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学習メモ
テレビ学習メモ 地学基礎 監修講師:渡来めぐみ 第 3 編 地 球 第 18 回 地球の形と大きさ 今回学ぶこと 人々は,大昔から自分たちの足元に広がる地球の姿を想像していました。15 世紀には探検家が航海によって地球が球形であることを実証し,20 世紀には宇 宙からその姿を眺められるようになりました。地球科学の発展にともなって,現 在ではその形や大きさをより正確かつ詳細に把握できます。地球の姿やその調べ 方を知ることで,地球自体に対する理解が深まります。地球の大きさを実感し, 地球規模の空間を想像してみましょう。 地球の形 人工衛星から送られてくる地球の画像を見ると地 はない。しかし,地球が丸い形をしているという考 球は丸い形をしている。地球が球形だということは, えの歴史は古く,古代ギリシア人はすでにそのよう 現在の私たちにとっては当たり前のことである。そ な考えを持っていたようである。 ▼ 紀元前 4 世紀には,古代ギリシアのアリストテレ の一方で,地表から地形をみれば変化にとんでいる。 陸地には山地があり,海洋には海溝とよばれる細長 スが,地球が丸いことについて書き残している。ア いくぼ地があり,地表には 20km 近い凹凸が存在す リストテレスは,その証拠として,月食のときに月 る。今のように人工衛星や飛行機などがない昔に, に映る地球の影が丸いことや,北極星が見える角度 人々がさまざまな形をした地球を想像したのも無理 が北へいくほど高くなることなどをあげている。 地球の大きさ 地球の大きさをはじめて求めたのは,古代ギリシ 心角)とその距離(弧の長さ)が比例することを利 アのエラトステネスで,紀元前 3 世紀のことといわ 用したものである。夏至の日の正午,シエネでは太 れている。その方法は,2 地点間の緯度差(円の中 陽の光がほぼ真上(天頂)から差し込むのを知った − 35 − 高校講座・学習メモ 地学基礎 地球の形と大きさ エラトステネスは,ほぼ同一子午線(地球の両極を 測定技術が発達した 17 世紀に入ってからは,地 むすぶ大円)上にあるアレキサンドリアでも同じ条 球の大きさの測定が繰り返し行われるようになった。 件で太陽高度を測定し,7.2 度南に傾くという結果 日本でも,江戸時代に伊能忠敬が緯度 1 度の距離を を得た。この 7.2 度という差は 2 地点の緯度差に相 何度も測定している。このようにして,子午線 1 度 当し,その距離もわかっていたため,計算によって の長さ,すなわち地球の大きさがより精密に把握さ 子午線の長さを求めたのである。 れるようになった。 地球の重力 17 世紀になると,地球が完全な球形かどうかに 重力が小さくなると考えた。 ついて疑問が持たれるようになった。フランスの天 その理由を考えたのがニュートンである。ニュー 文学者リシェは,赤道近くのギアナを訪れた際に, トンは赤道付近で重力が小さくなるのは,地球が自 パリで正確に合わせた振り子時計が 1 日に約 2 分半 転しているため,赤道付近で膨らんでいるからだと 遅れることに気がついた。そこで振り子の長さを短 説明した。その後,地球は完全な球体ではなく,赤 くしたが,パリに戻ると振り子の長さをもとに戻さ 道方向にわずかに膨らんだ回転だ円体であることが なければならなかった。振り子時計は重力が小さく 実証された。 なるほど遅れる性質がある。リシェは赤道付近では ▼ 学習の まとめ 紀元前4世紀には,すでに,地球の形は丸いという考えがあった。 地球の大きさ(子午線の長さ)は,南北方向の2地点間の緯度の差(円の中心 角)と2地点間の距離(弧の長さ)が比例することから,計算で求められる。 地球の重力は遠心力がはたらくために,場所によって異なり赤道では最小となる。 地球の形は赤道方向にわずかに膨らんだ回転だ円体である。 − 36 − 高校講座・学習メモ