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静翼損傷傾向管理支援システムの開発

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静翼損傷傾向管理支援システムの開発
火 力 発 電
電力中央研究所報告
報告書番号:M 0 7 0 1 0
静翼損傷傾向管理支援システムの開発
−き裂、減肉、コーティングはく離に対応したシステム−
背
景
ガスタービン静翼には、き裂、減肉、コーティングはく離といった損傷が発生する
ため、損傷進展傾向の管理 1)が必要であり、手書きで記録するための専用の用紙が用
いられている。当所では、これまでに、この損傷記録を効率的に電子化し、統計的手
法により将来の進展予測を行う「静翼き裂進展予測システム」を開発し 2)、既に一部
の電力会社で使用されている。しかし、このシステムは、き裂のみを対象としている
ため、減肉等の損傷については、従来の記録用紙による傾向管理が必要であり、管理
対象となる様々な損傷に対する一元的な管理の実現が望まれている。
目
的
静翼に発生する各種損傷に対して、傾向管理や統計的手法による進展予測が可能な
システムを構築する。
主な成果
静翼の各種損傷に対する傾向管理が可能な「静翼損傷傾向管理支援システム」を構
築した(図 1)
。本システムの活用により、以下が可能となる。
(1)損傷データの効率的な管理
静翼の三次元モデルやデジタル写真画像を利用したデータ入力により(図 2、図 3)、
き裂、減肉、コーティングはく離といった損傷データを容易に電子化し、一元的に管
理できる。これにより、傾向管理業務の効率化が図られるとともに、損傷データの活
用が容易となる(図 4)
。
(2)損傷データを活用した傾向分析
蓄積した損傷データは、損傷種別、使用履歴などを任意に組み合わせて三次元モデ
ル上に表示できる。これにより、損傷の発生位置、発生頻度、進展速度などを定量的
に把握することができる。また、統計的手法により、今後予定される運転条件に対す
る平均損傷量や最大損傷量を予測する事が可能である(図 1)。
(3)実部品や数値解析結果との容易な比較
三次元モデルを用いているため、実部品との対応を容易に把握することができる。
また、FEM 解析などで得られる静翼の温度・応力分布を表示させ、損傷発生状況を比
較することで、損傷の要因を検討することが可能である。
今後の展開
実静翼の損傷データを用いて、本システムの有効性を検証する。
1)損傷の兆候や程度の時間変化(進展速度)を実機の計測、検査データに基づき監視、管理する手法。
2)藤井他,ガスタービン静翼き裂進展予測システムの開発,電中研報告,W01026(2002)
データ検索
開始
データ分析
分析条件の設定
データ入力
データ表示
平均損傷量の分析
最大損傷量の分析
予定運転条件
の入力
定検回数毎の
最大損傷量
平均損傷量の予測
最大損傷量の予測
データベース
図1
静翼損傷傾向管理支援システムの機能概要
損傷静翼の固定
いくつかの決められた方向
からのデジタル写真撮影
バックグラウンドへの
写真画像の取り込み
部分表示機能とプリセット機能による
三次元モデルの重ね合わせ
損傷データ入力
保存
図2
デジタル写真画像を用いたデータ入力例
図3
効率的なデータ入力のフロー
損傷した静翼
き裂
減肉
はく離
煩雑な手書きによる入力
デジタル写真を利用した効率的な入力
記録用紙
静翼損傷傾向管理支援システム
膨大な記録用紙
による傾向管理
従来のフロー
図4
損傷の
進展予測
電子化データによる
効率的な傾向管理
損傷の
要因検討
本システムによるフロー
本システムの活用による効果
研究報告
M07010
キーワード:ガスタービン,高温部品,検査記録,静翼,損傷傾向管理
担当者
藤井 智晴 (エネルギー技術研究所・プラント工学領域)
連 絡 先
(財)電力中央研究所 エネルギー技術研究所
Tel. 046-856-2121(代)
E-mail : [email protected]
[非売品・不許複製]
C 財団法人電力中央研究所 平成20年6月
○
07−012
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