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リチウムイオン電池をより長くより安全に働かせる方法を探求(米国)【PDF
NEDO海外レポート NO.973, 2006.2.22 < 新刊目次のメール配信をご希望の方は、http://www.infoc.nedo.go.jp/nedomail/ > 海外レポート973号目次 http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/973/ 【電子・情報通信技術特集】 リチウムイオン電池をより長くより安全に働かせる方法を探求(米国) ハイブリッド車の標準ニッケル水素電池はすぐにリチウムイオン電池に交換される だろう。米国エネルギー省(DOE)資金提供の"FreedomCAR プログラム"の一部として、 サンディア国立研究所の電源技術グループは、リチウムイオン電池をより長くより安 全に働かせる方法を研究している。この研究は、次の 5∼10 年に新しいハイブリッド 電気自動車(HEV)で使用されるバッテリーにつながるであろう。 「リチウムイオンバッテリーは、電気−ガソリン動力ハイブリッド自動車の必要部 品である。技術が成熟した日には、リチウムイオンバッテリーは電気−水素燃料電池 動力ハイブリッド自動車の一部となるだろう。現在のハイブリッド車はニッケル水素 電池を使用している。しかし、安全なリチウムイオン電池はハイブリッド自動車に対 してはるかによいオプションになる」とサンディア国立研究所の先端電源研究開発部 マネージャーのダン・ダウティは語る。 リチウムイオン電池は、鉛蓄電池の 4 倍のエネルギー密度を持ち、ニッケルカドミ ウムやニッケル水素電池のエネルギー密度の 2∼3 倍に達すると彼は説明する。さらに、 最も廉価なバッテリーシステムの 1 つである可能性を持っている。 ダウティの先端電源研究開発部は、リチウムイオン電池の安全性の改善、寿命の延 伸そしてコスト削減のために、"FreedomCAR プログラム"から年間約 150 万ドルを受 け取っている。サンディア国立研究所は国家核安全保障局の研究所である。 2002 年にブッシュ大統領によって立ち上げられた"FreedomCAR プログラム"は、外 国石油の供給依存から米国を解放するのを支援するために、水素を動力とする電気自 動車を開発することに焦点を当てている。サンディア、アルゴンヌ、ローレンス・バ ークレー、アイダホおよびブルックヘブンの 5 ヵ所の国立研究所がこのプログラムに 加わっており、各研究所は異なった面の電気−水素ハイブリッド自動車を実現する研 究をしている。 サンディア国立研究所の FreedomCAR 研究は、バッテリー酷使耐久性および加速し た寿命予測の分野に中心をおき、酷使耐久性に最も焦点を当てている。 「我々は素直な欠陥を持っているバッテリーを開発したい。破壊したときに他の問 題を引き起こさないからである。バッテリーがどのように壊れるのか、そしてなぜ壊 れるのかを理解しなければならない」とダウティは語った。 26 NEDO海外レポート NO.973, 2006.2.22 技術的な目標は、熱やガスの発生反応を含む、酷使に対して低い耐久性につながる メカニズムを理解することである。酷使に対する化学反応の理解は、よりよい電池材 料への道を示すことができる。しかし、完全に安定なリチウムイオン電池への「特効 薬」はないとダウティは言う。 この問題の解決は、より良い技術手法と共に改良された電池材料、添加剤および電 池設計に関する詳細な情報の選択からやって来る。酷使に対する耐久性の研究は、ア ノード・カソード、電解質の詳細およびバッテリー添加剤の影響を含んで、電池の応 答をコントロールするメカニズムを明確にし始めている。もう一方の研究分野の寿命 加速試験は、リチウムイオン電池寿命を予測する方法を開発することである。 「我々の研究は、経験モデルと力学的モデルの 2 つのアプローチを持っている。経 験モデルは、加速された劣化試験データからの寿命予測を生み出す。一方、力学的モ デルは電池材料の変化に寿命予測を関連づけている。我々のアプローチは、バッテリ ー寿命の独立した基準を提供する。したがって、バッテリーメーカーの報告に頼る必 要はない」とダウティは言う。 サンディア国立研究所で開発された改良した酷使試験手順は、バッテリーチームが 開発したサンディアの研究報告書に最近発表されたリチウムイオンのテスト基準に結 びついた。 サンディアが開発した酷使試験手順を 1999 年に電気自動車バッテリーが採用した ように、自動車技術者協会はまもなく国家標準としてこれらの試験手順を採用すると ダウティは予想している。 「バッテリーを酷使条件下でより耐久性を持つようにするのに具体的進展があった。 これらのバッテリーがガソリン−電気ハイブリッド車で使用されるのはまもなくだろ う。また、すばらしいことは、将来の電気−水素燃料電池動力ハイブリッド車にこの 技術を移転することができるということである」とダウティは語った。 以上 (出典:http://www.sandia.gov/news-center/news -releases/2006/renew-energy-batt/ battery2.html ) 27