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1. ギリシャ経済 129 - 日興アセットマネジメント

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1. ギリシャ経済 129 - 日興アセットマネジメント
2015年7月1日
ご参考資料
129
今回のテーマ
ギリシャ経済と債務問題を改めて振り返る
ギリシャの金融支援協議は難航しており、6月末のIMF(国際通
新人くん
日興アセットマネジメント
の新人。営業推進部門に
配属され、投信や経済に
ついて勉強中。
貨基金)への債務返済は滞ることとなりました。今回は、何故ギ
リシャが長年にわたり債務問題に苦しむことになったのか、ギリ
シャ経済の特徴と、2009年頃の欧州債務危機を振り返ります。
1.ギリシャ経済
ギリシャは、欧州の南端、地中海沿岸の半島に位置する、EU(欧
州連合)加盟国です。歴史的遺産などの豊かな観光資源を有して
おり、観光業や海運業を主要な産業としています。
多くの産業分野で高い競争力を持つドイツなどと比較すると、世
界の景気動向に左右されやすい産業に依存しているギリシャの経
済基盤は、相対的に弱いと考えられます。
ギリシャ経済は、2001年の通貨ユーロ導入以後、2004年のアテ
ネ五輪に伴なうインフラ投資など、拡張的な財政政策に支えられ、
ユーロ圏の中でも高い成長率を記録しました。しかしながら、2009
年に巨額の財政赤字の粉飾が発覚し、欧州債務危機へとつながっ
ていきます。
長期的な財政赤字の原因として、ギリシャの経済規模に比べて巨
額となっている年金支出や、多すぎる公務員に伴なう人件費といっ
た歳出面の問題が指摘されています。また、歳入面でも、徴税制度
が適切に機能しておらず、脱税などによって本来の税収が得られ
ていないなど、ギリシャ財政は構造的な赤字体質になっていたと考
えられます。
ギリシャのGDPに占める年
金支出の比率は約18%と、
他の欧州諸国と比べて高
い水準となっています。近
年は、高齢化に加え、賃金
コストの削減のために早期
退職が奨励されていること
を背景に、年金受給者が
増加傾向にあることも、年
金支出の大きさにつながっ
ていると考えられます。
(次のページヘ続きます)
□当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料
ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。□投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リス
クもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時に
は、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
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深刻な財政問題が表面化した後は、EUなどから金融支援を受け
る条件として財政健全化をめざし、税率の引き上げや、公務員給
与の削減などの財政緊縮に取り組みました。一方で、世界的な景
気低迷に加え、財政緊縮で内需が冷え込んだことで、ギリシャ経済
は大きく後退し、財政赤字の削減も難航することとなりました。
さらに、失業率の高止まりなどによって、緊縮的な財政に対する
国民の不満が高まり、2015年には財政緊縮に反対するチプラス政
権が発足しました。その後、金融支援の条件となっている財政緊縮
を巡り、EUなどの債権団との協議が難航し、債務懸念の再燃につ
ながりました。
2.欧州債務危機
欧州債務危機は、ギリシャが2009年10月の政権交代を機に、そ
れまで財政赤字を公表数字よりも小さく発表していた事実が明るみ
になったことをきっかけに、ギリシャ政府への不信感や財政に対す
る懸念が高まったことが発端とされています。
こうした信用不安は、ユーロ圏の中でも経済が比較的脆弱な南欧
諸国を中心に拡がりました。ギリシャをはじめとする南欧諸国の国
債が売られ、利回りが大きく上昇したことで、一部の国では資金繰
りが困難となり、EUやIMFからの金融支援が行なわれました。
しかしながら、こうした金融支援は、3年間といった期限が定めら
れていました。そこで、金融危機などに陥った加盟国を支える恒久
的な仕組みとして、2012年10月にESM(欧州安定化メカニズム)が
発足しました。ESMは、金融危機に陥った加盟国に、ユーロ圏全
体で資金を出し合い、金融支援を提供する仕組みです。
EU加盟国は、財政赤字を
GDP比で3%以内に維持
することを求められていまし
たが、ギリシャの財政赤字
はこれを大きく上回る水準
となっていました。
足元では、ギリシャと債権団の金融支援協議が合意に至らないま
ま、6月末のIMFへの債務返済の期限を迎え、ギリシャのデフォルト
(債務不履行)懸念が高まっています。ただし、ギリシャ政府債務の
うち、民間保有はごく一部であり、多くはEUやECB(欧州中央銀
行)、IMFが保有していることに加え、現在は、不測の事態に備えた
ESMなどのセーフティネットが整っていることから、市場では、以前
の欧州債務危機と異なり、ギリシャがデフォルトに至っても、国外へ
の影響は限定的と予想されています。
以前と異なり、世界的な金融市場への影響は限られそうで
すが、短期的には市場の重石になることから、今後もギリ
シャの動向には注意する必要がありそうです。
□当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料
ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。□投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リス
クもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時に
は、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
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