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経腹エコーによる卵巣の見え方(130718)
ROCKY NOTE http://rockymuku.sakura.ne.jp/ROCKYNOTE.html 経腹エコーによる卵巣の見え方(130718) 腹痛を伴う若い女性の腹部エコー中(虫垂検索中)に、偶然嚢胞を発見。卵胞?・・・と思いなが らスルー。機会を改めて再施行した時には消失していた。一度卵巣のエコー像について復習。 卵巣は体内ホルモン環境と密接に関連している。卵巣腫大と判定しても、月経後に正常化す ることもあるので、臨床症状とあわせて再度のエコー検査による確認が望ましい。2) 急性腹症の症状での卵巣腫大は、卵巣腫瘍の茎捻転発症の可能性もあるので緊急事態で あることを忘れてはならない。2) 解剖:子宮に接して存在、子宮の斜め後ろが多い。卵巣間膜により子宮広間膜に付着してい る。卵管は子宮底付近の左右端から側方へ位置する約 10cm の管で屈曲し先端は卵巣に接 する.1) 健常者では超音波上、卵管の同定は困難である。1) 正常超音波像:卵巣は 3cm 前後の楕円形で均一な低エコー像で内部に 1cm 前後の無エコ ー域を伴うことが多い。また月経周期に伴い変化する。増殖期から排卵直前にかけては卵 胞の発育に伴い無エコー域は 2~3cm に増大するが、排卵により著明に縮小し内部エコーは やや増加傾向となり黄体となる。排卵前後には Douglas 窩に少量の液体貯留がみられること もある。1) (参考文献 1 より引用) ROCKY NOTE http://rockymuku.sakura.ne.jp/ROCKYNOTE.html ROCKY NOTE http://rockymuku.sakura.ne.jp/ROCKYNOTE.html (参考文献 2 より引用) 卵巣の超音波像の生理学的変化:月経周期を有する女性では、月経周期に伴って卵巣の超 音波像が変化するので、その生理学的変化をしっかり理解しておく必要がある。排卵前にな ると anechoic な卵胞が卵巣内に明瞭に描出され、排卵直前になると卵胞丘(cumulus)が観 察できる(図 7-a)。排卵後は排卵により卵胞液が腹腔内に排出されるため、卵胞に相当し た anechoic な像は消失する。そして、卵胞液が存在した部位に排卵に伴って断裂した血管か ら出血した血液が貯留し、時間経過とともに凝血が始まるため、卵巣内に卵巣実質と比較し て hypoechoic~hyperechoic な黄体像が認められるようになる(図 7-b~d)。カラードプラ法 を用いれば、黄体の周りを取り囲むリング状の血流を記録することができる(図 7-e,f)。3) (参考文献 4 より引用) ROCKY NOTE http://rockymuku.sakura.ne.jp/ROCKYNOTE.html ROCKY NOTE http://rockymuku.sakura.ne.jp/ROCKYNOTE.html (参考文献 3 より引用) 卵巣は排卵にむけて卵胞を有する。排卵するおおよそ 5~7 日前から左右の卵巣に数個の 卵胞が観察でき、その内の一つだけが約 2mm/日の割合で大きくなる。20mm くらいになると 排卵するが、中には 30 ㎜近くになる場合もあるので、漿液性卵巣嚢胞腫との鑑別が必要で ある。前述の月経周期の情報や子宮内膜を観察することによって鑑別が可能である。5) 卵胞細胞の成熟:卵胞径は指数カーブ状に増大し、成熟のスピードには個人差が見られた が、平均して 23mm 前後で排卵が起こることが確認された。6) 子宮内膜は月経終了時には線状エコーを呈するが、徐々に肥厚してきて排卵直前には約 10mm の厚みをもつ。High-Low-High-Low-High の 5 層構造で“木の葉状”ともいわれている。 排卵すると子宮腺に分泌物が溜まり、echogenic な像に変化し、やがて内膜が剥がれて月経 となる。5) 【手技ついてのコツ】1) ・ 強く、プローブを押さえる(圧迫) ・ プローブを恥骨付近に当てる(見上げ走査) ・ 実際卵巣の位置は七割が子宮の斜め後ろに存在し、側方に離れてみえる場合もあるこ ROCKY NOTE http://rockymuku.sakura.ne.jp/ROCKYNOTE.html ROCKY NOTE http://rockymuku.sakura.ne.jp/ROCKYNOTE.html とを覚えておいてほしい ・ 卵巣は、尿が溜まっている場合…同側、尿が溜まっていない場合・・対側、逆の腸骨静 脈当たりからの観察。それでも困難なときは腸骨動静脈を音響窓として縦走査行うと、同 側の卵巣が観察できることもある(走査角度)。 膀胱充満が不十分な場合は腸管のガスを探触子で押しどける走査が必要であり、かなりの 圧迫を必須とする。意外とかなり圧迫しても患者は痛がることはあまりないので試してもらい たい。5) 問診による月経周期や、エコーによる子宮内膜の状態を確認して、卵胞の所見として矛盾がな いかは確認しておいた方がよかった。次からは気を付けて観察しようと思う。 参考文献 1. 西森美佐子.日常超音波検査における婦人科領域の評価法.超音波検査技術 33(3): 296-297, 2008. 2. 西森美佐子.検診における下腹部超音波検査. 超音波検査技術 36(1): 105-106, 2011. 3. 秦幸吉.超音波検査で子宮・卵巣をとらえる.Medical Technology 37(7): 753-761, 2009. 4. 辻本文雄.腹部超音波テキスト-上・下腹部-,東京,ベクトル・コア,1992. 5. 岩崎昭宏.ルーチンワークで知っておきたい婦人科超音波検査の基礎知識.超音波検査技術 33(3): 291-292, 2008. 6. 荒川恭子, 今井真紀子, 篠崎由衣, 鈴木有美子.経腹超音波法で観察した性周期に伴う卵 胞の変化.埼臨技会誌 55(2): 136-136, 2008. ROCKY NOTE http://rockymuku.sakura.ne.jp/ROCKYNOTE.html