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タンザニアの高官8名が関西の農業ビジネス等を視察

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タンザニアの高官8名が関西の農業ビジネス等を視察
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ニュース & レポート❶ タンザニアの高官8名が関西の農業ビジネス等を視察
ニュース & レポート❷ 貿易促進と海外からの投資誘致、2つの経済成長エンジンを学ぶ
ニュース & レポート❸ 同窓生が経営する企業が日本での幹部研修を実施
ニュース & レポート❹ 関経連アセアン経営研修卒業生の企業を訪問
ニュース & レポート❺ 関係者の声 カンボジアの最新動向と ODA の現状レポート
企 業 訪 問 ㈲大和製作所、理化工業㈱
PREX だより
ニュース & レポート ❶
タンザニアの高官8名が関西の農業ビジネス等を視察
受入研修
農業開発
JICA タンザニア・地方農業開発研修を実施
PREX は、今年度から 5 年間にわたり JICA タンザニア国別研修「地方農業開発」を実施します。今回は初年度
の研修で 6 月 16 日~ 27 日にかけて農業開発の政策立案に携わる高官の方など 8 名が来日し、関西の農業事業
者を訪問し、様々な関係者がどのように連携し地方農業が推進されているのか、その取り組み事例を視察しました。
タンザニアの農業セクター開発の取組み
東京で中央省
庁、金融機関へ
タンザニアでは人口の約 8 割が農業セクターに従
の訪問および有
事しその多くが貧困層といわれています。タンザニア
識者の講義を受
政府は、経済成長と貧困削減に向け、農業開発を国家
け、関西に移動。
開発戦略の中で重要と位置づけています。地方分権
その後、関西の
政策の下、農業セクター開発プログラムの枠組みの中
行政機関や自治
で、食料安全保障の確保、農業の商業化(Agricultural
体より地方にお
Commercialization)
、農家の収入向上、規制や政策等
ける農業振興政
の環境改善を通した民間投資の促進を目指し、地方レ
策 や2次 産 業・
ベルでの農業開発を推進するための具体的な取り組み
3次産業へと付加価値を取り込んでいく施策推進につ
が行われつつあります。 いて講義いただきました。更に実際にその起業から現在
こうした背景の下、まずは政策立案に携わる政府高官
に至る歴史の中で地域を振興する活動を進め、農業の
カタシモワインフード㈱様を訪問。高井社長様自らの
ご案内でぶどう畑を見学させていただき、同地で展開
された地域振興のお話を伺いました。
レベルが、政府(中央・地方)
産業化に貢献した企業や既にアフリカ地域に農業ビジ
が担うべき役割、打ち出すべ
ネスで進出展開する事業者から具体的な取組みについ
き具体的な諸政策・制度、民
て説明を受け、意見交換を行い、タンザニアの地方農
間との望ましい役割分担につ
業開発に向けてどのような施策が有効であるかについて
いて理解を深めることが求め
考えました。
られています。
研修の詳細は、11・12 月号で紹介予定です。
関西の農業ビジネスの現場に赴く
(国際交流部 浅沼、坂口)
研修概要
研 修 名
JICA タンザニア国別研修「地方農業開発」
本研修では、日本の農業政策における地域振興・活
実施期間
2014 年 6 月 16 日
(月)
~ 27 日
(金)
性化の歴史や現在の推進、農業関連法令や金融政策に
研
修
対 象 者
タンザニア国農業関連省庁、州、
県における高官 8 名
委託元機関
JICA 関西
ついて、行政やビジネスを推進される方々から直接お
話を伺い、また多くの現場を訪問しました。
No.226 July 2014 PREX NOW
1
ニュース & レポート ❷
貿易促進と海外からの投資誘致、2つの経済成長エンジンを学ぶ
受入研修
貿易振興
JICA 貿易・投資促進のためのキャパシティ・ディベロップメント研修
「JICA 貿易・投資促進のためのキャパシティ・ディベロップメント研修コース」を 2013 年 11 月 15 日~ 12
月 13 日と 2014 年 2 月 20 日~ 3 月 14 日の 2 回にわたって実施しました。目的は自国の経済発展に貢献する
輸出促進及び海外からの投資誘致に関する能力
向上です。11 月のコースは投資促進の担当者、
