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Embargoed Advance Information from Science
The Weekly Journal of the American Association for the Advancement of Science
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SciPak の情報を Twitter で:http://twitter.com/scipak
問合せ先:Natasha Pinol
+1-202-326-6440
[email protected]
Science 2010 年 12 月 3 日号ハイライト
有毒廃棄物のヒ素を食べて生きている細菌
われわれはどのように物忘れするか
脳の疼痛の持続
極限温度でも粘性と弾性を失わない素材
有毒廃棄物のヒ素を食べて生きている細菌
Living off Toxic Waste— Bacteria That Munch on Arsenic
新たな研究により、ヒ素だけを食べて成長する細菌が発見された。今回の発見は(通常
のリン酸塩ではなく)有毒な化学物質により成長と生命を維持することができる微生物
について初めて指摘したものである。ヒ素は通常、代謝経路を破壊するため生体にとっ
て極めて毒性が高いが、化学的にはリン酸塩と同じような作用を持つ。過去にも科学者
らは、ヒ素を化学的に変化させることができる生物を既に発見しているが、これらの生
物は、コレラを避けるために掘削抗や井戸水を使用し始めたバングラディッシュやその
他のアジアの都市において地下水汚染の原因になっている。今回 Felisa Wolfe-Simon らは、
ヒ素を DNA の中に取り込むまで完全にヒ素とリンと交換することができる細菌を発見
した。この好塩細菌はプロテオバクテリア、ハロモナス科の 1 種であり、カリフォルニ
ア州の有毒な塩水湖であるモノ湖から採取されたものである。この細菌を研究室のペト
リ皿で培養したところ、リン酸塩(核酸、脂質、タンパク質を含む、全ての細胞中に存
在する様々な高分子が必要とする重要な構成要素)が無くても細菌が十分に増殖できる
まで、リン酸塩は徐々にヒ素と置き換わった。研究チームは放射性トレーサーを使って、
ヒ素という化学物質が細胞の中をどのように移動するのか、その摂取から様々な細胞成
分への組み入れまでを詳しく追跡した。その結果、ヒ素はその細胞の分子の中で、まさ
に DNA のレベルまで、完全にリン酸塩と置き換わっていることがわかった。
Article #25: "A Bacterium That Can Grow by Using Arsenic Instead of Posphorus," by F. WolfeSimon; P.C.W. Davies; A.D. Anbar at NASA Astrobiology Institute in Menlo Park, CA; F. WolfeSimon; J.S. Blum; T.R. Kulp; S.E. H oeft; P.C.W . Davies; R .S. Oremland a t U.S. G eological
Survey in Menlo Park, CA; G.W. Gordon; A.D. Anbar; P.C.W. Davies at Arizona State University
in Tem pe, AZ; J. Pet t-Ridge; P.K. W eber a t Lawr ence Li vermore Nati onal Lab oratory in
Livermore, CA; J.F. Stolz at Duq uesne Universi ty in Pittsbur gh, P A; S.M. Web b at Sta nford
Synchrotron Radiation Lightsource in Menlo Park, CA.
われわれはどのように物忘れするか
How Do We Forget Things?
脳損傷により記憶が低下すると、通常それは脳内の情報が消失した結果であり、脳機能
に制限があるためであると考えられる。しかし、この研究者らは別の説明を提示してい
る。脳損傷患者は、見慣れた物体を初見の物体と認識する代わりに、初見の物体を見慣
れた物体と認識し、自らある種の虚偽記憶を形成している可能性がある。Stephanie
Cliché らは、ラットに見慣れた物体と初見の物体とを別々に見せる実験(これまでのほ
とんどの記憶テストでは物体を同時に見せていた)を実施し、正常なラットと脳損傷を
受けたラットがこの 2 種類の物体にどのように反応するかを観察した。標準的に、正常
ラットが見慣れた物体を確認するのに費やした時間は短く、回想のようなものが示され、
初見の物体を確認する時間は長かった。しかし、脳損傷を受けたラットは、見慣れた物
体も初見の物体も同じものと認識しているようであると研究者らは述べている。ラット
が物体を確認する前と後に、暗く視界が閉ざされた環境(視覚的刺激が制限される)に
おくと、脳損傷を受けたラットは見慣れた物体と初見の物体を混同しないことがわかっ
た。この観察結果は、われわれが開眼している限り常に与えられる継続的な視覚刺激が、
十分に発達していないか未だ開花していないわれわれの脳における断片化した記憶に対
する影響力あることを意味している。以上の結果をこれまでの研究結果とあわせて、
Cliché らは脳の特定の領域が複数一体となってひとつの特殊な情報処理機能として記憶
に貢献していることを示唆している。著者らはまた、特別な脳領域 1 箇所が、記憶専用
システムとして機能するという見解に対しても意見を述べている。Howard Eichen baum
による<Perspective>では、より広範な状況において今回の結果を捉え脳の記憶処理に
関するわれわれの知見にどう一致するのかを考察している。
Article #23: "Paradoxical False Memory for Objects After Brain Damage," by S.M. McTighe; T.J.
