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条約解釈に関する二判例 土 屋 茂 樹
151 条 約 解 釈 に 関 す る 二 判 例 月 。。do霞 岳 ↓≦ 0 ﹂且 OΦヨ Φコ庁。。 ∩ Oコ8 ﹁ 三 コ〇 一 コ蚕 ℃﹁簿 。二。コ O哨 ↓﹁ 8 二Φ。・ Qn 露 σqo置 土 屋 茂 樹 か る に パ レ スタ イ ン当 局 お よび 同 地 域 の委 任 統 治 受 任 国 と な った イ ギ リ ス 担 当項 目 の中 で、 特 に条 約 の解 釈 に関 連 す る 二 つ の判 例 を 取 り 上げ て検 討 問題 点 と を明 ら か にす る こと を 目 的 と し た も ので あ る が、 ここ で は筆 者 の は 、 過去 半 世紀 に わ た り、 主 要 な 国 際 判 例 及 び 事 件 を あげ て、 そ の内 容 と 稿 を 加筆 補 正 し た上 で本 紀 要 に発表 す る こと と し た 。 こ の ケー ス ・ブ ック 出 版 が 大巾 に 遅 れ る見 通 し とな った た め、 同 書店 の了 解 を 得 て、 当 初 の原 の掲 載 原 稿 の 一部 と し て執 筆 した も ので あ る が、 諸 般 の事 情 に よ り同 書 の 本稿 は、 有 信 堂 書店 よ り出 版 さ れ る予 定 の ﹁国 際 法 ﹂ ケ ー ス ・ブ ック へ た 。 一九 二 七年 、 ギ リ シ ャは、 イギ リ スが マヴ ロ マチ ス氏 の計 画 の承 認 を け た事 実 は認 めら れ な いと し て、 ギ リ シ ャ の賠 償 要 求 を 却 下 す る旨 判 決 し ロ マチ ス氏 に与 え られ た コソ セ ッシ ョン は有 効 であ る が 、 同 氏 が損 害 を受 年 、 ヤ フ ァに お け る事 業 に つい て は イギ リ スの主 張 を 認 め、 エル サ レ ム に ,お け る 事 業 に つ いて は これ を否 定 し て本 案 審 理 に 入り 、 一九 二 五 年 、 マヴ リ スは 先 決 的抗 弁 に お いて裁 判 所 の 管 轄 権 を 否 認 し た が、 裁 判 所 は 、 同 ド余 の賠 償 金 の支 払 い を要 求 し て、 常 設 国 際 司 法 裁 判 所 に提 訴 した 。 イ ギ 理 由 によ って 、 一九 二 四年 、 ギ リ シ ャは イギ リ スに対 し て二 三 万 四 千 ポ ン は 、 一九 二 ﹁年 以来 、 マヴ ロ マチ ス氏 の権 利 の実 現 を 認 めな か った と いう す る こ と と し た い。 二 つ の判 例 が 年 代 的 にか な り古 いも の であ る の は、 本 遅 ら せ、 事 業 の遂 行 を 妨 害 した と し て、 一= 万 七 千 ポ ンド の賠 償金 を要 求 は じ め に 稿 が 元 来 上述 の よう な 企 画 の下 に執 筆 さ れ た た め であ る 。 ま た、 これ ら の し て再 び裁 判 所 に提 訴 し た。 イギ リ スは これ に対 して も、 先 決 的抗 弁 に お 二、 判 決 えを却下した。 い て裁 判 所 の管 轄 権 を 否 認 し、 同 年 、裁 判所 は これ を 認 め て ギ リ シ ャの訴 判 例 に つい て は、 わが 国 に お い ても 、 す でに優 れ た研 究 が 発 表 され て い る 八 M) 本 稿 に おけ る判 例 の紹 介 及 び 分 析 の方法 は、 筆 者 独 自 の考 え にも と つ く も の で あ る こ と を お断 り し て おく 。 