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3カ年の中期アクションプランを策定
途 上 国と関 西 にとって、なくて は ならな い 存 在 に な ることを め ざ す 公益財団法人 太平洋人材交流 センター PACIFIC RESOURCE EXCHANGE CENTER PREX NOW CO NT E NT S 1 ニュース&レポート ❶ 3 ニュース&レポート ❷ PREX初、帰国研修員が経営する企業の幹部研修 4 ニュース&レポート ❸ マレーシアの行政官が見た日本のマネジメント 6 帰国研修員の活躍 バングラデシュ、キルギス、ニカラグア、 カザフスタンの研修員 8 熱意ある講師・専門家 井ノ口輔胖氏/横川純一氏 9 企業訪問 ChatWork㈱/サイバー適塾/㈱サレア化研 PREXだより 井上会長のひとこと/人の動き 10 3カ年の中期アクションプランを策定 September 2012 215 ニュース&レポート ❶ 3カ年の中期アクションプランを策定 PREXでは、今年度からの3年間、2014年度までのPREXの第2次中期アクションプランを 策定しました。ポイントは 「新たな事業の柱をつくる」 「関西地域のグローバル化に貢献する」 という2つです。PREXの設立以来の事業やネットワークなどの実績を活かしながら、最新の ニーズに応え、途上国にもまた関西にも貢献できる事業の展開を目指しています。 ビ ジョン 達 成 に 向 け て の 第2次中期アクションプラン 中心に進出している日系企業の現地幹部 て舵を切るため、今後3カ年の具体的な 人材育成、 という4つの事業の展開により、 計画を推進します。 今後のPREXの事業の柱をつくるととも 研修ネットワークを関西の中堅中小 「途上国と関西にとって、 なくてはならな に、関西地域のグローバル化へ貢献する い存在になることをめざす」。 これは、 2008 ことを目指しています。 年に策定したPREXのビジョンです。 更に、従来から課題として取り組んでき PREXはこれまでの研修事業を通じて、 更に同年、 ビジョンに基づく第1次中期ア た、研修・交流事業の継続・拡大のための 研修員および研修員を通じた現地の主 クションプランを策定し、留学生を対象とし 取り組み、 効果的な広報活動の推進、 そし 要機関(政府、商工会議所、業界団体な た人材育成支援、環境など新たなテーマ て研修の質の向上と業務効率化も継続し ど) とのネットワークがありますが、 これまで での研修事業実施、 広報活動の強化など て推進します。 は研修のフォローアップ以外での具体的 を推進してきました。 また、 これらの取り組みを通じ、現状の かつ十分な活用はできていませんでした。 昨年度、 第2次の中期アクションプランを PREXの収支構造の抜本的な変革も目指 また、 2年程前から、 関西の企業や国際化 検討し、今年度から2014年度までの3年 すことにしています。近年の経済状況を受 に関わる機関の方々から「PREXの海外 間の目標と活動計画を策定しました。 け、設立以来PREXの運営の基盤となっ とのネットワークは関西の中小企業が新た 企業のグローバル化支援に役立てる 今回の中期アクションプランの大きなポ てきた基本財産の運用収入が漸減する な国・地域に事業展開しようとする際の情 イントは、 「新たな事業の柱づくり」 「関西 なか、従来の基本財産運用益だけで固 報収集、現地での展開の足がかりづくり、 の中堅中小企業および大学などのグロー 定費支出を賄うのではなく、事業の収支 進出を進めていく中での現地でのサポー バル化への対応」の2点です。 差額で必要な経費を賄えるよう財務構造 ト、そしてビジネスパートナーなど、様々な 従来から、 途上国人材の育成事業およ を転換していく必要があり、 それに向かっ 活用ができる貴重な『 資産 』になるはず びそれを通じた国際人材交流をPREXの 事業の柱としておりますが、 ビジョン達成 のため、 これまでの事業の実績を活かし て更に途上国と関西地域の両方に貢献 するために、①関西の中堅中小企業のグ ローバル化への支援、②大学のグローバ ル人材育成、そして、③途上国の課題に 効果的にアプローチする 「JICA技術協力 プロジェクト」などの実施、 また④アジアを 関西の中堅中小企業のグロー バル化に資することも目的の 一つとして実施したベトナムの 経営者と関西企業経営者との 意見交換会 (2011年実施) 。 No.215 September 2012 PREX NOW 1 だ」 というアドバイスをいただくことが増え 育成事業についても、現在の立命館大学 ら実施・評価を一貫して総合的に運営実 てきました。 の他の関西の各大学のニーズに応える 施するのが、 技術協力プロジェクトです。 PREXのビジョンである 「途上国と関西 活動を展開していきます。 PREXの研修実施の経験を更に発展 にとってなくてはならない存在」 となるため 海外からの留学生が日本企業の特色・ させ、途上国のニーズに計画的・総合的 にも、 この声に応えること、PREXの実績 良さを理解し、 日本の学生が日本企業がい にアプローチするため、JICA技術協力プ や帰国研修員および現地機関とのネット かにグローバルに展開しているかを理解す ロジェクトなど、従来とは異なる事業へ参 ワークを関西の中小企業の皆さんに役立 ることで、今後の企業の国際化に貢献す 画し、活動の域を広げることを目指してい てていただくことが今のPREXがするべき る人材となっていただくことを目指します。 ます。 ことではないか、 そこが出発点となり、 アク プロジェクト受託に至るには不慣れによ ションプランの一つの柱としました。 る困難もあるかもしれませんが、 これまで 関西として近畿経済産業局が中心とな 協力いただいた専門家の方々のお力も得 り 「近畿地域中小企業海外展開支援会 ながら、 事務局一丸で取り組みます。 