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浅層埋設トラフ内に設置されるケーブル許容 電流の検討
電 力 輸 送 電力中央研究所報告 報告書番号:H 0 7 0 1 6 浅層埋設トラフ内に設置されるケーブル許容 電流の検討 背 景 架空設備輻輳化の解消および社会公衆安全の確保を図るため、配電設備の地中化 が進められている。地中化工事において掘削土量の低減等によるコスト縮減および 工期の短縮を図るために、近年、歩道路面に隣接した小型トラフ(以下浅層埋設ト ラフ)を用いた地中化が検討されている(*1)。浅層埋設トラフを用いた方式は、これ までのキャブ方式や管路方式と比べて、より浅い地中にケーブルが埋設されるため、 日射等の影響を受けやすく、従来のケーブル許容電流算出手法( *2)や損失率(*3)の適 用可否は不明である。 目 的 浅層埋設トラフ方式でのケーブル許容電流算出手法を提案する。 主な成果 浅層埋設模擬トラフ内に布設したケーブルに、一定電流(平均発生熱量: 0.21W/cm 程度)(*4)を通電し、ケーブルおよびトラフの温度上昇データを取得し、 以下の結果を得た。 1.浅層埋設トラフ方式でのケーブル許容電流算出手法 日射等の影響を受けやすい浅層埋設トラフ方式でのケーブル許容電流算出手法を 検討するため、図1に示す仮想管路モデルを提案した。ここでは、トラフ断面積と 同一面積の正方形の1辺の長さを管路直径とし、また管路中心深さの円周上に管路 温度計算点を設定した。本モデルを代表的なトラフ構造に適用した結果、地下 20cm の土壌基底温度を用いることによりケーブル表面温度の計算値は実測値を良く再現 できることを確認した(図2)。本モデルの適用と所要土壌基底温度を用いることで、 浅層埋設トラフ方式におけるケーブル許容電流が算出可能である。 2.ケーブル許容電流計算への損失率の適用性 浅層埋設トラフ内ケーブルに対する損失率の適用性を検討した。その結果、変動 負荷時のケーブル導体の最高温度は、一定負荷時の温度より 18℃程度高くなること が判明した(図3)。このような温度上昇はケーブル導体許容温度の超過を招くため、 浅層埋設トラフ方式では、ケーブル許容電流(*5)の算定における損失率は Lf=1 と して評価すべきである。 (*1)実広:「東京電力における無電柱化への取り組みについて」、生産と電気、第 58 巻第 11 号、2006.11 (*2)例えば、「地中送電線の送電容量設計」電気協同研究 53 巻第 3 号,H10.1 m Lf = (*3) ∑I n=1 ここで、 2 n ・t n tn: 時間区間 Imax:ある時間内に想定される最大電流(A)(通常は 1 日とする) m 2 Imax ・∑ t n In:時間区間 tn における平均電流(A) n =1 ケーブル部に比べて時定数の大きい土壌部の温度変化は負荷変動に対して遅れ、実際のケーブル導体温度の上昇が緩 和される。このため、損失率を適用することで、適用しない場合と比べ算出される許容電流値が大きくなる。地中送 配電線等のケーブル許容電流検討には、日変動負荷を等価な平均定常負荷に換算する損失率 Lf(≦1)が用いられる。 (*4) 土壌固有熱抵抗 100 K・cm/W である土壌に、供試ケーブル 1 条(単相分)を地下 20cmに直接埋設した場合の許容 発生熱相当から設定 (*5) 管路布設や洞道布設の場合のケーブル許容電流計算式 I= I :ケーブル許容電流 T c −T0 −T d n ⋅ r ac ( R in + L f ⋅R out ) Rin=R1+R2+R3 Tc:ケーブル許容温度 R1:ケーブル絶縁体熱抵抗 T0:土壌基底温度 R2:ケーブルシース熱抵抗 Td:誘電体損による温度上昇 R3:ケーブル表面放散熱抵抗 n:1 孔当たりのケーブル条数 Rout:土壌熱抵抗 rac:許容温度における交流導体抵抗 Lf:損失率 トラフ断面 G.L. e G.L. c c 土壌基底温度 深さ a b D f × モデル化 ケーブル 管路温度 ケーブル表面 (a)実験に用いたトラフ 導体 (b)計算モデル D = a×b ケーブル表面温度(℃) 図 1 計算のためのモデル化 図1 計算のためのモデル化 時間(hour) 図 2 ケーブル表面温度の実測値と計算値の比較 図 3 負荷状態の相違によるケーブル導体温度の違い 研究報告 H07016 キーワード:配電地中化,浅層埋設,許容電流,ケーブル,トラフ 担当者 堀 連 絡 先 (財)電力中央研究所 電力技術研究所 Tel. 046-856-2121(代) E-mail : [email protected] [非売品・不許複製] 康彦 (電力技術研究所・機器絶縁領域) C 財団法人電力中央研究所 平成20年6月 ○ 07−017