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アクチンーアクチン接触の分子機構

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アクチンーアクチン接触の分子機構
シ ョー ト レ ビ ュ ー
アクチンーアクチン接触の分子機構
堀 浩一郎 ・盛 田フミ
アクチン分子を限定分解し,ア クチン重合を阻害するペプチド断片を単離した。22残基
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からなるペプチドは,モ ノマー,フ ィラメントのいずれのアクチン分子にも結合し,ア ク
チンフィラメントの切断をもひき起こす。22残基に相当するアクチン分子内のセグメント
に強力なアクチン間接触部位のあることを示している。ペプチ ド断片が結合するアクチン
分子上の部位を24残基内に限定した。アクチンフィラメントの安定化には異なるアクチン
モノマー間でのこれら相補的な部位どうしの相互作用が大きく寄与 している。
【ア ク チ ンペ プ チ ド】 【ア ク チ ン重 合 】 【ア ク チ ン 結 合 蛋 白質 】
は じめ に ア ク チ ン は真 核 細 胞 に広 く存 在 し,細 胞 の
運 動,形
態 変 化,構
造 維 持 な ど を担 う蛋 白質 で あ る。
筆 者 ら は 分 子 間 の 接 触 部 位 に 相 当 す る ア クチ ン セ グ
メ ン トか ら22残
基 の ペ プ チ ド断 片 を単 離 し た1)。興 味
クチ ン)
深 い こ と に こ の 小 さ な ペ プ チ ド の挙 動 は ア クチ ン細 胞
は 自 己 会 合 力 を 有 し,二 重 ら せ ん 状 に会 合 して フ ィラ
骨 格 を 調 節 す る さ ま ざ ま な ア ク チ ン結 合 蛋 白 質 の そ れ
分 子 量42Kの
ほ ぼ 球 状 の ア クチ ン単 量 体(Gア
メ ン ト(Fア
ク チ ン)を 形 成 す る。Gア
称 な 三 次 元 構 造 を も ち,Fア
ク チ ン は非 対
クチ ンに は 方 向 性 が あ る 。
と類 似 し た 面 を も っ て い る 。 この ペ プ チ ドが 結 合 す る
ア ク チ ン上 の 相 補 的 な 部 位 を同 定 した 結 果,ア
クチ ン
筋 細 胞 に お い て は ミオ シ ン の よ う な強 力 な モ ー タ ー 蛋
フ ィ ラ メ ン トで は 二 重 らせ ん の相 対 す る ス トラ ン ド間
白質 と組 ん で 大 き な 運 動 を ひ き起 こす 。 一 方,非
に 強 い 相 互 作 用 を も ち,こ
筋細
胞 に お い て は フ ィ ラ メ ン トの 一 端 か ら他 端 へ とア ク チ
れ が フ ィ ラ メ ン トの安 定 化
に 寄 与 す る もの と結 論 し た。
ン モ ノ マ ー の 移 動 を く り返 す こ と に よ りア ク チ ンの み
で も運 動 を ひ き起 こ す こ とが で き,そ の 作 用 は多 数 の
Ⅰ.ア
クチン重合を阻害するペプチ ド
ア ク チ ン結 合 蛋 白 質 に よ っ て制 御 さ れ て い る 。 ア クチ
ンの 驚 くべ き多 彩 な 働 きぶ り はお そ ら くア ク チ ン が 多
ア ク チ ン を プ ロ テ ア ー ゼ 処 理 す る と,通 常N末
くの 種 類 の 蛋 白 質 と結 合 で き る とい う,ま れ に み る性
8な い し10Kの
質 に 由 来 す る も の と思 わ れ る。 中 で もア ク チ ン分 子 ど
る 部 分 が 生 じ,ほ
う しが 特 異 的 に 結 合 す る能 力 は,ア ク チ ン に と っ て 最
側 の コ ア を切 断 で きな い2-4)。 と こ ろ がFア
も重 要 な か つ 本 質 的 な 機 能 の基 に な っ て い る。
mg/ml)を6M尿
Kouichirou
