...

世界をリードする経営幹部のあり方を考える

by user

on
Category: Documents
9

views

Report

Comments

Transcript

世界をリードする経営幹部のあり方を考える
途 上 国と関 西 にとって、なくて は ならな い 存 在 に な ることを め ざ す
公益財団法人
太平洋人材交流
センター
PACIFIC RESOURCE
EXCHANGE CENTER
PREX NOW
C ON TE NT S
1
2∼3
4
5
6
December
2011
ニュース&レポート
世界をリードする経営幹部のあり方を考える
ニュース&レポート
関西の太陽光発電技術を世界へ
ニュース&レポート
創業支援スキルとノウハウを伝授
協力企業特集
大輝工業㈱/万協製薬㈱/関西社会人大学院連合
帰国研修員の活躍/PREXだより
210
ニュース&レポート ❶
世界をリードする経営幹部のあり方を考える
受入研修 経営管理
第32回関経連アセアン経営研修
10月3日より1週間、関西経済連合会より委託を受け、
「第32回
関経連アセアン経営研修」を実施しました。対象はアセアン7カ国
(インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、ベトナム、マレー
シア、ミャンマー)の企業経営幹部及びモンゴルの行政官12名
で、日本企業の経営戦略、中でも世界的にホットな話題である「環
境への取り組み」と「リスクマネージメント」をテーマに取り上げ
て、専門家からの講義や関西の企業との懇談を行いました。
アスクで銅線剥離機のデモをしていただきました。
簡単に銅線と塩ビが分かれる様子に感嘆の声が上がりました。
聞いていた研修員。枚方市のアスクを訪
と、後になれば費用もかかる上、企業とし
問した時はビジネスの話で盛り上がりまし
ての社会的責任を問われるとの話は考え
「国際基準に環境対策を合わせると、
た。試作品加工を行っている企業ですが、
させられました。
また、企業は従業員あっ
費用がかかり、値段が高くなります。対策を
産業廃棄物処理の話から、銅線剥離機
てのこと、従業員を大事にすべきと断言さ
とっていない地元企業は安い費用で製造
の製造を思いつき、
開発に取り組まれてい
れたことは研修員の心に響きました。
し、私達は価格競争に負けてしまいます」、
ます。特に細線と呼ばれるケーブルから簡
抱えている課題に対する直接の回答は
「企業の利益とは、企業が開発した製品
単に銅線を取り出せることは、銅線のリサ
ないかもしれませんが、
「 経営幹部は、利
の販売によって成り立ちます。新しい商品
イクルに役立ち、
また儲かる話だとの説明
益だけでなく、従業員や社会のことを考え
に買い替えてもらうことが、本当に環境対
でした。電線があるところでは必ずケーブ
て判断する。
その判断を従業員に明確に
策になるのでしょうか。
『 企業の利益』
と
『環
ルはあると聞いた研修員からは、剥離機
伝えて、
企業をリードしていく。
その判断は
境への配慮』
は矛盾していないでしょうか」、
を購入することを想定した質問が集中し
遅らせてはならない。
そのような経営幹部
「リスク管理のため、事業維持計画は必要
ました。
「環境」をキーワードとした新しい
のあり方について再認識した」
と最後に研
なのは分かります。
しかし、大企業だからこ
商売ネタを探しているアジア企業のたくま
修員が述べた言葉が、今回の研修の本
そできるのであって、
中小企業や零細企業
しさを垣間見たような気がしました。
当の成果ではないでしょうか。環境問題と
環境対策は「言うは易し」
?
