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2002 年 9月 13 日 研究用途として手話の発話映像
2002 年 9月 13 日 研究用途として 手話の発話映像デ ー タベー ス をイン ター ネット上で 公開 バリア フ リー 情報化社会に向けた手話研究の広がりを目指す 日立製作所 中央研究所(所長:西野壽一)は、このたび、経済産業省のリアルワールドコンピューティ ング(RWC)プロジェクトに参画して開発した「日本手話*1 コーパス」(手話の発話映像に、手指や頭部・ 表情・身振りなどの動作を示すラベルをつけたもの)の一部を研究用途として、インターネット上で無料公 開します。 これにより、手話の研究において鍵となる手話コーパスを多くの研究者に利用してもらうことが可能とな り、手話研究の裾野を広げ、バリアフリー情報化社会の発展への寄与をめざします。 手話の言語研究や手話をインタフェースとする情報機器の研究・開発において、手話の発話映像デー タベースは大変有用な情報です。しかし、手話の発話映像データベースを一から構築するのはとても手 間がかかるため、研究を進める上での障壁となっていました。 一方で、手話の研究・開発が多くの方に広がることは、進化する情報化社会のなかで手話研究の高度 化や手話をインタフェースとする情報機器の発展のために重要です。 このような背景から、今回、日立はこれまで経済産業省のRWCプロジェクトに参画、構築してきた手話 の発話映像データベースを整備し、ラベル付きの「日本手話コーパス」としてインターネット上で無償公開 します。 このラベル付き日本手話コーパスは、手話研究の資料として、またジェスチャーや表情の認識に関する 研究の資料として利用可能です。 今回公開するデータは、手話の基本である100文ですが、今後は本サービスの利用者からのフィード バックを参考にして、公開データを増やしていくことを検討しています。 【 公開す る 日本手話コ ー パスの概要】 ・発話内容:日本手話の基本文型を示す文例 100 文(目上の人に対するようなやや丁寧な表現) ・手話データ内容: ①手話映像データ:AVI ファイル形式、ビデオサイズは 720×480ドット、1 文あたり約 30MB。 ②ラベル情報 :手指動作および非手指動作について記述した文字情報。非手指動作は顎、 頭、眉、瞼など 8 箇所の部位について合計 51 種類のラベルを用意。 ③手袋型入力装置による手動作データ ・表示ツール:発話映像の時間軸に沿ってラベル情報を表示。手動作データに基づく手話アニメーシ ョンを発話映像と同期させて表示。 【 公開HP】 http://www.academic-net.jp 「アカデミックネットワークの手話フォーラムメンバ」に登録後(無料)、手話データおよび表示ツールをダウ ンロードし、研究に活用できます。なお、無償公開は、2002 年の9月13日から開始する予定です。 <補足> ■開発の経緯 日立では、聴覚障害者と聴者のコミュニケーション支援を目的に、1993 年度から 2001 年度まで、経済 産業省のリアルワールドコンピューティング(RWC)プロジェクトを実施する技術研究組合新情報処理開 発機構(RWCP)に参画し、日本手話を対象とした手話-日本語翻訳技術*2 の研究開発を行いました。 このなかで、日本手話の文法規則を抽出するために、日本手話コーパスを開発しました。 ■注釈 (1) 日本手話:日本で使われている手話は「日本語対応手話」と「日本手話」に大別されます。日本語対 応手話では、音声として話される日本語の語順で手話単語を表現します。これに対して、手話を母 語とする聴覚障害者同士の会話で使われる日本手話は、日本語とは異なる文法をもつ言語です。 主として手指動作で単語を表現し、文法情報の多くを非手指動作(頭部動作・表情・身振りなど)で 表現します。非手指動作の中でも特に頷きなどの頭部動作は、文の構造に関わる文法マーカとして 重要な機能を持っています。例えば、手指動作で「私・パソコン・本・買う」という単語列を表現する際 に、「私」「本」「買う」のそれぞれの手指動作の後に‘頷き’の頭部動作を行うと、「私はパソコンの の本を 買います」いう意味になります。さらに「パソコン」の後にも‘頷き’の頭部動作が加わると「私はパソコ ンと と 本を買ます」という意味になります。 (2) 手話-日本語翻訳技術:手話から日本語への翻訳を行う技術。日立で開発した技術では、手袋型の 入力装置から手指動作を、ビデオカメラから頭部動作を入力し、パソコン上で日本語文に変換します。 RWC プロジェクトの最終成果として、産業技術総合研究所の協力を得て開発しました。本技術の開 発では、日本手話コーパスのデータを手話文法の分析用データとして利用するとともに、頭部動作認 識・手動作認識の実験用データとしても活用しました。 ■照会先 株式会社 日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:内田、木下] 〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目 280 番地 電話 042-327-7777(ダイヤルイン) 以上 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------このニュースリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。 発表日以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。 -----------------------------------------------------------------------------------------------------------------