Hori*,Fumi
stry,Faculty
of
1-13-2)[Present
Morita,北
Science,Hokkaido
address:JT
海 道 大 学 理 学 部 化 学 第 二 学 科(〒060
University,Sapporo 060,Japan]*現
Pharmaceutical
Basic
Research
ペ プチ ド と残 りの33Kの
とん ど の プ ロ テ ア ー ゼ は このC末
端
クチ ン(1
素 存 在 下 で α キ モ トリ プ シ ン(0.1
札 幌 市 北 区 北10条
在:JT医
端の
コ ア とよばれ
西8丁
目)[Department
薬 基 礎 研 究 所(〒236
of Chemi横 浜 市 金 沢 区 福 浦
Laboratories,Fukuura,Kanazawa-ku,Yokohama,Kanagawa
236,Japan]
Molecular
Mechanism
of
Actin-actin
Contact
871
Ⅱ
82
蛋 白質
核酸
酵素
Vol.39
No.5(1994)
、ら由 来 して いた 。 番 号6,7以
外 の7種
のペ プチ ドにつ いて
調 べ る と,最
も小 さ な8番
の ペ プ チ ドの み が 図2に
目
示す
よ う にペ プ チ ド濃 度 に 依 存 し
て 著 し い ア ク チ ン重 合 の 阻 害
を 示 した 。8番 目 のペ プ チ ドは
ア ク チ ンの 一 次 構 造 上Arg177
∼Tyr198に
由 来 す る22残
か ら な り(図1A),計
基
算上 の
分 子 量 か ら2.6Kペ
プ チ ドと
よ ぶ こ と に し た 。 一 方,分
量 の 一 番 大 き な9番
子
のペ プチ
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ド も ア ク チ ン と結 合 す る こ と
は見 い だ さ れ た が,ア
クチ ン
重合 をほ とん ど阻害 しなか っ
た 。 これ ら の 結 果 は,ア
ン分 子 内 の2.6Kペ
クチ
プ チ ドに
相 当 す る部 分 に ア ク チ ンーア ク
チ ン 間 の強 力 な 接 触 部 位 が あ
り,ペ
プチ ドはその部位 を別
の ア ク チ ンモ ノ マ ー と競 争 す
る こ と に よ りア ク チ ン重 合 を
阻 害 す る こ とを示 唆 して い る。
図1ア
ク チ ン 分 子 か ら の ペ プ チ ド断 片
(A)Fア
ク チ ン の6M尿
素 存 在 下,キ
(No.1∼9)。No.8は
ア ク チ ン 重 合 の 阻 害 効 果 を も つ2.6Kペ
Kペ プ チ ドが相 補 的 に結 合 す る位 置。
(B)ア
クチ ン の 結 晶 構 造 に お け る2.6Kの
7よ り引 用 した 。 黒 塗 り部 分:2.6Kセ
図2の
モ ト リ プ シ ン 分 解 物 か ら 単 離 し た ペ プ チ ドの 地 図
プ チ ド。 斜 線 を付 した バ ー は,2.6
プチ
ドの挙 動 は ア ク チ ン細 胞 骨 格
の調 節 蛋 白 質 で あ る プ ロ フ ィ
セ グ メ ン トと相 補 的 な 結 合 部 位 の 位 置 。 構 造 は 文 献
グ メ ン ト。 格 子 部 分:2.6Kペ
よ う な2.6Kペ
プ チ ドの 結 合 す る 相 補 的
リ ン や ア ク トビ ンデ ィ ン5,6)の
それ ら と よ く似 て い る 。 これ
な位置。
らの 蛋 白 質 は ア ク チ ン モ ノ マ
mg/ml)消
化 す る と3か
ら9Kの
分子 量 を もつ数種 の
ペ プ チ ドに分 解 され る。 逆 相HPLCや
用 い て 精 製 す る と図1Aに
ゲル濾過 な どを
示 す よ う な9種
断 片 が 単 離 され,こ れ らのペ プ チ ドはN末
らTyr279に
*1ポ
至 る ア ク チ ンのN末
のペ プチ ド
端 のAsp1か
端 側3/4の
ほぼ 全 域 か
