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平成17年度第一種電気主任技術者二次試験
● 平成17年度第一種電気主任技術者二次試験標準解答 配点:一題当たり 30 点 電力・管理科目 4 題× 30 点= 120 点 機械・制御科目 2 題× 30 点= 60 点 <電力・管理科目> 〔 問1 の標準解答〕 (1) 界磁喪失が発生する主な原因 タービン発電機における界磁喪失の原因は,界磁遮断器の開放のほか,励磁 機事故,ブラシ接触部事故,界磁回路の短絡, 2 線接地あるいは断線が考えら れる。 (2) 界磁喪失時の発電機及び系統に与える影響 ⅰ 発電機に与える影響 タービン発電機の運転中に,何らかの原因で界磁電圧が異常に低下したり, 完全に失われた場合,発電機の電気的出力が減少して回転数は上昇し,無効電 力が減少して進相運転となり,端子電圧も低下する。 この状態を継続すると発電機は誘導発電機となり,タービン発電機には円筒 形回転子が使われていることから,回転子に生じる誘導電流は回転子鉄心及び くさびを流れ急速に過熱するおそれがある。また,固定子巻線には系統から過 大な無効電流が流れ込み固定子巻線が過熱する。 ⅱ 系統に与える影響 系統からみると,無効電力が減少することで系統電圧の低下となり,系統の 安定度が急速に低下し,小さな系統では電源脱落や負荷遮断に至る可能性もで てくる。したがって,タービン発電機が界磁喪失に至った場合には,すみやか に発電機を系統から切り離す必要がある。 -1- (3) 界磁喪失保護に用いられるリレーの種類と検出原理 界磁喪失の保護には距離リレーを用いる。発電機端子電圧を電流で除したも のが距離リレーのみるインピーダンスであり,発電機が界磁喪失を生じると, このインピーダンス軌跡は発電機の直軸同期リアクタンス Xd と直軸過渡リアク タンス X d ′ の 1 / 2 とを直径とする円の中に入ることになり,これを検出する。 X(リアクタンス分) 定格出力点 1 ′ Xd 2 界磁断線時 界磁短絡時 -R R(抵抗分) Xd -X -2- 〔 問 2の標準解答〕 (1) GIS の絶縁部と通電部 a.絶縁部の診断技術 ⅰ.異物の検出 絶縁異常の主な原因としては,タンク内への異物の混入があげられる。 このため,診断技術として, GIS 組み立て後,内部に有害な異物が存在し ないことを外部から判断する方法が採用されている。 異物が存在した場合に生じる部分放電・光・機械的振動・分解ガスなど を電気的・機械的・光学的及び化学的信号を外部から検出する方法が採用 されている。最も実用化されている方法としては,異物が交流電界内を振 動中に,タンク表面に衝突して発生する音波や異物の存在により発生する 部分放電を超音波センサや加速度センサにより検出する方法である。 ⅱ.ガス圧異常の検出 ガス圧力低下異常の要因としては,ガス配管,フランジ部などのガス漏 れがある。 ガス漏れに対する診断技術としては,ガス圧力の変化を測定する方法と 容器からのガス漏れがないことを直接的に検出する方法があり,ガス圧力 センサやガス密度スイッチを用いた測定,ガスリークディテクタによる検 出が採用されている。 ⅲ.ガス中水分測定やガスの成分分析による異常の検出 ガス中水分の測定によりシール部の異常の検出やガスの成分分析を行い , 部分放電などに起因する分解ガス発生による異常を検出する方法である。 -3- b.通電部の診断技術 通電異常の要因として,主回路導体の接触不良がある。この接触不良を 検出する診断技術としては,導体の接触抵抗を測定する方法,不良箇所か ら発生する部分放電を検出する方法, X 線透過写真による診断,局部過熱 を温度センサ,赤外線カメラで検出する方法などが採用されている。 その中で, GIS 運転後の診断技術としては,局部過熱や部分放電を検出 する方法が採用されている。 (2) SF6 ガス遮断器の主回路部と機構部 a.主回路部の診断技術 内部異常の検出,通電異常の検出,ガス圧力低下異常,ガス中水分異常の 検出など GIS 全体と共通の診断技術の他 ,コンタクト損耗異常の検知がある 。 このコンタクト損耗異常の主な要因としては,大電流遮断時のコンタクト の損耗がある。