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ダンボール破砕紙の肥育牛に対する敷料利用
東北農業研究 (Tohoku Agric Ros)54, 109-■ 0(2001) ダ ンポ ー ル破 砕 紙 の 肥 青 牛 に対 す る 敷 料 利 用 ・・ 岩下 石男 = 佐藤 直人・ 太田原健二・ 川畑 茂樹・ 高橋 好範 岩手県農 業研究 セ ン ター畜産研究所・ ネ 岩 手県農業 研究 セ ンター県北研 究所・ サニ 戸広域清掃 業 協 同組 合 Utilization of t he Shredded Corrugated Paper as Beef Cattle's Litter Naoto SATO, Kenii oTAWARA, Shigeki KAWAHATA, Yoshinori TAKAHASHI“ , Ishio lwASH:TA** I) 「 げ雌樹 鱗t‖]等i構 壺酷∬ i革 1 は じ め 表 に 1 各試験 区の開始体重及 び飼養頭数 肉牛農家をは じめ畜産農 家 で利用 される敷料にはオガク ズや モ ミガラが多 く用 いられて い るが ,国 内の製材業 の不 振や稲作減反などにより,地 域的又は季節的に品不足 になっ た り,人 手価格 が高騰す る傾向が見 られるようにな った。 このよ うな状況でオ ガクズなどの代替素材 として古紙が用 い られる事例 が全 国的 に見 られは じめる中 ,岩 手県内 の一 OЮ 地域で も古紙 の敷料利用 の取 り組みがなされた。 この紙 は 使用済み ダ ンボールを中心 に,回 収 された古紙 を破砕加工 した ものである (以 下 ,破 砕紙 とす る)。 状を図 1に 示 した。 Om この破砕紙 の形 図2 牛房 の構造 (パ ドックには敷料無) で各区 とも高 さ15m程 度 に堆積 し,試 験 1終 了後週 1回 の切 り返 しで 9週 間堆肥化を実施 した。切 り返 し終了後 , 毎回 サ ンプ リングし,風 乾物中 の粗灰分 の測定 により有機 物 の分解率を推定 した。また堆積堆肥 の表層か ら深 さ50m 図 1 破砕紙 の形状 今回 の我 々の試験 は,リ サイ クル用途 として肥育牛 にお いて破砕紙が敷料 として使えるかどうか ,ま た敷 き料 と し て利用後 の堆肥化特性を明 らかにする目的で調査を実施 し たので報告す る。 2試 0)試 験 1 験 方 法 3 試験結果及び考察 0)結 果 1:各 敷料素材の各素材 の利用量及び利用前後 の含水率 は表 2に 示 した。敷 き料取 り替え の 目安 は慣行 に な らうこととして実施 した。破砕紙区では吸水性 はよいが 固まりやす く,オ ガクズと比 べふん尿 と混合 しに くい傾 向 がみ られた。 このため取 り替え頻度 は破砕紙 区は他 の区よ り高 い結果 とな った。 しか し,混 合区 はオガクズ区 と同様 , 敷料評価 当研究所 において 敷料 と して オガ クズのみを敷 いた区 (以 下 ,オ ガクズ区),破 砕紙 のみの区 (以 下 ,破 砕紙区), : 破砕紙 とオガクズ同容積混合 (以 下 ,混 合区)の 3区 ,各 1牛 房 を設定 した。 各区 の 1回 当 た りの敷料 の量 は慣行程度 として 1牛 房 あ た り約05ピ の ロー ダーバ ケ ットで 3杯 と した。 牛房 の構 造 は図 2の とお りである。各牛房 の飼養頭数 ,試 験開始体 重 は表 1に 示 した。試験期 間 は2000年 11月 か ら12月 の 1タ 月間実施 した。 8)試 験 2 の箇所 に温度 セ ンサ ーを設置 し堆肥温度を連続的に測定 し た。 堆肥化特性調査 敷料評価試験中に畜舎か ら搬出された堆肥原料を堆肥舎 : な頻度 だ った。 1ケ 月 の飼養期間後 ,家 畜飼養に携わ った職員 にアンケー ト方式 で各 々の敷 き料について評価 を実施 した。その結果 破砕紙 のみの利用ではオガクズと比 べ床 が汚れやす い,利 用する ときに埃 がたつ ,床 がすべ りやす いことなどが上 げ , られた。 しか し,混 合利用すると これ らの欠点 は解消 され オガクズと同等 という評価 になった (表 3)。 