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Embargoed Advance Information from Science The Weekly Journal

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Embargoed Advance Information from Science The Weekly Journal
Embargoed Advance Information from Science
The Weekly Journal of the American Association for the Advancement of Science
http://www.aaas.org/
問合せ先:Natasha Pinol
+1-202-326-6440
[email protected]
Science 2012 年 8 月 31 日号ハイライト
デニソワ人のゲノムの解明
土が抗菌薬耐性の手がかりを握っている
2 つの恒星に 2 つの惑星
キュウリが巻きひげを支えに太陽に向かって伸びる仕組み
デニソワ人のゲノムの解明
Denisovan Genome Sequenced
デニソワ人のゲノムの完全な配列が新たな報告で報じられた。これは、ネアンデルタール人
ときわめて近縁の古代人類デニソワ人と現生人類の関係を明らかにするものである。デニソ
ワ人の化石は少なく、その存在が明るみに出されたのはようやく 2010 年のことであり、化
石として知られているのは、シベリア南部のアルタイ山脈にあるデニソワ洞窟で発掘された
小指の骨一片と 2 つの臼歯のみである。小指の骨のごく小さな断片しかないことから、
Svante Pääbo らは、DNA を解読してその 2 本鎖のそれぞれから配列決定のための分子を生成
できるようにするための処理法を開発した。この方法により、現生人類のゲノムから得られ
るものと同様の、きわめて完全に近いゲノム配列(30X)を生成することに成功した。
デニソワ人のゲノムを世界の現生人類のいくつかのゲノムと比較したところ、デニソワ人が
現生人類のゲノムにある程度関与していることが明らかになったが、その程度はさまざまで
あった。たとえば、パプアニューギニアの個人は、比較した他の現生人類よりもデニソワ人
の遺伝子と共通するものが多かった。さらに、デニソワ人の対立遺伝子(アレル)はヨーロ
ッパ人集団と比べて、アジア人および南アメリカ人の集団で多く認められた。ただしこれは、
デニソワ人から直接遺伝子を受け継いだのではなく、デニソワ人の近縁であるネアンデルタ
ール人と現生人類のあいだの異種交配によるものと考えられる。
この研究から他にもいくつかの所見が報告されている。たとえば、ゲノムの配列決定を行っ
たデニソワ人は、現生人類では褐色の肌、髪、眼と関連している対立遺伝子を持っていた。
また、デニソワ人から分化して以降の人類のゲノムに生じた最近の変化、つまり現生人類に
特有の変化がリストで示された。デニソワ人自身の遺伝的多様性は非常に低いが、これはお
そらく同系交配によるものではないと、研究者らは述べている。長期にわたりデニソワ人の
地理的分布が広いことを考えると、彼らの集団は、最初はごく小さかったが急速に拡大し、
遺伝的多様性が増大する時間もなかったと考えられる。もしさらなる研究により、ネアンデ
ルタール人集団の規模が時間の経過において何らかの仕方で変化したことが示されれば、そ
れはアフリカで生まれた単一の集団から、デニソワ人とネアンデルタール人の両方が発生し
たことを示唆すると、研究者らは述べている。
Article #22: "A High Coverage Genome Sequence from an Archaic Denisovan Individual," by M.
Meyer; M. Kircher; M.-T. Gansauge; F. Racimo; K. Prüfer; C. de Filippo; Q. Fu; M. Siebauer; U.
Stenzel; J. Dabney; A.M. Andrés; J. Kelso; S. Pääbo at Max Planck Institute for Evolutionary
Anthropology in Leipzig, Germany. For a complete list of authors, please see the manuscript.
土が抗菌薬耐性の手がかりを握っている
Soil Holds Clues to Antibiotic Resistance
土壌細菌とヒトの病原体が多剤耐性遺伝子を迅速に交換しており、環境中の細菌が現在進行
中の抗菌薬耐性危機に寄与している可能性が示唆されることが、新しい研究で報告された。
この知見は、抗菌薬耐性に関する現在の考え方と抗菌薬耐性との闘い方を変える可能性があ
る。土は、地球上で最も大きく最も多様な微生物生息環境の1つであり、抗菌薬耐性遺伝子
の巨大な供給源であることが認識されつつある。土は 、家畜の飼育や農業で広範囲に使用
されている抗菌薬と直接接触するのみならず、ストレプトマイセス属細菌の天然の生息環境
でもある(ストレプトマイセス属細菌の種は、すべての天然抗菌薬の過半数を産生する)。
Kevin Forsberg らは、メタゲノム配列決定を利用して、農場の土の細菌から、さまざまなサ
ルモネラ属細菌、肺炎桿菌、その他の疾患の原因となる病原体の耐性遺伝子と完全一致する
7 種類の耐性遺伝子を発見した。また、多数の耐性遺伝子がクラスターを形成しており、そ
の周囲に細菌間の遺伝子導入を可能にすることが知られている可動 DNA 要素があることも
明らかにした。この研究は土中に住む生物とヒトの病原体がどのように遺伝子を交換してい
るのかを明らかにするために計画されたものではなかったが、この結果は、高濃度の抗菌薬
を含む廃棄物による土壌と水の汚染、ならびに家畜の飼育での過剰な抗菌薬の使用が、環境
中の細菌における抗菌薬耐性遺伝子の選択に寄与していると考えられることを示唆している。
Article #20: "The Shared Antibiotic Resistome of Soil Bacteria and Human Pathogens," by K.J.