2 月のコースは貿易促進の担当者が来日し、日
本の投資促進機関や海外で活躍している日本企
業を訪問し、日本の貿易・海外投資活動の実態
を学びました。
(貿易投資促進A)11 カ国 12 名の研修員が自 (貿易投資促進B)近畿農政局での講義では行
国の投資環境と魅力についての効果的な情報 政主導の勉強会での民間への指導・情報発信
発信方法を学びに来日しました。
方法が研修員の印象に残ったようです。
貿易投資促進支援の位置づけ
チまで国産品」だったそうです。
こと左様に日本は現在まで海外からの直接投資受入
JICA の民間セクター開発は、民間の活力を利用して
れには慎重で、投資誘致に関する日本の良い事例が少
開発途上国の経済発展を目指しています。そのメニュー
なく、そのため、UNIDO( 国際連合工業開発機関 )、英
は中小企業振興、貿易・投資促進、産業基盤整備、産
国領事館、インドネシア領事館、タイ国政府貿易セン
業技術、観光開発、民活・民営化などを切り口として民
ターなど日本に進出している海外の機関の協力を研修の
間企業等が発展するための支援・また発展しやすい環
節目で得るように工夫しました。この海外機関との交流
境造りを行っており、その中で今回の研修は貿易投資促
は研修員に大変好評で、来年度も続けたいと考えてい
進機能強化支援を目指します。PREX は過去、中小企業
ます。
振興、観光開発、輸出促進などでの研修実績はありま
すが、投資促進分野での研修受託は初めてです。
研修の課題
研修員の課題と講師のアドバイス
10 カ国を越える研修員を一堂に集め、貿易促進とか
一つの課題テーマで勉強するには、各国の経済発展の
最近、富岡製糸場の世界文化遺産登録が話題になっ
レベルやビジネス環境の違いもあって様々な課題が交
ています。実は当時富岡製糸場は外国からの指導者を
錯するので、研修員同士で学んだ事等の情報交換する
招き、技術導入はしたが、資金提供の申し出は断ったそ
場を増やし、他国の政策やプロモーション方法の良いと
うです。明治維新は旧幕府の対外債務を背負って、財
ころをお互いに学び合う場をもっと設けたら効果的では
政的にはマイナスからのスタートだったので外国に頼れ
ないかとのアドバイスをいただきました。実際、一部の
ない。頼れば植民地にされてしまう。以後、孤島という
研修員からの同様の声もあり、来年度は是非実施したい
こともあって、明治後の日本はなんでも自国で作る「殖
と考えています。
産興業」政策を取り、
「20 世紀初頭では、戦艦からマッ
(国際交流部 シニア・コースコンダクター 森本亮造)
研修員の声
モンテネグロ
経済省変革及び投資部アドバイザー
フィリピン
投資委員会アジア部投資専門家
ジウコヴィッチ・ミア 氏
ブエナフェ・アンナ・カレニナ・フェルナンデ 氏
ガーナ
ガーナ投資促進センター研究及び投資開発部上級投資促進担当官
パキスタン
パキスタン貿易開発庁商業部副部長
研修は来日前の期待以上にすばらしい内容でし
た。これが初回ということなので2回目以降が
どうなっていくのかが楽しみです。
アジェクム・アチアムポン・マイケル・クワメ 氏
日本は先進国であることは知っていたが思ってい
た以上だった。日本人は礼儀正しく、規律があり、
賢明だ。休暇でアメリカやヨーロッパに行く同僚
に日本に行くことを奨めたい。
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PREX NOW No.226 July 2014
期待以上で感銘を受けました。また研修に参加
し、日本では製造業に次いで大きな産業である
造船や航空機関係の企業を訪問したいです。
アシュラフ・ムハムマド・ウマル 氏
かってムガール帝国のジャハーンギール皇帝が「こ
の世に天国があるならば、それはカシミールである」
と言っていますが、自分にとっての天国は日本です。
TOPIC1 グランフロント大阪ナレッジ
キャピタルで研修員の発表会を実施
TOPIC2 京都のいちご農園訪問
11 月の研修では、プレゼンテーション能力の向上
研修員の国から輸出
を目的に「JICA・PREX 開発途上国のビジネス環境発
したい商品に農産物が
表会」と題して、模擬投資セミナーを行いました。
多いため、日本の農業
この模擬投資セミナーは公開で行われたため、研修
の実情の一旦を学ぶた
員の意欲が特に高く、研修員たちは、自分のプレゼン
めに追加の研修プログ
資料の作成だけでなく、自国のビジネス環境の資料
ラムとして農業の 6 次
