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知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会

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知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会
い~な
あまみ
中 央
しらさぎ
さくら
大阪+知的障害+地域+おもろい=創造
知の知の知の知
社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 1906 号 2014.5.16 発行
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【主張】1億人維持 安心して子供持つ喜びを
産經新聞 2014 年 5 月 15 日
政府の経済財政諮問会議の専門調査会が、人口減少に歯止めをかけるため「50年後に
1億人」の維持を目指す数値目標を掲げ、甘利明経済再生相は、6月に策定する「骨太の
方針」に反映させる考えを表明した。
少子化は危機的状況にある。このままでは労働力人口は激減し、社会システムそのもの
が成り立たなくなる。数値目標によって「政府の覚悟」を示せば、長期にわたる政策の優
先順位が明確になる。政府には、現状を打破する大胆でキメの細やかな政策を期待したい。
従来の対策が効果を上げなかった一因は、戦時中の「産めよ殖やせよ」へのアレルギー
から、政府が結婚や出産に関与することへの反発が強く、国会議員や官僚が及び腰だった
ことにある。
少子化対策の効果は一朝一夕に表れず、政府は短期的な対策を繰り返してきた。もはや
手をこまねいていられる状況ではない。
専門調査会が示した目標値は、現在1・41まで下がった合計特殊出生率が、2030
年までに人口を維持できる2・07に回復することを想定している。これは極めて高いハ
ードルだ。
だが、これまで成果を出すことができなかった現状を考えれば、目標数値は大きいほう
がよい。
もちろん結婚や出産は国民個々の意思によってなされるものだ。国家が目標を立てて強
要するものではない。
目標は、あくまで政策を展開するための目安である。女性への「圧力」と受け止められ
ることがないよう、政府には丁寧に説明することが求められる。
急ぐべきは、安心して子供を産むことができる社会環境を整備することだ。
専門調査会は、3人目以降の子供への傾斜支援や、高齢者に偏った現在の予算配分を改
め、出産・子育て支援を倍増させるよう求めている。女性が働くことを阻害している諸制
度の全面見直しにも言及している。若者の雇用を安定させることも不可避だ。可能なもの
から実現を急いでもらいたい。
何より重要なのは、家庭を築く楽しさを社会全体で再確認することだ。既婚者が家庭を
持った喜びや充実感をもっと語ることも求められるだろう。
少子化の要因は複雑に絡み合っている。目標設定をきっかけに、国民の総合力を結集し
たい。
社説:路上の民主主義―自ら考え動き出す人たち
朝日新聞 2014 年 5 月 15 日
変わらなければ。
変えなければ。
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を経験した2011年。「第二の敗戦」といっ
た言葉も飛び交うなか、日本社会は深い自省と、根源的な変革を求める空気に満ちていた。
それを目に見える形で示したのが、震災から約半年後に東京で開かれた「さようなら原
発」集会だ。主催者発表で6万人が参加。ノーベル賞作家・大江健三郎さんは訴えた。「何
ができるか。私らにはこの民主主義の集会、市民のデモしかない」
あれから3年近くが経った。
■首相がまく種
自民党が政権に戻り、原発再稼働が推進され、大型公共事業が復活する。
何も変えられなかった。
冷めた人。折れた人。疲れた人。民主党政権への深い失望と相まって膨らんだ諦念(て
いねん)が、安倍政権の政治的原資となってきたことは否めない。
反対意見に向き合い、議論を深める。民主制の根幹だ。しかし首相はどうやら、選挙で
選ばれた、最高責任者の自分がやりたいようにやるのが政治で、反対意見なんか聞くだけ
無駄だと考えているようだ。
憲法の縛りさえ、閣議決定で「ない」ことにしてしまおうという粗雑さ。これに対し、
与党が圧倒的議席をもつ国会は、単なる追認機関と化しつつある。
気づいているだろうか。
首相の強権的な政治手法とふがいない国会のありようが、自ら思考し、行動する政治的
な主体を新たに生み、育てていることに。怠慢なこの国の政治家にとっては、幸か、不幸
か。
■声を響かせる
「
『Fight the power』、これは権力と闘えって意味で、ちょっと過激な
んすけど、まあ英語だから大丈夫かなと」
憲法記念日に東京・新宿で行われた「特定秘密保護法に反対する学生デモ」。集合場所の
公園で約400人が声を合わせ、コールの練習を始めた。都内の大学生らが主催した、党
派によらない個人参加のデモ。ネットや友人関係を通じて集まった。
出発。重低音のリズムを刻むサウンドカーを先頭に、繰り返される「特定秘密保護法反
対」
「憲法守れ」
。堅苦しい言葉がうまくリズムに乗っかって、新宿の街にあふれ出してい
く。
大学生たちがマイクを握る。
「自分らしく、自由に生きられる日本に生まれたことを幸せに思っています。でも、特
定秘密保護法が反対を押し切って成立した。このままじゃ大好きな日本が壊れちゃうかも
しれないって思ったら、動かずにはいられませんでした」
「私は、私の自由と権利を守るために意思表示することを恥じません。そしてそのこと
こそが、私の『不断の努力』であることを信じます」
私。僕。俺。借り物でない、主語が明確な言葉がつながる。
社会を変えたい?