い て、 受 任 国 と 聯 盟 国 と の間 に発 生 す る いか な る紛 争 も 、 交 渉 に よ って解 パ レ スタ イ ン委 任 状 第 二 六 条 は、 , 委 任 状 の条 項 の解 釈 ま た は適 用 に つ ω 第 一判 決 (一九 二四 年 八 月 三 〇 日 ) 一、 事 実 の概 要 e マヴ ロ マチ ス事 件 ギ リ シ ャ国 民 の マヴ ロ マチ ス氏 は、 一九 一四 年 以 来 オ ット ツン帝 国 と の こ で、 本 件 が 本 条 該 当 の紛 争 、 即 ち 受任 国対 聯盟 国間 の紛 争 か否 かが 問 題 決 さ れ得 な い時 は常 設 国 際 司 法 裁 判 所 に付 託 さ れ る" と規 定 し て い る。 そ と な る。 本 件 は元 来 個 人 対 国 家 、 す な わ ち マヴ ロマチ ス氏 対 イギ リ ス間 の 間 に コソ セ ッシ ョン契 約 を 結 び 、 パ レ ス タイ ンに おけ る電 力 お よび 水 道 事 紛 争 であ った。 し かし 、 自 国 民 が 他 国 の違 法 行為 に よ って損 害 を 受 け 、 か 業 に関 す る権 利 を 獲 得 して いた 。 こ れ ら の事 業 は、 第 一次 世 界 大 戦 の為 実 よ って戦 前 の コン セ ッシ ョン契 約 は効 力 を維 持 す る こ とが 認 めら れ た。 し 現 し な か ったが 、 戦 後 七 一ヴ ル条 約 お よ び これ に代 る ローザ ン ヌ 条 約 に 一76一 号 第 り 、 ま た は 国 際 裁判 によ り、 自国 民 に関 す る事 件 を 取 り 上 げ る 時 、 国 家 は の救 済 措 置 を取 り得 る こ と は 、国 際 法 上 の基 本 原 則 であ る。 外 交 手 段 によ つ、 通 常 の手 段 によ って救 済 を得 られ な い 場合 、 本 国 が 彼 を 保 護 す る た め 一九 一六 年 であ り 、 ト ル コ国 王 の認 可 は な さ れ な か った。 従 って こ の コソ 管 轄 権 の範 囲 内 にあ る。 ヤ フ ァに おけ る事 業 に つ いて契 約が 結 ぼ れ た の は 事 業 に つい て は 一九 一四 年 一〇 月 以 前 に獲 得 さ れ た も の であ り、 裁 判 所 の ② 第 二 判 決 (一九 二 五 年 三 月 二 六 日 ) 実 際 には 国家 自 身 の 権 利 を 主 張す る。 そ し て、 国 家 が 自 国 民 に代 って裁 判 所 に事 件 を 付 託 す る 時 は、 こ の国 自 身 が 原 告 であ る。 従 って 本 件 は ギ リ シ ヤ対 イ ギ リ ス の事 件 であ り、 委任 状 第 二 六条 該 当 の紛 争 であ る。 ロー ザ ン ヌ条 約 付 属 条 一二 議 定 書第 九 条 は、 オ ット マ ン帝 国 か ら分 離 さ セ ッシ ョン は委 任 状 第 一 一条 の国 際 的義 務 の範 囲外 であ り、 裁 判 所 の管 轄 権 に属 しな い。 け る 天 然資 源 ま た は公 共 事 業 を、 公 的 に所 有 し また は管 理 す る 完 全 な 権 限 次 に、 委 任 状 第 = 条 によ れぽ 、 パ レ ス タイ ン当 局 は、 当 該 地 域 内 にお 国 民 に対 し て継 承 す ると 規 定 し て いる 。 イ ギ リ スは 、 マヴ ロ マチ ス氏 は コ れ た 地 域を 取 得 し た国 は、 オ ット マソ帝 国 の権 利 お よ び義 務 を他 の締 約 国 ベ ルグ氏 に コソ セ ッシ ョンを 与 え た こと が この義 務 に違 反す る な らば 、 委 る。 