やパンフレットを自国の大使館へ連絡し送付してもら
産業化に取り組む京都・
うなど、聴衆にアピールする姿勢が強くみられました。
八幡市のいちご農園を
当日の 発 表 会
訪問しました。この農
に は 22 名 の
園はいちごの観光農園
方 から 聴 講 の
を経営しており年間 1
申し出があり、
万人以上の来園がある
発表後の懇親
そうです。到着時間が
会 でも 活 発 な
遅くなり閉園時間を過
名刺交換が行
ぎていたにも関わらず
わ れ て い まし
た。
自国の投資環境と魅力についての公開模擬投資セミ
ナーを実施しました。
左端、農園代表の長村善和氏
いちごの収穫方法を聞く研修員
丁 寧に対 応いただき、
約 1 時間、研修員たち
は「いちご 食 べ 放 題 」
を満喫していました。
収穫したいちごは、このまま食べられます。
研修概要
本研修は、輸出促進もしくは海外からの投資促進に携わる政府機関などの担当者が、自国産業育成に貢献する輸出促進もしくは海外か
らの投資誘致に関する能力の強化を目的とし、自国内の民間セクターおよび海外への情報提供・プロモーション内容に焦点をあて、世界
市場のニーズをつかみ、輸出促進・投資誘致戦略を立て効果的に自国の貿易投資環境を発信する方法や知識の取得をテーマに学習する。
研修では実践から学ぶ機会を重視し、研修テーマに該当する在日の海外行政機関や日本企業との交流会などを通し日本企業の文化や
ニーズ、日本企業が持つ自国への印象などを研修員に実感してもらうことで、自国を客観的に分析し、現実的なプロモーション計画を策
定できることを目標とする。
委託機関 独立行政法人 国際協力機構 関西国際センター (JICA 関西)
「JICA 貿易・投資促進のためのキャパシティ・ディベロップメント研修 A」
実施期間 2013 年 11 月 15 日(金)~ 12 月 13 日(金)
研修参加者
セルビア、モンテネグロ、フィリピン、ミャンマー、バングラデシュ、パキスタン、スリランカ、ガーナ、セネガル、
カザフスタン、エチオピア、11 カ国 12 名
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
●国際機関 日本アセアンセンター貿易投資部 中西宏太氏
●慶応義塾大学総合政策学部 渡邊頼純教授
●貿易アドバイザー協会
●神戸市アジア進出支援センター ●サラヤイーストアフリカ社
●池田泉州銀行
●大阪商工会議所国際部
●大阪企業家ミュージアム
●上組
●ひょうご産業活性化センター
●味の素
●中小企業基盤整備機構
●国際連合工業開発機関 (UNIDO) 東京投資・技術移転促進事務所
●日本貿易振興機関
●住友商事
●パナソニックエクセルインターナショナル
●パナソニック
●サカタのタネ
●英国総領事館
●フクナガエンジニアリング
●山喜
●バンドー化学
●インドネシア領事館
●フジ矢
「JICA 貿易・投資促進のためのキャパシティ・ディベロップメント研修B」
実施期間 2014 年 2 月 20 日 ( 木 ) ~ 3 月 14 日(金)
研修参加者 アルバニア、エルサルバドル、スーダン、ニカラグア、パラグアイ、東ティモール、ブルキナファソ、マケドニア 8 カ国 11 名
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
●大西マーケッティング
●近畿農政局
●ノースイ
●おさぜん農園
●国際社会貢献センター(ABIC)
●宇治の露製茶
●東急ストア 中目黒本店
●タイ国政府貿易センター大阪
●食品コンサルタント上田栄一氏 ●ヒューテック
●東洋紡
●日本貿易振興機関
●慶応義塾大学総合政策学部 渡邊頼純教授
●坂ノ途中イーストアフリカ社
No.226 July 2014 PREX NOW
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ニュース & レポート ❸
同窓生が経営する企業が日本での幹部研修を実施
受入研修
経営管理
中国・陝西省偉志集団幹部研修
2014 年 5 月 27 日から 6 月 4 日、2014 年度陝西省偉志集団幹部研修を実施しました。同集団の幹部研修実
施は今回で 3 年目です。今回は特に同集団傘下の不動産会社幹部を対象としたもので、大和ハウス工業株式会社
の全面的なご協力を得ました。研修に参加いただいたグループトップの向炳偉董事長に研修についてインタビュー
しました。
陝西偉志集団はどんな会社ですか?
