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モンゴル信用保証制度の 運用強化にむけて

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モンゴル信用保証制度の 運用強化にむけて
途 上 国 と 関 西 に と っ て、な く て は な ら な い 存 在 に な る こ と を め ざ す
公益財団法人
太平洋人材交流センター
PACIFIC RESOURCE
EXCHANGE CENTER
CONTENTS
PREX NOW
1
ニュース&レポート ❶
2
ニュース&レポート ❷
4
ニュース&レポート ❸
6
ニュース&レポート ❹
7
ニュース&レポート ❺
8
ニュース&レポート ❻
9
10
ニュース & レポート
企業訪問
PREXだより
モンゴル信用保証制度の運用強化にむけて
太陽光発電技術の普及促進を見据えて
日本とタイのビジネス交流の構築を目指して∼日タイ中小企業ビジネスマッチングの実施∼
帰国研修員との旧交を温める
伝統芸能を通じて、
マレーシアと日本企業の管理職が相互交流
帰国研修員の活躍状況〈タイ〉
〈ベトナム〉
榛木金属工業㈱/泉南乳業㈱
ミャンマーの都市 ピンウールイン
1
モンゴル信用保証制度の
運用強化にむけて
受入研修
中小企業振興
モンゴル中小企業金融および
信用保証機能強化研修
PREXは、JICAから委託を受け、9月26日から
10月3日までモンゴルの信用保証機能強化のための
研修を実施しました。モンゴルで整備されて間もな
い「信用保証制度」の運用をいかに強化するべき
か、これからの運用のための規則、規範作りをどう
進めていくべきかを課題に15名の研修員が来日しま
した。
November
2013
222
PACIFIC RESOURCE EXCHANGE CENTER
進が課題となっています。特に雇用促進の面から労働人
口で大きな割合を占める中小企業の育成が政策課題と
なっています。2012年に中小企業の資金アクセスを改善
するためにモンゴル政府は、信用保証制度の設立に向
け、同年 2 月10日に「融資保証基金法」を制定、同年11
月より「信用保証ファンド」を運用しています。しかし
このファンドは、歴史が浅いため、運用の細かいルール
作りが十分になされていないという課題がありました。
このような背景から、ファンドに出資をした団体、運営
にかかる機関、協力をする銀行など、関係者が一堂に集
まり、いかに効率よく、公正な信用保証制度運用ができ
るかを学ぶ研修を実施することになりました。
■ 質問が途切れない研修
休日を移動に使ってもたった 6 日間の研修です。その
中に、信用保証制度の概要、関係機関の活動、目的、細か
い運用についての内容を盛り込まなくてはいけません。
東京で最初の訪問先となった全国信用保証協会連合会
では、「保証料の支払いはどうするのか」「その計算方
法は」「保証を付ける中小企業の経営状態を判断するの
は金融機関か、保証協会か」「保証をつけて返済がされ
なければどうなるのか」と矢継ぎ早に質問が出ました。
忙しい研修の最終日、「日本は中小企業を支援するべ
きという理念がいきわたっている」「融資評価のため
に、データを使った分析も役立つ」「しかし、最終的な
責任が少し不明確では」など日本の制度でよいと思った
研修で学んだことをまとめるモンゴルの行政官。
こととモンゴルには適応できないと思ったことを多々あ
げられていました。短い研修ですべてを学んでいただけ
■ 2012年11月開始「モンゴル中小企業信用保証ファンド」
たとは思えませんが今回の研修がきっかけになり、より
モンゴルでは産業の中でも鉱業セクターが非常に大き
よい、モンゴルの企業に頼られる信用保証制度ができる
な割合を占める一方でそれ以外の産業の育成や雇用の促
ことを願っています。 (国際交流部 関野)
No.222 November 2013 PREX NOW 1
ニュース & レポート
2
太陽光発電技術の
普及促進を見据えて
受入研修
環境
太陽光発電普及のための
計画担当者研修
の太陽光発電の普及を担う行政官が大半ですが、技術者
であったり、政策立案者であったり、それぞれの立場
やバックグラウンドは異なります。各研修員のニーズや
要望にできるだけ応えられるよう、また技術者には導入