パ レ スタ イ ン当 局 は こ の義 務 を 尊 重 し な け れ ぽ な ら ず 、 も し ルー テ ン と の 間 に結 ぼ れ た コ ンセ ッシ ョン契 約 は効 力 を 維 持 す る" こと と な って い れ ぽ、 一九 一四 年 一〇 月 二九 日以 前 に オ ット マソ帝 国 と 本 条 約 締 約 国 国 民 は、 ロー ザ ン ヌ条 約 付 属 第 一二議 定 書 に定 めら れ て おり 、 そ の第 一条 によ 局 が権 限 を持 つと定 め て い る。 本 件 に関 し て も っと も 重要 な 国 際 的義 務 て お り、 こ れ に よ って 設 立 さ れ る 会 社 が 前 記 の 解 釈 に より 、 第 一 一条 の " る 公 的管 理" に服す る こ と は疑 い の な い事 実 であ る。 し か る に 第 一 一条 は、 " 受 任 国 に よ って承 認 さ れ た国 際 的 義 務 に従 って" 、 パ レ ス タイ ン当 権 利 と競 合 す る よう な コン セ ッ シ ョンを ルー テ ンベ ルグ 氏 な る 人 物 に与 え い。 一九 一= 年 、 パ レ ス タイ ン当 局 お よ び イギ リ スは、 マヴ ロ マチ ス氏 の 当 事 国 の共 通 の意 思 に 一致 す る よう な 制 限 的 解 釈 を 採 用 しな け れ ば な ら な は 、両 方 の 本文 を調 和 さ せ得 る よう な 、 ま た 、 そ の限 り にお いて 疑 いな く ケ国語 の本 文 があ り、 一方が 他 方 よ り 広 い意 味 を 持 つ場合 に は、 裁 判 所 公 的機 関 が 、 公 的 に所 有 さ れ て い な い 企業 を引 継 ぎ 、 ま た は これ を 従 属 せ ヨ し め る た め の経 済 的 政策 を意 味 し、 よ り制 限 的 であ る。 同 じ 権 威 を 持 つニ た め に必要 な措 置 を と る 。本 会 社 は こ の た め に 必要 な 補 償 を 支 払 う (要 等 弁 務 官 は 本会 社 が要 請 し た 場合 に は既 存 の コ ン セ ッシ ョンを 無 効 と す る ソ セ ッシ ョンが 本 コン セ ッシ ョン の全 部 ま た は 一部 と 競 合 す ると き は、 高 し、 回 復 不 能 の損 害 を与 え た と 主 張す る 。 同契 約第 二九 条 は、 "既 存 の コ る事 実 が あ り 、 ギ リ シ ャ政 府 は、 この契 約 が マヴ ロ マチ ス氏 の権 利 を 侵 害 パ レ スタ イ ン に おけ る電 力 事 業 に関 す る コン セ ッシ ョン契 約 が結 ぼ れ て い 次 に、 一九 二 一年 、英 国 植 民官 と ルー テ ンベ ルグ氏 な る 人物 と の間 に、 は問 題 と はな ら な い。従 って マヴ ロマ チ ス氏 の有 す る コ ン セ ッシ ョン は有 効 であ り、 第 九 条 の適 用 を 受 け る も のであ る 。 九 条 の "他 の締 約 国 国 民" に 該 当 す る か と いう点 に つい て は、 同 条 は受 益 は認 め る こと が でき な い。 ま た、 ト ル コ人 と誤 認 さ れ て い た 者が 議 定 書 第 た と いう 証 拠 は全 く な い。従 って契 約 は 無 効 で あ る と いう イ ギ リ スの主 張 シ ョン契 約 に お い て、 同 氏 が ト ル コ国籍 を 有す る こ とが 必須 の条 件 であ っ 民 " に は該 当 せ ず 、 本 条 の適 用 を 受 け な いと 主 張す る。 し か し、 コン セ ッ ま た、 ト ル コ人 と 見 な さ れ て いた 者 は議 定 書第 九 条 に い う 、他 の締 約 国国 ソ セ ッ シ ョン契 約 にお い てト ル コ人 と誤 認 さ れ て いた が 、実 際 は ギ リ シ ャ を 有 す る こと と さ れ て い る。 