いや、伝わってくるのはむしろ、
「守りたい」だ。
強引な秘密法の採決に際し、胸の内に膨らんだ疑問。
民主主義ってなんだ?
手繰り寄せた、当座の答え。
間違ってもいいから、自分の頭で考え続けること。おかしいと思ったら、声をあげるこ
と。
だから路上に繰り出し、響かせる。自分たちの声を。
「Tell me what democracy looks like?(民主主
義ってどんなの?)
」のコール。
「This is what democracy looks like!(これが
民主主義だ!)
」のレスポンス。
ある学者は言う。頭で考えても見通しをもてない動乱期には、人は身体を動かして何か
をつかもうとするんです――。
彼らは極めて自覚的だ。社会はそう簡単には変わらない。でも諦める必要はない。志向
するのは「闘い」に「勝つ」ことよりも、闘い「続ける」ことだ。
■深く、緩やかに
5月最初の金曜日に100回目を迎えた、首相官邸前デモ。
数は減り、熱気は失せ、そのぶんすっかり日常化している。植え込みに座って、おにぎ
りを食べるカップル。歌をうたうグループ。「開放」された官邸周辺を思い思いに楽しんで
いる。
非暴力。訴えを絞る。個人参加。官邸前で積み上げられた日常と、新しいデモの「知恵」
がなければ、昨年12月に秘密法に反対する人々が国会前に押し寄せることも、学生たち
のデモも、なかったかもしれない。
つよいその根は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
(金子みすゞ「星とたんぽぽ」
)
たんぽぽのように、日常に深く根を張り、種をつけた綿毛が風に乗って飛んでいく。そ
れがどこかで、新たに根を張る。
きょう、集団的自衛権の行使容認に向け、安倍政権が一歩を踏み出す。また多くの綿毛
が、空に舞いゆくことだろう。
社会は変わっている。
深く、静かに、緩やかに。
障害者就職、4年連続で過去最高 精神が身体を上回る
朝日新聞 2014 年 5 月 14 日
厚生労働省は14日、2013年度にハローワークを通じて就職した障害者が7万78
83人で、4年連続で過去最高を更新したと発表した。うつ病や統合失調症など精神障害
者の就職者数が、初めて身体障害の人を上回った。企業に課される雇用義務が強まり、障
害者の「人手不足」が続いていることが背景にある。
障害者の就職者数は前年度と比べて14・0%増え、統計をさかのぼれる1970年度
以降で最も多かった。障害種別では「精神」が2万9404人(前年度比23・2%増)
で最も多く、
「身体」は2万8307人(同6・5%増)、「知的」は1万7649人(同1
0・1%増)
。「精神」の人数が「身体」を上回るのは、比較可能な95年度以降では初め
て。
増加の最大の要因は昨年、企業が達成すべき法定雇用率(従業員に占める障害者の割合)
が1・8%から2・0%に引き上げられたため。厚労省障害者雇用対策課は「企業がいま
まで以上に採用に目を向けている」と分析している。(山本知弘)
障害者の職場定着を支援 米子に推進センター開所
日本海新聞 2014 年 5 月 15 日
「とっとり障がい者職場定着推進センター」が 14
日、鳥取県米子市道笑町2丁目に開所し、業務を開始
した。配置されたジョブコーチ(職場適応援助者)が、
就労した障害者の職場定着を図る。
事務所入り口を除幕して開所を祝う関係者=14日、米子市道
笑町2丁目の「とっとり障がい者職場定着推進センター」
県内のジョブコーチの拠点施設は、鳥取障害者職業
センター(鳥取市)に続き2カ所目。県の委託を受け、社会福祉法人「あしーど」(光岡芳
晶理事長)が運営する。同施設にはジョブコーチ3人を配置する予定で、県西部地区の雇
用先に出向いて障害者本人や家族、雇用主などへの助言や相談対応を行う。
この日の開所式では、林昭男副知事が「障害者雇用が一層進んでいくことを願う」とあ