上記 の ア ン ケ ー トとは別 に,破 砕紙を乳牛及 び肉牛農家 の畜産農家 に , 実際 に使用 して もらい,禾 」 用性 の評価 の ためにア ンケ ー ト -ll19- 東 北 農 業 研 究 第 54号 (2001) ∞ 0 一 知 Ю 7∼ 8日 ” ︵ じ■ 箸 ● 3 ■ t lα ■ 表 2 各素材の使用量及び利用前後の含水率 0 1 0 1 表 3 2 3 5 0 7 3 9 籠過週 図3 im ll × 表4 4 敷料評価 利用 した農家 のアンケ ー ト結果 (単 位 :%) 有機物 の分解率 1/1切 り返 し _tiB -.TiB -*ntla 月日 図4 堆肥温度 の推移 ム,鉛 ,砒 素 ,全 シアンについて検出限界未満 であ った。 ()内 数字 は回答者数 調査 が実施 された。 その結果 の一 部を表 4に 示 した。破砕 紙 のみで利 用 した農家 の約60%が 使 いに くいと回答 してい るが ,混 合 して利用 した農家 では使 いに くいと回答 したの は25%だ った。破砕紙 のみで利用 した農家 に対 して ,ど う い う点が使 いに くいかとい う質問に対す る回答 は表 3で 示 した項 目と同 じ内容 が上位 を 占めていた。混合す る割合が 何を,ど の くらいがよいかについて は今回 の試験 では検討 されて いないが ,破 砕紙 の敷 き料利用 については破砕紙 の み の利用 でな くオ ガクズなどと混合 して使 う方がよいと思 われた。 次 に,試 験 2の 堆肥化過程 の調査 の結果 ,各 区 の有機物 の分解率 を図 3に 示 した。有機物の分解率 は破砕紙区は他 の 2区 に くらべ高 い傾向がみ られた。 これは分解 されに く い リグニ ンを含むオ ガクズよ り破砕紙 のほ うが分解 されや す いためと思われた。 また,堆 肥化 9週 めの C/N比 で は 破砕紙区180,オ ガクズ区296.混 合区265だ った。 次 に,図 4に 堆肥温度 の推移を示 した。 この試験 は冬期 に実施 された ものであるが ,オ ガクズ区 ,混 合区 と比 べ 破砕紙区 では堆肥化開始後速やかに温度 の上 昇 が見 られ 70℃ 以上 に達 した。 堆肥化ではオガクズと比較 して破 砕紙 の方 が分解 されや す いとい う長所 が見 られた ことか ら,破 砕紙 の利用法 と し しか し,古 紙 の敷 き料や堆肥化利用 においては重金属 の 間 題は重要 と考え られ ,継 続的 なモ ニ タリングは今後 なされ るべ きと思われる。 また,破 砕紙 の利用 が進むかどうか大 きな ポイ ン トとな る入手価格 について ,先 に述 べ た畜産農家を対象 としたア ンケー ト調査 のなかで も畜産農家が この破砕紙を使 ってい くかどうかはオ ガ クズなみ の価格以下である ことが望まれ ている。 この破砕紙 の価格 は取引量 ,配 送 の有無等 で変動 するが2,000∼2,300円 /ぱ で概 ねオガクズ と同程度 と思 わ れた。kg当 た りの推定価格 では破砕紙23円 ,オ ガクズ10円 前後 と思われる。表 2に 示 した期間中敷料 の全使用量を用 いて シ ミュレーションしてみると敷 き料 として利用 した際 , オガクズのみの利用 よ り混合利用 の経費 がやす くなるのは オガクズkg単 価 11円 以上 のと きであ った。 この価格 はオガ クズ比重を025と したとき壼当た り2,750円 であ る。 この 価格 は現在 の県内 の相場 か ら判断す ると高 めと思われるが 今後 オガクズの価格 が高騰あ るいは破砕紙 の価格低下 が実 現すれば破砕紙 の利用 は進むと思われる。 , 4 ま と め , , 以上 のことか ら,今 回調査 した破砕紙 について家畜 の敷 き料 として利用する場合 はオガクズ等 と混合 して利用す る方 がよいこと,ま た家畜 ふん尿 の堆肥化副資材 としての利用 て敷 き料以外 に堆肥化 のいわゆる「水分調整Jと しての副 資材 とす ることが考 え られた。 古紙 の堆肥化利用などで懸念 される重金属 の含有 につい が可能 で ,従 来利用 されて いるオガクズなどの代替材 になり うると思われた。最後 に,破 砕紙 の利用上 の留意点 として においの点 が上げ られる。敷 き料利用時及び堆肥化過程で オガクズの ときには感 じられな い異臭 が感 じられた。特 に て ,破 砕紙 を対象に分析 された結果では総水銀 ,カ ドミウ 堆肥化 目的で利用す る場合 は注意を要す ると思われた。 , 110-