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カンボジア・ラオスの中小企業の状況は?

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カンボジア・ラオスの中小企業の状況は?
途 上 国と関 西 にとって、なくて は ならな い 存 在 に な ることを め ざ す
公益財団法人
太平洋人材交流
センター
PACIFIC RESOURCE
EXCHANGE CENTER
CO NT E NT S
PREX NOW
1
3
4
5
6
ニュース&レポート
カンボジア・ラオスの中小企業の状況は?
ニュース&レポート
関西のモノづくりスピリットをシリア企業に
ニュース&レポート
5Sの実践をウズベキスタンで!
協力企業特集
長島精工㈱/㈱ヒラカワガイダム/ホスピタリティツーリズム専門学校大阪
PREXスタッフのコラム/世界からPREXへ/PREXだより/PREXの研修実績
May
2011
204
ニュース&レポート ❶
カンボジア・ラオスの中小企業の状況は?
同窓会フォローアップ事業
カンボジア・ラオスニーズ調査及びフォローアップ
PREXとして4年ぶりとなるラオス・カンボジアへの訪問。本出張の目的
は、①現地中小企業など民間セクター及び、中小企業振興関連機関の
状況・課題の確認、②帰国研修員のフォローアップ、③中小企業の重要
性と公共政策の役割を考える公開セミナーの実施、④現地関係機関と
のネットワーク構築を行い、
これらを今後のアセアン諸国対象の事業推
進に反映させることでした。日本の中小企業振興の専門家であり、中小
企業振興関連の研修でコースリーダーを務めていただいている、プー
ル学院大学平井准教授のご協力をいただき、現地出張を行いました。
カンボジアでの公開セミナーの様子。公的機関から15名、
民間企業から25名の参加が
ありました。
PREXのアセアン地域における
研修の実績
PREX事業メインの活動地域である
しました。両国とも2000年以降に民間セ
企業振興が国家開発戦略の一つと位置
アセアン諸 国 。東 南アジアの 国々が 地
クターの振興が国家戦略として位置づけ
づけられ、
民間団体からの働きかけも強い
域協力機構として東南アジア諸国連合
られ、国内の中小企業振興を考える官民
ため、比較的早い段階で中小企業支援
(ASEAN)
を設立、現在10カ国が加盟し
連携の委員会の設立や中央政府の中に
の体制が整えられるのではないかと感じ
ています。
その中で、
出張地であるカンボジ
中小企業振興を担う担当部局が設けら
ます。一方ラオスは、民間セクター強化は
アとラオスは、
加盟国としては最も新しい国
れ、
中小企業振興の重要性に対して徐々
掲げられているものの、それは国の天然
に分類されます(カンボジア1999年加盟、
ラ
に関心が高まっています。
しかし、
中小企
資源として注目を浴びる鉱業、電力業、観
オス1997年加盟)。
これらASEAN加盟国
業に注目が集まったのはここ5年ほどの話
光業の振興が主であり、裾野産業や中小
を対象に、PREXでは設立の1990年から
で、現状は枠組みが構築されたばかりで
起業振興への関心は低いようです。
長きにわたり、幅広いテーマで研修員の受
あり、施策実行や企業への適用の段階で
入れや海外セミナーを実施してきました。
ア
はありません。企業からは、
「政策は掲げ
セアン地域全体として、
日本での研修の参
られているのみであって全く適用されて
両国にはそれぞれ3万∼4万の中小企
加者は1,500名、現地セミナーの参加者は
いない。経営相談や起業相談の窓口はな
業が存在しています。
中小企業の定義は
4,000名を超え、PREX事業の対象地域の
く、公的支援は皆無に等しい。民間は自ら
2か国で若干異なりますが、従業員数で
中で参加研修員が最も多い地域です。
考えてやるしかない」
との声が多く聞かれ
いうとおよそ100名以下が零細・中小企業
ました。一方で、中小企業の集まりである
に分類されます。両国とも全人口の70∼
民間経済団体の存在感は強く、支援を要
80%が農業従事者であり、
中小企業の多
カンボジアでは8件、
ラオスでは4件の
望するなど活発な働きかけを行っていま
くが食品加工や農作物を加工販売する
政府・民間部門についてそれぞれの中小
した。
などのサービス業です。そして金属部品
企業支援機関の活動状況について調査
2カ国を比べると、
カンボジアでは中小
の組み立てや修理、縫製業や民芸品製
中小企業支援の現状
中小企業の現状及びニーズ
No.204 May 2011 PREX NOW 1