議」を立上げ、関西の中小企業と海外と もう一つの新たな事業の柱として、 アジ の関係強化さらには、海外展開推進をめ アなどに進出する日系企業の現地幹部人 ざしており、 PREXも会議メンバーとして推 材育成事業があります。 中堅中小企業が 立命館大学と実施した 「グローバル企業体感プ ログラム研修」 では、 東大阪市のものづくり企業 を訪問し、 日本人学生、留学生がベトナム進出 の背景や苦労談をお聞かせいただきました。 進に貢献していきます。 新たな事業の柱づくり 海外展開を成功させるカギになるのは、 本 社となる日本企業の経営理念の位置付 け、 経営者のあり方、 人材育成の考え方な どを理解できる、現地の幹部人材の存在 ですが、 この人材育成ができずに困って 途上国の様々な課題に効果的にアプ いる中堅中小企業に対して、PREXの事 ローチする枠組みとして、 JICAでは「技術 業経験を活かしたいというものです。 協力プロジェクト」 というものを展開してい まずは「日本センター」など拠点のある ます。 これまでPREXが実施してきた研修 アセアン地域から、 日系企業のニーズに応 事業は、研修員個人の育成・能力向上を えられるプログラムの実施を進めます。 通じて、 所属組織の課題解決を図り、 参加 ビジョン達成目標年である2018年まで 国の課題へ対応する、 という流れになって 残り7年、PREXを取り巻く環境の変化は います。 このような研修での個人・組織の 誰にも予想できないほど大きく速いものか 課題解決に加え、 その背景にある制度や もしれませんが、 この3年間で組織の足腰 第1次の中期アクションプランで種まきを 仕組みづくり、 そしてその改善などを図る を更に強化し、途上国と関西の声に応え し、 本格化してきた大学のグローバル人材 ため、 課題解決のための事業計画立案か られるPREXを目指していきます。 PREXでは、帰国研修員のフォローアップ事業 として定期的に現地を訪問。同窓会メンバーか らも、関西企業とのビジネス交流を求める声も 上がっています (2012年2月に実施したシンガ ポール同窓会フォローアップ事業) 。 関西の大学のグローバル人材育成 ■ PREX中期アクションプラン2012のうち新たな4つの事業 新たな柱となる事業の確立 (プロジェクトによる展開) テーマ 主旨 関西における中堅中小企業の 関西の中堅中小企業の海外展開、グローバル化のニーズをふまえ、 グローバル化支援事業の実施 PREXのもつ国内外のネットワークを活用した現地訪問などの支援事業を推進する。 大学のグローバル人材育成事業の推進 JICAコンサルタント契約事業 (技術協力プロジェクト事業等)への参入 留学生および日本人学生を対象としたグローバル化関連研修を中心とした、新たな事業の試行と成功事例の蓄積。 3年後をめどに関西全域を対象とした留学生支援事業を、途上国研修事業に続く事業の柱として確立することを目標とする。 訪日研修におけるPREXの実績を活かすとともに途上国の課題に計画的・総合的にアプローチできる 技術協力プロジェクトなどの実施をめざす。 アジアなどに展開する日系企業の 関西を中心とした中堅中小企業のグローバル化推進のために、 これまでの途上国の経営幹部・中堅マネージャー向け 中堅マネージャー育成のための事業実施 研修の実績を活かし、日系企業の現地幹部職員を対象とした研修を実施する。 2 PREX NOW No.215 September 2012 ニュース & レポート ❷ PREX初、 帰国研修員が経営する企業の幹部研修 受入研修 経営管理 陝西偉志集団幹部職員研修 PREX中国同窓会会員で、2006年JICA中国中小企業振興コー スに参加した西安市の第五碧栄氏から、当人が総裁を務める企業 「陝西偉志集団」の幹部に対する訪日研修の実施を要請されまし た。PREXが同窓生の企業の職員を対象として研修を実施するの は初めてです。今回は、グループの中核企業である服飾公司の幹 部職員を対象に、日本企業の企業経営、服飾業界のマーケティン グやブランド管理等を学ぶことを目的とした研修を実施しました。 御幸毛織四日市工場にて、高級紳士服生地の製造 現場の見学後、社長と意見交換する研修員。 全額自費で自社幹部職員に研修を PREXはこれまでも、 同窓会員の要請に PREXのネットワークと研修ノウハウの 蓄積を生かして 遣されている24名の研修生のみなさんと の懇親会も実施し、 意義深い訪問となりま した。 (国際交流部 酒井) よる研修事業を実施していますが、研修 今回は、 東洋紡在籍のPREX OB 安藤 員は行政官と企業幹部でした。今回は、 日 さんに相談し、東洋紡テクノウール 米田 本の政府開発援助 (ODA) の予算で実施 社長、御幸毛織 奥村社長のご協力を得 した訪日研修に参加した研修員が、全額 て、御幸毛織四日市工場を見学させてい 研 修 名 実施期間 陝西偉志集団幹部職員研修 2012.7.3 (火) ∼7.12 (木) 自費で自社幹部職員の訪日研修を行うも ただきました。 また、陝西偉志集団より、10 研修参加者 ので、PREXとしては初めての取り組みで 年以上にわたって技術研修生を受入れて 陝西偉志集団 服飾有限公司の幹 部職員8名 委託元機関 陝西偉志集団 した。 いる、 島根県にある松井島根ファクトリーに 日本で学びたいとの要望をもらえること もお伺いし、工場見学と、今岡社長との懇 は、PREXが実施した研修事業、 ひいて 談の時間をいただきました。 また、同社訪 は日本によい印象を持ってもらえたという 問前日には、陝西偉志集団から同社へ派 研修概要 お世話になった方々、企業・団体 (敬称略、訪問順) : 松下幸之助歴史館、OFFICE ZETA、御幸毛 織、東洋紡テクノウール、松井島根ファクトリー、 長田染工場 ことであり、大変嬉しく思います。中国は、 先進国・中進国・途上国・後発開発途上国 (LLDC) のすべての地域を抱えた国だと いわれていますが、ODAによる対中支援 が難しくなる中、今後は今回のような自費 による研修事業の要請にも積極的に応え ていきたいと考えます。 