この .公 的管 理" の意 味 は、 仏 文 で は コン セ ッシ ョン の認 可 、無 効 ま た は取 消 をも 含 む広 いも の であ るが 、 英 文 で は、 任 状 第 二 六条 に より 裁 判 所 の管 轄 権 に服 す る。 約 ) " と規 定 し て い るが 、 これ が マヴ ロマ チ ス氏 の権 利 を侵 害 し、 委 任 状 者 の真 の国 籍 を 問 題 と す る も ので あ って、 誤 認 さ れ た国 籍 や 名 目上 の国 籍 人 であ る から 、 これ ら の契 約 は錯 誤 に よ る も ので あ って本 来 無効 であ り、 マヴ ロ マチ ス氏 自 身 の コン セ ッ シ ョンに関 し て は、 エルサ レ ムに おけ る 一77一 1970 20 滋 大紀 要 150 者 の権 利 は そ の ま ま維 持 さ れ る ので あ る 。事 実、 一九 二 四年 五 月 置. 至 り、 ベ ルグ氏 が マヴ ロ マチ ス氏 の コン セ ッシ ョン の収 用 を要 請 しな けれ ば 、 後 第 一・ 一条 に定 めら れ た 義 務 に違 反す る こ と は疑 い な い。 し か し、 ルー テ ン 原 則 と 密 接 に関連 す る のに対 し、 第 六条 は単 な る 例外 規 定 に過 ぎ な い。 従 る 。 ざ ら に、 第 四 条 は戦 前 の コ ソ セ ッシ ョ. ソ の維 持 を 定 め た 第 一条 の基 本 し 、 金融 上 の措 置 も取 って い た事 実 は、 以 上 の こと を 証 明 す る に充 分 で あ あ る 。 マヴ ロ マチ ス氏 は エ ルサ レ ム市 に対し 、・いく つ か の 計 画 書 を 提 出 、 って第 六 条 は制 限 的 に解 さ れ な け れぽ な らず 、 さ もな く ぼ 、 現 実 に事 業 を ル ! テ ソベ ルグ氏 は イ ギ リ ス政 府 に対 し、 マヴ ロ マチ ス・ 氏 の補 償要 求 が 余 第 二 判 決 の結 果 、再 適 用 の交 渉 が 行 われ 、 一九 二六 年 二 月 、 マヴ ロ マチ. し て いな い場 合 に はす べて 不充 分 な 補償 し か得 ら れな い結 果 と な って、 既 り に多額 で支 払 う こ と は到 底 不可 能 であ る から 、 同 氏 の コソ セ ッ シ ョン の ス氏 と 英 国 植 民官 と の間 に新 契 約が 結 ぼ れ た。 同 氏 は こ の契 約 に基 い て パ 収 用 要請 は 行 わず 、 同 氏が エルサ レ ムに お い て事 業 を 遂 行 す る こと に異 議 し か し なが ら、 こ の ル ー テ ンベ ルグ 氏 の書 簡 以前 に、 す で に本 契 約 第 二 レ スタイ ン当 局 に事 業 計画 を提 出 し 、当 局 は 同年 八月 ま で に これ を 承 認 す 得 権 が 侵 され る こと にな る 。 従 って マヴ ロ マ チ ス氏 の コ ソセ ツ シ. ヨ ンに対 ハ お し て は、 議 定 書第 四 条 が 適 用 さ れ る べき であ る 。 九 条 は存 在 し て い た の であ り、・これ が 委 任 状 第 一 一条 に いう国 際 的 義 務 に る か否 かを 通 告 し な け れぽ な ら な か ったが 、 一二 月 に至 っても 通 告 は行 わ って イギ リ ス政 府 も パ レ ス タ ソ当 局 も、.マヴ ロ マチ ス氏 の コソ セ ッシ ョン 違 反 す る かが 問題 であ るコ そ し て ルー テ ソ ベ ルグ 氏 が 収 用 要請 の権 利 を持 れ な か った 。 