性質なのか、日本には、昔から自然災害が多くあったこ
とが影響するのか、自然や気候、地理的な影響か、日
男性衣料、不動産、物流管理
本古来の政治や制度あるいは中国文化の影響があるの
などの子会社からなるグループ
か、
突き止めてみたいと感じました。日本は人間の生命、
会社で従業員数は全グループ
生活の質を高め、環境保護や省エネなど地球環境の保
で 1500 名程度です。高層複合
護にも大きく貢献をしています。地球市民として日本
ビルやマンションの施工を行っ
に対して深い感謝の気持ちを持ちました。
ているほか、公益事業として老
董事長 向炳偉氏
人ホームの経営を手掛けること
を検討しています。
今回が 3 年目の研修ですが研修の成果は出ていますか?
当社の使命はまず第 1 に、ビジネスを通じて関わる
PREX は、
人々の役に立つよう努めること、第 2 に常に成長し、従
私たちが希
業員が幸せであることに最善を尽くすこと、第 3 に常に
望するプロ
最高の価値をもつ製品とサービスを提供することです。
グラムを丁
経営理 念は、
「善、誠、智、勤」です。2006 年 に
寧に準備し
PREX が実施した「JICA 中国中小企業振興コース」に
てくれ まし
参加した第五碧栄氏が現在当社の総裁を務めており、
た。 心 から
PREX での研修を高く評価していたので、2012 年、
感謝してい
2013 年と PREX に幹部研修の実施を依頼しました。
ま す。日 本
で研修を受
日本での研修はいかがでしたか?
京都の銘菓、八橋づくりに挑戦。皮を延ばす場面では、男性陣
が日ごろの餃子づくりの腕前披露と真剣そのもの。
けたことで当社の人材育成は大きく前進しました。まず
社員の責任感、緻密さが向上したと思います。また衣料
今回の訪日は、8 回目です。11 日間の滞在を通して、
品業界、不動産業界における省エネに関するアイデアも
日本は伝統と現代、実用的な機能と禅の思想、便利さと
出てきました。今後も人々が生きるより良い環境を作って
環境保護など相反する概念が一つになっていると感じま
いくために日本と中国が相互に助け合い、友好が進むこ
した。特に伝統的工芸品と数々の歴史的な建築物に感動
とを日々祈っています。
(国際交流部 酒井)
しました。工芸品や建築物内部には、精密な塗装・取付
けがなされていました。日本の食の美しさと精巧な技術
にも驚きました。足を止めてじっと見つめると作品の作
り手の心に触れる瞬間が何度かあったように思います。
研修で一番印象に残っているのは日本の国民の細や
かさ、責任感の強さです。清掃をする人、料理をする
人、ウェイター、経営
でお世話になった誰も
がそうでした。私は非
常に驚きました。日本
人の気質は何に起因す
れ持った人種としての
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PREX NOW No.226 July 2014
実施期間
2014 年 5 月 27 日~ 6 月 4 日
(幹部 4 名は 6 月 8 日まで)
研修参加者
陝西省偉志集団幹部職員 19 名
研修内容
不動産、建築、ビル設計、公共機関訪問他
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
者、先生方、この研修
るのか、日本人が生ま
研修概要
同社の技術を幅広く紹介いただきました。震
度7体験コーナーでは、免震措置の有無で大
きな違いがあることを実感。
●大和ハウス工業
●関西電力
●関電エネルギーソリューション
●関電ジョイライフ ●大和ハウス工業総合技術研究所
●大和ハウス工業 奈良工場
●ダイワサービス ナレッジセンター
●南海電鉄
●トヨタ自動車
●立命館小学校
●立命館孔子学院
●パソナ本社ビル アーバンファーム
ニュース & レポート ❹
関経連アセアン経営研修卒業生の企業を訪問
交 流
同窓会フォローアップ事業
PREX は研修を一過性のもので終わらせるのではなく、研修をきっかけに作られた人的ネットワークを大切
にしています。今年度は、4 月 14 日から 18 日にかけてベトナムホーチミン市とハノイ市の出張時に関経連
アセアン経営研修の卒業生に会ってきました。訪問した帰国研修員のコメントを紹介します。
プランターなど手工芸品製造
Alpha Pottery Vietnam (APV) Co., Ltd.