ーに 結 合 し,見 か け の モ ノ マ ー濃 度 を減 らす こ と に よ
りア ク チ ン重 合 を阻 害 して い る。2.6Kペ
プ チ ド もま た
ア ク チ ンモ ノ マ ー に結 合 す る こ とが,ア
ク チ ン溶 液 の
粘 度 の 上 昇 か ら示 され た 。
ま た,2.6Kペ
プ チ ドは図1Bに
イ ン テ ッ ドエ ン ド,バ ー ブ ドエ ン ド:ア ク チ ン フ ィ ラメ ン トに は方 向性 が あ り,ミ オ シ ン頭 部 を加 え る と フ ィ ラ メ ン トに沿 っ
て 連 続 し た矢 じ り状 の結 合 物 を形 成 す る。 矢 じ りの 先 端 方 向 に あ る ア クチ ン分 子 の 端 を ポ イ ン テ ッ ドエ ン ド(ま
の 逆 方 向 の端 を バ ー ブ ドエ ン ド(ま た は プ ラ ス端)と
く伸 長 す る。
872
示 した よ う にア クチ
た は マ イ ナ ス 端),そ
よぶ 。 ア ク チ ン フ ィ ラ メ ン トは通 常 ポ イ ンテ ッ ドエ ン ドよ りバ ー ブ ドエ ン ドで 速
83
アクチ ンーアク チン接触の分子機構
ン分 子 の 三 次 元 構 造 上7)で は
サ ブ ドメ イ ン4の
ポイ ンテ ッ
ドエ ン ド*1側 か ら 由来 して い
る の で,ア
ク チ ン分 子 の バ ー
ブ ドエ ン ド*1側 に 結 合 す る こ
とが 予 想 さ れ た。 ア ク チ ン フ
ィ ラ メ ン トの 伸 長 が バ ー ブ ド
エ ン ド側 で 優 先 的 に起 こ りや
す いMg2+存
在 下 で重合速 度
を測 定 す る と重 合 の臨 界 濃
度*2は,200μMの2.6Kペ
プ チ ド存 在 下 で 約10倍
上昇
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し,予 想 ど お りペ プ チ ドは ア
図22.6Kペ
2.6Kペ
プ チ
プ チ ド濃 度:0(○),50(●),100(△),200(▲),お
存 在 下 でGア
せ,溶
ク チ ン フ ィ ラ メ ン トの バ ー ブ
ドに よ る ア ク チ ン 重 合 の 阻 害
ク チ ンLO/LMを20mMト
よ び400μM(□)。
リ ス ー塩 酸(pH8.0)中20℃
液 の 粘 度 を 落 下 球 法 で 測 定 し た 。 横 軸:KCIを
こ れ ら の ペ プ チ
で0.1MKCIを
加 え て か ら の 時 間,縦
軸:相
ド
加 え て 重 合 さ
対 粘 度 。
ドエ ン ド側 に結 合 す る こ とが
示 され た 。
また さ らに,あ らか じめFア
ク チ ンを形 成 させ て お い て か ら,2.6Kペ
る と,フ
プ チ ドを加 え
ィ ラ メ ン トが 歪 ん だ り切 断 され る こ とが 観 測
さ れ た(図3)。
こ れ ら の結 果 は,2.6Kペ
ク チ ン単 量 体,フ
ィ ラ メ ン トの 端,そ
プ チ ドは ア
して フィラメ ン
ト内 の ア ク チ ン の い ず れ に も結 合 す る こ と を示 し,そ
の 挙 動 は ア ク チ ン結 合 蛋 白質 と し て知 ら れ て い る ゲ ル
ゾ リ ン8)や フ ラ グ ミ ン9)と 類 似 し て い る。
Ⅲ
.ア クチン結合蛋白質との比較
実 は 図4Aに
示 す よ う に,ア
ン ト中 のLeu185か
ら 始 ま るL-X-D-Y-Lと
酸 配 列10)は,プ
4211),フ
ク チ ン の2.6Kセ
グメ
い う ア ミノ
ロ フ ィ リ ン11),Physarumキ
ラ グ ミ ン11),ゲ
ル ゾ リ ン12),セ
ャ ップ
バ リ ン13)な
ど
に も存 在 す る 。 これ ら の 蛋 白 質 は ア ク チ ン のバ ー ブ ド
エ ン ド に 結 合 し,フ
ィ ラ メ ン トの 端 を キ ャ ッ プ し た り,
フ ィ ラ メ ン トを切 断 す る こ と に よ りア ク チ ン重 合 に影