ギ リ シ ャ政 府 は 、 こ の こと が委 任 状 第 一一条 の国 際 的 義 務 の 、 を 申 し立 てな い旨 の書簡 を 送 り、 イ ギ リ ス政 府 も これ に同 意 し て いる 。 従 つ以 上 、 本 条 は 明 ら か に国 際 的 義 務 に違 反 す る。 しか し、 々 ヴ ﹃ マチ ス氏 第 二判 決 に お い て明 ら か にな った よう に、裁 判 所 は受 任 国 が委 任 状 第 一 一 ③ 第 三判 決 (一九 二七 年 一〇 月 二 日 ) の権 利 は維 持 さ れ た の であ り、 同 氏 も 平 時 状 態 が 回 復 す る ま で (同一 ザ ソ 条 に い う国 際 的 義 務 に違 反 し たか に つ いて 、 第 二 六 条 に よ り 管 轄 権 を 有 す を収 用 す る こ と は 不可 能 であ る 。 ヌ条 約 及 び 第 一二議 定 書 の発 効 は 一九 二 四 年 八 月 ) 、 事 業 遂 行 の中 止 を 希 ず 望 し、 当 局 に認 めら れ て いた 。従 って損 害 は蒙 って いな い と考 えら れ る 。 の行 使 の結 果 と し て 生 ず る こと は 明 ら か であ るが 、 こ の場 合 に の み裁 判 所 第 一、 第 二 判 決 によ り、 い わゆ る 臣ーザ ン文 条約 違 反 はす べ て こ の権 限 公 的 に所有 し ま た は管 理 す る完 全 な権 限 を 定 め て い る。 る ので あ る 。第 一 一条 は、 パ レ スタ イ ン当 局 が 天 然 資 源 ま た は公 共 事 業 を 違 反 であ り 、ーマヴ ロ マチ ス氏 に損害 を与 え た と 主 張す る。 し か し、 第 一、 最 後 に、 第 一二 議 定 書 第 四 条 ば、 、 第 六 条 の規 定 を留 保 し て、 第 一条 に 該 当 す る契 約 お よび そ の後 の協 定 は 、 合 意 によ り両 当 事 者 に対 し て新 し い 経 済 状 態 に適 用 さ れ ね ぽ な ら な い" と 規 定す る。 第 六 条 は 、 "第 一条該 当 の コン セ ッシ ョン契 約 の受 益 者 が 本 議 定 調 印 の日 に適 用 を 開始 し て い な い は委 任 状 第 二 六 条 に より 管 轄 権 を 持 つ。 時 は、、こ の契 約 の 受 益 者 は 、 (契 約 )再 適 用 の 規 定 を 利 用 し 得 な い" と し 、 こ の 場 合 に受 益 者 は 六 ケ月 以 内 に契 約 を 解 除 し て、 調 査 に要 し た費 用 し 、 、公 的管 理 " の 為 の完 全 な権 限 で はな い。 ま た、 マヴ ロ マチ ス氏 の計 す べ て公 共 的 サ ー ビ スを 委 ね ら れ た私 的 企 業 に関 す る 行 政権 の範 囲内 に属 を 主 張 し 得 ず 、 調査 費 用 の補 償 を請 求 し得 る に過 ぎ な い と主 張 す る。 し か 画 に対 す る 承 認 の遅 延 も 、 "公 的 管 理 " の為 の 完 全な 権 限 の 行使 で は な い。従 って、 本 件 は 裁 判 所 の管 轄 権 に属 し な い 。・ 今 回 の新 契 約 で は、 当 局 に多 く の権 限 が 留 保 さ れ て は いる が、 これ ら は し 、第 六 条 の 草 案 は " 遂 行 の開 始 " であ った も のが 、 最 後 に "適 用 の開 の補 償 を請 求 し得 る と定 め て いる 。 