にはそこまで費用をかけられません」、
「従
業員の労働安全対策はどこまで必要でしょ
経済発展との両立など、
これから様々な面
経験に基づいたアドバイス
で岐路に立つでしょうが、1週間を共に過
うか」、研修員が所属している企業の現状
今回ご協力いただいた方々からは経験
ごした仲間とその時の意見交換を思い出
と課題が次々と浮かび上がってきます。
に基づいた貴重なご意見をいただきまし
して下さい。
きっと乗り越えられると信じて
「環境ビジネスは儲かるのか」
という疑
た。
日本が引き起こしてしまった公害問題
います。
問に解決策を見つけようと、熱心に話を
の経験から、環境対策は今すぐやらない
(国際交流部 三浦)
No.210 December 2011 PREX NOW 1
ニュース & レポート ❷
関西の太陽光発電技術を世界へ
受入研修
環境
太陽光発電導入支援計画研修(A)
PREXでは、JICAの委託を受け、13カ国18名の行政官を対
象に、9月13日
(火)から10月14日
(金)
まで「太陽光発電導入
支援計画研修(A)」を実施しました。太陽光発電の研修は非常
にニーズが高く、昨年より全世界を対象に年3回(A、
B、
C)それ
ぞれ3カ年計画で行い、そのうち2回(A、
B)
をPREXで実施す
ることになりました。今回は(A)
コースで、3カ年計画の2年目
にあたり、
「系統連系システム
(太陽光発電や風力発電などで発
電した電力を、電力会社の送電または配電線に接続して運用す
るシステム)」導入のニーズが高い国々を対象に実施しました。
大阪市立大学にて測定機器を用いて実習を行いました。
得する必要があります。
阪市立大学の小槻教授というエキスパー
関西地域には、太陽光パネルメーカー
トの先生方から、懇切丁寧な講義・指導を
近年、低炭素社会の実現をめざし先
や電池メーカー、住宅に太陽光発電装置
いただきました。
日本の太陽光発電産業
進国・途上国を問わず、再生可能エネル
を設置するハウスメーカーが集積してい
の歴史から、太陽光技術の基本的事項、
ギーの導入は重要案件となっています。
ます。本研修においては、
この
“太陽光発
日本の再生可能エネルギー政策について
途上国においては、気候・風土的利点を
電産業クラスター”
を活用するため、関西
の理解を深めました。
いかし、水力、風力、
バイオといったエネル
経済連合会のご支援を得て、
関西の太陽
研修に先立ったカントリーレポート発表
ギーを活用しています。
また、無限のエネ
光発電関連企業への訪問を中心に研修
会、
また研修の締めくくりの成果報告会で
ルギーである太陽光を活用した太陽光発
プログラムを構成しました。
は、
各国の研修員から母国のエネルギー・
関西の太陽光発電産業クラスターを訪問
電の導入を加速化する動きが顕著になっ
ています。そのためには、太陽光発電の
各国と関西のビジネスマッチングに期待
電力事情、太陽光発電の状況、研修を受
けての考察などの報告がありました。
また
導入や、持続的なオペレーション・メンテナ
今回は、
J
ICA専門員の小川様をコース
関西経済連合会会員企業と意見交換の
ンスの方法などに関する知識を十分に習
リーダーとし、
コンサルタントの吉野様や大
機会を通じて、
ご参加の方々と具体的な
太陽光プロジェクトにも踏み込んだ情報交
換ができました。今後の各国と関西のビジ
ネスマッチングが期待されます。
(国際交流部 森)
関西電力堺太陽光発電所訪問
昨年度の研修員から
「メガソーラー発電所を視察したかったので、来年度の研修員のた
めに、
ぜひとも来年は取り入れてほしい」
との声があがり、
日本最大(訪問日の9月20日時
点)
のメガソーラー発電所である関西電力堺太陽光発電所を訪れました。当日はあいにくの
雨模様で発電量は少なかったものの、広大な敷地に敷き詰められているソーラーパネルを
目の前にして、研修員は興味津々
研修概要