計画、政策、制度に関する理解の促進、政策立案者には
基礎的な技術を習得してもらえるよう工夫しました。導
ここ数年にかけて日本国内で導入が進んだ太陽光
入計画、政策、制度に関する講義では、エクセルを用い
発電システムは、国外でもエネルギー資源の多様
た費用対効果や事業性評価の計算演習を行ったり、日本
化、気候変動対策、不足する電力の供給、地方電化の
の再生可能エネルギー政策や制度の背景や実状について
手段として注目を集めています。PREXでは2009年
理解を深めました。技術に関する講義では、日射量や気
度から 4 年間で38カ国105名の研修員に対して太陽光
温、パネルの設置角度等でどのように出力が変化する
発電関連のJICA研修を実施してきました。依然と
か、また、直列、並列で電圧や電流がどのように変化す
して各国から研修実施の要望は強く、今年度から 3
るのかを理解するために、パネルやバッテリー、計測器
年間かけて「太陽光発電普及のための計画担当者研
などの機材を使って実習を行いました。講義の後には振
修」を年 2 回受託することとなりました。
返りのセッションを設け、自国における課題を洗い出
し、取り組むべき課題を明らかにしました。
■ 太陽光発電関連企業への訪問
関西圏には、太陽光発電を含む環境・エネルギー産業
を担う関連企業が多く集積しています。本研修では、
電力会社をはじめ、太陽光発電パネル、パワーコンディ
ショナ—、バッテリー製造会社、施工業者等多くの企業
を訪問させていただきました。電力会社では、日本の電
力需要供給の概要や太陽光発電を導入する際の課題につ
いて詳しく話していただきました。研修員側からは、太
炎天下での実習風景。
日本人専門家、第三国専門家の指導の下、電圧、
電流を測定する研修員たち。
陽光発電を系統に接続する際に直面する技術的な課題、
故障時の対応、太陽光発電を含む再生可能エネルギーの
普及政策について企業の方に多くの質問を投げかけてい
■ 基礎知識習得のための座学および実習
ました。太陽光発電関連機器製造会社では、製造ライン
本研修では開発途上国の太陽光発電分野に精通した専
を見学させていただき、製品の特徴や性質について熱心
門家の方々にコースアドバイザーや講師として、導入計
に説明していただきました。研修員は、日本企業の徹底
画、政策、制度に関する講義と設計、施工、維持管理技
した品質管理、アフターサービスの提供に驚きを感じて
術に関する講義を行っていただきました。研修員は自国
いるようでした。再生エネルギーの固定価格買い取り制
中間振返りセッションの中で、
自国の太陽光発電の普及における技術的課
題について議論をしている様子。
2 PREX NOW No.222 November 2013
成果報告会にて帰国後のアクションプラン
(PDM)
を発表する研修員。
PACIFIC RESOURCE EXCHANGE CENTER
度導入後、太陽光発電関連機器の製造ラインが忙しく
(プロジェクトの概要を一枚紙にまとめたもの)を用い
なっているようで、一生懸命仕事に打ち込んでいる従業
て、帰国後実施するプロジェクトの計画を立て、発表し
員の様子を見て、多くの研修員が日本人の仕事に対する
ていただくセッションを設けました。
熱意やまじめさを肌で感じとっていました。企業訪問を
・未電化地域における太陽光発電の普及
通して、企業と研修員との間で人的ネットワークを構築
・系統連系型及び独立型システムの効果的利用と促進
し、今後の太陽光発電産業におけるビジネスの懸け橋と
・メガソーラー発電における関税政策の発展
なることを期待しています。
など、自国の優先課題をプロジェクトのタイトルに挙げ
■ 帰国後の取り組みに向けて
ていました。今後、自国の太陽光発電普及促進に向けて
研修終盤、各研修員にPDM: Project Design Matrix
計画を実行してもらいたいです。 (国際交流部 坂口)
自国の発展に寄与する人材育成を目指して
現在日本は、世界的に認められる高い技術を持っ
ためには、国づくりを直接担う人材育成が必要不可
た経済大国となりました。その背景には、明治時代
欠であることを、身を持って感じました。
以降日本政府が欧米諸国にキャッチアップするため
今年 4 月にPREXに入局し、本研修で初めて研修カ
に、欧米諸国から新しい技術や制度を学び、経済発
リキュラム開発から予算作成、研修同行まで、一連
展ための人材育成を重要視してきたという歴史があ