販売促進取締役 グァン・ティ・キム・ファム氏
(2004 年関経連アセアン経営研修参加者)
当社は屋内・庭などを飾る手工芸品を製造販売会社
もあり、コントロールのできる範囲で経営を続けたい
と考えることができました。台湾などからも引き合い
やイギリスへの輸出の話などもありましたが、自社に
合わないと思い断ったこともあります。今その選択が
正しかったと思います。
で、現在アメリカやヨーロッパを中心に輸出していま
は輸出しています。デ
ベトナム有数のゴム製品製造会社
CASUMINA 輸出部門部長代理 レ・トゥ・フン氏
(2013 年関経連アセアン経営研修参加者)
ザイナーはベトナム
当社はベトナムでも有数のゴム製品(主にタイヤ)
人を起用しています。
製造会社です。今年 35 周年を迎えました。30 カ国
ショールームは市内か
以上に輸出しており 2005 年以降日本企業に輸出する
ら少し遠いのですが焼
製品もあります。私は、輸出入部に務めていますが海
き物に使える土が取れ
外市場を拡大するために各国との関係づくりを大切に
るためその場所を選ん
しています。幸い当社は不景気の影響を受けることな
でいます。
く、業績は伸びています。特に、発展途上国向けのタ
す。国内については 7 区にある富裕層を対象にして
い ま す が、80%-90%
イヤの輸出が好調です。途上国は荷物の過剰積載が多
右/自社の商品について説明してく
れるファン氏
下/ショールームの様子
く、道路事情も違うため、日本に出すタイヤとは違う
ものを出しています。現在、より業績を上げるために
新しいマーケット開発をしています。
2004 年に参加した「関経連アセアン経営研修」で
は、会社の規模を拡大することが必ずしも良いこと
とは限らないと学びました。06 年、07 年ベトナムが
非常に好景気
CASUMINA はベトナムでも有数のゴム製品(主にタイヤ)製造会社で今年 35 周年
を迎えたそうです。右から 2 番目がレ・トゥ・フン氏。
だったころは
競争国は「中国」です。品質は当社のほうが優れて
「なぜ儲かる
いると思いますが、価格では勝てません。アフリカは
のに企業規模
品質が少し落ちても安いものを購入する傾向が強いの
を拡大しない
で、その点で中国は強力なライバルと言えます。
のか」という
(国際交流部 浅沼、関野)
声が多かった
ですが、自社
は家族経営で
プランターなどの手工芸品
No.226 July 2014 PREX NOW
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ニュース & レポート ❺
関係者の声
カンボジアの最新動向と
ODA の現状レポート
JICA 中部 鈴木康次郎 所長
(前 JICA カンボジア所長)
カンボジアは 1970 年代から 1991 年の長い内戦の時期があり、暗いイメージを持つ方も多いと思います。
迫力あるアンコールワット遺跡群があり豊かな田園風景がある一方でプノンペンの町では高層建築やおしゃれ
なカフェ、日本食レストランが急増しています。2009 年から 2012 年 12 月まで JICA カンボジア事務所所長
を務めましたが、今カンボジアは「投資の旬」の国といえるのではないでしょうか。
多様化が進む日系企業の進出状況
どの支援を行っています。
経済インフラ
(道路、
電力、
カンボジアへの投資のメリットとしては、
港湾)の整備については、
①政治的・社会的安定性
ODA による南部経済回廊
②あらゆる分野での ODA に基づく良好な二国間関係
の整備、主要都市におけ
③高い経済成長と安定したマクロ経済
る系統電力線網の整備、
④自由な外資政策と外資優遇策
シハヌークビル港の整備
カンボジアプノンペンの町の様子
(2013 年 9 月撮影 PREX)
⑤安価で豊富な労働力
への協力を実施していま
⑥南部経済回廊に位置する地理的優位性
す。またカンボジアの社会の安定を支援する様々な事
が挙げられます。
業を展開しており、
目に見える成長につながっています。
日系企業の進出状況としては、従来は縫製業が主で
●こ の 10 年間で安全な水にアクセスできるように
したが、2010 年からは様々な分野に広がっており、
電子・輸送機器部品製造業の進出も進んでいます。ま
た現地需要をターゲットとした小売業も急増していま