少ない中、
試行錯誤で経営してお
ていないのが現状で、外国企業は、
タイ、
り、経営者は、地元の人を雇用し、
ベトナム、
中国をはじめとする周辺国から、
企業を永続させるなどの使命を
ヒト・モノ全てを輸入しないといけない状
持っていました。課題としてはマー
況がありました。更なるグローバル化の進
ケティング、人材育成、品質管理
展による競争力優位の確立のためには、
が共通的に挙げられました。
国内の中小企業の育成に早急に取り組
ビジネスチャンスはいくつも転
む必要性が強くあると感じました。
がっており、
今後、
企業業種もどん
─ 国際交流部 コースプランナー 西阪 三友紀
どんと広がりを見せることは確実
ラオスのパン・ケーキ製造会社の工場の様子。
ラオス航空の機内食を受注するなど、国内での知名度は高い。
です。
ラオスに比べ、
カンボジアの
事業概要
方が、
ビジネスの種類は幅広いよ
事 業 名
カンボジア・ラオスニーズ調査及び
フォローアップ
造業が続きます。
うに感じましたが、
ラオスも確実に後を追
カンボジアでは6社、
ラオスでは5社を訪
うことでしょう。
また両国への日系企業はじ
実施期間
出 張 者
問、企業活動の状況について調査を行い
め外国企業の投資の動きが活発な中、協
ました。訪問企業の多くが家族企業から
力企業としての中小企業の役割が期待さ
スタートし、
自己資本を投入し、情報量も
れています。
しかしそのような企業は育っ
2011.2.14
(月)
∼27
(日)
プール学院大学 平井拓己准教授、
PREX担当課長 三浦佳子、
PREX
コースプランナー 西阪三友紀
ラオス ビエンチャン
カンボジア プノンペン
出 張 地
講師の声
ラオス・カンボジアにおける中小企業支援:自立した支援体制の構築に向けて
プール学院大学 准教授 平井
拓己 氏
今回のラオス・カンボジア訪問調査により、
これまで中小企業
政府による中小企業支援を実施する体制が整えられる必要
支援に関する情報が少なく、
実態把握が困難であった両国の
がある。
最新状況を確認することができた。
第三は支援者側の能力形成である。政府の支援機関、民
両国とも中小企業育成に向けた政策面の支援は緒に着い
間団体の事務局など官民両者において、
より効果的な支援が
たばかりではあるものの、
日本に派遣された研修修了者を中
実施できる体制整備と人的資源の能力向上が求められる。
心に支援体制の構築が進みつつある。人口約610万人の農
今後の中小企業政策研修では、
公的支援の重要性に対す
業国ラオスでは食品加工工場を訪問し、
衛生管理や、
5S
・カイ
る概念的な理解を深めつつ、
より実務的な側面も強調する必
ゼンなどの生産性向上に取り組む企業をSMEPDO(政府の
要があるだろう。具体的には、
中小企業金融や登記等の制度
中小企業振興開発局)がセミナーと定期的な訪問により支援
整備、社会的起業の振興、企業診断等を通じた経営管理支
する姿を目の当たりにした。
援、
食品産業等のビジネスマッチングと裾野分野形成、
国際ビ
一方、
カンボジアでは政府の支援に加え民間経済団体の活
ジネスへの対応、
等が考慮すべき点となる。
動が活発化していることが印象的であった。2000年以降に企
今後メコン川流域のインフラ整備や外資流入の加速に伴
業規模、
業種、
目的により様々な団体が設立され、
研修や情報
い、両国は経済的に大きく飛躍する可能性を秘めている。中
提供などを通じて管理職層の不足に悩む会員企業等に対し
小企業振興に対する支援がいっそう重要性を増すことに疑
て相互扶助を進めている実態もみられた。
いはない。
ただ、外国や国際機関の援助に過度に依存しない企業支
援の仕組みづくりに向けては、両国には共通の課題が多い。
第一に、
行政部門の企業に対する信頼性向上が挙げられる。
政府が企業活動の支援者であるという認識が民間企業の間
では低く、多くがインフォーマルセクターに留まっている。企業
活動に対する政府の姿勢を明確化し、企業の登記と納税が
国民生活の改善につながるという啓発が重要である。
第二に、
中央政府の施策が地方で着実に浸透したり、
地方
2 PREX NOW No.204 May 2011
ラオスPREX同窓会長からお礼の贈り物を受け取る平井准教授
(右)
。
ニュース & レポート ❷
関西のモノづくりスピリットをシリア企業に
受入研修 経営管理
シリア総合経営管理研修
国際的自由競争にさらされつつあるシリア産業界においては、製品の品
質やコストの低減が競争力維持の重要なキーとなります。そのため、企
業の経営幹部は時代に応じた経営戦略の見直し・強化の必要に迫られて
