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世界の貧困地域に安全な飲み水を供給する小型脱塩プラント(EU)(24KB)

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世界の貧困地域に安全な飲み水を供給する小型脱塩プラント(EU)(24KB)
NEDO海外レポート
NO.1017,
【環境】小型脱塩プラント
2008.2.20
浄水技術
世界の貧困地域に安全な飲み水を供給する小型脱塩プラント(EU)
世界で安全な飲み水を利用できない人々はおよそ 11 億人存在し、これは 6 人に 1 人以
上の割合である。アナリストらは水不足が進むにつれて、近い将来水をめぐる戦争が起き
る可能性があると懸念している。アフリカとアジアの多くの地域において、一つの解決策
は、自立電源の分散型小規模水処理プラントを作ることである。すぐにでも水が必要な人々
のために、このような処理設備を使って海水や汽水
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から不純物のない飲み水を作ること
ができる。
海水や汽水を処理する自立電源式の分散型太陽熱脱塩プラント
©1/2008 Fraunhofer-Gesellschaft
欧州の企業は深刻な水不足に苦しむアフリカとアジアの多くの乾燥地帯の援助に乗り出
しており、飲料水の供給に必要なツールを提供している。これまでは解決策として、毎日
5,000 万 m3 の新鮮な水を供給できる大型の脱塩(淡水化)プラントに重点が置かれてきた。
しかしこれらの技術は、飲み水の供給がますます困難になってきているアフリカとイン
ドの乾燥地帯や準乾燥地帯(特に農村地帯)には適していない。
「これらの地域のインフラ
は大変未発達である」とドイツのフライブルクにあるフラウンホーファー太陽エネルギー
システム研究所(ISE) 2 の Joachim Koschikowski は説明する。
「ほとんどの場合これらの
地域には電力網がない。そのため、従来の脱塩プラントを稼動させるのは不可能である。」
彼の研究チームは何年にもわたって幾つかの EU が助成するプロジェクトに参加し、太陽
光発電で新鮮な飲み水が作れる分散型小規模脱塩プラントの開発を目指してきた。
「私達のプラントは膜蒸留の原理で作動する」と Koschikowski は話す。同プラントに
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河川や湖などからの淡水と海水が混合されてできる中間的な塩分濃度の水。
Fraunhofer Institute for Solar Energy Systems ISE
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2008.2.20
使用されている原理は、ゴアテックのジャケットに使われているプロセスと相似している。
膜は雨水が肌に浸み込むのを防ぐ一方で、発汗により生じたジャケット内部の水蒸気を外
に通り抜けさせる。
研究者らはこれまでに異なる二つのシステムを作成した。両方とも自立エネルギー供給
式である。
「1 日に約 120 リットルの新鮮な水を作れる私達の小型システムは、6 m2 の太
陽熱吸収装置、揚水機に動力を与える小型太陽光電池モジュール、そして脱塩モジュール
で構成されている」と Koschikowski は話す。
「住民が現在ミネラルウォーターや清涼飲料水に支払わなければいけない額を考えれ
ば、このプラントはすぐに元が取れるだろう」と Koschikowski は主張する。グラン・カ
ナリア島とヨルダンに建てられたテストプラントは今までのところ問題なく稼動している。
そのため研究者らは 2008 年半ばに「SolarSpring」としてスピンオフされる子会社を通し
てこのプラントを市場投入することを計画している。
翻訳:大釜 みどり
出典:http://ec.europa.eu/research/infocentre/article_en.cfm?id=/research/headlines/ne
ws/article_08_01_31_en.html&item=Infocentre&artid=6134
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