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太陽系の歴史
テレビ学習メモ 地学基礎 監修講師:縣 秀彦 第1編 宇宙の進化 第5回 太陽系の歴史 今回学ぶこと 地球は太陽系の一員として,太陽の周りを公転しています。地球以外の惑星も ほぼ同じ平面を,みな同じ方向に公転しています。この規則性には何か理由があ りそうですね。太陽系は今から約 46 億年前に星間ガスの中で誕生しました。太 陽系の誕生と進化を調べると,地球の生い立ちや太陽系の特徴について理解が進 むことでしょう。隕石や小惑星が太陽系誕生のようすを教えてくれますが,まだ 未解決の謎も残されています。 隕石 ▼ 太陽系には恒星の1つである太陽を中心に,8つ なかでも米国アリゾナのバリンジャー隕石孔は有名 の惑星,惑星の周りを公転する衛星,太陽の周りを で,直径 1.2km のクレーターがおよそ 5 万年前に 公転する太陽系小天体(小惑星,彗星),さらには 落下した直径 30m 程度の隕石によって形成された 流星の元となる惑星間塵など大小さまざまな天体が と考えられている。 これらの隕石を詳しく調べると,46 億年前に形 ある。 例えば,2013 年 2 月にロシア・ウラル地方に落 成されたものが多く,さらに月の石の研究などから 下した隕石。隕石は小惑星のかけらであり,石質隕 も約 46 億年前に私たちの太陽系が形成されたと考 石や隕鉄などの種類がある。大きな隕石の衝突した えられる証拠が見つかっている。 跡,すなわちクレーターは世界各地に残っている。 微惑星 隕石・小惑星の解析や理論的なシミュレーション リオはおよそ次のような内容だ。 「京都モデル」から考え出された太陽系形成のシナ −9− 今から約 46 億年前,天の川銀河(銀河系)の渦 高校講座・学習メモ 地学基礎 太陽系の歴史 巻きの腕の 1 つの上の星雲内で太陽系が誕生した。 系円盤だ。円盤のなかで小さなちりが衝突・合体し 星雲とは水素とヘリウムを主成分とするガスの巨大 て成長し,次第に直径 10km 程度の「微惑星」に成 な塊りであるが,二酸化炭素,水,メタンそしてア 長する。 ンモニアなどの揮発成分と,炭素やケイ素のちりも 微惑星がさらに成長したのが,水・金・地・火・ 僅かながら含まれている。重力の作用によって,星 木・土・天・海の 8 つの惑星と,その周りを回る衛 雲のごく一部が太陽系として集まっていく。このと 星たち,そして主に火星と木星の間にある岩石の塊 き,中心にできた太陽にそこに集まった物質のほと =小惑星たちや海王星の外側にある冥王星などの氷 んどが飲み込まれてしまうが,ごく一部のガスとち の塊=太陽系外縁天体たちである。 りが太陽の周りに円盤を形成する。これが原始太陽 地球型と木星型 ▼ 水星・金星・地球・火星を地球型惑星,木星・土星・ 届かないので寒く,岩石成分に加えて,ガスの成分 天王星・海王星を木星型惑星と呼ぶ。地球型と木星 も固体となり惑星を形成した。このように遠いとこ 型を比較してみると大きさが明らかに異なる。その ろほど材料が豊富だったので,木星や土星のような 理由は,太陽系形成のメカニズムに原因がある。太 巨大なガス惑星になった。その先の,天王星と海王 陽から近いところでは,ガスの成分が太陽のエネル 星が小さめなのは,太陽から遠すぎて,天体をつく ギーで吹き飛ばされてしまうため,岩石のような固 る材料が木星や土星に比べて少なかったからではな 体の成分だけが星の材料となった。 いかと言われている。 一方,太陽から遠いところは太陽のエネルギーが 学習の まとめ 太陽系の天体は,今から約46億年前に天の川銀河内の星雲の一部が重力で収縮 し,太陽も惑星もほぼ同時に形成された。このことは地球に落下した隕石を調べ ることによって推察することができる。 太陽系形成の理論は「京都モデル」と呼ばれ,直径10km程度に成長した微惑星 の衝突・合体によって惑星が形成されたと考えられている。 原始太陽からの距離に応じて,岩石質の地球型惑星とガスを多く含む木星型惑星 の2種類の惑星がつくられた。 − 10 − 高校講座・学習メモ