の研修事業の業務に携わりました。本研修期間は 5 週
ります。今日、開発途上国においても、人材育成が
間で比較的長い研修でしたが、研修にご協力、ご支
国の重要な課題として位置づけられるようになって
援くださった企業、団体、講師の関係者の数の多さ
きました。私はPREXに入局する前、青年海外協力隊
に改めて驚きました。研修員たちは、企業・団体へ
として南東部アフリカにあるマラウイで、省庁機関
の訪問や専門家による講義を通して、より専門的な
で社会的弱者を対象とした開発プロジェクトに従事
知識や正しい技術を身につけることができたと思い
していました。上司や同僚である行政官たちと日々
ます。また、研修員同士での活発な意見交換を通し
仕事をする中で、持続的な社会経済発展に取り組む
て他国の現状を知り、同時に自国の現状についても
再認識できた良い機会となったのではな
いかと思います。帰国後、訪日研修で学
んだことをそれぞれの国へ持ち帰り、自
国の真の発展に寄与する人材として活躍
されることを心から願っています。これ
からも、関係者の方々のお力を借り、よ
り効果的な人材育成支援事業が実施でき
るよう、努力していきたいと思います。
研修全行程終了後、JICA関西にて記念撮影
(後列左端が筆者坂口)
。
(国際交流部 坂口)
研修概要
研 修 名 太陽光発電普及のための計画担当者(A)研修
実施期間 2013年8月13日(火)〜9月13日(金)
研修参加者 エネルギー政策に従事している行政官 10カ国13名
・アルジェリア
・ヨルダン
・バングラデッシュ ・カザフスタン
お世話になった方々、
企業・団体(敬称略、
訪問順)
:
・吉野コンサルタント事務所
吉野代表
・浜田
・経済産業省資源エネルギー庁
・ジオプラス 塩田代表取締役
・太陽光発電協会
・第三国専門家 Peter A.
・新エネルギー・産業技術総合
・カーボヴェルデ
・モロッコ
・エジプト(3名)
・パキスタン
・関西電力
・ゴウダ
・グルジア
・スーダン(2名)
・歴史街道推進協議会
・大阪女学院短期大学・大学
・インド
委託元機関 独立行政法人 国際協力機構(JICA)
関西国際センター
Sablay
開発機構
・シャープ
マッカーティー教授
・日新電機
・関西文化学術研究都市
・GSユアサ
No.222 November 2013 PREX NOW 3
ニュース & レポート
3
日本とタイのビジネス交流の
構築を目指して
〜日タイ中小企業ビジネスマッチ
ングの実施〜
PREXは阪南大学と2013年4月に産学連携協定を
締結しました。今回、研修事業やインターンシップ
受入等の協力関係以外の新たな連携として、阪南大
学が取り組む「日タイ中小企業ビジネスマッチング
事業」への協力を行いました。帰国研修員で構成さ
れているPREXの同窓会ネットワークを活用し、多
くのタイ企業に本事業への参加を呼びかけるという
ものです。本事業の中心になって動かれた阪南大学
の関准教授にご寄稿いただきました。
わせて約100名の方々が一同に会し、日タイビジネスの
交流を深めました。
ビジネスマッチングの開催までに、阪南大学中小企業
ベンチャー支援センターの主催で、グローバルビジネス
研究会を 3 回開催してきました。これは、アセアン、特
にタイ経済の知識を習得するための外部講師による研究
会です。
■ 9月のビジネス交流の様子
そして 9 月の本番を迎え、初日にはセミナーとマッチ
ング、そして翌日には企業視察が行われました。初日の
セミナーでは、SJCの藤岡資正先生から、「アセアン経
済共同体の先を見よ─30億市場への戦略アプローチ─」
と題し、メコン圏開発地域における30億人市場の形成、
つまりタイプラスワンの視点からの企業経営についてご
講演いただきました。参加された方々からは、市場の広
がりについて改めて認識できたという声があがりまし
た。その後、すでにタイに進出され実績を積み重ねてお
られる 3 名の日系企業経営者の方々に、タイビジネスの
現状と今後の方向性について、パネルディスカッション
形式でお話をいただきました。実際にビジネスをされて
いる生の情報は大変参考になるものでした。午後から
は、まず日本側の中小企業経営者から、簡単に自社の事
業概要をご紹介いただき、その後、タイ側の参加者との
個別商談に移りました。少しでも多くの方々と話をした
い、情報を集めたいと、会場は熱気に包まれていまし
