。
しかし、紙器については 2 次包装材として使用されるケースが多いため、昨今の環境への配慮から
省包装化の影響を大きく受けている。また、菓子ではマルチパックやファミリーパックが増えており、個
包装された製品の中箱用途として紙器に替わって軟包装が採用されるケースも増えてきている。バリ
ア性や耐久性などの機能面での付加価値についても、他の包装材に比べると低く、この点も減少基
調の一因となっている。これらに加えて、参入事業者間での価格競争も激化しており、各事業者の収
益は概して低調である。しかし、出版印刷分野や商業印刷分野といった他の印刷市場に比べるとそ
の減少幅は小幅であり、底堅い需要に支えられた市場でもある。
一方、軟包装については 1 次包装材として使用されるケースが大半であるため、省包装化の影響を
受けにくい。競合となる他の包装材との比較においても、バリア性などある程度の機能を担保できる上、
素材が軽量であり、輸送コストなどの面からその優位性は高く、総じて需要は安定しているといえる。
しかし、ここ数年原料の上昇が大きな影響を与えてきたことに加え、電気・ガスなどのエネルギーコ
ストの上昇や競合との価格競争、小ロット多品種化や顧客の印刷品質(色調など)への過剰要求によ
るロス率増加・生産効率の低下も各事業者の収益を圧迫している大きな問題となっている。また、異業
種からの参入の動きも加速しており、取り巻く環境は厳しさを増している。
3. 将来展望
今後もパッケージ印刷市場は、大幅な伸長こそ見込めないものの、食品や日用品など生活に密着
した分野を需要分野としていることもあり、大きく落ち込む事態も想定し難い状況となっている。当面は
特殊要因が発生しない限り、横ばいないし微増で推移していくものと見る。ただ、市場では高齢化や
人口減少といった構造的な減少要因を抱えており、長期的に見ると縮小していく可能性がある。需要
が比較的安定している今のうちに、各事業者は今後の生き残り策を模索する必要があるものと考え
る。
Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd.
2015 年 5 月 28 日
図 1. パッケージ印刷市場規模推移と予測
(単位:百万円)
矢野経済研究所推計
注 1. 事業者売上高ベース
注 2. (見込)は見込値、(予測)は予測値
注 3. パッケージ(外装用途)印刷とは軟包装分野と紙器分野を対象とした印刷加工市場を指すが、需要分野としては
食品や飲料、日用品から医療・医薬品などに用いられる。
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