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Embargoed Advance Information from Science The Weekly Journal

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Embargoed Advance Information from Science The Weekly Journal
Embargoed Advance Information from Science
The Weekly Journal of the American Association for the Advancement of Science
http://www.aaas.org/
問合せ先:Natasha Pinol
+1-202-326-6440
[email protected]
Science 2014 年 4 月 4 日号ハイライト
カッシーニがとらえたエンケラドゥスの地下の海
壊れやすい植物細胞壁を作る
片方の足をもう片方の足の後ろに置く
可動式の健康モニタリング機器を最小化する
カッシーニがとらえたエンケラドゥスの地下の海
Underground Ocean on Encedalus Captured by Cassini
土星の衛星を過去 10 年間探査してきた探査機カッシーニの新たな観測結果により、土星の
小さな衛星のひとつであるエンケラドゥスは、厚さ 18~24 マイル(30~40 キロメートル)
の氷の下に、水の海を抱いていることが示された。Luciano Iess らは、3 回にわたりカッシー
ニが衛星表面の 62 マイル(100 キロメートル)以内を接近通過した際に得られたドップラ
ーデータを用いて、エンケラドゥスの重力場を割り出し、南北半球間の著しい非対称性を調
べた。彼らは分析に基づき、エンケラドゥスの南極地域には南半球の重力場を説明できるだ
けの表面質量がないことと、衛星の表面下にある何か(おそらく液体の水)がその分を補っ
ているに違いないことを示唆した。また Luciano Iess らは、衛星の南半球にある表面化の海
は、南緯 50 度に位置することを示した。また、エンケラドゥスは分化された衛星であり、
核の密度が低いこと、マントルと地殻が分離していることも明らかにした。今回の研究結果
は、2005 年に衛星の南極地域の「タイガーストライプ(虎縞)」という長い特徴的な亀裂
から噴き出しているのが初めて観測された、ミネラル分豊富な水蒸気のジェットを説明する
のに役立つ。
Article #12: "The Gravity Field and Interior Structure of Enceladus," by L. Iess; M. Parisi; M. Ducci
at Sapienza Università di Roma in Rome, Italy; D.J. Stevenson; R.A. Jacobson; J.W. Armstrong; S.W.
Asmar at California Institute of Technology in Pasadena, CA; D. Hemingway; F. Nimmo at
University of California, Santa Cruz in Santa Cruz, CA; R.A. Jacobson; J.W. Armstrong; S.W. Asmar
at Jet Propulsion Laboratory in Pasadena, CA; J.I. Lunine at Cornell University in Ithaca, NY; P.
Tortora at Università di Bologna in Forlì, Italy.
壊れやすい植物細胞壁を作る
Designing Plant Cell Walls that Fall Apart
リグニンをより簡単に分解したいとあらゆる種類の化学的手段が試されてきたが、今回の新
しい研究でこの分野における重要な進歩が報告された。植物が真っ直ぐに伸びた状態を維持
できるようにしているのはリグニンだが、それと同時に、バイオ燃料の生産のような工業過
程や重要な畜牛飼育作物であるムラサキウマゴヤシの消化過程で植物の分解を困難にしてい
るのもリグニンである。リグニンの消化性が向上することで前述およびその他の過程におけ
る必要エネルギー投入量が減ると考えられることから、リグニンの消化性向上に関心を寄せ
る世界各地の研究者らはリグニンについて研究を重ね、もろくて消化しやすい細胞壁(リグ
ニンの蓄積部位)を持つ植物を作るべく、様々な技術を試してきた。これまでの研究で、リ
グニンが自然に重合する過程 ―― モノマーと呼ばれる単一分子のプールからより複雑なポ
リマー鎖になる過程 ―― ではリグニンに由来しない新たなモノマーを組み込むように操作
できることが示されており、リグニンの分解性を高めると考えられるモノマーをリグニン骨
格に組み込むことに大きな関心が寄せられている。それに関してはフェルラートと呼ばれる
酵素が、イン・ビトロにおいてではあるものの、特に有望であった。そして今回、Curtis
Wilkerson 率いる科学者チームがイン・ビトロにてフェルラートを用いて初の成功を収めた。
フェルラート化合物を生きている植物のリグニンに組み込むにはリグニン生合成のプールに
確実に加えなければならない。Wilkerson らはまずフェルラート酵素をエンコードする遺伝
子を発見し、次にそれをリグニンを生産するポプラの組織に発現させた。リグニンの構造を
解析し、この方法で操作したポプラのサンプルが新しいモノマーを作り、それが細胞壁まで
運ばれ、最終的にリグニン骨格に吸収されることを確認した。そうしてできたポプラの木は
温室条件で生育習性に違いはないが、これらの木のリグニンは消化性が向上していた。リグ
ニンが重合する際に植物にこのような化合物を使用させることが「壊すことを目的にした」
植物を作り出す新しい方法かもしれない。
Article #16: "Monolignol Ferulate Transferase Introduces Chemically Labile Linkages into the Lignin
Backbone," by C.G. Wilkerson; S. Withers at Michigan State University in East Lansing, MI; C.G.
Wilkerson; S. Withers at Great Lakes Bioenergy Research Center in East Lansing, MI; S.D.
Mansfield; J.-Y. Park; E. Gonzales-Vigil; F. Unda at University of British Columbia in Vancouver,
BC, Canada; F. Lu; S.D. Karlen; D. Padmakshan; J. Rencoret; J. Ralph at University of WisconsinMadison in Madison, WI; F. Lu; S.D. Karlen; D. Padmakshan; J. Rencoret; J. Ralph at U.S.