日本・タイどちらもお目当ての企業経営者を見つけては熱心に話し込んで
います。
た。詳細については後日連絡を取り合うといった話をし
ているところもありました。実際のビジネスにはなかな
かつながりませんが、お互いの状況について理解が深
阪南大学准教授・
日タイ中小企業ビジネスマッチング
プログラムコーディネータ
関 智宏氏
まったという点ではひとまずは成功といえるのではない
でしょうか。
なお、翌日は、グループに分かれ、合計で 6 件の企業
視察を行いました。現場を見ることで、今後のビジネス
に役に立つものと思います。
2013年9月3日・4日の 2 日間にわたって、バンコクに
あります、チュラロンコン大学サシン経営管理大学院
(サシン)にて、日タイ中小企業ビジネスマッチングを
開催しました。これは、サシン日本センター(SJC)と
中小企業家同友会、そして阪南大学中小企業ベンチャー
支援センターとの連携による取り組みで、昨年に引き続
き、2 回目の開催となります。このたび、日本側の中小
企業経営者は関西を中心に広島・茨城から約20名、タイ
側の中小企業経営者は約60名の参加があり、運営側、ま
たインターンシップとして参加していた阪南大学生と合
4 PREX NOW No.222 November 2013
藤岡先生がコーディネートされたパネルディスカッションでは、
タイビジネスの
経験談をお伺いしました。
PACIFIC RESOURCE EXCHANGE CENTER
訪問したタイ企業では、品質や納期管理、人材育成など幅広い意見交換と
なり、
タイ企業と商売を進める上で、貴重な情報となりました。
関係者全員を集めると総勢100名。マッチング後の和やかな夕食会となりま
した。
■ PREXの協力
家同友会、また阪南大学の各々のネットワークが互いに
このたび、PREXからタイ同窓会メンバーをご紹介い
交わり、総体としてのネットワーク力を高めることがで
ただき、マッチングに参加していただきました。また、
きたと感じています。これにより、中小企業のタイで
同窓会メンバーからは、彼らが中心となって活動して
の事業展開の可能性が大きく高まることが期待されま
いる政府系中小企業グループ(DIPSME)をご紹介して
す。PREXのネットワーク力の活用の可能性を期待し、
いただきました。PREXのネットワークを活用させてい
PREXの皆様にこの場をお借りし、感謝申し上げます。
ただくことにより、SJCと大阪府を中心とした中小企業
ありがとうございました。
ビジネスマッチングに参加して
■ タイ企業が日本企業に寄せる期待
マッチングが始まる直前、関先生から「通訳が足
りないので手伝ってもらえるか」と言われました。
予想以上にタイの企業が集まったとのこと。日本側
企業の概要説明の部屋にはタイ企業が入るだけの余
裕しかなく、説明される日本側企業は立って発表の
順番を待っていました。個別商談用の小部屋も足り
ず、関先生の指示のもと、インターンシップの阪南
ビジネスマッチングに参加してくれたタイの帰国研修員の経営者と。
大学生たちがどの部屋が空いているのか走り回って
いで質問攻めにします。もちろん、日本側企業だっ
探し、場所を確保するという状態になりました。も
て負けてはおれません。自社製品やサービスのタイ
ちろんこれはうれしい悲鳴です。いかにタイ企業が
での可能性はないのか、製造拠点としてだけではな
日本企業とのビジネスを求めているのか分かるので
く、マーケットとしての可能性も探ります。
はないでしょうか。
■ 経営者のたくましさ
■ ビジネスの可能性を探して
マッチング終了後にタイ企業から、「今のビジネ
また、通訳を手伝うことになったおかげで、タイ
スとはマッチしなかったが、日本側企業がタイと商
企業の熱心な売り込みを間近で見ることができまし
売したいというのであれば協力したいので、連絡し
た。少しでも自分の会社に関係がありそうだと思え
てくるように伝えてほしい」と言われました。「日
ば、即座に商談を申し込んできます。そして日本側
本の経営者の考え方にふれることもでき、今後のビ
企業の製品について聞き出し、可能性を見つけ出そ
ジネスに役立つので、参加して良かった」と言って
うとします。私が手伝わせていただいた商談の中に
きた方もおられました。どんなこともチャンスに結
は、ぴったりと製品が一致するというのはなかった
び付ける経営者のたくましさがここにありました。
