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筋ジストロフィーの進行をストップさせる薬を イタリアの研究グループが発見

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筋ジストロフィーの進行をストップさせる薬を イタリアの研究グループが発見
NEDO海外レポート
NO.990,
2006.11.29
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海外レポート990号目次 http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/990/
【ライフサイエンス・バイオテクノロジー特集】
筋ジストロフィーの進行をストップさせる薬を
イタリアの研究グループが発見
筋ジストロフィーが治療される可能性は今日まで存在しなかったが、筋ジストロフ
ィーの進行をストップさせる治療薬が、イタリアの研究グループによって最近発見さ
れた。その研究結果が科学専門誌
Nature Medicine
で発表された。
治療薬は、現在乳癌の治療薬として研究されているもので、筋ジストロフィー病の
典型的特徴である筋肉の退化プロセスの進行をストップさせ、骨格筋の質量の再生を
促進すると思われるものである。
研究は、ドゥルベッコ・テレトン財団(DTI:
Dulbecco Telethon Institute)と協力している Burnham Institute のロレンツォ・プ
ーリ教授によって導かれ、ローマにある DTI の若い女性研究員、ジュリア・ミネッテ
ィ、キアラ・モッツェッタ、シルヴィア・フォルトゥーニの 3 人と、パヴィア大学の
専門家達、ローマ聖母大学の皮膚疾患部の専門家達によって実施された。研究資金は、
テレトン財団とコッリエーレ・デッラ・セーラ紙によって出された。
非常に一般的なデュシェンヌ型筋ジストロフィーを患ったマウスに効果を表した治
療薬は、脱アセチルヒストン酵素抑制剤(deacetylase inhibitors)でトゥリコスタティ
ーナ A(trichostatina A)と命名された。
筋ジストロフィーは、大人になる初期頃に致命的結果を持つ筋肉の退化によって特
徴付けられる遺伝因子による病気の1つである。筋ジストロフィーのより一般的な型
は、3,500 人の男子新生児に 1 人の割合で生まれると言われているデュシェンヌ型筋
ジストロフィーで、女性染色体 X の遺伝子欠陥によるもので、男性のみが罹る。罹患
した男性の 50%は、欠陥遺伝子を持つ健康な母親から遺伝される。
欠陥遺伝子を持つ母親の娘の 50%は罹患しないが、欠陥遺伝子を母親から遺伝され、
娘も健康な欠陥遺伝子保有者となる。一方残り 50%の娘は、遺伝していないと言う統
計が出されている。
10 年間筋ジストロフィーの研究を続けているプーリ教授は、研究員グループととも
に、筋肉の再生を抑制あるいは促進することに関連した行動をとるファミリー酵素 2
つを、過去に発見している。
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これらは筋肉再生を促進するアセチル‐転移酵素(acetil-transferasi)と反対に筋肉
再生を抑制するアセチル‐脱アセチル酵素(acetil-deacetilasi)である。トゥリコスタテ
ィーナ A は、筋肉再生抑制酵素を消滅させる薬である。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー罹患マウスは、トゥリコスタティーナ A 薬を毎日
3 ヶ月投与された結果、マウスの筋肉は縮小せず、反対に筋肉質量を再生させ、健康
なマウスと同様な運動が出来るようになったと言う結果が出された。
プーリ教授は「我々は、新しい筋ジストロフィー治療方法を究明した。今まで唯一
の治療薬としてステロイドが使われていたが、この方法は単なる一時的治療であった。
今回の発見は意義ある前進を意味するものである」と説明する。
「しかしながら、筋ジストロフィーの子供にトゥリコスタティーナ A 薬を投与させ
るにはまだまだ一連の研究を必要とし、人間の患者にも同様な効果を示すことを証明
する必要がある」とも述べ、今回の発見は慎重に扱われるべきだという見解を同教授
は示している。
参考文献
・
コッリエーレ・デッラ・セーラ紙
・
テレトン公式サイト(www.telethon.it)
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