日本のアパレル業界のブランド管理や マーケティング戦略を学びたい 服飾公司は紳士用スーツの製販が主 要な事業であることから、 日本のアパレル 業界におけるブランド管理やマーケティン グ戦略等を学び、同業種を訪問したいと 希望がありました。専門家に伺うと、 日本 には、 オーダーメードを扱う小規模企業は あっても、大規模な縫製工場は海外へ出 ていることと、かなり閉鎖的な業界である ため、工場見学を依頼するのは困難が予 日本初来日の西安市の経営幹部 研修員8人中7人が日本初来日、関西空港 に到着してから、大阪、三重、愛知、島根、東 京と移動し、成田空港から帰国するという行程 で、富士山や日本旅館での宿泊、温泉の体験 もできました。 りんくうプレミアムアウトレットを見 学したところ、上海にもこのような施設があると のことでした。 ただ、上海の施設よりは店舗数や品揃えが豊富であるとのことでした。 大阪から島根県に移動する日は大雨の翌日で、新幹線で新大阪から岡山までは順調だっ たものの、島根方面へ向かう特急の出発の見込みが立たない状況で、岡山で3時間の足止 めとなりました。島根県では松江城や出雲大社などを見学し、楽しい時間を過ごしました。 研修員が苦しんだのは食事でした。 日本食は薄味なので、豆板醤などを持参するよう再三 助言したのですが、 せっかく日本に行くのだから日本の味を楽しもうと考え何も持参しませんで した。 ラーメンや天ぷら、回転寿司にも挑戦しましたが、和食には3日目くらいでギブアップして しまいました。 研修員たちは、 日本の街が美しい (清潔) こと、人々の資質が高いことに感銘を受けていま した。 また、地下鉄では女性専用車があるということに驚き、西安で開通した地下鉄にも、将 来できるかもしれないねと話していました。 研修員8人は全員男性で、 自社製品を纏って全員が大変熱心に研修を受講しました。10日 間という短い期間に移動の多いスケジュールでしたが、滞在を楽しんでいただけた様子でした。 想されることがわかりました。 No.215 September 2012 PREX NOW 3 ニュース & レポート ❸ マレーシアの行政官が見た日本のマネジメント 受入研修 経営管理 11 13 14 15 18 これまで実施した本研修には、マレーシア各省 やる気のない職員に対しどう接するのか から選ばれた行政官約400人超が参加し、帰 〈三重県、津市の職員とのディスカッション〉 ジョブホッピングで部下がやめてしまう のでは〈万協製薬〉 国後も活躍しています。 6月11日、講義後研修員と握手するPREX杉本シニア専門家。 6月15日、 津市役所職員とのグループディスカッション。 6月14日、 万協製薬を訪問し工場を見学。 4 PREX NOW No.215 September 2012 マレーシアでは、幹部候補者は高等教 優れた企業の経営者からリーダーシッ 育機関卒業後すぐに初級管理職に就き、 プやマネジメントについての話を聞くため、 年長のスタッフ職員に業務指示をしなけ スキンケア製品の受託生産を行う万協製 ればいけないという局面にぶつかります。 薬を訪問しました。同社は、 1960年に神戸 研修では、マレーシアの研修員20名と三 市に創業されましたが阪神・淡路大震災に 重県の職員15名が参加し、6つのグルー より工場が被災し三重県に移転された従 プに分かれて「スタッフ職員が職場のルー 業員100名の企業です。 研修員には、 震災 ルを守らない」 「スタッフ職員との関係がぎ からの再建やリーダーシップのあり方、従 くしゃくしてきた」などのケースをもとに、解 業員を大切にする経営姿勢等について 決法を探る議論をしました。 松浦社長からお話しいただきました。 「意欲のない職員に対しどう接するか」 研修員からは、 「せっかく育てた人材の というテーマでは、 「できた仕事をほめる。 退職を防ぐ契約条項があるのか、 ジョブ 本人の得意分野を見つけ仕事を与え、 や ホッピングで社員がライバル会社に行った る気を出させる」 と直言を避けがちな日本 らどうするのか」 とマレーシアの現状を反 に対し、 マレーシアは「直接注意する。 カウ 映した質問が出ました。松浦社長は、 「退 ンセラーを使う。職場環境をチェックするな 職については、人を信用しているので防 ど当該職員以外の原因がないか確認す 止条項などはないし、 別の会社で日本をよ る。遅刻した分の残業を命じる」等、 お国 くするために働いてくれていればよいと考 柄の違いも表われました。 えています。結果的に当社で育った人材 研修員からは「同じような立場にある日 が地域に貢献してほしいです。 ただ、 会社 本の自治体の方と議論ができ参考になっ を 『楽しい会社』 にしているのでこれは防 た。 マレーシアは現在、 2020年の先進国入 止策といえるでしょう。 もっと高い給与の会 りをめざして一丸となっており、組織として 社はあっても、 ウチより楽しい会社はないと 大きな変化を起こす必要はないが、組織 自負しています」 と答えられました。同席さ の活性化・改革は必要だと感じた。 また、 れた社員の方からも 「楽しいということは、 職員に対し一方的に注意するのではなく モチベーション向上につながります」 とコメ 対話が必要であることが重要であることも ントいただきました。 当日は得意の歌も披露 よく理解した。 まず自分自身を変えることか いただき、 社員がついてくる 「楽しい会社」 ら始めたい」 と感想が述べられました。 の意味が研修員にも伝わったようです。 経営理念︵松下幸之助歴史館︶ 異なり、マレーシア・日本両国政府が経費分担 する 「コストシェアリング型」 研修です。 PREXが 訪問 が何を学び、何に関心を持ったかご紹介します。 