のですが、カテゴリーが同じと分かると、すごい勢
(国際交流部 三浦)
No.222 November 2013 PREX NOW 5
ニュース & レポート
4
PACIFIC RESOURCE EXCHANGE CENTER
帰国研修員との旧交を温める
交流
フォローアップ
ベトナム、カンボジアを訪問
PREXでは、帰国研修員が中心となり設立され自
主的に運営されている各国同窓会活動をサポートし
ています。今回、昨年度新たに結成されたPREXカ
ンボジア同窓会の第
やラジオ等のメディアでも活躍されている様子や今後の
CJCCで推進する研修についての意見交換、さらには来
日時の思い出話等で楽しいひと時を過ごしました。
CJCCでは日本でいう5 Sに「節約」「そなえ」を加
え、「7 S」として日本型経営を強力にアピールいただ
いています。
カンボジアは元来農業国であり、第一次産業従事者が
7 割を占め、また、プノンペンなど都市部人口は約20%
に過ぎません。しかしながら、今回訪問したプノンペン
1期メンバー、およ
郊外の経済特区には約30社の日系企業が進出し、また、
び 2009年度より実施
市内では日系大手の大規模商業施設の来年の創業に向け
のベトナム日本セン
て建設工事が進んでいました。
ター経営塾を終了し
今後、アジア経済の発展やグローバル化の拡大に従っ
たメンバーで運営さ
て日本企業と同国の関係も深くなることが予想されま
れるベトナム経営塾
すが、CJCCの進める「日本型経営、5 S・KAIZENの実
クラブメンバーと交
践」が事業の活性化や人材育成の分野で、両国の発展に
流し、フォローアッ
大きく貢献することと期待できそうです。
プを実施しました。
(2013年9月15日〜25日) CJCCに掲示される「7S活動」のパネル
■ ベトナム経営塾メンバーとの交流
─現場で実践される「5S」─
■(カンボジア)日本型経営を発展させ、「7S活動」を
過去 4 年 4 期に亘り52社に及ぶベトナム企業が参加す
啓発
るベトナム日本センター(VJCC)が主催する「ベトナ
昨年度のカンボジア日本センター(CJCC)研修「日本型
ム経営塾」。カンボジア訪問の前後の日程でハノイ・
経営─日本企業における 5 S・KAIZENの実践を中心と
ホーチミンにて同センターおよび第4期研修員を中心に
して─」参加者の熱い思いを体しての新たなPREXカン
10数名の皆さんと再会しました。
ボジア同窓会。同研修の修了生は帰国後カンボジア日本
ハノイでは同研修員の企業 3 社と 2 つの工業団地を訪
センターの講師として、既に同センターの実施する講義
問。規模や業種の相違はあるものの工場内に 5 Sのボー
やシンポジウム、またマスメディア等で大活躍でした。
ドが掲示され、整理整頓が励行されていました。
まず、プノンペン大学構内にあるCJCCの外壁には昨
またホーチミンでの第 2 期、第 3 期の中核メンバーを
年の修了生の顔写真が掲載された横断幕が目に入ってき
訪れ、今後、活性化するベトナム‐日本企業間の交流に
ました。また構内の随所にそれと別の講演やシンポジウ
ついての協力の確約をいただきました。
ムの案内のビラが掲示され、彼らが第一線で活躍されて
いる様子を実感しました。
今回の訪問では56名の研修員および現地で活動する関係
その後、予定の時間には昨年度訪日のメンバー 9 名の
者の方々に面会いただきました。どの地域においても歓待
うち 5 名が集まってくれ、彼らがカンボジア内のテレビ
いただき、また、訪問地に同行いただく等、多大なる協力を
いただきました。皆
さんのご厚意に深く
感謝申し上げますと
ともに、こうした繋
がりと絆を今後の両
国と日本のグローバ
ル化や事業の協業・
交流に役立てていき
「5S」のボードが掲げられ、整理・整頓・清掃が
行き届いた研修員の工場
(iDMEA社、
ハノイ)
。
6 PREX NOW No.222 November 2013
カンボジア日本センターを訪問。同センターの講師として日本型経営や5S、
KAIZENを現地企業の経営幹部らに指導者として活躍する帰国研修員もいます。
たいと思いました。
(国際交流部 浅沼)
ニュース & レポート
5
伝統芸能を通じて、
マレーシアと日本企業の
管理職が相互交流
受入研修
経営管理
マレーシア中間管理職のための
指導職研修
本研修では、日本のマネジメント事例を肌で感じ