す。主な企業を挙げますとデンソー、ミネベア、矢崎
総業、住友電装、コンビ、スズキモーター、味の素、ロー
ト製薬、イオンモール、王子製紙(植林・木材チップ)、
なった人口は 97 万人超となりました。
●民法・民訴法が制定され 2011 年 12 月には内戦後
初の適用となりました。
●地雷犠牲者は 450 人 (2006) から 186 人 (2012) に
半減しました。
●米 生産量は 7 年間で 626 万トン (2006) から 939
万トン (2013) と 50%増加しました。
などがあります。
カンボジアの抱える課題と日本の支援
カンボジアの対外関係
課題としては
中国はカンボジアに対して 2013 年までの約 20 年
①熟練技術者や中間管理職の層が少ないこと
間で約 104 億ドルの民間投資があり最大投資国と
②物流インフラ及びコストが比較的高いこと
なっています。特に水力等のエネルギー、観光、縫製
③電力供給の不安定さと価格の高さ
業などの分野で活発です。二国間貿易についても近年
があります。
飛躍的に増加しています。2011 年は総額 25 億ドル
人材育成については産業界の求める基礎的能力の備
(前年比 73%増)。両国は 2017 年までに年輸出入 50
わった質の高い技術系人材の労働市場への供給が課題
億ドルを目指しています。経済援助は、2000 年代後
となっています。
半から優遇借款を中心に急増し、総額では 2010 年に
JICA では、カンボジア工科大学の能力向上のための
日本を抜いてトップドナーとなっています。
技術や日本人材開発センターでのビジネス人材育成な
日本は 2009 年まで経済援助のトップドナーでし
た。カンボジアにとって日本は特別な国となっていま
す。国民は非常に親日的で町中に日本の国旗がデザイ
カンボジア日本人材開発センター
ではビジネス人材育成のためのセ
ミナーが開催されています。PREX
では関連の訪日研修を受託して実
施しました。
(2013 年 9 月撮影 PREX)
6
PREX NOW No.226 July 2014
ンされた工事現場の看板を見かける地域もあります。
JICA は日系企業の投資促進のための各種支援スキー
ムを準備しています。カンボジアの成長に寄与する投
資が実現することを期待しています。
PREX では年間 40 件前後の研修を実施し、多くの企業を訪問させていただいて
います。その中から長年ご協力いただいている 2 つの企業を紹介します。
㈲大和製作所
大阪府八尾市
理化工業㈱
大阪府八尾市
2013 年 11 月関経連アセアン経営研修の折に伺った同社。アジアからの研修員を温
かく迎えていただきました。
森嶋社長による講義、中堅・若手社員も同席
ものづくりの町八尾でガラ
同社は、各種金属製品の熱処理加工を行う八尾市の
ス扉用コーナーフレームやセ
中小企業です。
ンターロックといった金属関
森嶋社長は、
「自ら考え、自ら動き、自ら高める」を
連 特 注 部 品、 通 常 品 の 設 計、
信条とし、目標を共有し本音で語り合える仲間と互い
試作、製造、メンテナンスを
に切磋琢磨する中で、知識技能のみならず人間的にも
業とする同社は、精度の高い
成長し、自分のため、周りのため、社会のために共に
製品と高品質を携え、いちは
汗を流すことのできるチームづくりを目指しています。
やくアジアの市場に活動のス
昨年発行された大阪府の「労働環境改善の取組み好
テージを広げています。
事例集」でもその取り組みが紹介されています。
東西田(としだ)社長は月
に一度のペースでタイやベト
同社の製造するガラス扉用コー
ナーフレームとセンターロック
2013 年 9 月に管理職としてのマネジメントを学びに
来たマレーシアの研修員は、能力や価値観が異なる多
ナムに飛び、同社製品の顧客拡大と現地パートナー探
くの部下の自主性を引き出すために、リーダーはどのよ
しを積極的に推進されています。従業員のおよそ半分
うに行動したかに関心をもって話を聞いていました。
は海外の方ですが、それぞれ専門の製造加工の技術を
持ち、製作する製品は、今や日本ばかりでなく海外で
も採用されています。
八尾経営・技術交流会「マテック八尾」でも海外交
流会委員長を務め、PREX も協力する阪南大学の「日