なお、本研修は、通常の日本政府負担研修とは ● ニア専門家 杉本氏︶ ンメソッドの導入も含め、日程を追って研修員 講義 初級管理職の役割︵PREXシ ● 津 市 役 所マネ ー ジャー ク ラス 事例︶ 職員との意見交換 見学 伊勢神宮、おかげ座︵地域振興 ● 討議 ● 講義 企業のマネジメント︵万協製薬︶ ● 職員との意見交換 自治体の行政改革︵三重県商工 会議所連合会 専務理事 井ノ 討議 三 重 県 庁マネ ー ジャー ク ラス ● 講義 ● 口氏︶ 講義 日本におけるリーダーシップと ● 授︶ 組 織 運 営︵ 麗 澤 大 学 ラ ウ 教 ︵PREXシニア専門家 杉本氏︶ 講義 日 本 企 業 に お け る 経 営 の 特 徴 今回ブラッシュアップした少人数ディスカッショ 12 ● テーマは、①リーダーシップ、②チームマネジメ ント、③課題解決、④部下の育成、の4つです。 ︵PREX 藤沢︶ に必要なマネジメントのヒントを掴みました。 講義 日本の政治・行政制度の概要 のみならず広く企業・行政機関へ訪問し、意見 交換やケーススタディ等を通して初級管理職 8 ● 官研修」 ではマレーシアの行政官20名が関西 プログラムオリエンテーション を実施しています。6月に実施した「初級行政 6月 ● PREXでは、マレーシア政府からの要請に応え、 マレーシアの行政官を対象に毎年2回の研修 ︽研修プログラムの流れ︾ マレーシア初級行政官研修 19 20 21 22 25 26 27 28 29 日 評価会、閉講式 ● 討議 成果発表会 ● 実習 成果発表会に向けての準備 ● 意見交換 討議 サイバー適塾 塾生幹部候補と ● ビューティー ︶ 訪問 部 下 育 成 、人 材 教 育︵ ジュノ ● ︵PREXシニア専門家 池田氏︶ 講義及び実習 日本茶道の精神 ● 授︶ 討議 中 間 検 討 会︵ 麗 澤 大 学 ラウ教 ● ︵人事院︶ 講義 日 本 の 公 務 員 制 度 と 人 材 育 成 ● 員︶ メント︵早稲田大学 梅津研究 グローバル企業の経営理念︵大 西マーケティング代表 大西氏︶ グローバル企業の人材育成︵ダ イキン工業︶ 講義 リ ー ダーシップ、チームマネ ジ ● 講義 ● 訪問 ● 6月25日、 日本茶道の精神を体験。 和・敬・清・寂 成果発表会、評価会での 日本茶道の精神を体験 研修員の声 研修の内容をより深く理解するために、 初めて日本を訪問し、企業や行政機関 優れた経営やモノづくりへの姿勢の背景 のリーダーシップ、 チームマネジメント、 課題 にある日本人の精神的な考え方や文化に 解決、 部下の育成の事例を目の当たりにし 触れていただこうと、茶道裏千家の教授 たマレーシアの行政官には、 日本人の「互 PREX池田シニア専門家にご協力を得て いに配慮する姿」、 「仕事や会社への忠 て日本の人材育成や文化を学ぶ上で非 お茶室で茶道を体験していただきました。 誠心」、 「勤勉さ」が強く印象に残ったよう 常によく考えられたプログラムであった。研 茶道は、 日本の総合文化です。池田専 です。訪問先では、 どうして日本では、 上司 修成果を参加者自身だけでなく、所属組 門家は茶道体験を通して和 (harmony) 、 敬 に指示された以上の結果を出そうとする 織、 そしてマレーシアにとって有益に生か (respect)、清(purity)、寂(tranquility) のか、 なぜ仕事の技術を高め工夫を凝ら せるよう取り組みたい」 と研修への感想が の4つの精神を感じてほしいと説明されま そうとするのか、 どうやったら就業前に全 述べられました。 した。 まず和、お互いが心を開いて仲よく 員が揃うのか、 という質問が次々出ていま 私たちPREXの職員は、 世界各国の研 すること。茶室ではホストが温かいもてな した。研修の最終日、研修員の一人シャリ 修参加者が日々感じる日本への感想や しの気持ちでお茶を用意し、 ゲストは皆で 「日本で一番印象に残ったの ザルさんは、 研修の成果報告のコメントから、 「チーム 仲良く相互にお辞儀をしながら、 平和な気 は、チームワーク。 日本の人は組織、チー ワーク」 「自律心」 「勤勉さ」等、 日本人とし 持ちでお茶を飲みます。次に、敬。優劣、 ムの一員として生活し、働き、苦楽を分か て大切にすべきことに気づかされます。今 6月29日、 閉講式にて修了書を受け取る研修員。 上下、 身分の差を超えた尊敬で、 慎み深く ち合う。 そして問題を抱えているチームの 回のマレーシアの研修では特に研修員と おごらない様子です。茶室に入るときは狭 メンバーを一人にすることはなく、チーム 日本人の意見交換の時間を多く設けたこ い入口から身をかがめて入ります。 身分の の目的達成のために進んで助け合おうと とで、 より多くの日本人と交流し、 テーマに 上下に関係なく、 だれもが慎み深く、尊敬 する。それが、各人が時間を守り、進んで 関する事例への理解を深めてもらえたよ の気持ちがわいてきます。 3番目は、清。茶 仕事をすることにつながっていると思う。 日 うです。 今後も日本ファンになった研修員に 席に入る前に手を洗い、 口をゆすぐと心も 本人は目的を達成するために、 全力を尽く 「優れたマネジメントの事例」や「魅力ある 清らかな気持ちになるはずです。最後は、 す。 だから、 日本は先進国というだけでなく 日本」 を発信していきたいと考えています。 寂、何事にも動じないありのままの安定し 世界の尊敬を得る国になったと思う」 とコ (国際交流部 末尾、関野) た平静な気持ちを言い表しています。 メントしてくれました。 その他、 お辞儀の作法や花や軸、道具 また他の参加者からも 「人を軸とする経 研修概要 類についても説明を受けました。体験後、 営や職場での親身になったコミュニケー 研 修 名 実施期間 覚えたての作法(真行草) でお辞儀をして ション、報連相を学べたことは非常に役に くれた姿に、期待したとおり “日本の心” の 立った。組織を動かす立場にはないが、 ま 研修参加者 委託元機関 背景を学んでくれたことを実感しました。 ずここから取り組みたい」 「研修全体とし マレーシア初級行政官研修 2012.6.8 (金) ∼6.29 (金) マレーシア行政官20名 独立行政法人 国際協力機構(JICA) 関西国際センター No.215 September 2012 PREX NOW 5 帰国研修員の 活躍 PREXの研修参加者は、設立以来14,500人を超えました。