...

Embargoed Advance Information from Science

by user

on
Category: Documents
17

views

Report

Comments

Transcript

Embargoed Advance Information from Science
Embargoed Advance Information from Science
The Weekly Journal of the American Association for the Advancement of Science
http://www.aaas.org/
問合せ先:Natasha Pinol
+1-202-326-7088
[email protected]
Science 2010 年 3 月 12 日号ハイライト
家系情報を基盤としたゲノム配列決定の明確性
サリドマイドはなぜ四肢奇形をもたらすのか
適応度をかけて戦うカナリアの雛と母鳥
今日の髪は明日の皮膚
家系情報を基盤としたゲノム配列決定の明確性
The Clarity of Family-Based Genome Sequencing
家族全員‐兄弟とその両親‐のゲノム配列を決定することで、ヒトでの自然突然変異の確率
の平均値を求められ、また、その兄弟が罹患している病気に関与する遺伝子を特定すること
ができた。これらの研究結果により、家族関係のない人々の集団もしくは個人のゲノム配列
決定とは対照的に、家族全員のゲノム配列決定には独自の利点があることが実証された。
Jared Roach らはミラー症候群と原発性線毛運動不全症にそれぞれ罹患している兄弟を含む 4
人家族のゲノム配列を提示している。彼らは、この家系情報を基盤としたゲノム配列決定で、
DNA 配列決定に関連する「バックグラウンドノイズ」がどのように低減されたか、遺伝的
組換え、世代間やまれに起こる突然変異による遺伝子の部位、およびこれらの疾患に関与す
る 4 つの特定候補遺伝子の特定に至った経緯を説明している。彼らの推定によると、ヒトで
のランダム突然変異率は、非直接的な観察から得た以前の値よりも低い。また、候補遺伝子
の特定により、ヒトゲノム上の疾患原因遺伝子の調査範囲は限定される。さらに Roach らは、
家系情報に基づくゲノム配列決定という方法は今後大多数の患者の医療記録に組み込まれる
ことになると予想している。
Article #22: "Analysis of Genetic Inheritance in a Family Quartet by Whole Genome Sequencing," by
J.C. Roach; G. Glusman; A.F.A. Smit; C.D. Huff; R. Hubley; P.T. Shannon; L. Rowen; N. Goodman;
L. Hoo d; D.J . Galas a t In stitute f or Sy stems Bi ology in Seat tle, WA; C.D. Huff; L.B. Jor de a t
University of Utah i n Salt Lake C ity, UT; K.P. Pant; R. Drm anac at C omplete Genom ics, Inc. i n
Mountain View, CA; M. Bamshad; J. Shendure at University of Washington in Seattle, WA.
サリドマイドはなぜ四肢奇形をもたらすのか
Why Thalidomide Causes Limb Deformities
1950~1960 年代、妊娠期にサリドマイドを処方された女性の新生児の上下肢に奇形が発現
したという悪評があるものの、現在サリドマイドは多発性骨髄腫やハンセン病の治療に用い
られている。安全なサリドマイドの代替薬開発につながると推測される研究において、日本
の研究者らがサリドマイドがなぜ発達段階にある四肢に奇形をもたらすのかを発見した。研
究者らはこれまで多くの仮説を提唱していたが、サリドマイドの作用機序については謎に包
まれていた。動物モデルにゼブラフィッシュとニワトリを用いて、伊藤拓水らはサリドマイ
ドがタンパク質のセレブロンに結合することを発見した。この作用により四肢の発達に重要
な役割を担うセレブロンの酵素活性が阻害される。著者らは、この作用を回避したサリドマ
イドの派生薬の設計が可能であろうと述べている。
Article #9: "Identification of a Primary Target of Thalidomide Teratogenicity," by T. Ito; H. Ando; K.
Hotta; Y . Y amaguchi; H . Handa at T okyo Instit ute of Techn ology in T okyo, J apan; T. Su zuki a t