研 修 名
2011.9.13
(火)
∼10.14
(金)
研修参加者
13カ国18名の行政官
委託元機関
独立行政法人国際協力機構
(JICA)
関係機関
大阪国際センター
関西経済連合会、大阪市立大学、
地球環境センター
(GEC)
の様子。同発電所は遠隔で運転
し、1か月に1度数名で設備を巡視
しているとのことで、基本的にはメ
ンテナンスが不要であるという点に
お世話になった方々、企業・団体
(敬称略、訪問順)
:
研修員は非常に驚いていました。
ま
JICA国際協力専門員 小川忠之、JICA国際協
力専門員 林俊行、吉野コンサルタント 吉野量
夫、
関西電力堺太陽光発電所、
チェンジ・エージェ
ント、JICA国際協力専門員 新関良夫、歴史街
道推進協議会、
シャープ グリーンフロント堺、
大阪
市立大学教授 小槻勉、関西電力、大阪市柴島
浄水場、近畿経済産業局資源エネルギー環境
部、
ジーエス・ユアサコーポレーション、大阪ガス、
浜田、
パナホーム、JICA本部、
ゴウダ
た、臨海部に設置して潮風の影響
が出ないのかといった点にも質問
が出ていました。
メガソーラー発電
所を自国で展開したいと考えている
見学用に設置されている太陽光パネルを前に
議論を交わしました。
2 PREX NOW No.210 December 2011
太陽光発電導入支援計画研修
(A)
実施期間
研修員にとって、
とても参考になり
ました。
アゼルバイジャン
チュニジア
パレスチナ
インド
コスタリカ
各国の
現状と
ニーズ
ヨルダン
モロッコ王国
サウジアラビア
タイ
バングラデシュ
エルサルバドル
セイシェル諸島
本研修の参加国は、アゼルバイジャン、バングラデシュ、
コスタリカ、エルサルバドル、インド、
ヨルダン、
ウルグアイ
モロッコ王国、パレスチナ、サウジアラビア、セイシェル諸島、タイ、チュニジア、
ウルグアイの13カ国・地域です。
このうちの4カ国について太陽光発電導入の現状とニーズについて紹介します。
モロッコ王国
インド
西は大西洋、北は地中海に面している北
インドでは4億人が依然電気
アフリカ北西部に位置するモロッコは、
日本と
をアクセスできない状況であり、
ま
同様に石油や天然ガスなどの天然資源を持
た、年率8%の経済成長を維持
ちません。
このため、エネルギー需要の95%
するためには発電能力を今後
を輸入に頼っています。
エネルギー需要は年
10年間で現在の水準の2.5倍に
率7%の伸びを見せており、
ここ10年で電力
拡大する必要があると言われて
供給能力を倍増していかねばならず、
そんな中で同国政府は水
います。
そういった観点から、
インドでは地方電化の促進や持続可
力・風力・太陽エネルギーなど再生可能エネルギー分野に重点的
能な成長に向けた国家エネルギー政策の立案・実施が強く求めら
に取り組む姿勢を示しており将来的には欧州へ再生可能エネル
れています。
インドの総合エネルギー政策をみると、
2022年までに、
ギーを輸出する計画も持っています。
太陽エネルギーでは太陽熱
全エネルギー供給量に占める再生可能エネルギーの割合を10%
と太陽光で2020年に電力消費量全体の14%をカバーする目標を
にすることが目標とされており、太陽光発電については、2013年の
立て、
2000MWの発電設備建設を掲げています。本研修には昨
1.3GWを2022年には22GWに増強する計画となっています。今回
年に引き続きモロッコ環境省からの参加があり日本の太陽光産業
の訪日研修には再生エネルギー大臣の私設秘書と再生可能エネ
の発展の歴史や制度・政策、持続可能なオペレーションやメンテ
ルギー開発庁の技官の2名が、
日本の太陽光発電産業のベストプ
ナンスについて習得されました。
ラクテイスや政策について理解を深めるために参加されました。
エルサルバドル
タイ
エルサルバドルは人口
2010年度におけるタイのエネ