います。このニーズに真正面から応えた本研修を通じて、シリアの企業
幹部や、経営支援を担う工業会・コンサルタント計11名が、生産管理と
改善を中心とした日本の実践的な経営管理について学びました。本研
修は、同国からのニーズが非常に高く、複数年計画で実施してまいりま
したが、今回は最終年度で当財団としては4回目の受入となります。
富士シートにて熱心に工場の改善事例につき説明を受ける研修員。
“国際競争で世界に伍していくため”
帰国後も持続的にPDCAサイクルを
である自動車産業のものづくり経験豊か
なPREXシニア専門家吉岡様・福田様
日本で学ぶ
回し続ける“仕掛け”
シリアでは従来、
国家の主導により産業
また、
アクションプラン策定に当たって
かのごとく帰国直後の研修員からの電子
構成が形成されてきました。
しかし、近時
は、各研修員が課題を抱える現状とアク
メール全てに両氏への感謝の念があふ
の国際的自由競争の中で、
外国製品に伍
ションプランをつなぐ
“問題解決シート”
を
れていたことを付記し、本研修レポートの
して通用するクオリティの製品製造が求
活用し、
目標の絞込みや工程表を、研修
しめくくりとさせていただきます。
められています。
員一人ひとりの具体的課題をふまえ、
挑戦
本研修を通じて、同国の企業幹部や、
的でかつ実行可能な内容としました。
これ
経営支援を担う工業会・コンサルタントが、
により、初年度活動の完遂から、次のサイ
わが国の実践的経営管理を学びました
クルにスムーズに移行する枠組をつくりあ
研 修 名
実施期間
シリア総合経営管理研修
2011.2.4
(金)
∼3.2
(水)
が、帰国後ビジネス実務に活用することを
げ、
加えて、
発表会直後にJICAシリアと結
研修参加者
通じて、
同国経済発展に着実に寄与する
んだTV会議でシリアサイド関係者に向け
シリアの工業会議所職員および民間
企業経営幹部、
コンサルタント11名
委託元機関
独立行政法人国際協力機構
(JICA)
ことが期待されます。
アクションプラン要旨を発表し、
プラン実行
研修員の熱いニーズに応えた
“効果的なカリキュラム構成”
へのコミットメントを図りました。
● ● ● ●
最後になりましたが、
この研修自体を
本研修の特徴のひとつとして、午前の
毎年“カイゼン”
し、
より良いカリキュラムと
講義で改善手法を学び、午後の企業訪
することができましたのは、
日本のお家芸
の的確な指導の賜物で、
これを裏付ける
─ 国際交流部 担当部長 末尾 寿広
研修概要
大阪国際センター
お世話になった方々、企業・団体
(敬称略、訪問順)
:
吉岡シニア専門家、福田シニア専門家、岩本シ
ニア専門家、松下幸之助歴史館、新生紙化工
業、寿ダイカスト工業、富士シート、東京商工会議
所、平和工業、
トヨタL&F、伊藤工機、
サンリット産
業、葵機械工業、
ライオン大阪工場
問で実践事例を確認するという理論と実
践を結びつけた構成が挙げられます。
こ
れにより、特に工場訪問時の質疑にムダ
がなく、限られた訪問時間を有効に活用
できました。
また、
もうひとつの大きな特徴と
して、3回にわたるコースリーダー指導・研
日本のお土産は
“カイゼン”
書籍
研修員にとって、
日本滞在は、研修主目的に加えて、文化理解・
人的交流、
そしてショッピングの良い機会でもあります。今回の研
修員は一連のシリア総合経営管理研修においても最も熱心なグ
修員相互意見交換、加えて仕上げに個
ループでしたが、
このエピソードはその一端を物語るものです。
別指導という、
アクションプランの徹底的ブ
評価会や閉講式を無事終了し、帰国を翌日にひかえた3月2日
ラッシュアップがあります。
ドラフト初稿には
午後、
シリア第二の都市アレッポからの研修員2名を連れてPREX
予定を2時間近く超過する熱心な指導・
研修担当者はJICA大阪センターから洋書取扱大型書店2軒へと
意見交換がなされ、
中には大幅な変更を
余儀なくされる研修員もありましたが、内
容向上への意欲は微塵も損なわれること
帰国直前まで研修関
連書籍購入に余念の
なかったアントワンさん
(伊藤工機訪問時)
。
向かいました。実は前日に出された、
シリアでは入手困難な研修関連英文書籍を帰国前に
どうしても購入したいという要望に応え、PREXが両書店に取り置きを手配していました。
そ
れぞれの書店でじっくりと内容を確認した研修員たちは、福田コースリーダーのアドバイスも
ふまえ、2冊の
“カイゼン”
書籍を日本土産に加え、祖国シリアへの帰途につきました。
がありませんでした。
No.204 May 2011 PREX NOW 3
ニュース & レポート ❸
5Sの実践をウズベキスタンで!