Tohoku Un iversity i n Send ai, Japan; T. Su zuki at J apanese Sc ience and Te chnology A gency in
Saitama, Japan; T. Og ura at Tohoku University in Sendai, Japan; Y. Imamura at Astellas Pharma Inc.
in Ibaraki, Japan.
適応度をかけて戦うカナリアの雛と母鳥
Canary Chicks and Their Mothers, Fighting for Fitness
親子が誕生の前後でどのように情報交換をしているかを明らかにする実験を通して、母鳥と
雛のあいだに複雑なやり取りがあることがわかってきた。研究対象となったカナリアという
鳥は、母鳥は雛のために自分のことをある程度犠牲にし、雛はできるだけ多くの餌をもらお
うと盛んに鳴く。研究の結果、これらの行動はどちらも大きな負担になる可能性のあること
が裏付けられ、また、カナリアは餌乞いと給餌の微妙なバランスを保つことで、できるだけ
健康な子をできるだけ多く残そうとしていることが示された。Camilla Hinde らはカナリアの
卵を別のつがいのものと取り換えて、誕生前に子が得る母鳥の手がかり(卵の中の母性ホル
の」母鳥との関係を観察した。同研究チームは、雛の適応度の表れである成長速度と、母鳥
モンによってもたらされる)を狂わせた状況をつくり、餌をねだる生まれたての雛と「育て
の適応度の指標である翌年の産卵数とを調べた。その結果、実の雛よりも「育ての」雛のほ
うが餌乞いが少ない場合は、母鳥の翌年の産卵数が増えるのに対して、実の雛よりも「育て
の」雛のほうが餌乞いが多い場合は、産卵数が減ることがわかった。これと同時に、母鳥が
給餌を高度に調節する様子も観察された。母鳥は餌乞いの様子から雛の健康状態に関する重
要な情報を得る一方で、子は誕生前に得る母鳥の手がかりによって親の性質を知ることが、
理論と実験を組み合わせることで見事に実証された。Hinde らは、こうした親子の対立は双
方にとって利益がある方向に解消されたのではないかと述べている。
Article #15: "Parent-Offspring C onflict and C oadaptation," by C.A . H inde; R.A. Jo hnstone; R .M.
Kilner at University of Cambridge in Cambridge, UK.
今日の髪は明日の皮膚
Hair Today, Skin Tomorrow
研究者らの報告によると、皮膚のあらゆる細胞に分化する幹細胞は実際に毛嚢に存在する。
そこで、これら幹細胞を利用することで、火傷を負った人などの創傷修復や皮膚移植に役立
つ。皮膚には異なった 3 つの細胞集団、すなわち、毛嚢、皮脂腺、およびその間の組織であ
る毛嚢間表皮がある。これら 3 つの集団のそれぞれにある幹細胞はそれ自体と同じ型の細胞
を作り出すことができると考えられているが、他のあらゆる細胞に分化する元の幹細胞の正
体は今まで謎であった。Hugo Sn ippert らは今回、毛嚢のクラスターにあって Lgr6 遺伝子を
発現する幹細胞が元の表皮幹細胞であることを示した。皮膚創傷のある成体マウスでは、傷
の側面にある Lgr6 幹細胞が傷を修復した。これらの幹細胞が長期にわたる創傷修復で表皮
と髪を新たに作り出したと Snippert らは報告している。
Article #18: "Lgr6 M arks Stem Cells in th e Ha ir Fo llicle Th at Gen erate All Cel l Li neages of the
Skin ," by H .J. Sni ppert; A . H aegebarth; J.H . va n Es ; N. Barker; M . va n de We tering; M . v an de n
Born; H. Begth el; R.G. Vries; D. E. Stange; H. C levers at Royal Netherlands Acad emy o f Art s and
Sciences i n U trecht, Net herlands; H.J. Sn ippert; A. Ha egebarth; J.H. va n Es; N. B arker; M. van de
Wetering; M. van den Born; H. Begthel; R.G. Vries; D.E. Stange; H. Clevers at U niversity Medical
Center Utrecht in Utrecht, Netherlands; M. Kasper; R. Toftgard at Karolinska Institutet in Huddinge,
Sweden; M. Kasper; R. Toftgard at Department of Biosciences and Nutrition in Huddinge, Sweden.
Fly UP