いさつ。障害者を雇用する企業を代表して「大山どりーむ」
(米子市)の尾崎正秀社長が「県
西部に拠点ができて非常に心強い」と期待を寄せた。
同施設の所長を兼務する障害者就労・生活支援センター「しゅーと」の中島哲朗所長は
「これまではさまざまな相談窓口があったが、総合的に支援できるようになった。事業に
まい進していきたい」と抱負を述べた。
アスナビ:障害者スポーツ選手にも対象拡大へ
毎日新聞 2014 年 05 月 15 日
日本オリンピック委員会(JOC)が仲介役となってアスリートの就職活動を支援する
プロジェクト「アスナビ」が、障害者スポーツの選手にも対象を拡大することが14日、
分かった。アスナビは原則として健常者スポーツ選手が対象。障害者選手にも対象が広が
れば、競技環境が改善する一助となりそうだ。
JOCと日本パラリンピック委員会(JPC)は協議を進めて「できるだけ早く」制度
化したいという。2020年東京五輪・パラリンピックの開催が決定し、昨年4月には障
害者の法定雇用率が民間企業で2・0%に引き上げられた。このため、障害者スポーツ選
手の雇用を希望する企業が増えており、これまでにも4人の障害者スポーツ選手の就職を
支援したことがあった。
国内の障害者アスリートらでつくる「日本パラリンピアンズ協会」が2012年に公表
したアンケート結果によると、代表選手らの年間活動費の自己負担は平均140万円超。
障害者スポーツ選手の競技環境は厳しい状況が続いていた。【新井隆一】
島根)ビーチサンダル用の障害者アートに一票を 一色涼
朝日新聞 2014 年 5 月 15 日
ビーチサンダルデザインコンテストの応募作品
ビーチ
サンダル
の絵柄に
してほし
い障害者
アートに
一票を―
―。県立し
まね海洋
館アクアス(浜田、江津市)で、障害者が水中の生き物
を描いた57作品のコンテストが開かれている。18日
まで。
作品は、魚やペンギンが鮮やかな色遣いや奔放なタッ
チで描かれている。4月にあったアクアスのデッサン会
に参加した県内12の障害者施設の入所者が応募した。
来館者の投票により、上位入賞3~5作品を、6月中
旬にビーチサンダルとして商品化する。
イヌ・ウサギにニッコリ 障害者施設でふれあい
読売新聞 2014 年 05 月 15 日
福知山市三和町千束、障害者支援施設「みわ翠光園」の入所者が14日、同施設でイヌ
やウサギなどの小動物とふれあった。
高齢者や障害者に動物を通して安らぎを感じてもらおうと府が行っている「動物ふれあ
い訪問事業」の一環。府動物愛護管理センター(西京区)で飼育されている小型犬8匹と
ウサギ10羽、モルモット15匹が到着すると、70人の入所者は「かわいい」
「こっちに
おいで」と声をかけ、いとおしそうに頭や体をなでていた。
清水宏一施設長(41)は「入所者が笑顔を見せてくれるのがうれしい。来年もぜひ続
けていきたい」と話していた。
手作りアイス就労に一役
福知山の作業所が商品化
京都新聞 2014 年 05 月 15 日
イベントに出店した店頭に立ち、
「収穫のアイス」を販
売する第2ふくちやま作業所の利用者(中央)=福知
山市中ノ
障害者の就労支援を行っている京都府福知
山市上天津の第2ふくちやま作業所が、地元の
農産物を使ったアイスクリームを手作りして
販売している。イチゴやサツマイモなど五つの
味があり「収穫のアイス」と名付け、障害者の
仕事づくりに一役買っている。
社会福祉法人ふくちやま福祉会(同市奥野
部)が運営する同作業所は8年前に開所し、障
害者12人が靴箱の組み立てなどの軽作業に従事してきたが、受注が不安定だった。新た
な仕事を作って施設利用者の賃金アップにつなげるため、アイスクリームの製造販売に取
り組むことにした。
原材料は、自分たちが育てたサツマイモのほか、地元農家が栽培したイチゴやクリ、府