受入研修 経営管理
ウズベキスタン日本センタービジネス実務研修
本研修の特徴は、決まったテーマは無く、毎年様々な現地ビジネス
マンが来日するため、彼らに合わせた研修を一から計画しなくては
ならいないという点です。今年度の研修員も、文房具販売・認証会社
(ISOなど)
・広告代理店・家具製造販売と、業種は様々で、研修に求
める項目もそれぞれ異なっていました。このような場合、それぞれの
ニーズを満たす講義・訪問先を設定しつつ、共通テーマを見つけ、研
修員をいかにまとめていくかが重要となってきます。
研修で学んだことを自国でどう活かせるか
ディスカッションする研修員。
アップが期待できるという点は一致してい
れるが、話し合いを重ね、
ウズベキスタン
ました。
流の方法を模索しながら、活動を続けて
それぞれ異なる背景を持つ研修員でし
研修後半では、
帰国後の活動について
いくことが重要となる」
との意見がまとまり
たが、
研修を進めるにつれ、
日本の企業に
のグループディスカッションを実施したので
ました。
おける5S
(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の
すが、その際研修員がピックアップしてき
徹底ぶりに影響を受け、
その職場への適
たテーマもこの5Sでした。そこでは、
自国
応が共通テーマであることが分かってきま
への適応を考えた際、発生しうる問題点
ディスカッション結果について、
コース
した。実行プロセスはそれぞれ違います
と、その解決策を話し合ってもらい、結論
リーダーの内海先生からは、
まさに研修員
が、
この活動により、
製造現場のみならず、
として、
「5Sの実行にあたり、初期段階で
が想像しているような困難が予想され、
そ
事務所や販売店などでも、作業効率の
は、周りの理解が得られないことが予想さ
れは日本の企業でも同様であることや、成
共通テーマは5S
道は遠いが
功のポイントなどについてのお話を頂戴し
ました。帰国後彼らは、社内セミナーの実
施や、
上司への説得などを足がかりに、
活
動を開始するとのことです。平易な道では
伏見探訪
毎日のお固い講義・見学の合間に、
ちょっと頭を切り替えるため、
日本の伝統産業と
文化遺産に触れていただくことを目的として企画しました。
まず日本酒をもっと知っていただくために、京都伏見にある月桂冠大倉記念館さんを
ないことが予想されますが、努力が実を
結ぶ日が来ることを願ってやみません。
─ 国際交流部 コースリーダー 折井 耶澄
訪問。お酒の紹介ビデオ鑑賞や、酒香房で昔ながらの酒造工程を見学した後、
お酒に
関する色んな展示物を興味深く見て回りました。
そして最後にお楽しみ
(特に同行した私
にとって)
の試飲となりましたが、3種類の異なった味のお酒を楽しむことが出来、
オイシ
イ!を連発した上、売店で何本か購入する研修員もいました。ただ残念なことに、研修員
のお一人はイスラム教徒のため試飲することができませんでした。
次に、伏見稲荷を訪れましたが、
やはり千本鳥居に目を奪われ、
それをくぐりながら一番
研修概要
研 修 名
上付近まで登りました。
それまでの企業訪問が全て街なかであったため、木々や池に囲ま
実施期間
れた景色に触れることで大いにリ
研修参加者
ウズベキスタン日本センタービジネス
実務研修
2011.2.22
(火)
∼3.11
(金)
ウズベキスタン日本センターのセミ
ナー ビジネスコース 成績優秀者4名
フレッシュされ、皆さんに喜んでいた
委託元機関
だけました。帰りは、参道に沢山の
独立行政法人国際協力機構
(JICA)
大阪国際センター
土産店が並んでいますが、珍しさも
あってそれぞれのお店を一軒一軒
お世話になった方々、企業・団体
(敬称略、訪問順)
:
覗いて回っていました。
クリエイション 内海代表取締役、松下幸之助歴
史館、
サンレー冷熱、三元ラセン管工業、丸川経
営企画研究所 丸川所長、伍魚福、
月桂冠大倉
記念館、福井県立大学 ベロフ教授、
トンボ鉛筆、
グレイワールドワイド、豊田自動織機 トヨタL&F、
キリン堂、中川木材産業、
ゼロ精工、
リコーテクノ
システムズ関西支社、
クリエイション、パナソニッ
クセンター大阪
これらの日本文化との触れ合い
が、
きっと良い思い出になったと思
います。
