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排水処理施設における1,4-ジオキサン最適処理条件の検討

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排水処理施設における1,4-ジオキサン最適処理条件の検討
研究課題事後評価調書
記入日
機 関 名 健康環境センター
課 題 名
課題コード
計画事業年度
H230103 実績事業年度
平成
23
23
(様式11)
25 年 11 月 15 日
年 度 ~ 24 年 度
年 度 ~ 24 年 度
排水処理施設における1,4-ジオキサン最適処理条件の検討
機関長名
連 絡 先
政策コード
施策コード
目標コード
高橋浩
担当(班)名
理化学部 理化学班
018-832-5005
担当者名
小林 貴司
8
政 策 名 環境保全活動の推進
3
施 策 名 良好な環境の保全と化学物質対策の推進
施策目標名(評価指標) アスベスト、ダイオキシン類など化学物質対策の推進
3
重点(事項名) 廃水処理技術
基盤
試験
研究
○
開発
○
調査
○
その他
種 別
その他
共同
受託
県単
○
国補
評 価 対 象 課 題 の 内 容
1.研究の概要
1,4-ジオキサンは、水溶性が高く難分解性であることから、排水からの除去が難しい物質である。排水処理
施設の処理工程において、有機物の除去効果が最も期待できるのは生物処理工程であり、この工程での実
用的な運転条件を模索することが主な検討になる。検討では、実験室レベルでの基礎実験により、処理に最
適な温度、滞留時間などの条件を導きだし、実際の排水処理施設への適用を模索する。また、1,4-ジオキサン
の公定分析法は煩雑であるため、迅速性が求められる緊急時等への対応が難しい。このため、操作が容易で
あり、多検体分析が可能なヘッドスペースGC/MS法を迅速分析法として評価し、分析体制の充実を図る。
2.課題設定時の背景(問題の所在、市場・ニーズの状況等)及び研究期間中の状況変化
合成反応溶剤、潤滑剤として広く使用されている1,4-ジオキサンは、発がん作用の疑いがあり、難分解性で
あることから、平成21年11月に公共用水域及び地下水の水質環境基準項目として新たに追加された化学物質
である。工場排水や処分場浸出水、生活排水は、排水処理施設で浄化されたのち河川へと排出されるが、水
にも溶剤にも無制限に溶解し、かつ難分解性である1,4-ジオキサンは、一般的な排水処理施設において効率
良く処理されておらず、除去効率は0~30%程度とかなり低い。このため、環境への負荷を軽減するために、
より良い排水処理条件の提示が必要である。
3.課題設定時の最終到達目標
①研究の最終到達目標
1)排水処理施設における生物処理工程での1,4-ジオキサン最適処理条件の提示
2)ヘッドスペースGC/MS法による1,4-ジオキサン迅速分析法の評価および目標定量下限値 25μg/L
(環境基準値 50μg/L の1/2)の確保
②研究成果の受益対象(対象者数を含む)及び受益者への貢献度
1)県内の排水処理施設が適切に効率良く稼働することは、環境への1,4-ジオキサン排出抑制へと繋がり、県
民の生活環境保全を図る上で貢献度は大きい。
2)スクリーニング手法として確立することで、行政検査の大幅な省力化及びコストダウンを図ることができる。
4.全体計画及び財源
実施内容
(全体計画において 計画 実績)
23
24
到達目標
年度 年度 年度 年度 年度
定量下限値25μg/Lを目指
迅速分析法の評価
す。
排水処理各工程で
各処理工程での挙動を把握。
の挙動の把握
ミニスケールでの処 分解に適した実験室での最適
理条件検討
処理条件の確立。
実際の排水処理施
実用的な処理条件の確立。
設での検討
その他の処理施設 他の排水処理施設への適用
への適用検討
を検討する。
計画予算額(千円)
当初予算額(千円)
一般財源
財源
国 費
内訳
そ の 他
(最終年度)
24年度
合計
1,115
3,386
1,000
4,245
2,115
7,631
3,386
4,245
7,631
1
(標準様式~裏)
研 究 成 果 の 概 要
□ 解析データ、指針、マニュアル等
□ 新技術
新品種
□ ステップアップ研究における中間成果 □ 新製品
その他
・成果の具体的な内容
県内の排水処理施設生物処理槽の中に1,4-ジオキサンを分解する菌が存在することがわかった。
ラボでの培養試験では、活性汚泥の1,4-ジオキサン処理能を100倍高めることにも成功している。培
養試験や実際の排水処理施設での調査により、1,4-ジオキサン除去率を維持するために必要なこと
として、①生物処理槽の水温を15℃以上に保つこと、②十分な量の空気を送り込むこと、③1,4-ジオ
キサンを連続的に供給すること、④短期間で活性を高めるには、リン酸の添加が有効なこと等がわ
かった。
観点
1.