イギ リ スは、 マヴ ロ マチ ス氏 は 本 条 約 始 " と 変 えら れ た こと か ら 見 ても 、事 業 そ のも ので は な く、 契 約 条項 に お 一 二、 問 題 占描 調 印 の時、 事 業 の遂 行 に着 手 し て いな い か ら、 第 六条 に より 再 適 用 の権 利 け る何 ら か の行 為 が な さ れ て い九 ぽ 、 " 適 用" は開 始 さ れ た と見 る べき で . 一78一 149 條約解釈に関する二判例(土 屋) O 号 第 ① 本 件 で は、 個 人 が 他 国 から 損 害 を 受 け 、 か つ通 常 の 国内 救 済 手 段 に の地 域 から フラ ン ス領 モ ロ ヅ コの輸 入 に は適 用 さ れ な か った。 従 って、 一 五〇 年 一〇 月 二 八 日、 フラ ン スは、 総 監 命 令 は有 効 であ る こと 、 モ ロッ コ メリ カは こ の差 別が 条 約 上 の権 利 を侵 害 す るも の であ ると 主 張 した 。 一九 自 身 の権 利 と し て行 わ れ る も の であ り 、 そ の結 果 、 個 人対 国家 の事 件 は 国 にお け る 米 国 民 は こ の命 令 に服 す べき であ る こと を 主 張 し て、 国際 司 法 裁 け 判 所 に提 訴 し た 。 二 月 三〇 日 の総 監 命 令 は フラ ン スに有 利 な 差 別 を 包 含 す る も の であ り 、 ア 家対 国 家 の事 件 に変 化 す る こと が 明 ら か にさ れ た 。 よ って解 決 が 得 ら れ な い時 は、 本 国 が 彼 の為 に必要 な措 置 を取 り得 ると い ② 次 に 条 約 の解 釈 に お い て、 同 じ 権 威 を 持 つニ ケ国語 の本 文 が あ り、 二 、 判 決 , う 、 いわ ゆ る外 交 的 保 護 の原 則 が 確 認 さ れ た 。 そ し て こ の保 護 措 置 は国 家 両 者 の間 に 不 一致 が あ る時 は、 両 者 を 調 和 さ せ 得 る よ う な制 限 的解 釈 が 採 ω 裁 判 所 は 、 一九〇 六年 四 月 七 日 の ア ル ヘシ ラ ス議 定 書 に より 、 モ ロ り 、制 限 的 解 釈 の 一般 的 な 妥 当 性 を 述 べ たも ので な いと 解 す べき であ ろ は考 え ら れ な い。 従 って 本 判 決 の意 義 は 、 調 和 の原則 を 強 調 し た 点 に あ べき であ る と 云 い得 る のみ であ って、 常 に制 限 的 解 釈 を 採 用 す べ き も のと の本 文 に不 一致 が あ る 時 は 、 出来 得 る限 り両 者 を 調 和 さ せ る よ う に 解釈 す 妥 当 と いえ よ う 。 し か し 一般 的 な解 釈 方 法 の問 題 と し て見 る な ら ぽ 、 二 つ に対 し ても 享 有 す る。 これ ら の考慮 によ り、 一九 四 八年 一二月 三〇 日 の総 も 与 えら れ て おら ず 、 他 の諸 国 は 経 済 的 平等 の権 利を 保 護 国 た る フラ ン ス さ ら に、 フ ラ ン スは 一九 一二年 の保 護 条 約 に お い て、 い か な る経 済 的 特 権 し ても 、 一九 一八 年 = 月 一四 日付 の覚 書 に よ り これ を 保 証 し たと す る。 る に先 立 って 、 フ ラ ン スは こ の経 済 的自 由 を 各 国 に保 証 し、 ア メリ カ に対 る こと を 指 摘 す る 。 そ し て 、 一九 一二年 に モ ロ ッ コと の保 護 関 係 を 確 立 す は、 一九 世 紀 に締 結 さ れ た 諸 条 約 によ ってす で に確 立 され て い たも の であ ッ コに おけ る 経 済 的 自 由 が 確 認 さ れ て いる こと 、 こ の経 済 的 自 由 の原 則 , 用 さ れ る べき であ る と さ れ た。 