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脳血栓症における頸部動脈硬化とPWV - Arterial Stiffness
この論文は、「Arterial Stiffness」WEBサイトに掲載されています。その他の論文はこちら Click "Arterial Stiffness" web site for more articles. 12 検 査 値 英文原著論文紹介 Carotid atherosclerosis and arterial peripheral pulse wave velocity in cerebral thrombosis. Tamaki T, Sawada K, Hayashi S, Node Y, Teramoto A. J Clin Neurosci. 2006; 13: 45-9. 脳血栓症における頸部動脈硬化とPWV 玉置智規(日本医科大学多摩永山病院脳神経外科) 澤田恵子/林 伸吉/野手洋治/寺本 明 目的 考察 動脈硬化には形態学的変化である壁肥厚(atherosis) B-mode上の頸動脈狭窄とPWVの上昇はそれぞれ脳、 と機能的な変化である壁硬化(sclerosis)の二つの要 心血管障害の危険因子として重要視されているが、この 素がある。動脈硬化は全身の動脈で平行して進行するの 二つの相関を研究した論文はない。頸動脈狭窄とPWV か、何らかの局所因子が作用し独立して進行していくの の上昇には、高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙など、全 かは不明である。脳血栓症において頸動脈壁肥厚と四肢 身性の基礎疾患が関与しているとされているが、これら 動脈壁硬化の関連について検討した。 の基礎疾患が全身の動脈を均一に動脈硬化させていくわ けではない。今回われわれはplaqueの有無と四肢動脈 対象 のarterial stiffnessには相関関係を認めたが、plaque 年齢40歳以上、 80歳未満の症候性脳血栓症例109例で、 の進行とarterial stiffnessの関連性は低いことを明らか 皮質枝梗塞 52 例、穿通枝梗塞 57 例である。 にした。PWVは頸動脈の隆起性病変の有無は予測しう るが、 頸動脈の狭窄程度までは予測できないと思われる。 方法 plaque(atherosis)の増大には全身性変化である壁硬 AtherosisはB-mode法で内幕中膜複合体(intima- 化と局所因子(血流のshear stress、plaque内の出血、 media complex;IMC)を計測、1.1mm以上を隆起性 粥腫の拡大)が複雑に関わっていることが推測される。 plaque index(PI)を計測した。PWV(pulse 病変とし、 wave velocity;PWV)は日本コーリンのform PWV/ ABIに て 計 測 し た。 対 象 をPIよ り、plaqueな し 群、 low-grade plaque 群(PI < 7.0)、high-grade plaque 群(PI≧ 7.0)の三群に分類し、PWVを比較した。 結果 PWV値 は、plaqueな し 群:1,775.5 ± 373.3、low- grade plaque 群: 2,062.3 ± 373.2 、 high-grade plaque群:2,135.6 ± 224.6で、plaqueな し 群 で 有 意 に低値であったが、low-grade plaque群とhigh-grade plaque群では有意差を認めなかった。また、PIとPWV の相関を検討したが、有意な相関は得られなかった。 72 この論文は、「Arterial Stiffness」WEBサイトに掲載されています。その他の論文はこちら Click "Arterial Stiffness" web site for more articles. 英文原著論文紹介 検査値 12 図1 脳血栓症における頸動脈狭窄とPWVの関係 数値は平均±標準偏差。*:有意に他のグループと異なる(p<0.05) 。 3,000 PWV(cm/sec) 2,500 2,000 * 1,500 1,000 500 0 plaqueなし plaque index PWV(cm/sec) − 1,775.5±373.2* low-grade plaque群 4.63±1.25 2,062.3±373.2 high-grade plaque群 10.91±3.35* 2,135.6±224.6 p値 0.00012 0.0024 73