そのうち日本での研修に参加したのは 133カ国4,743名の行政官や企業幹部です。各国の帰国研修員からは、 メールやフェイスブックを 通じて帰国後の活躍の様子や日本を懐かしく思う声が数多く寄せられています。 今回は、バングラデシュ、キルギス、ニカラグア、 カザフスタンの研修員の活躍をご紹介します。 ファヒム・ビン・アスマット さん バングラデシュ 中小企業振興財団 プログラムオフィサー 「2010年度JICA中小企業振興のための金融・技術支援 (A) 」 に参加 バングラデシュに中小企業のための情報・展示センターを開設 2010年にJICA研修に参加したファヒムさんはバングラデシュ中小企業振興財団のプログラムオフィサー です。2012年2月にはPREXの帰国研修員フォローアップ事業でバングラデシュを訪問し、 その後の活躍を 知ることができました。 ファヒムさんの所属する中小企業振興財団は2006年の設立以来、 中小企業の育成、 振興を目的に活動 を展開しています。 ヘルプデスクの設置、 各種情報の提供など様々 なサービスを提供しています。2011年9月には、 財団に情報・展示セ ンターを開設しました。商品の宣伝、 マーケットの情報収集が難し い小型企業を対象に、 それらの問題を解決できるよう、 商品の展示 の場、 マーケットの情報提供のために開設されたものです。58の起 業家による約500点の商品が展示され、 開設から半年たった今でも 日々10∼15社の問い合わせや相談があるそうです。 ファヒムさんは これらのセンター機能を有効に使い、 地元の企業を盛り上げていき たいと熱心に話してくれました。 (国際交流部 関野) 2012年2月にPREX職員が「PREX帰国研修員フォローアッ プ事業」 でファヒムさんの所属するバングラデシュ中小企業 振興財団を訪問しました。開設した中小企業のための情報・ 展示センターについて熱心に説明をしてくれるファヒムさん。 2012年2月にPREXシンポジウムに 駆けつけてくれたアジスさん。 キルギス アジス・アバキロフ さん ユニーク・テクノロジーズ 経営者 「2009年度 JICA中央アジア経済団体強化コース」 に参加 日本の中小企業は心の故郷 キルギスの「ユニーク・テクノロジーズ」は2007年に設立されたIT企業 です。 この企業を経営するのは、 キルギスを代表するビジネスマンにも選 ばれた、 アジス・アバキロフさん。 アジスさんは幼少のころから日本に憧れ、 日本との架け橋になる仕事 をするために日本語を学び、 起業しました。 「2009年度JICA中央アジア経済団体強化コース」に参加後、 帰国して早速、 IT業界と大学との連携によるラ ボの設立や、 政府への政策提言を行い、 キルギスにおけるIT産業の発展に貢献しています。 また、 自社の経営 者としても目標達成に向け努力を続けています。 ビジネスで来日することもあり、2012年2月に開催したPREXシンポジウムにも駆けつけてくれました。 「PREX の研修を受けたキルギスのビジネスマンは日本の中小企業を故郷と思って経営を続けています。 これからもビジ ネスマンの育成に協力を続けてほしいです」 と会場から同窓生として日本語でコメントしてくれました。 (国際交流部 瀬戸口) 6 PREX NOW No.215 September 2012 ※ 「帰国研修員の活躍」 は、PREXのホームページからも ご覧いただけます。 ※PREXでは帰国研修員のネットワークとしてフェイスブック ルス・マリナ・アラナ さん(コーディネーター) カルロス・アルベルト さん(国際金融アドバイザー) ベティ・イサベル さん(国際貿易幹部) ニカラグア貿易投資センター を活用しています。ホームページから参加いただけます。 ニカラグア 「2008、2010、2011年度JICA中米・日本貿易振興のための キャパシティ・ディべロップメント」 に参加 現地中小企業の海外販路開拓支援 ニカラグア貿易投資センターでは、 2008年度から2011年度まで「JICA中米・日本貿易 振興のためのキャパシティ ・ディべロップメント研修」に5名の職員を派遣し、 職員の能力 強化を図ってきました。研修に参加した職員は、 帰国後、 日本市場に関心をもつニカラグ ア企業に対して、 日本市場の特徴に関する情報の提供や日本への輸出に向けた支援 を行っています。 その成果が実を結び、2012年3月に行なわれたアジア最大級の食品 見本市、 FOODEX JAPANのJETROブースに、 ニカラグアの企業が参加し、 日本市場 参入に向けて大きな一歩を踏み出しました。 ニカラグア貿易投資センターでは、 これまで の取組みを更に広めるため、 2012年度の「JICAフォローアップ協力事業」に応募をし、 採択されました。同事業には、現地企業への更なる情報提供、 日本市場参入に関する マニュアル作成、企業への個別指導等の活動が含まれており、PREXも日本市場に関 する情報提供の面で、 TV会議の実施に協力する予定です。 (国際交流部 北村) ニカラグア貿易投資センターの支援で、FOODEX JAPANへの初出展を果たしたエル・ヴェルヘル社。 セリク・ジョルダスパエフ さん カラガンダ品質研究所 所長 カザフスタン 「2011年度JICAカザフスタン・日本人材開発センター (生産管理) 」 に参加 カザフスタンのQC専門誌に研修レポートを発表 2011年12月に、 主として品質向上を学びにカザフスタンから来日したセリクさんは、 自国のQC専門誌「アルティン・サバ」 に、 日本で学んだことを発表してくれました。 本人から送られてきたA4用紙8ページにわたる記事の内容を紹介します。 本研修では、 実質7日間という極めてタイトなスケジュールの中で、 製造・食品加工・物流・サービス業など10社(クリエイ ション、 川村義肢、 三元ラセン管工業、 ダイヘン、 富士製作所、 元祖たこ昌、 松下幸之助歴史館、 センコー、 堺相互タクシー、 山田製作所 敬称略) を訪問しましたが、 セリクさんはそのすべての企業について社名入りで、企業理念・顧客ニーズ志 向・ 5S・衛生管理・サービス精神などそれぞれの企業で学んだことを的確に報告しています。 