てもらうとともに、日本とマレーシアとの交流を深
めるため、2年前からサイバー適塾運営協議会と連
携し、日本の民間企業の管理職とのディスカッショ
ンをプログラムに織り込みました(9月13日)。
以下、ご協力いただいたサイバー適塾運営協議会
様、山本能楽堂様のメッセージを紹介します。
PACIFIC RESOURCE EXCHANGE CENTER
を「山本能楽堂」に移して山本師より能楽の概要をお聞
きし質疑応答、舞台見学、衣裳体験、舞いの拝見をしま
した。日本側も自国を代表する古典芸能の価値にいまさ
らながら気付かされた次第です。続いてハラール料理の
夕食会を催し交流を深めました。
マレーシア研修員の皆様とのユーモラスで真摯な対話
の機会を得て、弊塾生の国際化への「理解と気付き」が
更に一歩進んだと思います。ありがとうございました。
【山本能楽堂】
私たちは、2006年から大阪商工会議所の事業として、
海外からのインバウンド促進に取り組んでいます。それ
までは、伝統芸能に興味がある国内の方向けの公演が中
心でした。インバウンド促進の取り組みとして、英語・中
国語・韓国語の字幕と配付資料の工夫をしてきました。
能は昨日今日生まれたわけではなく、650年もの間育
まれてきたもので、そこには、人間として普遍的な思い
や感情がコアな部分として表現されています。それは、
言葉の壁を超えて海外の方にも通ずるものだと信じてい
ます。
それぞれの国に独自の伝統芸能があると思いますが、
それらの中には人としての共通点があるように思いま
す。したがって、イヤホンガイドを通じて耳で聞くので
はなく、字幕・配付資料を活用しながら様々な国の方に
5グループに分かれてディスカッション
ありのままの能を楽しんでもらいたいと思っています。
もともと観光に関する取材が多いアジアの国々には親
【サイバー適塾運営協議会】
近感を持っていましたが、今回マレーシアの方と接し
サイバー適塾は関西経済同友会の提言を発端に「国際
て、人間として普遍的なところを感じていただいたと実
社会に通用するパワフルなリーダーを養成する」こと
感できました。
を基本理念とし2002年に開講、以来11期迄で348名が修
また、マレーシア料理を囲んでの交流会では、「今
了しています。本年度12期ではカリキュラムの柱の 1 つ
回、あらためて自分たちの伝統芸能を大切にしたいと
に「グローバル力養成講座」を置き、国際センスと日本
思った。日本の伝統芸能である能が今後も引き継がれて
文化見識の修得、双方を学ぶことを目的に、春日大社研
いくことを期待する」という温かい言葉をいただき、本
修、京都大学外国人留学生との交流等の研修を実施して
(国際交流部 森本)
当に意義深い体験となりました。 おります。今回、その一環としてPREXと協力し研修員
の皆様との研修を 9 月13日に共同開催させて頂くことと
なりました。
当研修のテーマは「両国の文化・ビジネス習慣・マネ
ジメントへの相互理解と気付きを促す」です。まず、マ
レーシア伝統武術である「シラット」をVTRを交えて
紹介頂き、5 グループに分かれて日本側から日本文化の
特徴をご説明することをきっかけに議論を進めました。
「仕事と家庭」「多民族国家」等々、文化背景からビジ
ネス場面での差異に至るまで、日・マレーシア計33人の
熱気に溢れたディスカッションとなりました。次に会場
山本章弘様
(能楽師)
による講話の後、研修員も実際に舞台で能を体験。
No.222 November 2013 PREX NOW 7
ニュース & レポート
6
PACIFIC RESOURCE EXCHANGE CENTER
帰国研修員の活躍状況
同窓会メンバー日タイビジネス
マッチング事業に協力
●
●
日本とベトナムの懸け橋を目指して
ベトナム
タイ
グエン・ミン・ベト氏 クリンクライ・チェンチュタム氏
グリーンサン株式会社 会長
タトウニグ タイ株式会社 部長
2012年度ベトナム日本センター
クライサック・ティーラチョートモンコル氏
タイ ルーンルエンチリソース株式会社 代表取締役
社長
「経営塾(第 3 期)」に参加。日本へ
の留学経験もあり日本語がペラペラのベト氏が経営す
る「グリーンサン株式会社」はホーチミンでスマート
本号 4、5 ページで紹介した「日タイビジネスマッチ
フォン開発事業、日・英・越・ミャンマー・タイ・イ
ング」事業では、タイのPREX同窓会メンバー 2 名に、
