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C Vケーブル絶縁診断への減衰振動高電圧の適 用可能性の検討

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C Vケーブル絶縁診断への減衰振動高電圧の適 用可能性の検討
電力中央研究所報告
電 力 輸 送
報告書番号:H 0 7 0 1 4
C V ケーブル絶縁診断への減衰振動高電圧の適
用可能性の検討
背
景
22∼77kV CV ケーブルでは,水トリーが主要な経年劣化要因であり,その劣化度
合いや絶縁耐力を現地診断する手法が求められている。一般に,商用周波高電圧に
よる耐電圧試験では電源容量の確保などに困難が伴う。一方,減衰振動高電圧(DOHV)
は短時間の高電圧課電のため,被診断 CV ケーブルへの悪影響を小さくできる可能性
がある上,長距離線路のような大きな電源容量を要する課電対象物でもコンパクト
な試験装置が実現可能である。このため当所では,これまで培ってきた絶縁破壊前
駆現象である部分放電(PD)に対する測定技術を適用し,現地診断を視野に入れた水
トリー劣化 CV ケーブルに対する DOHV の絶縁診断への適用可能性を検討している。
目
的
水トリー劣化 CV ケーブルの絶縁診断に対する DOHV の適用可能性を明らかにする。
主な成果
1.DOHV 課電試験の CV ケーブル絶縁診断への適用可能性
水トリー劣化させた CV ケーブル(注 1)に DOHV を課電し(注 2),PD を検出できること
を確認した(図 1)。CV ケーブル等の固体絶縁物内部で発生する PD は絶縁破壊の前
駆現象であるため,高電圧が短時間のみ課電される DOHV 課電時の PD 測定により,
DOHV による CV ケーブルの絶縁診断の可能性を示した。
2.DOHV の繰り返し課電による CV ケーブル絶縁耐力低下への影響
前出の水トリー劣化 CV ケーブルに PD 発生を伴う DOHV を繰り返し課電した (注 3)。
この結果,繰り返し課電前後で PD 最大放電電荷量と課電電圧との相関性に変化が
なく,絶縁耐力低下への影響は小さいことを明らかにした(図 2)。
3.PD 信号の伝搬時間差測定による PD 源位置標定の可能性
PD 信号はケーブル内を伝搬し解放端で反射するため,直接波と反射波の時間差
より PD 源の位置標定が可能である。本手法により気中 PD 源(注 4)による PD パルス
の高時間分解測定を行い,20m 程度の精度での位置標定の可能性を明らかにした。
以上より,水トリー劣化した CV ケーブルに対する絶縁耐力の現地診断手法として,
PD 測定を併用した DOHV 課電手法の適用が期待できる。
今後の課題
DOHV 課電による CV ケーブルの現地診断技術,余寿命推定技術を確立する。
(注 1) 絶縁厚が薄く,22∼77kV CV ケーブルと比較して低い電圧で水トリーを発生,進展させることが可能な
6.6kV CV ケーブル(22SQ,絶縁厚 3.5mm)を 5m 使用。このセンター部約 20cm の区間で外導を除去し,NaCl
水溶液に浸漬,1000Hz,13kVrms の高周波高電圧にて約 5.5 ヶ月間加速劣化させたもの。最大約 3mm の
水トリー発生を確認。
(注 2) 国外メーカ製の減衰振動高電圧発生診断装置(Oscillating Wave Test System,OWTS®)。最高課電電圧
36kVpeak。PD 測定機能を内蔵。
(注 3) 繰り返し課電時の DOHV の課電電圧は 20kVpeak で,最大 100∼200pC 程度の PD が発生。繰り返し回数は
10 回+50 回。10 回繰り返し課電の後,PD 最大放電電荷量と DOHV 課電電圧の相関性を測定,その後 50
回の繰り返し課電を実施。
(注 4) 針−平板電極系を気中 PD 源として OWTS®を接続した供試 CV ケーブル端部に設置。
リアクタンス
直流高電圧電源
250
部分放電信号
20
Applied voltage [kV]
課電電圧波形
部分放電
200
15
150
10
100
5
50
0
0
-5
-50
-10
-100
-15
-150
-20
-200
-25
検出
インピーダンス
PD charge [pC]
25
供試ケーブル
オシロスコープ
高電圧
スイッチ
DOHV 発生回路と PD 測定系
-250
0
2
図1
4
6
8
Time [ms]
10
12
14
水トリー劣化 CV ケーブルに対する DOHV 課電電圧波形と PD 発生状況
(課電電圧:20kVpeak,周波数約 1.5kHz)
繰り返し課電
(20kVpeak,計 60 回)
課電電圧
最大放電電荷量
250
20
200
15
150
10
100
30pC以下の
PDのみ発生
5
最大放電電荷量[pC]
課電電圧[kVpeak]
25
50
0
0
0
20
40
180
80
60
200
100
220
120
240
140
課電No.
図2
DOHV の繰り返し課電前後における課電電圧に対する PD の最大放電電荷量の推移
研究報告
H07014
キーワード:CV ケーブル,絶縁診断,部分放電測定,減衰振動高電圧,現地診
断
担当者
髙橋 俊裕 (電力技術研究所・機器絶縁領域)
連 絡 先
(財)電力中央研究所 電力技術研究所
Tel. 046-856-2121(代)
E-mail : [email protected]
[非売品・不許複製]
C 財団法人電力中央研究所 平成20年8月
○
07−023
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