タイ中小企業ビジネスマッチング事業」でも中核的役
割を演じていただいている東西田社長。同社ホーム
ページ(URL:http://www.daiwass.co.jp/)に掲載の、
海外に赴いた時のレポート「海外放浪記」からは社長
の人柄に引かれて国内外で大きな交流の輪が広がって
いる様子がうかがえます。
熱心に聞き入る研修員
No.226 July 2014 PREX NOW
7
ベトナム出張コラム
ベトナムの通貨はドン。ホー・チ・ミン
氏の顔が印刷され、それぞれ色が違うので、
紙幣は色で判断。ネットでみるとコインもあるようです
が、流通が少なく、入手できるのはまれとのこと。
色は違うのでお札自体は区別しやすいのですが、困
るのは0が多く、桁が把握しにくいことです。暑いの
でミネラルウォーターを買ったら 4,000 ドン。1,000
ドンで約 5 円なので 20 円。この程度なら何とかなる
のですが、スタバで一休みしたら、6 万ドン強でした。
6 万?!! と目がとびだしそうになりましたが落ち着
いて換算したらそんなすごい金額でもなく、300 円。
てくれます。
街で日焼け止めを購入したら 35,000 ドン。さぁこ
36 万ドンなら、360thousand と言われると思いき
れはいくらでしょう?
や、360 と言われます。日本円に換算したければ、後
値札や見積もりを見ているうちに、2 万なのか 20
はその数字に 5 をかけると値段が分かります。
万なのか分からなくなり、結局日本円でいくらだっ
住まれている方にはなんでもないことなのでしょう
け? 予算内だっけ?とめまいがしてきます。ただ、0
が、短期出張者にはなかなか慣れない 0 の多さなので
が多く値段を伝えるのが不便なのはお店の方も同じ
した。
(国際交流部 関野 史湖)
なのか、精算の際は下 3 桁の 0 を切って値段を教え
人の動き
青木 光理
(国際交流部 2014 年 6 月 1 日付 入局)
夢描いていた「途上国の人材育成」
の事業に携わることができることが嬉
しいです。働くことで、刺激を受け、
森本 正人
(国際交流部担当部長 2014 年 6 月 30 日付
西日本電信電話より出向期間満了)
2010 年 7 月から PREX に出向し、国
際交流を通じて貴重な経験をさせてい
新しい国や文化、
未知なる分野を知り、世界感が広がっ
ただきました。中小企業振興や観光振興分野等の研修
ています。日本で育ったにも関わらず、“ 世界 ” にふ
を通じ、4 年間で海外 37 カ国 172 人の方と交流し、
れながら学生時代を過ごしてきた私にとって、まだ知
関西の大学、自治体、企業経営者等の多くの専門家の
らない世界が存在すること、またそれらの国々の発展
方々とも懇意にさせていただきました。これまでの経
に貢献できることを喜んでいます。世界中に広がる友
験と全く異なる分野で多くのものに接し、視野を広げ
達の輪をフル活用し、PREX での仕事を頑張っていき
る機会になりました。
ます。いつまでも情熱を持ち続け、ネットワークを大
この度 PREX を離れることになりますが、今後もこ
切にし、チャレンジしていきたいと思いますので、今
のネットワークは大切にしていきたいと考えておりま
後もご指導よろしくお願いします。
す。職員の皆さん、事業にご協力いただいた皆さん、
どうもありがとうございました。
■役職変更(6 月 16 日付) 事務局長・総務部長 → 理事・事務局長・総務部長 久留米稔
PREX の研修実績
(1990 〜)
研修
研修員
受入研修
612 コース 143 カ国・地域 15,656 名 5,506 名
海外研修
10,150 名
2014 年 7 月現在
PREX NOW 第 226 号
2014 年 7 月発行
8
PREX NOW No.226 July 2014
編集・発行 : 公益財団法人 太平洋人材交流センター 専務理事 北村耕一
〒 543-0001 大阪市天王寺区上本町 8-2-6 大阪国際交流センター 2 階 TEL:06-6779-2850 FAX:06-6779-2840
ホームページ :http://www.prex-hrd.or.jp/ E-mail:[email protected]
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