響 を 与 え て い る14,15)。 こ の 相 同 配 列 を 含 む ア ク チ ン の
Arg183か
らThr194ま
で は ヘ リ ッ クス を 形 成 し(図1B)7),
そ の ヘ リ ッ ク ス は 図4Bに
図3 2.6Kペ
10μMFア
ク チ ンの 切 断
ク チ ン に 緩 衝 液 の み(A)お
チ ド(B)を
31,700,棒
*2臨
プ チ ドに よ るFア
添 加 し,25℃,3時
あ る 。 し か し,ア
ク チ ン 結 合 蛋 白 質 に お い て は相 同 配
プ
間 後 の 電 子 顕 微 鏡 写 真 。 倍 率:
列 を 囲 む ボ ッ ク ス よ りC末
Asn-Glyの
は1μm。
界 濃 度:ア
よ び200μM2.6Kペ
示 し た よ う に 両 親 媒 性16)で
ク チ ン重 合 が 平 衡 状 態 に達 した と きに 系 に 存 在 す るGア
端 側 の 配 列 はGly-Glyと
か
よ う に ヘ リ ッ ク ス を こ わ す 指 向 性 が 高 くな
ク チ ン濃 度 。 ま た は,ア
ク チ ン が 自 発 的 に重 合 を 開 始 す る
た め に 必 顛 な ア ク チ ン濃度 の 闘 値。
873
84
蛋 白質 核 酸 酵 素 Vol.39 No.5(1994)
さ れ て い る こ とが 明 らか に な
っ た 。 架 橋 部 位 は これ 以 上 限
定 す る こ とは で きな か っ た が,
Ala144か
らGlu167ま
で の24
残 基 内の いずれ か とい うこ と
に な る。 この24残
基 は ア クチ
ン の一 次 構 造 上 で は2.6Kセ
グ メ ン トの わ ず かN末
端寄 り
に相 当 し(図1A),ま
た,三
次 元 空 間 で はサ ブ ドメイ ン3の
バ ー ブ ドエ ン ド側 に位 置 し て
い る(図1B)。
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トにお いてEDCに
この セ グ メ ン
よ る化 学 架
橋 に 寄 与 で き る残 基,つ
NH3+ま
まり
た は-COO-を
側鎖
-
に もつ もの はAspl54,ASp157,
Glu167の み であ る。 これ ら3残
基 の う ちAsp154とAsp157は,
図4ア
(A)ア
ク チ ン2.6Kセ
クチ ン2.6Kセ
線 で 囲 っ た。(B)Aに
グ メ ン トとア クチ ン結 合 蛋 白質 の相 同性
と も に分 子 内 部 に 向 い てCa2+
グ メ ン ト10)と結 合 蛋 白質 の一 次 構 造11-13)の 比 較 。相 同 な ア ミノ 酸 残 基 を
示 し た 配 列 を 含 む ア ク チ ン(Arg183∼Thr194)セ
ATPと
グ メ ン トで つ くる 両 親 媒
性 ヘ リ ッ クス 。
Kペ
っ て い る(図4A)。
の 結 合 に寄 与 して い る
の で7),残
こ の よ う な ア クチ ン と は異 な る構
り のGlu167が2.6
プ チ ド との 架 橋 部 位 で あ
る可 能 性 が 高 い 。Glu167はThr160か
らTyr166に
わた る
造 の 特 徴 が ア ク チ ン 重 合 を 阻 害 す る と い う これ ら結 合
β ス トラ ン ド を終 わ っ て ター ン を形 成 す る最 初 の 残 基 に
蛋 白 質 に共 通 した 機 能 と関 連 して い るか もしれ な い。 い
相 当 し,分 子 の 最 も下 方 に位 置 して い る。 一 方,2.6K
ず れ に せ よ,す で に 指 摘 され て い る よ う に17,18),これ ら
ペ プ チ ド上 の 架 橋 部 位 はGluの
の ア ク チ ン結 合 蛋 白質 の 祖 先 は ア ク チ ンで あ っ た 可 能
プ チ ドに 含 まれ る唯 一 の εア ミノ基 を もつLys191の
性 が高 い。