Bussey; L.M. Saksida at Un iversity of Ca mbridge in Cambridge, UK; R.A. Cowe ll at Univ ersity
of California, San Diego in La Jolla, CA; B.D. Winters at University of Guelph in Guelph, ON,
Canada.
Article #6: "Dedicated to Memory?," by H.B. Eichenbaum at Boston University in Boston, MA.
脳の疼痛の持続
Maintaining Pain in the Brain
神経が損傷を受けた後に痛みに対する過敏症を引き起こし、それを持続させると考えら
れる脳内で活性化する酵素が、マウスを用いた研究によって特定された。神経損傷後に
この酵素の働きを阻害すれば、痛みは軽減できる。つまりこれは、この酵素が慢性痛の
治療における有望なターゲットとなり得ることを示している。Xiang-Yao Li らは、前帯
状皮質と呼ばれる脳領域の神経細胞にある PKMζ(プロテインキナーゼ M ゼータ)の
働きに的を絞り、複数の分析を行った。この酵素は神経細胞の中で神経損傷によって活
性化し、次に、学習や記憶、痛みの感覚の持続に関係する長期的なシナプスの変化を引
き起こす。Li らによると、この酵素は慢性痛に関与するニューロンの変化も持続させる
と考えられるという。
Article # 22: " Alleviating N europathic Pain H ypersensitivity by Inhi biting P KMzeta in the
Anterior Cingulate Cortex," by X.-Y. Li; T. Che n; G. Descalzi; K. Koga; H. Wan g; S.S. Kim; Y.
Shang; M. Zhuo at U niversity of Toronto in Toronto, ON, Canada; X.-Y. Li; T. Chen; J. S him;
G.L. Col lingridge; B .-K. Kaan g; M . Zh uo; H.-G . Ko ; C. Kwak ; S.-W. Park ; K. Lee at Seou l
National University in Seo ul, Korea; K. L ee at Ky ungpook National University in Daegu, Korea;
G.L. Collingridge at University of Bristol in Bristol, UK.
極限温度でも粘性と弾性を失わない素材
In Extreme Temperatures, Still Sticky and Stretchy
カーボンナノチューブの研究者らが開発した素材は、濃厚な液体(蜂蜜など)のように
緩やかに流れる性質と、ゴムひものように元通りになる伸縮性とを合わせ持ち、しかも
非常に広い温度範囲で動作するという。こうした素材は「粘弾性体」と呼ばれる。Ming
Xu らの報告によると、この新しい粘弾性体は-196℃から 1000℃までその特異的性質を保
持するという。通常、粘弾性体は高温すぎると破壊し、低温すぎるともろくなる。しか
し、今回の素材は極限温度で変形したあとも、靴底や耳栓やマットレスのように形状回
復ができるので、将来の宇宙探査に役立つ可能性がある。この素材を作成するために、
Xu らは長い単層・二層・三層のカーボンナノチューブを相互接続して、ランダムなネッ
トワークを作った。安定性が持続するのは、個々のナノチューブが接点でジッピングと
アンジッピングを起こす際に、エネルギーが散逸するおかげだという。<Perspective>
のなかで、Yury Gogotsi はこの素材とその意味をさらに詳しく説明している。
Article #14: " Carbon N anotubes w ith Temperature-Invariant V iscoelasticity from – 196° to
1000°C," b y M. Xu ; D.N. Fu taba; T. Yamada; M. Yumura; K. Hata at Na tional I nstitute o f
Advanced Industrial Science and Technology (AIST) in Tsukuba, Japan; K. Hata at Japan Science
and Technology Agency (JST) in Kawaguchi, Japan.
Article #4: "High-Temperature Rubber Made from Carbon Nanotubes," by Y. G ogotsi at Drexel
University in Philadelphia, PA.
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