コンタクトの損耗は開閉特性(ワイプ量の測定など)を確認 する方法があるが,電流遮断によるコンタクトの損耗は,一様に発生しない ため,開閉特性では確認できない場合もあり,累積遮断回数により管理する 場合がある。 b.機構部の診断技術 操作機構部固渋の要因であるグリスの劣化や電装品の不動作に対する操作 機構部の異常の診断がある。 診断技術としては,開閉動作特性を測定し,動作特性不良を判定する方法 が開発されている。開閉動作特性を測定する方法としては,制御電流や補助 スイッチの動作を測定する方式,機構部の動作速度をセンサにて検出する方 式などがある。 また,油圧操作用油圧系統の異常を油圧ポンプの動作頻度で検出する方法 などがある。 -4- 〔 問3 の標準解答〕 (1) a 相での 1 線地絡が故障抵抗 R で生じたので,この場合の故障条件は以下と なる。 I&b = I&c = 0,V&a = I&a R (この I&a が地絡電流となる。) 正相の電圧,電流を V&1,I&1 ,逆相の電圧,電流を V&2,I&2 ,零相の電圧,電流 を V&0,I&0 とすると, V&0 = − I&0 Z& 0,V&1 = E& a − I&1 Z& 1,V&2 = − I&2 Z& 2 V&a = V&0 + V&1 + V&2 = − I&0 Z& 0 + E& a − I&1 Z& 1 − I&2 Z& 2 = I&a R ‥‥‥‥‥‥‥‥ ① I&a = I&0 + I&1 + I&2,I&b = I&0 + a 2 I&1 + aI&2 = 0,I&c = I&0 + aI&1 + a 2 I&2 = 0 I&b − I&c = ( a 2 − a) I&1 + ( a − a 2 ) I&2 = ( a 2 − a)( I&1 − I&2 ) = 0 ∴ I& = I& 1 2 I&b = I&0 + ( a 2 + a) I&1 = I&0 − I&1 = 0 I& ∴ I&0 = I&1 = I&2 (= a ) …………… ② 3 となる。 ①式と②式より, I&a = 3 E& a 3 R + Z& 0 + Z& 1 + Z& 2 となる。 故障点における c 相の対地電圧 V&c は, I& E& a I&0 = I&1 = I&2 = a = 3 3 R + Z& 0 + Z& 1 + Z& 2 V&0 = − I&0 Z& 0,V&1 = E& a − I&1 Z& 1,V&2 = − I&2 Z& 2 を用いて − Z& 0 E& a + a(3 R + Z& 0 + Z& 2 ) E& a − a 2 Z& 2 E& a V&c = V&0 + aV&1 + a 2 V&2 = 3 R + Z& 0 + Z& 1 + Z& 2 3 aR + ( a − 1) Z& 0 + ( a − a 2 ) Z& 2 & = Ea 3 R + Z& + Z& + Z& 0 1 2 となる。 -5- (2) 変圧器中性点の接地抵抗を Rn,変圧器のリアクタンスを xt,線路の 50〔 km〕 分の正相及び逆相リアクタンスを xl1, xl2,零相リアクタンスを xl0 とすると, 1 Z& 0 = [3 Rn + j ( xt + x l 0 )] 2 1 Z& 1 = j (xt + x l1 ) 2 1 Z& 2 = j (xt + x l 2 ) 2 となる。 ここで, Rn = 400〔Ω〕 xt = 7.59 154 2 × = 18.000〔Ω〕 100 100 1 154 2 × 50 × = 13.992〔Ω〕 100 100 1 154 2 × 50 × = 6.0001〔Ω〕 x l1 = x l 2 = 0.0506 × 100 100 x l 0 = 0.118 × これらの数値を上式に代入して各インピーダンスを求めると以下となる。 , Z& = 600 + j16.00 → 600 + j16〔Ω〕 Z& = Z& = j12.00 → j12〔Ω〕 , 0 1 また, E& a の大きさは E& a = 154 / 3 = 88.911 → 88.9〔kV〕 となる。 -6- 2 (3) E& a を基準として上記(2)で求めた数値等を代入し, I&a を求めると I& = 295.78 − j13.146〔A〕 a となり,その大きさは I&a = 296.07 → 296〔A〕 となる。 また, V&c = −103.58 + j 79.22〔kV〕 となり,大きさは V&c = 130.4 → 130〔kV〕 となる。 -7- 〔 問 4の標準解答〕 (1) 電圧調整器の二次側換算した等価回路は以下となる。 n2 aX n2 XT (1 − a) X 負荷群 I& n V&s Pr + jQ r V&r (2) 上記回路を用いると 負荷群の電力 Pr + jQr は, V&r I& = Pr + jQr が成り立つから P − jQr I& = r V&r ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ① また,V&r と nV&s の関係は, [ ] nV&s = V&r + j n 2 aX + n 2 X T + (1 − a) X I& ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ② ②式へ①式を代入すると, [ ] P − jQr nV&s = V&r + j n 2 aX + n 2 XT + (1 − a) X r V&r V& (1 − a) X Pr − jQr V&s = r + j naX + nX T + n n V&r V& Q P 1− a 1− a V&s = r + r na + X + nX T X + nX T + j r na + n V& n n V&r r -8- ‥‥ ③ ( 3) 上記( 2)の③式において,V&r を基準ベクトルとし, XT を無視すると V&s は 次のようになる。 V& Q X P X 1− a 1−a V&s = r + r na + + j r& na + & n n n Vr Vr 絶対値をとると, V&s 2 2 2 V Q X 1 − a Pr X 1 − a = r + r na + + na + ‥‥‥‥‥‥‥‥ ④ Vr n Vr n n となる。ここで,力率= 1 より, Qr = 0。また,重負荷時には,電圧降下が最 大となり, n は最大の 1.1 となる。題意より, Vs = Vr = 1, Pr = 0.2, X = 2.0 を④式へ代入して整理すると, 2 0.2 × 2 1 − a 1 12 = + 1.1 a + 1 .1 1.1 1 2 0.00583a 2 + 0.0555a − 0.0413 = 0 上記二次方程式の解を求めると a= − 0.0555 ± 0.0555 2 + 4 × 0.00583× 0.0413 2 × 0.00583 これより a = 0.694 又は − 10.21 となるが, 0 ≦ a ≦ 1 のため, a = 0.694 → 0.69 (有効数値 2 桁の指定) となる。 -9- 〔(3)の別解 1〕 上記(2)の③式を変形すると V& 2 1−a 1−a V&sV&r = r + Qr na + X + nX T X + nX T + jPr na + n n n ここで, δ を位相角として,題意 Vs = Vr = 1, Pr = 0.2, X = 2.0 を代入し, かつ,電圧調整器の内部リアクタンス XT を 0 とする。また,力率= 1 より, Qr = 0 であるから, ε jδ = 1 1−a 1 2 2 ( n a − a + 1) + j 0.2 × na + × 2.0 = + j 5n n n n ε jδ = cosδ + j sin δ であるから cos δ = 1 2 2 , sin δ = ( n a − a + 1) ‥‥‥‥‥‥‥‥ ④′ n 5n sin δ = 1 − cos 2 δ の関係から sin δ = 1 − cos 2 δ = 1 − 1 n2 ④′式より 1 2 ( n 2 a − a + 1) = 1 − 2 5n n 変形すると, a= 5n 1 1 1 ⋅ ⋅ 1− 2 − 2 2 n2 − 1 n n −1 ‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑤′ ここで,重負荷時には電圧降下が最大となり, n は最大の 1.1 となる。⑤′式 に, n = 1.1 を代入すると a= 5 × 1.1 1 1 1 ⋅ 2 ⋅ 1− − = 0.69354 → 0.69 2 1.1 − 1 1.1 2 1.1 2 − 1 となる。 - 10 - 〔(3)の別解 2〕 V&r と V&s の関係をベクトル図を用いて表すと下図のとおり。 