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学習メモ
テレビ学習メモ
地学基礎
監修講師:松本直記
第 4 編 地球のこれから
第 40 回
持続可能な社会に
今回学ぶこと
巨大な地球のほんの一部を間借りして生きてきた人類。その人類の活動は拡大
を続け、ついには地球環境そのものを変化させてしまうような規模にまでなりま
した。わたしたちの生活はエネルギー供給の上に成り立っています。そのエネル
ギー源のほとんどは化石燃料を燃やすことで作られていますが、その結果、温室
効果ガスの二酸化炭素を作り、さらにいつの日かその化石燃料を使い尽くしてし
まうのは明白です。人類の文明を維持し発展させるためには、地球的な広い視野
と人類全体の協力が不可欠なのです。
地球環境を守る国際連携
▼
「人間の活動が地球環境に影響を与える」という
開発途上国の順にフロン類の製造・販売・輸出入を
発想は、つい最近まで人類は持っていなかった。地
禁じ、オゾン破壊の効果がやや弱い代替フロンにつ
球はあまりにも巨大で、それに比べたら人間の活動
いても同じ順に年限を定めて全廃することを決め
はちっぽけなものだと考えられていた。しかし、そ
た。日本は 1988 年にウィーン条約を批准し、同年
の人間の活動が、地球環境を変化させてしまうよう
オゾン層保護法を制定した。
な事態がさまざまに発生するようになってきた。例
このような国際的な協力の結果、オゾンホールの
えば、今から 30 年ほど前に発見された南極上空の
面積はゆっくりとではあるが減少傾向にあることが
オゾンホールである。
認められるようになった。「手遅れになってからで
オゾンホール発見と同年の 1985 年、オゾン層保
護のためのウィーン条約が締結された。方法は後に
は遅い」という予防原則により、国際協力が速やか
に行われ功を奏した素晴らしい事例である。
取り決めるとして、人類共通の課題としてオゾン層
を保護する取り決めを話し合うことをまずは定めた
のである。そして、具体的な方法を取り決めたモン
トリオール議定書が 1987 年に採択され、先進国、
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高校講座・学習メモ
地学基礎
持続可能な社会に
代替エネルギー
現在、二酸化炭素の増加により招かれる地球温暖
置き換えられるものではない。
化が深刻な環境問題ととらえられている。しかし、
再生可能エネルギーは急速に割合を伸ばしてきて
一方で人類の生活基盤、産業基盤とも言えるエネル
いるものの、まだ全体の数%に過ぎない。その発電
ギーを作るためには、化石燃料を燃やして二酸化炭
設備設置のためには広大な面積と高価な設備投資が
素を排出し続けることになる。
必要となる。
二酸化炭素排出の削減は、国家の利益や産業基盤
二酸化炭素を排出しない代替エネルギーへの切り
の整備、生活の質などに密接に関連し、オゾン層保
替えは長期的には必須である。短期的には、化石燃
護とは比べものにならないほど難しい問題である。
料燃焼発電の効率化を国際レベルで推し進め二酸化
しかし、いま全世界の約 7 割のエネルギーをまか
炭素や汚染物質の排出を抑えながら、代替エネル
なっている化石燃料は、いつかは必ず枯渇してしま
ギーの開発・投資を進め、徐々に転換していくこと
うのである。とはいえ、即座に化石燃料の使用を止
が考えられる。
めて太陽光や風力などの再生可能エネルギーだけに
持続可能な社会を作る
▼
化石燃料が枯渇するのは、数十年先といわれてい
機を設置すれば終わりなわけではなく、運用のノウ
たが、掘削技術の発展や新たな資源の発見で数百年
ハウを含めた人的交流、人材育成が不可欠である。
先といわれるようになってきた。しかし、それでも
砂漠などの晴天域に各国共同で巨大な太陽光、太陽
いつかは枯渇するのである。
熱発電プラントを建設するにしても、国家間の権利
今私たちが目の前にある化石燃料を消費し続け、そ
問題、法律問題などクリアすべき課題は多い。しか
の結果を遠い子孫たちに負わせるような世界を残すこ
し、オゾン層保護にいたる国際的な取り決めや、国
とは避けなければならない。そのためには化石燃料に
際宇宙ステーションの複数国家による運営など、人
頼らずエネルギー供給をする環境を構築することが、
類は国を超えた協力体制の実績がある。
人類が数千年作り上げてきた文明社会を維持発展さ
子孫に住みよい地球、豊かな環境を残すためには
せ、持続可能な社会とするための大原則になるだろう。
国という視点を超えて、地球的な大きい視野を持っ
例えば、化石燃料燃焼発電の効率化にしても発電
学習の
まとめ
て相互協力することが不可欠である。
オゾン層を守る取り組みは、国連が主導しほぼ全世界の国と地域が参加して行わ
れた。これは、人類の共同作業として、地球環境を守ることを全世界が協力して行
うことができた素晴らしい事例である。
化石燃料の燃焼に頼ったエネルギー供給は、地球温暖化による急激な環境変化を
もたらすかもしれない危険性と、資源の枯渇という2つの大きな問題を抱えている。
持続可能な社会を構築するためには、個人や国家という狭い視野ではなく、地球的
な大きな視野で協力体制を作り上げることが重要である。
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