Department of Energy (DOE) Great Lakes Bioenergy Research Center in Madison, WI; S. Withers at
North Carolina State University in Raleigh, NC; J. Rencoret at Consejo Superior de Investigaciones
Científicas (CSIC) in Seville, Spain.
片方の足をもう片方の足の後ろに置く
Putting One Foot Behind the Other
湿った一片のバナナから後ずさりするショウジョウバエ ―― 奇妙な光景だと思われるかも
しれないが、ショウジョウバエは後ずさりできる。そして今回、わずか 2 個のニューロンが、
この後退する能力を制御していることが明らかになった。この発見は、脚のある動物が後ろ
向きと前向きの動きをどのようにして選択しているかの解明につながるかもしれない。片方
の足をもう片方の足の後ろに置ける能力は、ヒトに限定されるものではない。動物も後ろ向
きに歩ける。しかし、このプロセス(単に前向きに歩くことの逆ではない。実際、後ろ向き
に歩くとき、殿筋は違う動きをする)に関与する神経回路はよくわかっていない。脳が指揮
的な役割を担い、神経がたくさんある運動系へのシグナル伝達を行って、それによって筋肉
が選択的に活性化されていることは知られている。しかし今回、ショウジョウバエを用いた
研究で、関与している特定の神経系回路が明らかになった。Salil Bidaye らは、活性化される
とハエが歩く方向を変化させるニューロンの組み合わせを明らかにするため、まず、それぞ
れ神経系の発現パターンが異なる約 3,500 のショウジョウバエ系統を作製した。そしてこれ
らのうち、後ろ向き歩きが最も目立つ、「ムーンウォーカー」バエと名付けた 1 つのショウ
ジョウバエ系統を発見した。Bidaye らは、このハエを特別なチャンバーに入れ、このハエで
活性化されているニューロンをサイレンシングした。すると、行き止まりに達したときなど
の後ろ向きに歩くことが有用な場合でも、ハエは後ろ向きに歩けなくなった。追加実験では、
ムーンウォーカーバエで特異的に活性化されている 7 個のニューロンのうち、1 対のニュー
ロン(1 個は脳、もうひとつはハエの腹部)を活性化するだけで、ハエを後ずさりさせるこ
とができたことが明らかになった。Bidaye らは、どちらのニューロンがこれを行っているか
を明らかにする正確な遺伝学的ツールを用い、脳にあるニューロンの活性化だけで後ろ向き
の動きが誘発でき、2 つめのニューロンはそうでないことを発見した。Bidaye らが明らかに
したこのニューロンは、主に前向きの動きを阻害することで全体的なプロセスを助ける。こ
れらの知見は、ハエ、そしておそらく脚のある生き物が、歩く方向をどのように制御してい
るかを垣間見せている。Perspective でさらに考察を行う。
Article #18: "Neuronal Control of Drosophila Walking Direction," by S.S. Bidaye; C. Machacek; Y.
Wu; B.J. Dickson at Research Institute of Molecular Pathology (IMP) in Vienna, Austria; S.S. Bidaye
at University of California, Berkeley in Berkeley, CA; Y. Wu at Janelia Farm Research Campus,
Howard Hughes Medical Institute in Ashburn, VA.
Article #6: "The Michael Jackson Fly," by R.S. Mann at Columbia University in New York, NY.
可動式の健康モニタリング機器を最小化する
Miniaturized Mobile Health Monitoring
妊娠した女性や、慢性的な病気の患者が、心電図(ECG)などの健康状態をモニタリングす
るための高価な病院の機器の一部を、自宅に持ち帰ることができるとしたらどうであろうか。
Sheng Xu らによる、センサーや回路、無線装置を液体中に懸濁した小型のアセンブリを作
成するという新しい試みは、薄型で伸縮性があって人間の皮膚に快適に取り付けられ、ワイ
ヤレスで電気生理学的データをモニタリングできるデバイスという、次善の方法への扉を開
くものと思われる。著者らによれば、このような技術は、クリニックという場の制限を超え
て、継続的な病院レベルの質を維持した健康モニタリングを提供する可能性があるという。
ソフトマイクロ流体を、構造化された接着表面および制御された機械的バックリングを組み
合わせることで、Xu らは、小さなヘビのようにみえる相互接続ネットワークによって統合
された小型の電子部品が装着され、ポリマー溶液中に懸濁されてシリコーンゴム製の膜に封
じ込まれた伸縮可能な回路基板をデザインすることを可能にした。この新たな方法により、
これらの健康モニタリングデバイスの伸縮性と機械的コンプライアンスの両方を数桁のレベ
ルで高める。著者らは、これらの柔軟で伸縮性のあるデバイスにより、患者が自宅で快適に
過ごしながら、正確かつリアルタイムの健康情報を得ることがやがて可能になるであろうと
示唆している。
Article #10: "Soft Microfluidic Assemblies of Sensors, Circuits and Radios for the Skin," by S. Xu; L.
Jia; K.E. Mathewson; K.-I. Jang; J. Kim; X. Huang; P. Chava; R. Wang; S. Bhole; L. Wang; Y.J. Na;
Y. Guan; M. Flavin; Z. Han; J.A. Rogers at University of Illinois at Urbana-Champaign in Urbana, IL;
Y. Zhang; H. Fu; Y. Huang at Northwestern University in Evanston, IL; Y. Zhang at Tsinghua
University in Beijing, China; H. Fu at Zhejiang University in Hangzhou, China; J. Kim at Hanyang
University in Seoul, Republic of Korea.
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