nV&s [ ] j n 2 aX + (1 − a) X I& V&r I& したがって,以下の式が成立する。 [ 2 2 n2 V&s = V&r + n2 aX + (1 − a) X ] 2 2 I& P I= r Vr 重 負 荷 時に は 電 圧 降 下が 最 大 とな り, n は 最大の 1.1 と なる。 題意 より, Vs = Vr = 1, X = 2.0, Pr = 0.2 を代入すると, 1.21 = 1 + [ 2.42 a + 2(1 − a)] × 0.2 2 2 これより a = 0.69354 又は − 10.217 となるが, 0 ≦ a ≦ 1 のため, a = 0.69354 → 0.69 となる。 - 11 - 〔 問 5の標準解答〕 A.電圧降下 B.接地抵抗 F.容量,設備容量 E.充電電流,充電容量 G.サーチコイル C.絶縁抵抗測定 ① 1 000〔 V〕以上の絶縁抵抗計を使用する。また,絶縁抵抗計の校正記録や トレーサビリティがあるものを使用する。 ② 被測定機器の静電容量が大きくて 1 分間では絶縁抵抗計の指針が静止しない ときは,指針が静止したときの値をもって絶縁抵抗値とする。なお,測定後 の回路は,必ず充電電荷を放電させる。 ③ 電線又はケーブルなどの絶縁抵抗を測定する場合は,表面洩れ電流に基づく 誤差を除くため,必要に応じて保護端子を使用する。 ④ 絶縁抵抗値は温度,湿度,汚損度などにより著しく変化するものである から,天候,温度,湿度を記録する。 ⑤ 誘導が心配されるときは,メガリングフィルタを使用する。 D.電力用変圧器の電路の絶縁耐力試験 ① 試験前に,その回路が絶縁されていることを絶縁抵抗計で確認し,また, 試験後にも絶縁に異常がないか絶縁抵抗計で確認する。 ② 試験電圧には,商用周波数のなるべく正弦波に近い交流電圧を用いる。 ③ 電路の絶縁耐力試験は,温度,湿度,汚損度などにより著しく変化する ことから,天候,温度,湿度を記録する。 ④ 試験電圧は,急激に上昇させずに徐々に規定電圧まで上昇させる。 ⑤ 試験中に電源電圧が変動するおそれのある場合は,試験電圧確認用電圧計 の指針に注意し,常に一定の試験電圧が加えられるように調整する。 ⑥ 試験後,被試験回路(試験電圧発生回路を含む。)は必ず接地して充電 電荷を放電させる。 ⑦ 接地形計器変圧器や避雷器などは試験回路から切り離して行う。 - 12 - 〔 問 6の標準解答〕 (1) 超速応励磁装置の目的及び機能 目的:超速応励磁装置は,系統に短絡事故や地絡事故などの大きなじょう乱 が発生した際の,発電機の第一波動揺を抑制し,過渡安定度の向上を 図る。 機能:超速応励磁装置は,サイリスタ励磁方式などの応答速度の速い励磁 装置を用いて,系統事故時の発電機端子電圧の低下を迅速に検出し, 急速に界磁電流を増加させることにより発電機の内部誘起電圧を上げ, 同期化力を増大させることによって,脱調防止を図る。 〔(1)の別解〕 発電機が 1 機無限大系統で表される場合の発電機の出力 P と位相角 δ の関係 は図のような P − δ 曲線で表される 。発電機が脱調せずに安定となるためには , 発電機の加速エネルギー(面積 A)よりも減速エネルギー(面積 B)が大きい ことが必要である。超速応励磁装置は,過渡安定度の向上を目的として,送電 線の短絡故障時などの電圧低下を検出しすみやかに励磁を強め,端子電圧を上 昇させることにより P − δ 曲線を上昇させる。これにより,加速エネルギーを 減少させ,減速エネルギーを増加させることが可能となり,発電機の第一波動 揺が抑制され,過渡安定度の向上が図られる。 発電機出力 故障前(2回線) 故障後(1回線) B Po A 故障中 位相角 δ P− δ 曲線 - 13 - (2) 超速応励磁装置を採用した場合に,系統安定化装置( PSS: Power System Stabilizer)を併せて設置する理由 超速応励磁装置は同期化力を増大させて過渡安定度を向上させる効果がある 一方,制動力(ダンピング力)が低下するため,定態安定度が低下し,発電機 動揺が持続するおそれがある。このため,超速応励磁装置を設置する場合は, 系統安定化装置( PSS)を組み合わせることにより,発電機第一波動揺以降の 定態安定度向上を図る。 (3) PSS の機能 PSS は,発電機有効電力変化分( ∆ P )や回転子回転数変化分( ∆ω )(又は, 周波数変化分( ∆ f ))の信号により,励磁装置を制御し,内部誘起電圧を変化 させて電気的出力を増減させることにより,ダンピングトルクを増加させる装置 である 。これにより ,発電機動揺を速やかに減少させ ,定態安定度向上を図る 。 - 14 - <機械・制御科目> 〔問1の標準解答〕 (1) 発生トルク 等価回路を参照して E2 I2 = 二次電流 2 r2 2 + x2 s = sE2 2 r2 + ( sx 2 ) 2 〔A〕 ‥‥‥‥‥‥ ① 二次入力 P2 = 3 I 2 2 r2 〔W〕 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ s ② 機械的出力 Po = (1 − s) P2〔W〕 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ③ ①,②及び③式より発生トルク T は次のようになる。ここで, ω は角速度 〔 rad / s〕である。 P (1 − s) P2 P 3r s 2 E2 2 3 r2 sE2 2 T= o = = 2 = 2 ⋅ 2 = ⋅ ω (1 − s)ω 0 ω 0 ω 0 s r2 + ( sx 2 ) 2 ω 0 r2 2 + ( sx 2 ) 2 ‥ ④ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑤ (2) 始動トルク 始動トルク Tst はトルクの④式で s = 1 として, Tst = 3 r2 E 2 ⋅ 2 2 2 ω 0 r2 + x2 (3) 最大トルクを与える滑り トルクの④式を s で微分する。 [ ] dT 3 r2 E2 2 r2 2 + ( sx 2 ) 2 − 2 sx 2 2 ⋅ sE2 2 = ⋅ 2 d s ω0 r2 2 + ( sx 2 ) 2 = [ [ 3 r2 E2 2 r2 2 − ( sx 2 ) 2 ⋅ 2 ω0 r2 2 + ( sx 2 ) 2 [ ] ] ] ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑥ dT = 0 とおけば r2 2 − ( sx 2 ) 2 = 0 ds したがって sm = r2 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ x2 - 15 - ⑦ 〔(3)の別解〕 トルクの④式を変形して T= 3 E2 2 sr 3 E2 2 r ⋅ 2 2 2 = ⋅ 2 2 ω 0 r2 + ( sx 2 ) ω 0 r2 + sx 2 2 s 上式の分母が最小になるときトルク T は最大となる 。分母の第 1 項と第 2 項の積が一定なので、分母の第 1 項と第 2 項が等しいとき分母は最小、す なわちトルクは最大となる 。(相加平均≧相乗平均の公式から) r2 2 = x2 2 s したがって sm = r2 x2 (4) 最大トルク トルクの④式に⑦式を代入すると,最大トルク Tmax は Tmax = 3 r2 r2 3 E2 2 E 2 〔N・m〕 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⋅ ⋅ 2 2 2 = 2ω 0 x2 ω 0 x2 r2 + r2 ⑧ (5) 始動トルクが最大トルクと等しくなる条件 Tst = Tmax,すなわち,⑤式=⑧式とおけば, 3 r2 E 2 3 E2 2 ⋅ 2 2 2 = 2ω 0 x2 ω 0 r2 + x2 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑨ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑩ これを整理すると, r2 2 + x2 2 = 2 r2 x2 ( r2 − x2 ) 2 = 0 となる。したがって, r2 = x2 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ - 16 - ⑪ 〔問2の標準解答〕 (1) a.