内産の抹茶、京丹後産の牛乳を使用する。障害者らがサツマイモやクリの皮をむくなどの
下ごしらえをし、職員2人が製造を担当している。味は甘さを控えて食べやすくしたとい
う。
商品名「収穫のアイス」と、乳牛を描いたパッケージは綾部市の和紙作家ハタノワタル
さん(42)が考案。ハタノさんは「福知山周辺の地元産ということが消費者に伝わり、
覚えやすいデザインにこだわった」と話す。
職業指導員の桑原香代子さん(49)は「地元の人に支えてもらい商品化できた。安心
して食べてもらえる自慢のアイスクリームです」と話している。
1カップ(120ミリリットル)310円。購入先は第2ふくちやま作業所TEL07
73(33)3800。近隣市町で開かれるイベントにも出店販売している。
「入所前に虐待被害」過半数…都内の児童・女性福祉施設調査
読売新聞 2014 年 5 月 15 日
東京都内の児童・女性福祉施設に入所している人の過半数が、入所前に何らかの虐待を
受けていたことが、東京都社会福祉協議会の調査で分かった。虐待の防止や早期発見のた
め、地域の役割に期待する声も目立った。
調査は昨年11~12月、同協議会の「児童・女性福祉連絡会」に所属する児童養護施
設、母子生活支援施設など140か所に調査票を配布し、106か所から回答を得た。
それによると、入所者計4191人のうち、53・4%に当たる2240人が、入所前
に虐待を受けていた。殴る蹴るといった身体的虐待が36・5%で最も多く、育児放棄な
どのネグレクト(30・7%)
、暴言などによる心理的虐待(24・3%)が続いた。
入所前に虐待を受けていた入所者を各施設5人ずつ選んでもらい、個別の状況を尋ねた
ところ、虐待を受けた相手は、実母(50・9%)、実父(29・6%)、配偶者(22・
5%)の順に多かった。
虐待が早期に見つからなかった要因では、「本人が相談できる人や機関を知らなかった」
(40%)
、
「本人が虐待を受けている認識がなかった」(34・3%)など、本人の認識不
足が影響する例が目立った。
施設の90・6%が「虐待を防ぐ上で、地域住民にできることがある」と回答。具体的
には、
「あいさつや声かけにより、虐待の加害者、被害者となりうる人が孤独を感じないよ
うにする」
「気軽に立ち寄れる場所を地域に作る」などが挙がった。
同協議会は「この結果をもとに、今年度は地域住民や施設と連携して、虐待を防ぐため
の具体的な活動を模索していきたい」としている。
逆転で職員の暴行認定=障害者施設側に賠償命令-高松高裁
時事通信 2014 年 5 月 15 日
知的障害者施設で職員から暴行を受け、内臓損傷の大けがをしたとして、入所者の男性
(39)と家族が徳島県の社会福祉法人「柏涛会」などに約1億3000万円の損害賠償
を求めた訴訟の控訴審判決が15日、高松高裁であった。山下寛裁判長は請求を棄却した
一審徳島地裁判決を変更し、施設側の責任を認め約370万円の支払いを命じた。
一審判決は、職員の暴行を認めるに足りる証拠はないとしたが、山下裁判長は「当時の
宿直担当者が故意に暴行を加えたと推認できる」と判断。けがは自傷行為やドアにぶつか
ったためなどとする施設側の主張を退けた。
知的障害者への支援
西日本新聞 2014 年 5 月 15 日
罪を犯した知的障害者が社会に帰った後、適切なサポートを受けられずに罪を繰り返す
のを防ぐ試みが広がってきた。佐賀県では、地域生活定着支援センターが服役中や公判段
階で面接し、必要な福祉を確認して支援計画を作成、療育手帳や生活保護、就労支援など
のサービスを申請し自立を促している。佐賀保護観察所も今月、窃盗などで逮捕・送検さ
れ起訴猶予になる見通しの容疑者について佐賀地検から情報提供を受け、釈放後は更生保
護施設に一時入所してもらい、福祉の申請など生活基盤づくりを助ける仕組みを整えた。
立ち直りを支える<2>生活支援の輪をつなぐ 地域生活定着支援センター相談支援員