A
B
C
・成果の分類
・1,4-ジオキサンの処理について、いくつかの条件はあるが、分解菌を培養できるところまで来ていること、またヘッ
ドスペースGC/MSを用いた、迅速で効率的な分析方法の開発もできたので、ほぼ目標は達成していると思われる。
・最適処理条件の提示については、1,4-ジオキサンの処理に必要な情報が示されており、概ね到達目標に達成して
いる。
・処理工程において不調を生じ1,4-ジオキサンの除去効率が低下した際の回復手法について、更に検討を要すると
考える。
・1,4-ジオキサンの迅速分析法の評価と目標定量下限値の確保については、到達目標を十分達成している。
・本研究によって、1,4-ジオキサン分解菌の処理能を維持するための重要な知見が得られた。
・迅速分析法として2種類の分析メソッドを導くことができ、いずれの方法でも十分な精度を確保できたことから、研
究目標は達成したものと認められる。
最
終
到
達
目
標
の
達
A.十分達成できた
C.達成できなかった
成
B.ほぼ達成できた
度
※研究課題の難易度(事前評価の技術的達成可能性得点率)を加味した達成度
事前評価の技術的達成可能性得点率 65 %
S
A
B
C
2.
A
B
C
D
研
究
成
果
の
効
果
・いろいろ条件を詰める必要はあるが、1,4-ジオキサンの処理については実用的な条件を把握できたので、さらに
詳細に条件を設定できれば、実際の運用に資すると思われる。
・生物処理手法による1,4-ジオキサンの処理は、促進酸化法等これまでの技術による処理と比較して、運転経費を
大幅に軽減できる上、既存の生物処理施設をそのまま使用できるなど、経済的メリットは大きく、省エネにも貢献で
きる。
・迅速分析法は、経費及び労力の大幅な削減を図ることができる有効な手法であり、既に実務に適用されている。
・本研究によって得られた分解菌に関する知見は、すでに実用的な運転条件として現場で採用されており、成果が
生かされている。
・研究対象である迅速分析法が現在は公定法となっているため、本研究で検討されたメソッドは実際の行政検査に
おいて効果的に用いられている。
A.効果大
S
B.効果中
A
C.効果小
B
【追跡評価の必要性
総
合
評
価
D
C
有
D.効果測定困難
D
無 】
・1,4-ジオキサンの処理について、基本的なところは達成できていると考える。今後は処理のメカニズムや分解菌の
単離、その詳細な解析と応用範囲の拡大に向けた取組をしてもらいたい。
・研究の達成度及び効果は、必要なレベルに達していると考察する。
・研究者等の間では、これまで1,4-ジオキサンの処理は促進酸化法等に寄らなければならないとされてきたことか
ら、本研究結果について早急にまとめ、学会誌等に発表すべきである。
・他の施設等でも応用できるよう、分解菌の特定を進められたい。一般的な1,4-ジオキサン除去装置は高額で導入
が難しい。
・本研究によって、通常の生物処理工程での安定的な除去を可能とする重要な知見が得られたので、成果は評価
できる。なお、1,4-ジオキサン分解菌に関しては未だに不明な点が多く、今後も研究を継続すべきである。
S:当初見込みを上回る成果
A:当初見込みをやや上回る成果
B:当初見込みどおりの成果
C:当初見込みをやや下回る成果
D:当初見込みを下回る成果
(参考)
過去の評価結果
事前
B
中間(年度) 中間(年度) 中間(年度) 中間(年度) 中間(年度)
2
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