能 性 が 高 い 。Lys191は
端 の1つ 手 前 の残 基)
とN,N'-p-phenylenedimaleimide(pPDM)で
プチ ド結合部位
可
ア ク チ ン フ ィ ラ メ ン ト中 の 異 な
る ア クチ ンモ ノ マ ー のCys374(C末
Ⅳ.アクチン上の2.6Kペ
相 手 とい う こ とか らペ
架橋
さ れ た 報 告 が あ る19)。坂 部 ら20)に よ る と,ア ク チ ン分
2.6Kペ
プ チ ドが ア ク チ ン分 子 に結 合 す る位 置 を明 ら
か に す る た め に ペ プ チ ド内 のTyr残
基 を125Iで ラ ベ ル
し,ア クチンに1-ethyl-3[3-(dimethylamino)propyl]
carbodiimide(EDC)で
化 学 架 橋 した 。 架 橋 ア ク チ ン
を ス ロ ン ビン,あ る い はV8プ
PAGE後
端 は図1Bの
位 置 とは異 な りサ ブ ドメ イ ン3の
Glu167を 含 む タ ー ン付 近 ま で 延 び て い る。 した が っ て
EDCとpPDMの
架 橋 距 離 の差 を考 慮 す る と両 者 はほぼ
一 致 した結 果 とい え よう
。
ロテ アー ゼ 消 化 してSDS-
放 射 活 性 を も つ ペ プ チ ド断 片 を 追 跡 す る と,
125I標 識 はAla114か
子 のC末
らGlu167の
V.ア
クチンフ ィラメン ト内の相互作用
間 のア クチ ンセグメ ン
トに 導 入 され て い た 。 ま た 別 に架 橋 ア ク チ ンの6M尿
素 存 在 下 の キ モ ト リプ シ ン分 解 物 をHPLCと
ゲ ル濾 過,
Holmesら
に よ り提 出 され たFア
クチ ン モ デ ル に よ
る と21),ア ク チ ン フ ィ ラ メ ン トを右 巻 二 重 らせ ん と見 な
あ る い は イ オ ン 交 換 カ ラ ム の 組 合 せ で精 製 しペ プ チ ド
し た と き,一 方 の ス トラ ン ド上 の 上 下 の ア クチ ンモ ノ
を 同 定 し た 結 果,125IはAla144よ
マ ー 間 の 相 互 作 用 は 残 基 番 号322∼325に
874
り もC末 端 側 に 導 入
対 し243
85
アクチンーアク チン接触の分子機構
ま く使 え ば,こ れ まで不 可能 で あっ た部位 特 異的 なア
クチ ン間 の相互 作 用 の大 きさや 相互 作用力 の種類 な ど
を探 る ことが で きる と期待 してい る。
文
献
1)Hori,K.,Morita,F.:J.Biochem.,112,401-408
(1992)
2)Mornet,D.,Ue,K.:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,
81,3680-3684(1984)
3)Konno,K.:J.Biochem.,103,386-392(1988)
4)Schwyter,D.,Phillips,M.,Reisler,E.:Biochemi-
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stry,28,5889-5895(1989)
5)Tobacman,L.S.,Brenner,S.L.,Korn,E.D.:J.
Biol.Chem.,258,8806-8812(1983)
6)Lambooy,P.K.,Korn,E.D.:J.Biol.Chem.,263,
図5ア
ク チ ン フ ィ ラ メ ン トに お け る2.6Kセ
グ メ ン トと
12836-12843
相 補部 位 との相 互 作 用 の模 式 図
円:ア
クチ ンモ ノマ ー,黒
い楕 円:ア
セ グ メ ン ト,白 い 楕 円:2.6Kセ
ク チ ン モ ノ マ ー 内 の2.6K
グ メ ン トの 結 合 す る ア クチ ン モ
7)Kabsch,W.,Mannherz,H.G.,Suck,D.,Pai,E.