─シニアコースリーダー
稲本 治朗
4 PREX NOW No.204 May 2011
伏見稲荷千本鳥居の下で、
ハイ!ポーズ
2010年度総訪問先数
PREXの事業に賛同いただいている
PREXでは、年間30件前後の研修を国内で実施し、
協 力 企 業 特 集
「一台一台が手作り」
研削盤メーカー
長島精工㈱
本社=京都府宇治市
H P=http://www.nagashima-seiko.co.jp/
大変多くの訪問先にご協力いただいています。
その中から毎号、特色ある企業などをご紹介します。
379 件
うち新規 61件
1973年創業、半導体製品などを作るための精密な金型を作り出す、高い機械精度
を持つ精密研削盤製造や、精密工作機械修理を行う企業です。同社は一台一台、顧
客の要望に合わせ、
機械の設計および製作を行い、
丈夫で長持ち、
ユーザーの要望に
絶対に応える機械作りを長年にわたり続けています。
そのものづくりの精神、高い技術
力が熟練者から若い技能士に継承されて
いる姿も見事です。今や工作機械メーカー
としての同社の存在感は国内、国外へと
「中小企業振興政策(A)研修」で訪問
浸透しています。研修では、同社の経営の
変遷や人材育成の取組みについてお話を
いただき、
また手仕上げによる
「キサゲ」
とい
う、人間がノミのような工具を使い金属面
の表面を高精度に仕上げる技能を実演し
ていただきました。
高効率ボイラの製造と
アフターサービス
㈱ヒラカワガイダム
本社=大阪市北区
H P=http://www.hirakawag.co.jp/
工場内には、社員の方が所持される国家技能士の
資格認定書が貼り出されています。
同社は、
蒸気ボイラ、
温水ヒータをはじめとする各種製品の製造、
販売を行うメーカー
で、
来年創業100年を迎えます。
ボイラや温水ヒータを通じて熱利用の有効活用に挑戦
されています。2011年に実施した本事業においては、今年度のテーマがボイラの省エ
ネであったことから、営業本部の今里部長にご出張いただき、現地でのセミナーでのご
講演と、
企業現場での省エネ診断を実施い
ただきました。今里部長には「発展が凄まじ
い中国・上海市においては、
『 省エネ』が大
「JICA草の根技術協力事業大阪府─上海
市省エネ人材育成事業専門家派遣」で協力
きな課題となっており、
とりわけ省エネ・省力
化・CO 2 削減の期待が大きいのがボイラで
す。今回の派遣を通じて日本(大阪)
のボイ
ラの省エネ技術が紹介でき、
また微力なが
ら貢献できたことを嬉しく思います」
と感想
をいただきました。
ホスピタリティ産業で
求められるプロを育成
ホスピタリティ ツーリズム
専門学校大阪
本社=大阪市西区
H P=http://www.trajal.info/
「中東地域観光開発研修」で訪問
中国・上海市でのセミナーで講義いただいた今里
部長。
同校は、
相手を思いやり、
相手の立場に立って行動する
「ホスピタリティ」の精神を身
につけ、観光・エアライン・ブライダルなど、
サービス業界で働くプロフェッショナルの人材
育成を目指しています。実習のための模擬設備が多数整っており、在校生は、接客現
場を想定した実践的な訓練を受けることができます。
「中東地域観光開発研修」で、
中東の行
政官を受入れていただいた際は、
在校生と
の意見交換も交えながら、
学校の仕組みや
制度についてのお話をお聞きした後に、施
設見学をさせていただきました。
ホスピタリ
ティあふれる受入れに、研修員は心から感
動しており、学校側も、受入れにより生じる
交流に、意義を感じてくださっているとのこ
とでした。
在校生との意見交換風景。皆さん、真剣に意見交
換をしていました。
No.204 May 2011 PREX NOW 5
PRE X
スタッフの
コラム
日本・関西の魅力を世界へ
3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の直後、
PREXには世界各国の帰国研修員から地震の影響を心配するメール、
そ
して日本のために何かしたいといったメールが数多く届きました。
エルサルバドルの研修員は、
「日本では色々な人に親切にしても
らった。今度は自分が日本のために恩返しがしたい。私たちの心はいつも日本と一緒にあるから」