700万人、
国土面積は日本
ルギー消費の内訳は、重油が
の100分の6という小国で
16%、天然ガスが63%、褐炭が
す。国土が狭い割に人工
10%、天然ガソリンが9%、再生
が多く、
中米諸国の中で人
可能エネルギーはわずか2%と
口密度はトップです。海に
なっています。
タイでは低炭素
囲まれているため、
水産物、
観光が主たる産業ですが、
農産物で
社会への貢献をめざし、
2022年には再生可能エネルギー比率を
はコーヒー豆が有名です。
エネルギーの供給源は水力が7%、再
20%まで高める方針を作成しました。そのために
(1)
日本あるい
生可能エネルギーが63%、
石油系が30%となっています。再生可
は世界が取り組んだ太陽光の経験、
(2)最新の太陽光の研究
能エネルギーのうち27%は木材バイオマスで、木材加工業の加
開発状況、
(3)持続可能な太陽光マーケットを作るための方針、
工工程で発生する副産物を、木材乾燥熱源として木質焚きボイ
(4)屋根付タイプの住宅用太陽光発電を進めるための方針、
ラのエネルギーとして利用しています。残りの36%に太陽光、
風力
等々を学ぶためにエネルギー省代替エネルギー開発局から1名
が含まれています。地方の農村の電化率は81%であり、
エルサル
と科学技術開発庁電子工学技術センターから1名の行政官が
バドルではこの地方の電化率の向上と石油依存の低減、豊富な
参加しました。
今回太陽光パネルの研修で訪れたシャープは、
タイ
日照時間を活用して、
太陽光による発電と供給を増大させる目的
の大規模太陽光発電所(73MW)
の保守・メンテナンス業務を受
で、国家エネルギー協議会地方電化部局から1名とレンパ川水
託契約し、2010年8月に着工以降、薄膜太陽電池モジュール・周
力発電執行委員会から1名が参加されました。
辺システムの供給、
建設を進めています。
No.210 December 2011 PREX NOW 3
ニュース & レポート ❸
創業支援スキルとノウハウを伝授
受入研修 中小企業振興
中小企業振興のための金融・技術支援(A)研修
「中小企業振興のための金融・技術支援(A)研修」で指導いただいた
滋賀県産業支援プラザの創業支援グループ、谷口副主幹に寄稿をい
ただきました。同プラザでは、主に創業支援に関する活動についてご
講義をいただいています。また、卒業会社2社も視察をさせていた
だき、日本の創業支援について理解を深めることができました。
研修員に滋賀県産業支援プラザの活動を説明する谷口副主幹
(写真右から2番目)
。
8カ国12名の研修員を
受入れて
公益財団法人 滋賀県産業支援プラザ 副主幹
谷口 直樹
滋賀の創業支援が世界のインキュベー
ションの参考になってほしい
滋賀県産業支援プラザでは毎年、
国内
はもとより、幅広く海外からも創業支援関
ん。全員が各国の中央省庁、公的支援機
て、
コラボしが21創業オフィスの卒業企業、
関などで金融や技術支援の面から中小
ミズホネットとロックウェーブの2社を表敬訪
企業振興に携わっておられる方々です。
問。
インキュベーション入居時代のエピソー
研修の内容としては、午前中は「滋賀
ドや、現在一人だちを果たした事業に関
の創業支援 コラボしが21創業オフィスの
するプレゼンテーションをお願いしました。
取り組み」
と題して、当プラザが実践して
いる創業・起業家支援のモデルを英語に
て説明させていただきました。
起業家の卵を発掘する「ビジネスカフェ
あきんどひろば」を紹介
起業家は産業・経済の活性化に
不可欠な存在
受講生の皆さんは約1カ月間近畿各地
を回り研修をされた後、締めくくりとして各
自が帰国後に実践しようとする
「アクション
連の研修団をお迎えしています。
創業・起業家支援策は、各国で取り組
プラン」を作成。帰国直前の発表会で披
今年度もその一環として9月9日
(金)、
みはされているものの、その手法や仕組