本 件 で は パ レ スタ イ ン に関 す る イ ギ リ ス の 5。 噌 監 命 令 は、 フラ ン スま た は フ ラ ン ス連 合 の他 の地 域 か ら輸 入 と、 ア メリ カ 義 務 が 問題 で あ り、 そ の限 り で は制 限 的 な 英 文 の解 釈 が 採 用 さ れ た こと は と例 外 的 規 定 と の関 係 等 、 多 く の示 唆 に富 ん だ問 題 が 取 扱 われ て い る。 し ㈲ そ の他 、 コン セ ッシ ョン の再 適 用 、補 償 の範 囲 、 条 約 の基 本 的 規 定 か ら の輸 入 と を 差 別 す る も ので あ る か ら 、 ア ル ヘシラ ス議 定 書 に よ って取 レ 得 さ れ た ア メリ カ の権 利 を 侵 害 す る も の であ る と 判決 す る 。 範 囲 に つい て検 討 す る。 フラ ン スの主 張 は、 モ ロ ッ コにお け る 米 国 民 の特 ② 次 に判 決 は、 フラ ン ス領 モ ロッ コにお け る ア メ リカ の領 事 裁 判 権 の か し、 も っと も 意 義 の深 いも のは、 調 和 の原 則 に関 す る前 記 の第 二 点 に関 す る部 分 であ ると いう こと が 出 来 よ う 。 ⇔ モ ロ ッ コに おけ る米 国 民 の権 利 に関 す る事 件 ロ ッ コの フ ラ ン ス地 域 への金 以外 の輸 入が 禁 止 さ れ 、 翌 一〇 日 の総 監 命 え て 、 ア メリ カ は最 恵 国条 項 と 慣 習 ・慣 行 に より 、 モ ロー ッ コに お い て、 米 は 米 国 民 間 の 一切 の事 件 に つい て の民 事 ・刑 事 の裁 判 権 であ り、 これ に加 メリ カ は、 一七 八 七年 と 一八三 六年 の条 約 で ア メリ カ に与 えら れ た 裁 判 権 一、 事 件 の 概 要 令 によ り 、 通 貨割 当 て の な い輸 入 は特 別 許 可 を 要 す る こと と な っ た 。 一 国 民 ま た は 米 国 の保護 下 に あ る 者が 被 告 と な るす べ て の事 件 に お い て裁 判 に 限 定 さ れ、 第 二 四 条 の最 恵 国 条 項 は、 現 状 では 援 用 し 得 な いとす る 。 ア 九 四 八 年 三 月 一 一日 の総 監 命 令 は こ の輸 入禁 止 を 解 除 した が、 同年 一二月 権 は 、 一八 三 六年 九月 一六 日 の ア メ リ カ ・モ ロ ッ コ条 約 の第 二〇 、 二 一条 三 〇 日 の命 令 で これ を 撤 回 し、 そ の結 果 、 通 貨 割 当 て のな い輸 入 は再 び許 権 を 持 つと す る 。 そ し て こ の裁 判権 は、 一九 三 七年 の英 国 の裁 判 権 放 棄 に 一九 三 九年 九月 九 日、 モ ロ ッ コ国 王 勅 令 と フ ラ ン ス総 監命 令 に よ り、 モ 可 制 の下 に置 か れ た 。 但 し こ の制 限 は、 フラ ン スまた は フラ ン ス連 合 の他 一79一 1970 20 滋 大紀要 148 ■ い と主 張 す る。 影響 され ず 、 ア メリ カ に よ って明 示 的 ま た は黙 示 的 に放 棄 さ れ た こと は な ア メ リ カも フ ラ ン ス地 域 で の裁 判権 を持 つ権 利 が あ ると いう 。 し か し、 こ ア メリ カ は 、 スペ イ ンが フラ ン スと の 一九 一二条 約 お よ び 一九 一四 主 張 の根 拠 と す る 。 