定格状態の鉄損,周波数,電圧,最大磁束密度を各々 Pi0, f, V, Bm と し,変化後の値をそれぞれ Pi1, f1, V1, Bm1 とすると, 2 Pi1 f B 2 1 f V × 0.93 2 = 0.83970 → 0.84 = 1 m12 = 1 = 1.03 f1 V Pi0 fBm 鉄損は 16〔%〕低減される。 b.定格状態での電流及び銅損を各々 I, Pc0 とし,変化後の値をそれぞれ I1, Pc1 とすると, I1 V 1 = = I V1 0.93 2 Pc1 I1 1 = = = 1.1562 → 1.16 Pc 0 I 0.93 2 銅損は 16〔%〕増加する。 Ir c.題意より, = 0.1 , cosφ = 0.8, sinφ = 0.6 Ix f, V の変動前の電圧降下 Ir ∆V = Ir cos φ + Ix sin φ = Ix cos φ + sin φ Ix = Ix(0.1 × 0.8 + 0.6) = 0.68 Ix f, V の変動後の電圧降下 I Ir I ∆V1 = I1 r cos φ + 1.03 I1 x sin φ = Ix ⋅ 1 cos φ + 1.03 1 sin φ I Ix I 1 1 = Ix(0.1 × × 0.8 + 1.03 × × 0.6) = 0.75053Ix 0.93 0.93 したがって, ∆V1 0.75053 = = 1.1037 → 1.10 0.68 ∆V 電圧降下は 10〔%〕増加する。 - 17 - (2) 全負荷時の無負荷損を Pi,負荷損を Pc 及び効率を η とし, m 倍のときの 効率を ηm とすると, η= P P + Pi + Pc mP P P mP + Pi + m Pc P + i + mP c m 題意よりこの両者が等しいので, ηm = 2 Pi + Pc = = Pi + mPc m (1 − m) Pi = m(1 − m) Pc ∴ いま最大効率が x 倍の負荷時に発生すると考えると, Pi = xPc x Pi = x2 = m Pc したがって, x = m 倍 (3) このときの最大効率 ηmax は次のように表される。 η max = 1 xP = xP + 2 Pi 1 + 2 Pi P m P m = P m + 2P i - 18 - Pi =m Pc 〔問3の標準解答〕 (1) 電圧・電流の波形 波形は次のようになる。 v 0 π 2π ωt α ゲート Th1 パルス Th2 vl 0 抵抗 負荷 vTh1 0 iTh1 0 v Th1 の電圧極性が Th 2 の印加電圧を含めて両極性に出ること, i Th1 の電流 波形は電圧と同じ正弦波であり,その極性は半波で一方向だけであることが ポイント。 - 19 - (2) 最大の瞬時順阻止電圧 α が π / 2 ≦ α ≦ π の範囲において交流電圧の最大値がバルブデバイスに 印加されるので, Vmax = 2V1 (3) γ, β の大きさ 負荷電流 il は, ω t = π + β で零になるとして,この条件を il の式に代入する と, sin( π + β − γ ) − sin(α − γ ) × e − R ( π + β −α ) ωL =0 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ① ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ② となり,さらに sin( β − γ ) + sin(α − γ ) × e − R ( π + β −α ) ωL =0 交流電力制御が可能な α > γ の場合は,②式の第 2 項は正であるから,第 1 項 は負でなければならない。したがって, γ > β である。 (4) α < γ 時の動作状態 α < γ では,バルブデバイスに流れる電流が連続し,交流電圧制御が不可能 になることが一般的であるが, α がかなり進むと(サイリスタ)バルブデバイス が導通にならず,電圧制御が不能になることもある。 厳密には,バルブデバイスに与えるパルス幅を θ とすると, ① α + θ > β の場合,対のバルブデバイスの電流が切れた直後にもゲート パルスが与えられているため ,該当するバルブデバイスは即電流が流れる 。 上記の“一般的”で述べたように,電流が連続し,交流電圧制御が不能に なる。 ② α + θ < β の場合(α がかなり進んだ場合),対のバルブデバイスの電流が 切れる前に,該当するバルブデバイスに与えられているゲートパルスが なくなってしまうため,バルブデバイスの点弧失敗となる。電流が継続し (流れる場合と流れない場合が出て),交流電圧の制御が不安定になる。 - 20 - 〔問4の標準解答〕 (1) 状態空間表現 1 1 X 2 ( s ) ,X 2 ( s ) = U ( s) ,Y ( s) = X1 ( s) が成り立つ 。 s+3 s+2 これより,x&1 = −3 x1 + x2 ,x& 2 = −2 x2 + u ,y = x1 となる。これらを状態空間 図 2 より , X1 ( s) = 表現すると, x&1 ( t ) − 3 1 x1 ( t ) 0 x& ( t ) = 0 − 2 x ( t ) + 1 u( t ) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 2 y( t ) = [1 x (t) 0] 1 x2 ( t ) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ① ② が得られる。したがって, − 3 1 0 A= ,b = ,c T = [1 0 − 2 1 0] ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ③ となる。 (2) 閉ループ伝達関数 図 1 で内側からのマイナーループから順次,閉ループ伝達関数を求めてい くと, 1 1 s+2 = F2 s + 2 + F2 1+ s+2 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 ( s + 2 + F2 )( s + 3) 1 = 2 F1 s + (5 + F2 ) s + 6 + F1 + 3 F2 1+ ( s + 2 + F2 )( s + 3) ④ ‥‥‥‥‥‥‥ ⑤ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑥ となり,最終的に Y ( s) = R( s) = [ K ] 2 s s + (5 + F2 ) s + 6 + F1 + 3 F2 K 1+ s s 2 + (5 + F2 ) s + 6 + F1 + 3 F2 K [ ] s 3 + (5 + F2 ) s 2 + (6 + F1 + 3 F2 ) s + K が得られる。 - 21 - (3) K, F1, F2 の値 題意より特性方程式は ( s + 10) 3 = s 3 + 30 s 2 + 300 s + 1 000 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑦ となるので,これと⑥式の特性多項式の係数と比較すると, 5 + F2 = 30 ,6 + F1 + 3 F2 = 300 , K = 1 000 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑧ が得られる。 したがって, F1 = 219, F2 = 25, K = 1 000 となる。 (4) 持続振動の角周波数 ⑥式の閉ループ伝達関数の分母多項式(特性多項式)は s 3 + (5 + F2 ) s 2 + (6 + F1 + 3 F2 ) s + K = s 3 + 20 s 2 + 100 s + K ‥‥‥‥ ⑨ となる。ラウスの安定判別法より, s3 s 2 s1 s0 1 100 K 20 2 000 − K 20 K となり, 0 < K < 2 000 のとき安定であり,安定限界は K = 2 000 となる。上 記のラウス数列より補助方程式は, 20 s 2 + K = 0 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑩ となる。これに, K = 2 000 を代入すると s 2 + 100 = 0 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ となり, s =± j10 となる。 したがって,このときの持続振動の角周波数は ω = 10〔 rad / s〕 となる。 - 22 - ⑪