井原 敦弘さん
県内の勾留施設。社会福祉士の井原敦弘さん(40)は、器物損壊容疑で逮捕された男
性とアクリル板を隔てて対面していた。
「実は今回分かったんだけど、あなたには知的障害があるんですよ」
。男性はきょとんと
している。
「障害ってどんなものですか」と返した。井原さんは簡単に説明し、知的障害者
のための療育手帳を取得すれば就職や生活で援助を受けられると伝えた。男性は「もう3
0歳だから、ちゃんと働いて結婚したい。でも殴られるから家には帰りたくない」と続け
た。
井原さんは、刑務所を出所する障害者や生活困窮者の社会復帰を促すために県が200
9年に設立した地域生活定着支援センターの相談支援員。本人や家族との面接、自治体や
福祉への橋渡しを通して、住居や収入などの生活基盤を整える。昨年4月からは、起訴さ
れずに釈放される見込みの容疑者や執行猶予付きの判決が予想される被告も対象になった。
「立ち直りを支えるには、本人がどんな環境にいて、どんな困難を抱えているかを正し
く把握する必要があります」と井原さん。この男性は「父に殴られるから、イライラを発
散した」と告白した。
男性は自動販売機に火を付けて壊した。刑事責任能力を調べる佐賀地検の簡易鑑定で、
知能指数(IQ)は59と分かった。69以下は知的障害の疑いがあるとされる。起訴さ
れて公判が始まったが「犯行時は善悪の判断能力が極端に低い状態だった」という精神科
医の診断が認められると執行猶予になる可能性があり、弁護人から井原さんに連絡がきた。
成人が療育手帳を申請するには、小中学校の成績証明書や家族の証言がいる。男性に面
接した井原さんは両親にも会い「息子さんには障害があるようです」と告げた。2人は「ま
さか」と絶句、父は涙を流した。
1歳児健診で発達の遅れを指摘され、小学校の成績は6年間オール1。教師は特別支援
学級を勧めたが、両親は受け入れることができなかった。家業を継いでほしいと願ったが、
簡単な作業も指示通りにできず「もういい年だ。ちゃんと働いて結婚しろ」と繰り返した。
焦りから、父は思わず暴力を振るった。
井原さんは、自治体、障害者相談支援センター、両親と弁護人に集まってもらい、男性
の今後について話し合った。佐賀地裁に勾留執行の一時停止申請が認められ、本人も加わ
った。
会議では、療育手帳を申請すること、支援センターが就労を支えること、それぞれが密
に連絡を取ることを確認。釈放された後の住居は男性の祖母宅に決まった。知的障害や福
祉サービスの仕組みについて説明を受けた父は「息子につらい思いをさせた。すまなかっ
た」と語った。
判決で裁判長は「刑務所よりも、福祉の力を借りて更生するべきだ」と述べ、執行猶予
をつけた。男性は今、県内の祖母宅に身を寄せ、障害福祉サービス事業所で製品の袋詰め
などの仕事に精を出している。
ただ祖母は高齢で、孫の面倒をいつまでみられるか分からない。離れて暮らす両親も、
一度は息子の障害に向き合おうとしたが「やっぱり普通の仕事をさせたい。気合いの問題
ではないのか…」とも考えてしまうという。
「福祉サービスを受けさせるだけでは、本当の解決にはならない」と井原さんは話す。
男性と両親との面接を続け、再び共に生きられる日がくるように、家族の結びつきを解決
する道も探っている。
高齢者見守りへ個人情報活用例、消費者庁が公表
読売新聞 2014 年 5 月 15 日
高齢者の孤独死や認知症による徘徊(はいかい)での事故防止などに役立ててもらおう
と、消費者庁は14日、高齢者の地域の見守り活動で、個人情報を活用する自治体の取り
組み事例をまとめ、公表した。
同庁によると、個人情報をめぐっては、保護意識の高まりで法律の規制以上に情報提供
を控える「過剰反応」が指摘されている。自治体から実際に個人情報を活用している事例
を知りたいとの要望が寄せられ、同庁が全国の自治体に照会。8県9市の取り組みを事例
集としてまとめた。
