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中学校重点教科充実制 進んでかかわり、互いに高め合う学習の創造

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中学校重点教科充実制 進んでかかわり、互いに高め合う学習の創造
中学校重点教科充実制
進んでかかわり、互いに高め合う学習の創造
新庄市立新庄中学校
1
本校の状況
(1)学校の実態
本校の生徒数は計287名で、各学年3学級の規模であるが、3年生が「さん
さん」プランの適用で4学級編成となっている。この他に、特別支援(自閉・情
緒、知的、肢体不自由)3学級が設置されている。市の中心部に位置し、文化施
設が隣接する恵まれた教育環境にあり、校訓の一つ目に「品位のある人」を掲げ
る伝統ある学校である。
市の長期教育プランに基づき、平成18・19年度に「小中連携教育実践研究」
の委嘱を受け、その後も「小中一貫教育」をめざして、新庄小学校との連携・交
流活動が盛んに展開されてきた。地域での積極的な奉仕活動や自治活動を通して
学校全体が落ち着く中で、学ぶ喜びに機軸をおいた授業づくりへ向けて大きく踏
み出そうとしている。
(2)本事業運用のねらい
学力の実態において、本校でも、本事業の対象教科である英語科に大きな課題
を抱えている。その要因が、説明型で生徒が受け身的な授業形態にあることを反
省しながら、授業づくりを進めていきたい。
生徒の主体的な活動を保障し、互いにかかわり合いながら英語の学力を向上さ
せていくためには、学習形態の工夫が不可欠である。多様な学習形態の中でも、
生徒個々の学びを丁寧に見取っていけるように、本事業によって配置された教員
を有効に活用していきたいと考えている。
2
実践の内容
(1)生徒の活動的な学びを保障する学習形態の工夫
重点教科である英語科が抱えてきたこれまでの課題は、英単語や構文を一方的
に覚え込ませるような画一化した指導である。一斉指導の中で、効率的に知識や
技能を身に付けさせようと努力してきた
結果が、このような状況を生んできたと
いえる。しかし、こうした学習の中では
真の英語力は育まれない。
以上の課題を克服するためには、生徒
の主体的な活動が中核となるような授業
が必要である。
本校では「重点教科充実制」により加
配措置された教員の協力で、生徒のペア
やグループでの学習が日常的に行われ、
クイズやインタビューといった活動場面
も増えたことで、生徒の表情が一変し、生き生きとした笑顔で授業に臨むことが
できるようになっている。特に、小学校でも「外国語活動」に取り組んできた1
年生は、対話中心の活動的な学習に慣れてきていることから、スムーズな中学校
英語への導入が実現している。
(2)実践的な英語力を育むためのきめ細やかな指導体制
加配教員の活用により、「重点教科充実制」の対象学年である1・2年生では、
常時TT指導体制が可能となった。これにより、授業や学習活動の導入時におい
て、指導者二人によるスキットやモデリング等を頻繁に生徒に示すことができる
ようになった。【図1】
【図1】
【図2】
また、頻度が増えたペア学習
<モデルコミュニケーション>
<コミュニケーション活動の見取>
やグループ学習におけるコミュ
T1
T1
T2
ニケーション活動の見取りも、
きめ細やかに行えるようになっ
ている。生徒個々の音声表現を
確認する際の指導分担により、
細やかなかかわりが可能となった
T2
からである。【図2】
TT指導体制の確立により、生徒が英語に触れる機会が物理的に増えたことは、
学習形態の工夫と相まって、英語科で目指すコミュニケーション能力の基礎を養
うための環境が整えられたと感じている。
(3)小学校との連携による授業づくり
本校でここ数年来推進している新庄小学校との連携・一貫教育をめざした取り
組みは、重点教科である英語科の授業づくりにも大きな刺激を与えた。小学校で
本格的に導入された「外国語活動」を、中学校教員が参観したり、授業協力した
りする機会が増えたことで、生徒が活動を通して学ぶという視点が見えてきたか
らである。本校がめざす授業像と重ねながら、イメージ化が図られてきた。
3
○
成果
重点教科におけるTT指導体制の確立で、本校がめざす授業改善の動きが加速
した。ペア学習やグループ学習を積極的に取り入れることが容易となり、生徒の
主体的な学び合いやコミュニケーション活動を重視した授業が、日常的に展開さ
れるようになっている。
○ 生徒が、受け身ではなく主体的な姿勢で学習に取り組む場面が増えてきている。
授業の中で、進んで友達とのかかわりを求めたり、積極的に質問したりする生徒
が多く見られるようになっている。
○ 学習形態の工夫やきめ細やかな指導体制を通して実現した生徒の主体的な学習
参加が、確実に基礎学力の向上に結びついてきている。生徒の学習に対する意識
が変容してきている点が、大きな成果である。
○ 授業の中で、生徒の音声コミュニケーションや、指導者によるモデルコミュニ
ケーションの機会が増えたことが、実践的な英語力の向上に確実に結びついてき
ている。対外的なスピーチコンテストにおいても、久々に本校から入賞者を出す
ことができた。
○ 活動的で表現機会の多い英語科の授業が具体化されたことは、本校の校内研修
テーマに掲げる授業づくりへ向けた他教科のモデルとなった。英語科の授業改善
を範に、他教科においても学習形態や生徒間交流の工夫が見られるようになって
きている。
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