と温かいメッセージをくれました。
外務省は、3月22日現在、130の国・地域及び33の国際機関等から支援の申し入れ
があったと発表しています。各国からの援助の申し入れには、
これまでの日本からの
支援に対する感謝の気持ちが含まれていることを嬉しく思います。
PREXに入局して4年が経過しましたが、
国内の厳しい財政事情を背景にODA
への支出を抑制する動きが続いています。途上国支援の現場では、
説明責任や成
果主義などの言葉が強調されるようになっていますが、
PREXが行なう訪日研修に
よる人材育成事業は成果を数値化することが困難です。
しかしながら、今回の震
災を受けて、
日本のことを本気で心配してくれる帰国研修員が数多くいることは、
訪
日研修による大きな功績だと感じました。
これからもPREXの研修を通じて、
日本や
昨年の10月に訪問したニカラグアの帰国研修員達。
習った日本語で挨拶してくれ、
もう一度日本に行きたいと
日本への思いを口にしていました。
関西の魅力が伝えられるよう、
より一層尽力していきたいと思います。
─ 国際交流部 コースリーダー 北村 圭
斉 譲氏 中国科学技術協会 常務委員会 副主席
世 界 から
PREXへ
1990年に日本での研修に参加しましたが、今でも研修の思い出が、映画のワン
シーンのように目の前に蘇ります。PREXの研修で三つの宝を得ました。
「時間」
と
2 0 1 0 年4月に
20周年を迎えた
PREXに懐かしい
帰国研修員や各
地の同窓会からお
祝いのメッセージ
が寄せられました。
「効率」
と
「効益(効果と利益)」です。啓発を受けた私は、
日本への渡航費用を考
えると、人数に限りがあるため、専門家を派遣して中国でセミナーを実施できない
かと提案しました。PREXは私の提案を受入れ、
その後PREXにより何度も専門家
が派遣され、
各方面で好評を得ました。一度受けた研修は生涯有益です。PREX
設立20年にあたり、
感謝の気持ちを申し上げるとともに、
PREXの明日がさらによい
ものとなることを信じております。
PREXだより
PREXの研修実績
(1990∼)
人の動き
【着任】 ● 浜口 好康…国際交流部 担当部長 2011年4月1日付/サントリーホールディングス㈱より出向
●
藤沢 勉……総務部 担当部長 2011年4月1日付/ダイキン工業㈱より出向
●
森 集………国際交流部 担当部長 2011年4月1日付/大阪ガス㈱より出向
【帰任】 大西 正機…国際交流部 担当部長
2011年3月31日出向期間満了/サントリーホールディングス㈱より出向
4月の異動により、3年間の出向を終え帰任することになりました。在籍中は、研修
テーマ毎に講師や専門家の方々に色々なアドバイスを頂き、視察受入れをお願いし
た多くの民間企業様や団体、
また公的機関の皆様からは、心のこもった素晴らしい
対応をしていただき、本当に有り難うございました。研修を終えて彼らが帰国する際、再び日本に戻って
来たいと聞かされる度に、
民間の国際交流活動が如何に大切なものであるかを、常に実感させられてい
ました。今後ともPREXが果している役割にご理解をいただき、変わらぬ応援を頂戴できることを願って
おります。永い間、有り難うございました。
PREXは、1990年4月設立以降、
開発途上国の人材育成事業とそ
の活動を通しての国際的人材交
流促進に努めています。
●
研修累計 494コース
研修員累計 131カ国・地域
13,883名
●
●
受入研修 4,364名
●
海外研修 9,519名
(2011年3月末現在)
── 平成23年度東日本大震災で被災された皆様へ ──
3月11日に発生した東日本大震災で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
PREX NOW 第204号 2011年5月発行
6 PREX NOW No.204 May 2011
編集・発行:公益財団法人 太平洋人材交流センター 専務理事 藤田賢次
〒552-0021 大阪市港区築港2丁目8-24 pia NPO 502号 TEL 06-4395-2650 FAX 06-4395-2640
ホームページ:http://www.prex-hrd.or.jp 電子メールアドレス:[email protected]
Fly UP