事例集では、活動概要や情報提供をめぐる議論の中身のほか、成果や問題点なども掲載
している。
例えば、高松市のケースでは、見守り対象者の同意を得なくても審議会をへて水道検針
事業者に情報提供していることを「進んでいる点」として評価。情報提供を受けた業者は
検針時に、検針結果を直接対象者に伝えながら体調や安否を確認するなど見守り活動につ
なげている。
手話は「重要言語」
関西で普及取り組み進む
大阪日日新聞 2014 年 5 月 15 日
手話を言語として位置付け、普及や理解促進を図る取り組みが、関西で広がっている。
関西学院大学(兵庫県西宮市)人間福祉学部は言語科目の一つとして「日本手話」を開講
し、毎年約200人の学生が向き合う。枚方市は、手話の医療通訳者を養成し、ろう者が
適切な医療を受けられる制度づくりを模索する。ろう者のコミュニケーションに欠かせな
い「手話」
。言語としての重要性に、社会があらためて目を向ける必要がある。
「日本手話」の授業でろう者の講師から手話を取り巻く
課題を聴く学生=13 日、兵庫県西宮市の関西学院大学
■「第2言語」
関学大人間福祉学部は2008年度に「日本
手話」を選択必須の言語科目として開講。手話
を独語や仏語、中国語などと並ぶ「第2言語」
として選択できるようにした。学生は2年間に
手話の実技と講義を履修している。
同学部の松岡克尚教授(社会福祉学)は「日
本社会でも日本語とは異なる言語(日本手話)
があり、決して単一の言語や生活習慣、文化で
染まっていないこと、豊かな多様性が認められることを学生に気付いてもらう」と開講の
狙いを語る。
「ろう者」と「聴者」を組み合わせた講師陣によるチーム体制で指導。ろう者の講師が
実技を、聴者の講師が「ろう文化概論」「日本手話概論」を担当する。実技は手話だけで講
義を進める。
■学生の変化
「聾学校でさえ手話ができない先生がいた。勉強ではなく、話している内容が分からな
い。誰のための学校なのか?」
13 日の関学大西宮上ケ原キャンパス。ろう者の前川和美講師(38)は1年生のクラスで
「私が受けた“教育”」をテーマに講義。相手の口元を見て内容を読み取る「読話法」や「口
話法」を押し付けられた自身の経験を振り返り、日本のろう教育の課題を指摘した。
前川氏は「ろう者が百パーセント分かる言語は手話。口話や読話は相手の話す内容をつ
かみ取るだけでエネルギーを費やしてしまう。手話での教育が必要」と語る。
「日本は遅れている」
。1年の小川こはるさん(19)は講義を聴いてこう感じ「手話を身
に付けるだけでなく、ろう者に対する社会の意識も変えなければ」と話した。関学大の学
生の間には講義を機に手話通訳士を目指す動きもあり、社会福祉施設や行政機関に就職し、
ろう者と手話で接している。
■安心し医療を
枚方市は 13 年度、外国人や聴覚障害者が安心して医療が受けられるようにと「医療通訳」
の養成を始めた。外国語の医療通訳の養成は他自治体でも行あるが、手話を対象にした例
は珍しい。
専門用語が飛び交う医療の現場は、ろう者が症状を伝え、医師の言葉を正確に理解する
ことが難しい。市担当者は「ろう者が健聴者と同じように適切な医療を受けるには手話と
いう言語でコミュニケーションすることが必要」と言い切る。
13 年度の講座は3人の通訳者が受講。14 年度内にも手話を含む医療通訳者の派遣制度を
設ける予定。市は「言葉の壁を越える医療が必要。万人が隔たりなく先進医療が享受でき
る社会を実現させたい」と意気込む。
月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も
大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行
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