露されたそうです。
本研修の受入れを行いました。JICAの研
みについては国や地域によって様々。今
後日談としてですが、
それらアクションプ
修団受入れは今回で3回目となります。
回は滋賀における起業家の卵、予備軍
ランの多くに滋賀県産業支援プラザでの
受講者はスリランカ、
タイ、バングラデ
発掘ツールである
「ビジネスカフェあきんど
学びや、気付きが採用されていたというう
シュ、
パキスタン、
マケドニア、
マレーシア、
モ
ひろば」や、今年度から始まった「インキュ
れしい報告をいただきました。
ンゴル、
チュニジアの計8カ国12名の皆さ
ベーションマネージャーの滋賀県独自養
滋賀の創業・起業家支援活動が世界
成研修」等、他府県からも
のインキュベーションの参考になればこん
注目いただいている新しい
な光栄なことはありません。
取り組みについて、質疑応
創業者・起業家はどこの国にとってもイ
答を交える形で皆さんの
ノベーションを起こし、雇用を生み出す存
理解度と、
興味の度合いを
在として、
産業・経済の活性化に必要不可
確認しながら、お話をさせ
欠な存在です。
これからも引き続き他国の
ていただきました。
模範となれるよう、
創業支援スキルとノウハ
午後からは成功事例とし
ウの向上に努めたいと思います。
コラボしが21創業オフィスの成功事例ロックウェーブを訪問。
研修概要
研 修 名
実施期間
中小企業振興のための金融・技術支援
(A)
研修
2011.8.29
(月)
∼9.27
(火)
研修参加者
中央省庁、地方自治体、公的支援機関などで中小企業
振興
(主に金融・技術支援)
に携わる行政官12名
委託元機関
独立行政法人国際協力機構
(JICA)
大阪国際センター
4 PREX NOW No.210 December 2011
お世話になった方々、企業・団体
(敬称略、訪問順)
:上田国際協力専門員、新日本テック、兵庫県
立大学 佐竹教授、中小企業基盤整備機構、全国中小企業団体中央会 及川政策推進部長、
日
本政策金融公庫 国民生活事業本部、兵庫県庁、兵庫信用保証協会、神戸信用金庫、信金中
央金庫、滋賀県産業支援プラザ、
ロックウエーブ、
ミズホネット、
ビジネスプランニング 勝瀬代表取
締役、徳島県立徳島商業高等学校 鈴鹿教諭、
ももいちご青年部、
ハレルヤ、
マイスター社、農業
法人阿波食製作所、龍谷大学 松岡教授、大阪府環境農林水産総合研究所、食とみどり技術セ
ンター、
関浦コンサルタント、
範多機械
2010年度総訪問先数
PREXの事業に賛同いただいている
PREXでは、年間30件前後の研修を実施し、
協 力 企 業 特 集
独自の道を歩む
金属加工業
大輝工業㈱
本社=大阪府八尾市
「立命館大学グローバル企業体感
プログラム」で訪問
多くの訪問先にご協力いただいています。
その中から特色ある企業などをご紹介します。
322 件
うち新規 62件
同社は、1958年設立で、架空送電線機器、安全保守機器、放送通信アンテナの部
品等を製作されています。今回は同社の平野工場を立命館大学の7名の留学生が
訪問し、菅尾専務から経営理念、海外展開等の話をお伺いした後、工場内を見学さ
せていただきました。製品のロットに合わせて製品の作り方から独自の工夫を取り入れ
生産しています。従業員は定年後も再雇用して、物作りの様々な要請に応えるように
全員が責任を分担して取り組んでいる姿を見て、留学生の日本企業に対する見方が
変わったようでした。
<菅尾専務の声> 当社は顧客や協力会社、
社員皆様のご縁を大切にする会社です。基本
的に仕事はお取引のある会社を中心にと考え
て、
ホームページは設けていません。今回の研
修を受けたのは、PREX職員の方と一緒に中
国語会話を学んでいるご縁があったからです。
スキンケア製品の
アウトソーシング
万協製薬㈱
本社=三重県多気郡
H P=http://www.bankyo.com/