カザフスタンでは、 豊富な資源を背景に急速な経済発展が進んだことに伴い、 サービス業の品質向上へのニーズが高 まっていますが、 セリクさんは、 タクシーに最も多くの誌面を費やしました。清 潔で行き届いたサービスに加え、 “介護タクシー” という社会貢献の視点が 印象的というコメント。 “ТаКОЯКИ” 、 このロシア語はどんな意味かわかりますか。答えは “たこ焼き” です。 たこ焼き会社の工場に訪問した際、衛生管理の徹底を 学んだだけではなく、 そのアジも気に入った様子で、 この記事には、 「お土産 にもらったタコヤキを、 その晩、 カップ酒で大いに楽しんだ」 とあります。 この記事は、 日本人のホスピタリティや、 目の不自由な方への配慮、 街・工 場などの清潔さで締めくくられています。 おおっと、 私も自分のデスクを整理 整頓しなくてはっ。 (国際交流部 末尾) 堺相互タクシーを訪問。清潔で行き届いたサービスや「介護タク シー」 という社会貢献の考え方に深く感激した様子でした。 No.215 September 2012 PREX NOW 7 PREXを 支える 熱意ある 講師・専門家 PREXは、設立以来さまざまな分野での豊富な経験と国際協力に対する熱意を持った講師の皆 様にご協力いただいています。 4、 5ページで紹介した 「マレーシア初級行政官研修」 で自らのご 講義に加え、津市長前葉様のウェルカムスピーチをはじめ県内各訪問先のアレンジにご尽力い ただいた三重県商工会議所連合会の井ノ口様と、今後のビジネス展開としてマレーシア進出プ ランもお持ちのジュノビューティー会長横川様に研修に対するお考えをお聞きしました。 国難をバネに 世界に範を示す時 マレーシア進出の きっかけに 三重県商工会議所連合会 専務理事 ㈱ジュノビューティー 会長 井ノ口 輔胖 氏 横川 純一 氏 三重県で、1995年から8年にわたり庁内改革を推進した北川 当社は、1956年から美容室を経営し、現在8店舗約50名のス 正恭知事時代に改革を下支えしました。知事が改革の方向性を タッフがいます。 「美容を通じて社会に貢献する」 というのが経営 示し、 総務部長以下で政策を立て、 私は課長の立場で主に現場 理念ですが、PREXの活動に協力し、各国の方と交流すること がついてこられるよう導きました。 痛みを伴う制度改革が成功した で、 美容を通じて「世界」に貢献できるのではないかと感じていま のは、 トップが実現にあたってぎりぎりの可能性を見極め、 決断とと す。以前から海外に進出することを漠然とは考えていましたが、 もに現場を巻き込む強いリーダーシップを発揮したからです。 今は、 5年後には、 マレーシアを含む東南アジアでの事業展開を こうした経験を2009年からマレーシアの初級・中間管理職の行 目指しています。 政官に「自治体の行政改革(課題解決力)」 と題してお話しして 日本では現在、美容室は22万店あり、 それに加え男性を対象 います。 「遅れず、 休まず、 働かず」 「地位保全には、 何もしないこ にした理髪店は13万店です。 日本の女性人口は約6,000万人で、 と」 「たらいまわしの横行」─これらは組織が自己変革力を失うと 女性300人に1店の美容室が存在しています。美容室の90%は きに起こることです。研修員には、 「本音の言える職場にしたい!」 従業員4名以下の中小零細企業です。当然競争は厳しく、勝ち 「変革への執念」 「トップとのコミュニケーションの取り方」 「あきら 残るには生産性向上の取り組みも重要な対策のひとつです。 めない」 「手間ヒマかける」 「何度も毎回繰り返す」 と改革・変革の 美容室でのカットやヘアダイ、 パーマネントウエーブなどの作業 ポイントを伝えてきました。 はほとんど手作業でした。 この労働集約型である美容室で生産 研修員からは、 「どうやって部下や上司の考えを変えるのか」 性を改善することは大変に難しい問題です。私どもは生産性向 「上司が結果しか評価してくれない。 どうしたらいいか」 「どう 上の第一歩として技術や作業のマニュアル作りから始め、 手作業 やって同僚の妬みに耐えたのか」等々の質問が投げかけられ を標準化するための機器も開発してきました。 むろん、 マニュアル ます。私は「相手を変えるにはまず自分が変わることが大切で を作るだけではなく、企業の理念やお客様満足のためのコンセプ す。上司が評価してくれなくても他の上司や部下が見ているか トに沿った商品と、 その品質を守ることが前提です。私どもは美容 ら、 その上司が異動するまでくさらず努力を続けてほしい。 自分 業を「生業」から「企業」へ、 「企業」から「産業」へと発展させる でやると決めたことという強い信念があれば、同僚の非協力的 ために「人材育成」についての考えや行動を大切にしています。 な対応も気になりません」 と自らの経験を具体的に交えてお話し PREXの研修では2009年からアフリカやラオス、 マレーシアの ています。 方に当社の「人材育成」についてお話ししています。研修員の皆 また研修では、 日本の行政官の人材育成につなげられるよう さんは「トレーニングの徹底」に驚かれるようです。 三重県庁や津市役所のマネージャークラス職員とマレーシア行 研修員からは「会社が大きくなっているが、成功の秘訣は何 政官の意見交換会の時間を設けています。 テーマは「行政組織 か」 とも聞かれます。 日本には「会社は、 お客様に大きくしていただ ・リーダーシップ・コミュニケーション」で、十分 におけるマネジメント く」 という考え方があり、 お客様に満足していただくためには厳し なコミュニケーションを図るため、少人数のグループに分かれ事 いトレーニングが必要であることをお伝えしています。 例や課題に沿って意見交換します。 日本の行政官にとってアジア 今回のマレーシア研修では、 当社のスタッフもマレーシアの方 の行政官と話をする機会は、 グローバルな視野を身につけるきっ の意見を聞き、交流する機会を持ちました。