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痛みの量的評価:VAS/NRS/VRS/FPS(131210)

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痛みの量的評価:VAS/NRS/VRS/FPS(131210)
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痛みの量的評価:VAS/NRS/VRS/FPS(131210)
「一番痛かった時の痛みの強さを 10 点にすると、今の痛みは何点ですか?」なんて簡単に質問
することは多いと思う。普段、何げなく使用している痛みのスケールだが、一度復習しておく。

評価法としてはさまざまなツールが開発されているが、信頼性、妥当性ともに検証され、臨床
の場で用いられているものは、Numerical Rating Scale(NRS)、Visual Analogue Scale(VAS)、
Verbal Rating Scale(VRS)である。1)

NRS は、痛みを 0 から 10 の 11 段階に分け、痛みが全くないのを 0、考えられるなかで最悪
の痛みを 10 として、痛みの点数を問うものである。

(NRS は)10 点表現法であり、今まで経験した痛みについて最高点を 10 点とし、今の痛みが
何点か答えるものである。まったく痛みがないならば 0 点、今まで経験した中で最も強い痛み
ならば 10 点とし、現在の痛みが何点に相当するかを答えてもらう。5.3 というように小数点以
下まで表現してもよい。データの集計にとって便利であるため、新しい鎮痛薬の効果をみる
場合などに利用されている。また、質問票やグラフなどを用いないため使用しやすい方法で
あり、VAS より容易に使え、口頭でも行えることで有用性が高く、臨床の場でよく用いられて
いる。2)

NRS は VAS と高い相関性が認められ信頼性も高い。手術後の痛みの強さについて NRS、
VAS、MPQ で比較したところ、NRS で一番エラーが少なく妥当性があったと報告されている。
しかし、小児や意識錯乱のみられる患者では、痛みを数値に変換する作業を適切に行えな
い。さらに、数字に対する好みとして日本人は奇数のとりわけ 5 や 7 を選ぶ傾向があることも
念頭に入れる必要がある。2)

VAS は、100mm の線の左端を「痛みなし」、右端を「最悪の痛み」とした場合、患者の痛みの
程度を表すところに印を付けてもらうものである。VRS は 3 段階から 5 段階の痛みの強さを
表す言葉を数字の順に並べ(例:痛みなし、少し痛い、痛い、かなり痛い、耐えられないくらい
痛い)、痛みを評価するものである。1)

(VAS は)10∼20cm の直線を引き、左端を「痛みなし」、右端を「経験可能な最大の痛み」とし
て、現在の痛みがどの辺りにあるのかを患者自身に示させるものである。直線上の左端に
「痛みなし」、右端に「最悪の痛み」と記す。患者に、自己の感じる痛みの程度を、この線上の
該当する部分に×または直角に印をつけて示すように指示する。そしてその距離を左端から
mm 単位で測定する。2)

軽度、中度、高度という注釈を加えると注釈を加えた部分に偏って選択されてしまう傾向とな
り、注釈を全域に加えると偏りが減少すると報告している。2)

これら 3 者では、VAS が他に比べて使用するのが難しく、筆記用具が必要であるため、また、
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VRS は言語の問題や、段階が少なく痛みを詳細に評価できない可能性があることから、一
般的には NRS が推奨される。1)

Faces Pain Scale(FPS)は、図に示したような現在の痛みに一番合う顔を選んでもらうことで
痛みを評価するものであり、3 歳以上の小児の痛みの自己評価において有用性が報告され
ている。しかし、痛み以外の気分を反映する可能性や段階が少なく痛みを詳細に評価できな
い可能性があることなどが指摘されている。1)

この検査法の利点は、文字を読む必要がなく、3 歳以上の小児から高齢者まで使用できるこ
とである。2)

同様のものとして、リウマチ患者の疼痛の評価には、Lorish らによって発表された 20 段階に
分かれている face scale が用いられることがある。2)

face scale を使用するのは理解力が低い子供や高齢者で他の尺度を使用できない場合で
あり、精度的には多少低くなることを覚悟しなければならない。6 段階のものが多く使用され
ているが、表情の数が多くなればそれだけ精度が増すというものでもない。表情の違いで痛
みの程度をランキングする場合、数が多くなれば、表情の違いがわかりづらくなり、使用しに
くい面もある。2)

飯村らは子供の年齢を「3∼7」「8∼12」「13∼21」の 3 グループに分けてナンバースケールと
比較して信頼性と妥当性を検証し、「3 歳以上の子供に使用できる」とされている点について、
年少(3∼7 歳)では face scale とナンバースケールの相関が弱く face scale のみで痛みを
判断するのは困難としている。子供が痛みを言葉で表現できるのは 5∼6 歳以上とされる。物
の比較は 3 歳児では 2 つの比較、4 歳半で 3 つの比較ができるとされている。6 歳以下の少
児でそのまま face scale を使用できるか疑問も出されている。2)

評価者がもつ数字の意味と程度のイメージが患者の自己評価と一致しないときに、患者の
評価が変だと考えてしまうと、評価自体が無意味になる。額に冷や汗をだし、身体を曲げて
苦悶様で 9 と訴えれば、誰しも強い痛みだと評価するが、同じ 9 でも、テレビを見て座って
いれば疑問を持ちやすい。しかし、数字には意味は無く、治療によってその後どのように変
化したのかに意味があると考えるべきである。数字ばかり質問して、記録するだけでは、意
味はなく、その結果をどう生かすのかが大切である。3)

患者の日常生活が痛みによってどのような影響を受けているのかを知ることは、治療が十分
かどうかの評価でもある。モルヒネが開始されて痛みの強さが軽減しても、「痛みで目覚める」
「痛みで食べる気がしない」「痛みで考え事ができない」など患者それぞれに訴えは異なるが、
結果的に痛みのために生じている生活の制限が改善されていなければ治療は不十分である。
3)
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(参考文献 1 より引用)
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(参考文献 2 より引用)
参考文献
1.
日本緩和医療学会.がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2010 年版)
http://www.jspm.ne.jp/guidelines/pain/2010/chapter02/02_02_02.php#s03
2.
中村重敏, 森島 優, 佐々木嘉光, 美津島 隆.痛みの評価尺度―VAS, NRS, McGill pain
questionnaire, face scale―.理学療法 23(1): 67-73, 2006.
3.
的場元弘.がん疼痛治療のレシピ(2007 年版).東京,春秋社,2006.
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