同社は、顧客ニーズを掘り起こす提案型営業で外用薬(クリーム剤、軟膏剤、液剤)
の受託生産を拡大してきました。1960年に神戸市にて設立、1995年の阪神・淡路大震
災により工場が被災し、
移転されたため、
大震災の教訓を生かして、床にケーブルを這
わせず広い通路を設けて避難に備える等、徹底した地震対策を講じておられます。
ま
た、
経営革新や組織開発における取り組み
に対して、
日本経営品質賞や環境経営優
秀賞を受賞されています。訪問当日は、地
「マレーシア初任行政官研修」で訪問
震からの再建やリーダーシップのあり方、
従
業員を大切にする経営姿勢等について松
浦社長からお話いただきました。
「人は経験
からしか学べない」
と松浦社長。未曾有の
大震災から立ち上がってこられた松浦社
長の言葉が、
研修員の心に深く響きました。
社会人講座 受講者累計3,500人
関西社会人大学院連合
本社=大阪府大阪市
H P=http://www.kansai-auae.jp/
同社が地元高校と連携し、開発したハンドクリームを
実際に試す研修員。
2007年に設立された同連合は、関西の経済団体、
自治体と連携し社会人教育を一
層推進することを目的としています。京阪神の大学・大学院23校が加盟しています。
主要な活動である社会人向け講座の受講者数は延べ約3,500人に上ります。訪問
の当日は、
佐野事務局長より加盟校、
運営組織、
収支構造、
活動内容などに加え、
研究
センターの設置など最近の動きが紹介され
ました。
ラオスにて日本センターを運営する
立場にある研修員から
「ラオス日本センター
「ラオス日本センター・ビジネス研修」
で訪問
ではコース受講者数の減少に対して色々
な取り組みを行っていますが、
今日お話しを
伺って、今後は外部からの情報をもっと活
用して調査研究に力を入れ、
セミナーやコ
ンサルテーションのレベルを高めたいと思い
ます」
との発言が出されました。
現地の状況を思い浮かべながら問題意識を持って
お話しを伺いました。。
No.210 December 2011 PREX NOW 5
*
「帰国研修員の活躍」
はPREXホームページからもご覧いただけます。
ケニアの企業の能力開発に日本の経験を
帰国研修員の活躍
モーリス・オティエノさん
ケニアの帰国研修員モーリスさんから
「仕事で関西を訪問するから懐かしいPREXのメ
ケニア輸出促進協議会(EPC)
研究計画部 部長
ンバーに会いたい」
と連絡があり、
2011年9月、
活躍の様子をお聞きすることができました。
1996年度
JICAケニア
輸出振興コース
に参加
PREXでは、1996年度から3年にわたり、JICAから委託を受け「ケニア輸出振興コー
ス」を実施しました。本研修は、
ケニア輸出促進協議会(EPC)
などの非営利機関職員
が、
ケニアの輸出振興政策に関する企画・実施能力のレベルアップを図ることを目的に実
施したものです。
同研修の参加者の一人が、
EPCのモーリスさんでした。
現在は、
同所 研
究計画部 部長に就任されています。
モーリスさんからは、
EPCが、
着実に事業を推進し
ており、
48名のスタッフで、
ケニアの輸出振興機関の中核を担っていることをお話しいただ
きました。
今後は、
輸出支援の専門家集団としての役割を期待されているとのことです。
ケニアは、
2007年以降、
大統領選挙後の混乱、
干ばつや世界経済危機の影響で農業
や観光をはじめとする主要産業が大きな打撃を受けましたが、現在、経済は回復しつつ
あるとのことでした。
ケニアから日本への輸出品目としては、
紅茶、
次いで園芸作物、
特に
ばらが有名です。輸出量は好調に増加しているようです。
ケニアに対する日本の投資や
企業進出、
特に中小企業が少ないことを残念がっていらっしゃいました。
「様々な国々を見てきたが、
ビジネスでも生活でも、
これほどまでに規律正しい国を見た