東南アジアへの進出 かけになります。私自身、毎回「国が違っても、人間同士、皆同じ を目指す私どもにとってマレーシアの方に直接会い、 どんな考え である」 と感じています。 日本側の参加者に、 この交流のチャンス を持っているのか、 どんな生活ぶりなのか知ることができるのは を活かしてほしいと願っています。 有難い機会です。マレーシアの行政官と相互に知り合える場は 日本は、 国難の時ですが、 今こそ決然として国を開き、 世界に範 他にありません。 を示すべきだと考えています。 今後も日本や各国の人材育成のた 今後ともPREXの活動に協力し、 企業としてより社会に貢献し、 めにPREXと協力して活動を継続していきたいと考えています。 日本のみならず、 世界の方々のお役に立てればと願っております。 8 PREX NOW No.215 September 2012 2011年度総訪問先数 PREXでは、年間30件前後の研修を実施し 企業 訪問 359 件 多くの企業を訪問させていただいています。 その中から特色ある企業をご紹介します。 ITで生産性向上と コスト削減を支援 ChatWork㈱ (旧:㈱EC studio) 設立間もない頃、経営課題改善のため話を 訪問となりました。現在は、ビジネス上でのコ 聞いた先輩経営者から、企業を支える従業員 ミュニケーションを円滑にするためのクラウド を大事にすることの重要性を学んだ山本社長 型サービス 「ChatWork」 の事業を軸にし、今年 が、更に社員の潜在的な声を知ろうと行った調 6月に社名を 「㈱EC studio」 から 「ChatWork 査で 「従業員満足度ナンバー1」企業に選ばれ ㈱」へ変更。海外法人も設立するなど、世界へ たのがEC studio (当時) です。ITを駆使した効 向けてChatWorkの普及を目指しています。 率的な業務手法と、全社および部署ごとでの 所在地=大阪府吹田市 定期的な 「懇親会」 、 また育児と仕事を両立でき H P =http://www.chatwork.com/ja/ る環境整備などが共存していることは、IT企業 「2011年度カザフスタン日本センター ビジネス 実務研修」 で訪問 うち新規 90件 のイメージを大きく変えるものでした。研修員 にとっても、机を囲まないフリースタイルの講 義や、電話がない営業をしないことで時間を節 約し、中小企業に向けて良いサービスを安価に 提供する、という 「一風変わった」仕事の仕方、 そして経営を支える従業員への思いと満足度 向上のための取り組みなど、全てが印象的な 関西企業の リーダー教育の場 ChatWorkの利用者数は8万人を突破。新たなコ ミュニケーション手段として注目を浴びています。 「サイバー適塾」 とは関西企業のリーダー候 政府機関であれ、 リーダーとしての役割は変わ 補生が集まり、 「 実学重視」の人材育成、 「 強力 りませんね、 と最後にはすっかり議論が盛り上 な人脈形成」 を推進する新しい教育の場です。 がっていました。会の終わりにお礼の意味を込 緒方洪庵の「適塾」 と、ITを最大限活用し学習 めマレーシアの歌が披露され、塾生の温かい サイバー適塾 するスタイルから 「サイバー適塾」 と名付けら 拍手で大盛況のうちに討論会を終えることが れました。国際社会に通用するパワフルなリー できました。 所在地=大阪市都島区 ダー育成を目的に、2002年に開塾し、優秀な H P =http://www.tekijuku.ne.jp/ 塾生を輩出しています。 「2012年度マレーシア初級行政官研修」 で協力 塾生は1年かけ、自己哲学、 リーダーシップ、 危機管理能力等々リーダーに必要な能力を 養っていきます。今回は第11期塾生の方々と、 中央省庁職員であるマレーシアの研修員とで、 リーダーシップに関する討論会を行いました。 最初は遠慮がちだった研修員も、積極的に話 を引き出そうとしてくださる塾生の姿勢に、ど んどん発言をするように。結局、会社であれ、 マレーシアの状況を熱心に説明する研修員。 エステサロンの スキンケア製品開発 サレア化研は、スキンケア製品、ボディケア が使用するオリジナル商品の研究・開発・製造 いての責任の重みを実感することができたよ ㈱サレア化研 を行い、サロンごとのコンセプト、施術内容に合 うです。 所在地=東大阪市箕輪 り組まれています。最小100個からの小ロット H P =http://www.salea.jp/ での受託生産にも対応されていることから、製 「2011年度『ラオス日本センター・ビジネス人 材育成プロジェクト』本邦研修」 で訪問 してしまうこともあるそうです。研修員は、同社 製品、 シャンプーや養毛料等のヘアケア製品等 のこだわりの製品づくりのプロセスを見ること の受託生産を行っています。主にエステサロン により、改めて化粧品を製造・販売することにつ わせた使用感重視の高品質な製品づくりに取 造工程には手作業の部分も多く、一つひとつの 製品が丁寧に作られています。 ラオスの研修員の中に、将来スキンケア製 品、ヘアケア製品の製造・販売を行いたいと考 える経営者がいたことから、同社に訪問させて いただきました。ラオスでは、女性の美意識は 高いものの、安心して使用できる化粧品が少な く、時には化粧品が原因でひどい肌荒れを起こ 商品の瓶詰の方法について大城社長から説明 を受ける研修員。 No.215 September 2012 PREX NOW 9 PREXだより 井上会長の ひ と こ と ないため人材育成援助に関わる費用はそれほど 設立の狙い 減っていません。ODAの中に占める人材育成に PREXは、1990年関西の経済界がイニシア 使う比率が高まっているということです。その意 ティブをとり官学の協力を得て設立されました。 味でPREXの活動価値はこれまで以上に高いも 事業内容は途上国の人材育成支援と活動を通じ のになると考えています。 た国際的人材交流の活発化です。対象はアジア・ また、今年度からは、中小企業の途上国支援と 太平洋地域を重点に133の国と地域に広がって 中小企業の海外展開とのマッチングに資する調 います。