ンドネシア・ラオス・クメールの翻訳・通訳事業、そ
タイ企業への参加の呼びかけや現地訪問企業のアレン
して、ベトナム市場調査・ビジネスマッチング・視察
ジを手伝ってもらいました。その 2 名がクリンクライ
アレンジ・会社登記等の投資コンサルティング事業を
さんとクライサックさんです。
幅広く営んでいます。
お二人は、2012年度「関経連アセアン経営研修」に
「現在、大手企業をはじめとした日本企業のドキュ
参加した民間企業の経営幹部です。本研修は、アセア
メントやWeb関連の翻訳を受託していますが、新た
ン各国の経営者が日本の経営事例を学ぶたった1週間
に10月より日本の中小企業がベトナム進出する際のビ
の研修ですが、研修に参加された方々はこの研修で築
ジネスサポート事業を開始します。具体的には『バー
いたつながりを大切にされています。お互いの国を行
チャルオフィス』という進出する際に必要な事務所登
き来しては、わずかな時間でも顔を合わせる機会を
記を満たす共用オフィスの立ち上げです。オフィスの
作っているようです。
一画をリーズナブルな価格でレンタルし、総務・会計等
今回は、関西とタイとのつながりの強化のため、お
を業務代行、手続き関連の業務もサポートします」。
二人に力を貸してもらいましたが、お二人は自社のみ
同社は現在、日本企業向けにホットなベトナム情報
ならず、関西とタイと中小企業のつながりができれば
を掲載したメルマガを毎週配信。
という気持ちも強く、積極的に音頭をとり関係者を動
ご希望の方は下記より申し込みください。
かしてくれました。ビジネスマッチングはすぐに成果
発行元:グリーンサン株式会社(GreenSun JSC)コ
の出るものではありませんが、彼らの活躍がこれから
ンテンツ開発課
の両国の関係強化につながるものと信じています。
Mail:[email protected]
(国際交流部 三浦)
HP:www.greensun.com.vn
(国際交流部 浅沼)
タイ同窓会のクリンクライさんとクライサックさん、中央はPREX三浦。
8 PREX NOW No.222 November 2013
ホーチミン市同社玄関前にて日本語スタッフと共に。
企業 訪問
PREXでは、年間30件前後の研修を実施し、多くの企業を訪問させていただいています。
その中から長年協力いただいている2つの企業を紹介します。
「3Sといえば榛木金属工業」
と
言ってもらえるような企業を目指して
榛木金属工業㈱
泉南乳業㈱
銅加工97年の歴史を持つ
同社は新泉牛乳をはじめ
同社は産業電池の金属部分
とした牛乳、乳飲料、清涼
トップシェアを誇る、東大
飲料水などを製造・販売さ
阪市の企業です。
れています。
7 年ほど前から 3 S活動
創業は1943年、本年で創
(整理・整頓・清掃)に取
業70周年を迎えます。
り組み、PREXが実施する
新鮮な製品を地域の皆様
研修でも同社の経験を教え
常務取締役
ていただくため訪問してい
榛木 孝至 氏
ユニークで地域性豊かな
乳製品・飲料づくりが特徴
ます。
代表取締役 社長
吉田 茂夫 氏
に直接販売する「ミルク
レット」や宅配サービス、
またインターネット販売で
「活動を開始する前は、油だらけの職場で、在庫は
は国内のより広い顧客を対象に販売しています。
足の踏み場もないくらい積み上げられ、人が通るのも
「さくら咲く牛乳」「泉州だんじり牛乳」「泉州だ
やっとの状態でした。3 S活動といっても、スタート地
んじり祭茶」など、ユニークで地域性豊かな製品の開
点に立てるかどうか … 何をやったらいいの … そんな
発・販売にも力をいれています。
不安な気持ちから私たちは活動を始め、ついに 1 年後
日本企業の食品製造現場での品質管理の取り組みや
には社員の家族に自分の職場を見てもらう『家族工場
強みを学ぶ研修などで企業訪問に協力いただいていま
見学会』を開催する事が出来ました」。
す。研修員は日本の乳製品の品質の高さや、様々なア
今では、日本全国の企業から年間150名以上の見学
イディア商品、そしてそれを支える製造現場での取り
者が訪れるまでになりました。
組みを理解しました。また、受け入れる泉南乳業の方
同社をはじめとする大阪のモノづくり企業による 3 S
にも意見交換を通じ、途上国各国の食生活や嗜好など
活動の輪は広がり、今では「3Sサミット」が開催され
も知っていただく場となれば何よりです。ラオスの日