F.,Holmes,K.C.:Nature,347,37-44(1990)
8)Yin,H.L.,Hartwig,J.H.,Maruyama,K.,
ノマー内の相補的な部位。
Stoseel,T.P.:J.Biol.Chem.,256,9698-9697
(1981)
9)Hasegawa,T.,Takahashi,S.,Hayashi,H.,
∼245 ,286∼289に
375に 対 し41∼45の
対 し202∼204,ま
た166∼169と
間 で 顕 著 で あ る 。 これ らの 残 基 間
の距 離 が 一 番 近 くな る よ う な 上 下 の ア ク チ ン モ ノマ ー
問 の互 い の位 置 を考 慮 す る と,下
のモ ノ マ ーの2.6Kセ
グ メ ン トと上 の モ ノ マ ー に あ る相 補 的 な24残
メ ン ト(Ala144∼Glu167)は
基 のセ グ
互 い に と う て い相 互 作 用 は
不 可 能 な位 置 関 係 に あ る 。 し た が っ て2つ
の 部 位 は右
巻 き二 重 らせ ん の 異 な る ス トラ ン ド上 に あ る ア ク チ ン
モ ノ マ ー 間 で 相 互 作 用 す る も の と考 え られ る 。 お そ ら
くア ク チ ン モ ノ マ ー あ た りに は 図5の
モ デル の よ うに
2カ 所 で 接 触 し2つ の ス トラ ン ド間 に強 い相 互 作 用 が保
Hatano,S.:Biochemistry,19,2677-2683(1980)
10)Collins,J.H.,Elzinga,M.:J.Biol.Chem.,250,
5915-5920(1975)
11)Ampe,C.,Vandekerckhove,J.:EMBO
J.,6
4149-4157(1987)
12)Kwiatowski,D.J.,Stossel,T.P.,Orkin,S.H.,
Mole,J.E.,Colten,H.R.,Yin,H.L.:Nature,
323,455-458(1986)
13)Andre,E.,Lottspeich,F.,Schleicher,M.,
Noegel,A.:J.Biol.Chem.,263,722-727(1988)
14)Korn,E.D.:Physiol.Rev.,62,572-737(1982)
15)Polland,T.D.,Cooper,J.A.:Ann.Rev.Biochem.,55,987-1035(1986)
16)Schiffer,M.,Edmundson,A.B.:Biophys.J.,7,
た れ る の で は な い か と思 わ れ る。 これ と合 致 す る よ う
な結 果 が 電 子 顕 微 鏡 像 の画 像 解 析 か ら得 られ てい る22)。
121-135(1967)
17)Maruta,H.,Knoerzer,W.,Hinssen,H.,Isenberg,
G.:Nature,312,424-427(1984)
18)Tellam,R.L.,Morton,D.J.,Clarke,F.M.:
TrendsBiochem,Sci.,14,130-133(1989)
お わ り に これ ま で ア ク チ ン接 触 部 位 に 関 して は化 学
修 飾 な ど を 用 い た 研 究 結 果 が 多 か っ た 。 ま た 結 晶解 析
や画像 解析 の結果 か らア クチ ンモ ノマ ー間 のお よその
相 互 位 置 も解 明 さ れ て きた 。 今 回 筆 者 ら は,ア
クチ ン
分 子 自 身 の ペ プ チ ド断 片 を 使 う と い う初 め て の 手 法 で
ア ク チ ンーア ク チ ン問 接 触 部 位 を探 った 。 この 方 法 を う
19)Elzinga,M.,Phelan,J.J.:Proc.Natl.Acad.Sci.