PREXを創った最初の狙いは、関西が国 査等にもODAの予算が使えます。途上国だけで 際的に発展していくためにはアジア・太平洋とい なく日本にとっても役立つ事業を目指す動きが かに強く結びつくか、アジア・太平洋の人々とど 進んでいます。 れだけ交流を深めるか、そこを重点的にやってい こうというところからスタートしました。名前もア PREXの新たな取り組み ジア・太平洋と言いたいけれども長いので 「太平 最近の途上国の援助に対する技術協力、人材 洋人材交流センター」 としました。 育成に対する要請は、環境問題、太陽光発電、 水処理問題、都市づくりの問題という課題に関 ODAの現状 6月29日、大阪経済記者ク ラブとの定例記者懇談会 を実 施し、当 財 団 会 長 井 上義國からPREX中期アク ションプランでの新たな取り 組みやODAの最近の動き をお話ししました。概要は、 eo光のニュース番組「Press 心が高まっています。PREXも水処理問題のマ 国際情勢が変われば日本の外交も変わり、日 ネージャーの育成、太陽光発電に関するマネー 本の外交が変わればPREXの活動も変わる。そ ジャーの育成等、環境問題について力を入れ始 ういう循環をせざるを得ないわけですが、日本 めています。今までは日本のODAの方針にのっ のODA (政府開発援助) 予算は、1997年には金 とって途上国の役に立つ人材育成ということを 額的に世界1位で1兆1687億円でした。それが 行っていましたが、これからは水ビジネス、ある 2011年度予算では半分です。世界1位どころ いは太陽光発電ビジネス、環境ビジネス、産業廃 か、アメリカ、イギリス、 フランス、 ドイツに続いて 棄物処理ビジネスが日本の企業ともつながって Interview」 で7月9日∼29日 世界5番目となっています。日本は、外交政策の いるような格好でこの人材育成援助事業という にかけて配信されたほか、 各紙 中でODAをどう位置付けているのか。武力を持 ものを活かす必要があるのではないかと考えて で紹介されました。当日の発 言内容は以下のとおりです。 たない国ですからODAが外交政策の主眼とし います。 て非常に有力な手段のはずです。 23年間、関西の企業は見返りがないところに ※PREX中期アクションプラン については、本号1∼2ページ に詳細を紹介しています。 ODAはかっては、道路を造ったり、港を造った 基金を出し、出向社員を派遣してもらってきたわ り、発電所を造ったりというインフラ整備の援助 けですからPREXも恩返しをする時期にきてい が主であって、人材育成援助の比率は非常に少 るのではないか。そういう面での新しい中期アク ないものでした。ODA総額は減りましたが、人 ションプランを作って、PREX自身が方向転換し 材育成援助を含む無償援助はそれほど減ってい ていく必要があるのではないかと考えています。 「関西ベトナム経済交流会議」 始動 PREXが参画する「近畿地域中小企業海外展開支援会議」では、 2012年7月から 「関西ベトナム経済交流会議」 をスタートさせました。本会 議は、近畿経済産業局、 日本貿易振興機構 (JETRO) 大阪本部、中小企 業基盤整備機構近畿本部、関経連、大商、大阪産業振興機構 (IBO) 、大 阪国際経済振興センター (IBPC) 、JICA関西、HIDA (旧AOTS、海外産 業人材育成協会) 、PREXが参画し、各機関の情報を集約し、 かつ各機関 の取り組みを有機的に連携させることによってベトナムの官民との連携強 化を図り、 関西の中小企業等によるベトナムとのビジネス交流を促進させる ことを目指しています。 PREXは、持続的な経済交流を支える現地キーパーソンの育成を行って いる団体として、国内外のネットワークやマネジメント研修のノウハウを活用 し、関西の中小企業のグローバル化に向けての支援協力を行います。 JICA関西における中小企業海外展開支援業務を受託 PREXは、2012年8月、 ODAを活用した中小企業等の海外展開支援 のための調査業務を受託しました。調査期間は、2012年8月から2013年 2月で関西地域の中小企業等のニーズに合ったODAによる支援メニュー の提供に向け、関連情報収集、情報整理等を行います。 PREX NOW 第215号 2012年9月発行 10 PREX NOW No.215 September 2012 人の動き 着任 北村 耕一…国際交流部 担当部長 2012年6月27日付/関西電力㈱より出向 関西電力では、地球環境問題を担当したことがありまし た。 その当時は、温暖化問題の黎明期であり、海外の方 と出会う機会に恵まれ、異なる文化の方と交流すること の楽しさを知りました。今回PREXに勤務することになり、特に途上国の方 と出会い、話し合う機会もあるかと楽しみにしております。初めての職場で すので、 いろいろご指導いただかなければならないと思いますので、 よろしく お願いいたします。 帰任 末尾 寿広…国際交流部 担当部長 2012年6月27日付/関西電力㈱より出向期間満了 今回、 株主総会後の定期異動により、 出向解除となり関 西電力グループに帰任することとなりました。出向中に出 会った研修員は127人。研修員の帰国後も主としてメー ルを通じて財団のミッションである “国際交流” を続け、帰任を伝えたところ、 おおむね半数の62人からメッセージをもらい、感激しております。 もちろん、 日本サイドの講師や企業、 J ICA、研修監理員の皆様からのご支援があって こそ、 この2年間を乗り切れたことは申し上げるまでもなく、感謝の念に堪え ません。本当にありがとうございました。 編集・発行:公益財団法人 太平洋人材交流センター 専務理事・事務局長 村瀬孝次 〒543-0001 大阪市天王寺区上本町8-2-6 大阪国際交流センター2階 Tel 06-6779-2850 ホームページ:http://www.prex-hrd.or.jp 電子メールアドレス:[email protected] Fax 06-6779-2840