Forsberg; A. Reyes; B. Wang; G. Dantas; E.M. Selleck at Washington University School of Medicine
in St. Louis, MO; M.O.A. Sommer at Technical University of Denmark in Lyngby, Denmark; M.O.A.
Sommer at Novo Nordisk Foundation Center for Biosustainability in Hørsholm, Denmark.
2 つの恒星に 2 つの惑星
Two Stars for Two Planets
惑星のなかには、単一の恒星ではなくペアの恒星を周回するものも存在することが以前から
知られていた。しかし、ケプラー宇宙望遠鏡の新しいデータにより、このような連星系でも
完全な惑星系を持ちうることが示された。Jerome Orosz らは、ペアの低質量星の周りを小さ
な 2 つの惑星が回っている系、ケプラー47 を検出したと報告している。内側と外側の惑星
の半径は、それぞれ地球の 3.0 倍と 4.6 倍で、ペアの恒星は太陽に似た恒星とその約 3 分の 1
の大きさの伴星からなる。Orosz らによると、内側の惑星は連星系を 49.5 日で周回し、外側
の惑星は 303.2 日で周回するという。外側の惑星は生命の存在には適さない巨大ガス惑星で
ある可能性が高いが、Orosz らは外側の惑星が「ハビタブルゾーン(液体の水が理論上存在
しうる領域)」に存在していると述べている。ケプラー47 の発見により、従来の惑星形成
モデルに疑問が呈され、混沌とした環境である連星系の周りにも惑星系が形成され存続しう
ることが実証された。
Article #21: "Kepler-47: A Transiting Circumbinary Multi-Planet System," by J.A. Orosz; W.F.
Welsh; D.R. Short; G. Windmiller at San Diego State University in San Diego, CA. For a complete
list of authors, please see the manuscript.
キュウリが巻きひげを支えに太陽に向かって伸びる仕組み
How Cucumber Tendrils Hoist Their Payload Sunward
キュウリは太い幹を伸ばして体を支えているのではない。その代わりに、巻きひげを出して
上向きに巻き付き、自分より背の高い植物をつかむ。次にこの巻きひげが螺旋状に巻き始め、
キュウリは太陽に向かって伸びていく。巻きひげが螺旋を描く仕組みとぶら下がる部分の重
みで巻きが解けない理由が、新しい研究により明らかになった。Sharon Gerbode らは、巻き
ひげが螺旋を描く過程で細い帯状に並んだ巻きひげの細胞が「木質化」する、つまり、固く
なることに着目し、螺旋状に巻くのはひげの片面が反対の面より縮むためであるという仮説
を立てた。この仮説は、あらかじめ程度を変えて引き伸ばしたシリコンゴム製の細片 2 枚で
巻きひげの模型を作ることにより、検証された。
しかし、模型と実際の巻きひげの繊維の動きには予想外の違いがひとつあった。両端で固定
して別々の方向に引っ張ると、模型の場合は、簡単にほどけて元の巻いていない状態に戻っ
た。一方、植物の繊維では、引っ張るとさらに巻いた(ただし、きつく引っ張ると最終的に
は解けた)。Gerbode らは、キュウリの繊維はカーブを描くようには湾曲しにくいが、軸を
中心に巻くのは比較的簡単であるために、このような「巻きの強化」が起こると推測した。
巻きが強化することで螺旋のひと巻ひと巻きは一定の曲率を維持しつつ、螺旋の中心軸に沿
って幾何学的に伸びを調整できたと考えられる。Gerbode らは模型に、固い繊維の帯を螺旋
の内側に付けて伸びを防止し、銅線を外側に付けて収縮を防止するという改良を加えた。そ
うするとこの模型でも巻きは大きく強化され、Gerbode らの推測は裏付けを得た。
Article #16: "How the Cucumber Tendril Coils and Overwinds," by S.J. Gerbode; L. Mahadevan; J.R.
Puzey; A.G. McCormick at Harvard University in Cambridge, MA; S.J. Gerbode at Harvey Mudd
College in Claremont, CA.
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