USA,81,6599-6602(1984)
20)Sasaki,K.,Sakabe,K.,Sakabe,N.,Kondo,H.,
Shimomura,M.:in
Biophysics
Radiation,Abstracts
of
the
and
4th
Synchrotron
International
Conference,p.29(1992)
21)Holmes,K.C.,Popp,D.,Gebhard,W.,Kabsch,
875
,
86
蛋 白 質 核 酸
酵 素 Vol.39 No.5(1994)
W.:Nature,347,44-49(1990)
no,T.,Sasabe,H.,Miyano,K.,Wakabayashi
22)Tomioka,A,.Ribi,H.O.,Tokunaga,M.,Furu-
,
T.:Adv.Biophys.,27,169-183(1991)
平成7年 度 基礎 科学特別研 究員
採 用予 定 人 員:25名
程度
契 約 期 間:連
受 入機 関:理 化 学研 究 所
募集 分 野:物 理 学,化 学,生 物 学(生 物 科 学 ・医 科 学),
工 学 の各 分 野 で,理 化 学研 究 所 で 実施 可能 な
応 募 願 書 の 提 出 締 切:平
Database Center for Life Science Online Service
(火)ま
現 在35歳 未 満 の健 康 な者
力 を有 す る と認 め られ る者 。 日本 国 に永 住 権
必着】
で に 問 合 せ の こ と。
成6年6月1日
(水)】
問 合 せ 先:理
を有 さ ない 外 国 人 に あ っ て は,上 記 に加 え次
化 学 研 究 所 研 究 業 務 部 ・基 礎 科 学 特 別 研 究
員制度担当
の条 件 を満 た す 者 。① 応 募 日現在 で 日本 国 に
〒351-01 在 住 して い る者 で あ っ て,② 日本 国 の大 学 院
Tel.048-462-1111
博 士 課 程 を終 了(見 込 み を含 む)し,博
FAX 048-462-4608
士号
埼 玉 県 和 光 市 広 沢2-1
ext.2461∼2463
Telefax.048-463-3687(直)
を取 得(見 込 み を含 む)の 者。
第45回
タ ンパ ク 質 構 造 討 論 会
時:1994年9月11日(日),12日(月)
所:〒565 大 阪 府 豊 中 市 新 千 里 東 町1-4-2 (地 下 鉄 北 大 阪 急 行 千 里 中 央 駅 下 車5分 講演 申込締 切:5月9日(月)必
千 里 サ イ エ ン ス セ ン タ ー ビ ル5階 な る 点 に つ い て は 具 体 的 に 記 述 し て く だ さ い)を,す
着
(1)講 演 は断 片 的 な研 究 発 表 で は な く,デ ー タが よ く吟
てA4版,400字
味 され て い て活発 な討 論 の対 象 に な り うる もの に限 り ま
相 当 す る 様 式 で 印 字 し て,世
す。 第67回
講 演 要 旨 原 稿 締 切:7月11日(月)
日本 生 化 学 会 大 会(大 阪)の 直 後 です の で,
詰 め 横 書 き原 稿 用 紙 に 記 入,あ
話 人宛 に お送 り くだ さい。
い た し ます 。
に 限 って,討 論 を充 分 に したい と
参 加
費:3,000円(学
生1,500円)
考 え てお ります。 申込 み 多 数 の 場 合,採 否 は世 話 人 に お
要 旨 集 代:2,000円(送
料 込)
任 せ 願 い ます。
懇 親 会 費:4,000円(学
生2,000円)
(3)採 否 につ きま して は,5月
下旬 ま で に世 話 人 よ り講
演 申込人 に直 接 ご連 絡 い た し ます。
を予定 してお り
ます。
吹 田 市 山 田 丘3-2
大 阪 大 学 蛋 白質 研 究 所
蛋 白 質 溶 液 学 部 門 高 木 俊 夫
(5)講 演 申込 み は,発 表 者(講 演 者 に0印),所
先(電 話 お よびFAX番
《い ず れ も予 定 》
申 込 み お よ び 連 絡 先:〒565 (4)講 演 時 間 は,討 論 を含 め て30∼40分
属,連 絡
号 もあわ せ記 入 して ください),講
演 題 目,お よ び要 旨(約1,200字;と
くに討 論 の対 象 と
べ
るいは
詳 細 は採 択 講 演 の 申込 者 に直 接連 絡
だ さ る よ うお願 い します 。
(2)講 演総 数 は約25件
サ イエ ンス ホー ル
Tel.06-873-2010)
同大 会 へ発 表 す る もの と同様 の講 演 の 申込 み はご遠 慮 く
876
年 度所 要
成6年6月15日(水)【
【応 募 書 類 の 頒 布 締 切:平
で,博 士 号 取 得 者 また は これ と同等 の研 究 能
日
間 を 限 度 と し,毎
応 募 し た い 方 は 下 記 に 平 成6年5月31日
研究
応 募 資 格:平 成7年4月1日
場
続 し て 最 長3年
の 評 価 に よ り契 約 更 新
Tel.06-877-5111
FAX 06-876-2533(事
ext.3856
務 室 着 信)
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