るまでになり、「3 S活動」を通じた人財育成や企業風
本センタービジネスコース受講者を対象とした研修実
土の改革につながる活動の展開を推進されています。
施時には、直近で同社幹部が訪問したラオス視察も踏
まえ、様々な情報交換がされました。
❶
❶
❸
❷
❸
❶ 研修員と一緒に記念撮影。 ❷ 工場内を見せていただき、3Sの取り組みを学びます。 ❸ 3Sの事例。
❷
❶企業訪問時には、経営者のみ
なさん方と直接、意見交換や
質疑応答などを行います。 ❷社長はじめ、
みなさん方と記念
撮影。 ❸様々な乳製品・飲料を製造して
います。
No.222 November 2013 PREX NOW 9
PREXだより
ミャンマーの都市
ピンウールイン
今回のミャンマー出張ではマンダレー空港に降り立ったもの、市内に
行かず、ひたすら山道を走ること 2 時間近く、ようやく着いたのが、ピン
ウールイン(メイミョー)という都市です。
ここはマンダレーから東に70キロメートル、海抜1,100メートルに位置
し、イギリス統治時代に、イギリス人が「避暑地」として整備した町だそう
です。町には古い邸宅が残っており、その面影がうかがえます。訪れた 6 月
の昼間は30度近くなっていましたが、晩はジャケットが必要なぐらい気温
が下がりました。これだけ涼しいと、「避暑地」としてイギリス人が重宝
したのも分かります。ちなみに泊まったホテルには暖炉が備え付けられて
おり、冬には使用するとか。東
南アジアは常夏と思い込んでい
た者としては本当に驚きでし
た。洞窟寺院や植物園と見ると
ころもありますが、本当なら何
もせずにのんびりとした時間を
楽しんだ方がいいような感じが
します。せっかくの避暑地なの
ですから! (国際交流部 三浦)
インターンシップ受入れ
強い印象だったのは海外研修員の方々のエネルギッシュな
PREXでは、交流活動として留学生、日本人学生のイン
学ぶ姿勢です。受け身になりがちな日本人とは異なるパワフ
ターンシップを受け入れています。今回は阪南大学国際コ
ルな勢いです。そのため、インターンシップ中も研修員の
ミュニケーション学部国際観光学科3回生の安田さんの体験
をご紹介します。
方々以上に積極的に行動することを意識しました。
このインターンシップを通して日本と途上国の関係の深さ
阪南大学国際観光学部 安田千夏
やPREXの役割、機能など、今まで関わりのない分野に目を
向けることが出来ました。知らない分野への好奇心は私に学
インターンシップは私にとって大きな衝撃でした。
習への意識付けとチャレンジの気持ちを与えました。目の前
私は国際観光学部に所属しており、「国際」のフィールド
の世界が広くなった気がします。
に関心があり、PREXを志望し2週間お世話になりました。
関西を元気にする国際フォーラムにコーディネーター
として参加
11月2日、大阪中小企業診断士会の国際フォーラム パネ
ルディスカッション第1部「海外進出に際しての課題と対
策」にPREX国際交流部担当部長の森本正人がコーディネー
ターとして参加しました。フォーラムではワタベウェディン
グ株式会社渡部相談役から「関西企業の国際化を考える」と
題した基調講演があり、パネルディスカッション1部に続い
て第2部では「海外人材の雇用、その課題と対策」をテーマ
にディスカッションが行われました。中小企業のグローバル
「中小企業振興のための金融・技術支援
(A)
研修」
に同行し
研修員と交流した安田さん。
PREXの
研修実績
(1990〜)
PREX NOW 第222号
2013年11月発行
研修
590コース
研修員
化の現状や各団体の支援情報についても紹介しました。当日
は240名の方に参加いただきました。
135カ国・地域 15,395名
受入研修
5,298名
海外研修
10,097名
編集・発行:公益財団法人 太平洋人材交流センター 専務理事 北村耕一
〒543-0001 大阪市天王寺区上本町8-2-6 大阪国際交流センター2階 Tel 06-6779-2850
ホームページ:http://www.prex-hrd.or.jp 電子メールアドレス:[email protected]
10 PREX NOW No.222 November 2013
2013年
11月現在
Fax 06-6779-2840
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