ことはない。
このような日本の経営マネジメント、
経験をケニアの企業にも共有してほしい。
技術でははく、
能力開発に力を貸してほしい」
と熱いメッセージをいただきました。特に、
日
本企業を引退したシニアの皆様に、
日本とケニアの中小企業を結ぶ橋渡し役になってほ
しいとの要望もありました。
最後に、東日本を襲った大震災に対して、
お見舞いの言葉もいただきました。震災直
ケニアの概要
2
面積 58.3万km(日本の約1.5倍)
人口 3,980万人
(2009年、
世銀)
首都 ナイロビ
(310万人)
G N I 303億米ドル
経済成長率 5%
後、
仲間たちと相談をし、
一人5,000円の募金と、
千羽鶴を作り、
被災地に送ってくださいま
した。
「日本での滞在を通じて、
お金の価値だけではない、
人に対する思いやりの重要性
お金よりも千羽鶴を送ることが、
日本の人々の救いになると考えまし
を学びました。今回も、
た。
これも日本で学んだことの一つです」
と教えてくれました。
(国際交流部 西阪)
(出展:外務省ホームページ)
PREXだより
日越経済討論会及びベトナム訪問団参加
2011年11月20日
(日)
∼11月26日
(土)
、関経連のベトナム訪問団
(ハノ
イ、
ダナン、
ホーチミン市、
バリアブンタウ省)
に村瀬理事・事務局長兼国際
交流部長が参加しました。期間中に、第5回日越経済討論会及びベトナム
計画投資省との共同委員会が開催されました。関西は、ベトナムにおける
環境インフラ整備、
ものづくり基盤の強化、人材育成等の分野における交
流・連携強化を進めていく方針です。PREXは、共同委員会で人材育成分
野での活動実績を紹介しました。
PREXシンポジウム
「これからのわが国の国際協力はどうあるべきか」
を開催
2012年2月14日
(火)
、大阪国際交流センター小ホールにてPREXシンポ
ジウムを開催します。詳細、
申し込みについてはホームページをご覧下さい。
● ● ● ● ● ● ●
PREXは1990年の設立からこれまで、途上国の発展を担う人材育成のた
めの研修事業とそれを通じた人材交流事業を推進してまいりました。現在、
わが国を取り巻く国際情勢や途上国・地域の状況は大きく変化しつつあり
ます。
また、貧困問題、環境問題をはじめ、新たな国際的な課題も提起され
PREX NOW 第210号 2011年12月発行
6 PREX NOW No.210 December 2011
ております。
このような現状を踏まえて、
これからのわが国の国際協力はどう
あるべきか、何を重点にODA戦略を考えるべきか等について議論を深め、
途上国の持続的発展を支える人材の育成支援と国際相互理解の意義に
ついて認識を新たにする機会としたいと考えております。
■時期:2012年2月14日
(火)13時∼17時20分
■会場:大阪国際交流センター 小ホール
■定員:180名
■基調講演:「日本の国際協力と関西の役割」
(仮)
独立行政法人国際協力機構
(JICA)
「日本の国際協力の方向∼人材育成面での協力∼」
モンテ・カセム 氏
(学校法人 立命館 副総長)
■パネルディスカッション
コーディネーター:高阪章氏
(関西学院大学 国際学部 教授)
パネリスト:中西寛氏
(京都大学大学院法学研究科 教授)
大坪清氏
(関西生産性本部会長・関西経済連合会副会長・
レンゴー株式会社 代表取締役社長)
モンテ・カセム氏
(立命館 副総長)
PREX同窓会メンバー 1∼2名
編集・発行:公益財団法人 太平洋人材交流センター 専務理事 藤田賢次
〒552-0021 大阪市港区築港2丁目8-24 pia NPO 502号 TEL 06-4395-2650 FAX 06-4395-2640
ホームページ:http://www.prex-hrd.or.jp 電子メールアドレス:[email protected]
Fly UP