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baPWVは糖尿病では 早期腎症期からすでに上昇し
この論文は、「Arterial Stiffness」WEBサイトに掲載されています。その他の論文はこちら Click "Arterial Stiffness" web site for more articles. 原著論文紹介⑩ baPWVは糖尿病では 早期腎症期からすでに上昇している Yokoyama H, Hirasawa K, Aoki T, Ishiyama M, Koyama K. Brachial-ankle pulse wave velocity measured automatically by oscillometric method is elevated in diabetic patients with incipient nephropathy. Diabetes UK, Diabetic Med 2003; 20: 942-5. 横山宏樹 自由が丘横山内科クリニック 2型糖尿病の早期腎症を含む患者において調べた。 背 景 方法・対象 アルブミン尿はその軽微な上昇が,動脈硬化性 疾患の予知や生命予後と密接に関連することが指 2型糖尿病346名,腎症前期200名,早期腎症119 摘されている。しかし2型糖尿病患者における軽微 名,顕性腎症27名において,上腕動脈−足首動脈 なアルブミン尿増加と動脈硬化症を結ぶ経路や病 PWV(brachial-ankle PWV;baPWV)をform(コーリ 態的背景は不明のままである。一方,PWVは動脈 ン 社 製 )で 測 定 し た 。 平 均 年 齢 5 8 歳 , 平 均 血 圧 の硬さを示すが,動脈硬化症の早期発見マーカー 135/80mmHg,平均HbA1C 6.5%であった。閉塞性動 としての有用性が考えられる。 脈硬化症または足首上腕比;ABI<0.9の患者は除 外した。腎症病期の分類は,3回の受診時尿アルブ 目 的 ミン・クレアチニン補正値(ACR)の平均値に基づ PWVが,軽微なアルブミン尿上昇と関連するか, き,ACR<30を腎症前期,ACR≧30かつ<300を早 図1 PWVと尿アルブミン排泄率の相関関係 3,000 n=346 r=0.24 p<0.0001 PWV(cm/sec) 2,500 2,000 1,500 平均値 95%CI 1,000 500 30 1 10 正常アルブミン尿 300 100 早期腎症 Arterial Stiffness動脈壁の硬化と老化 No.6 2004 1346-8375/04/¥400/論文/JCLS 1,000 顕性腎症 この論文は、「Arterial Stiffness」WEBサイトに掲載されています。その他の論文はこちら Click "Arterial Stiffness" web site for more articles. 期腎症期,ACR≧300を顕性腎症とした。 結 果 関連は,腎症と動脈硬化症のリンクした病態を反 映していると考えられる。今までPWVは主に頸動 脈-大腿動脈PWV(carotid-femoral PWV;cfPWV)と baPWV(cm/sec)はすでに早期腎症期で腎症前期 して研究されてきているが,PWVとアルブミン尿 に比べ有意な上昇を認めた(1,722±382 vs 1,559± の有意な関連を示した論文は今日まで報告されて 343,p<0.0001)。顕性腎症でのPWVは1,763±322 なく,本研究が始めてである。cfPWVは大動脈の で腎症前期より有意に高値であった(p<0.0001) stiffnessを反映し,baPWVは小さな筋性である中小 (図1)。baPWVは年齢(r=0.44,p<0.0001),血圧 動脈のstiffnessの影響が加わる。baPWVはcfPWVに (r=0.55,p<0.0001),アルブミン尿(r=0.24, 比べより長く異なるタイプの動脈のstiffnessの影響 p<0.0001),HbA1C(r=0.11,p<0.05)と有意な単 を表すと考えられるが,その詳細な意義は,今後 相関関係を示した。年齢,性,喫煙,BMI,HbA1C, の長期研究を要する。しかしbaPWVが示したわず 高脂血症,高血圧症で補正後も,アルブミン尿は かなアルブミン尿増加との関連から,baPWVは baPWVと有意な関連を示した。 sensitiveに早期の動脈硬化症を反映する可能性が示 考 察 わずかなアルブミン尿増加は,baPWVと有意な 関連を示し,これは他の動脈硬化関連因子の影響 から独立していた。アルブミン尿とPWVの密接な 唆された。 結 論 baPWVは2型糖尿病の早期動脈硬化症のマーカー として有用であると考えられた。 baPWVは糖尿病では早期腎症期からすでに上昇している