す な わ ち 、欧 米 諸 国 と回 教 諸 国 と の間 の条 約 にお け る 約 規 定 が廃 止 さ れ た後 に 於 て も、 独 立 の権 利 と し て存 続 す る こと 、 を そ の 行 為 で あ って 、 こ の条項 に よ って援 用 し得 る特 権 は、 そ の淵 源 と な った 条 な い こと、 モ ロッ コの よ う な国 と の条 約 に おけ る 最 恵 国 条 項 は 一種 の立法 一 ア メリ カ は、 モ ロ ッ コ法 が 属 人 法 的 性 格 を 有 し 、外 国 人 に適 用 し得 後 も 可能 か 否 か が 問題 と な る)。 国 条項 に よ って こ の裁 判 権 を援 用 し て い た。 これ が イ ギ リ ス の裁 判権 放 棄 な い。 本 議 定 書 には 、 領 事 裁 判 権 の 行 使 を 当 然 に含 む 規 定 が あ り、 特 定 確 立 し、 ま た は 治 外 法 権 を確 立 し ま た は治 外 法 権 を確 認 す る規 定 は存 在 し に よ っても 確 認 さ れ て いる と いう 。 し か し 、本 議 定 書 に は、 領 事 裁 判 権 を V は、 "モ ロ ッ コに おけ る 保護 権 行 使 の確 保 と、 そ れ に関 連 す る諸 問題 の解 け 決 " であ り 、 裁 判 所 は そ の範 囲 を 越 え た 解釈 を す る こ と は で き な い。 の条 約 には 、 明 示 的 に は こ のよ う な 確 認 を し た 規 定 は な い 。本 条 約 の 目的 は、 最 恵 国 条 項 と 無 関 係 に こ の裁 判 権 を獲 得 し た と 主張 す る 。 し か し、 こ る広 範 囲 の領 事 裁 判 権 が 確 認 さ れ 、 そ の結 果 、 条 約 当 事 国 た る ア メリ カ W ア メリ カは 、 一八 八○ 年 の マド リ ッド 条 約 に よ り、 モ ロ ッ コに おけ ン ス は保護 国 の権 利 と し て これ ら の取 極 め を結 ん だ の であ り、 スペ イ ンの 権 利 は法 的 にも 消 滅 し て いる と 解 す べき で あ る 。 が 廃 止 さ れ た 後 に、 裁 判権 を再 建 す る権 利 を 持 つ にすぎ な い。 ま た、 フラ 張 す る こと が 出 来 な く な って いる 。従 って 、 ア メリ カ は、 こ れ ら の取 極 め 存 在 す る と いう 。 し か し 、 スペ イ ンは、 一九 一四 年 以 来 、 領 事 裁 判 権 を主 コは これ ら の取 極 め の当 事 国 で は な く 、従 って スペ イ ン の特 権 は法 的 に は 年 の共 同 宣 言 によ って、 フラ ン ス地 域 で の治 外 法 権 を放 棄 し たが 、 モ ロ ッ 皿 れ は ア メ リ カが フ ラ ン ス地 域 に お い て、 イ ギ リ ス の有 し な い裁 判 権 を 持 つ お こと にな って、 平 等 の原 則 に反 す る 。. 第 一に、 ア メ リ カは 、 米 国 民 ま た は 米 国 の保 護 下 にあ る 者相 互 間 の紛 争 に つ い て、 領 事 裁 判 権 を 認 め た 一八 三 六 年 条 約 の第 二〇 条 は、 民 事 ま た は 刑 事 のす べ て の紛 争 に適 用 さ れ る と 主 張 し 、 フラ ン スは、 本 条 は私 人 間 の 民 事 事 件 に限 定 され ると す る。 本 条 約 締結 に先 立 ち、 モ ロ ッ コは諸 外 国 と の 条約 に お い て、 民 事 、 刑 事 の紛 争 を 共 に包含 す る た め に 、紛 争 " と いう 言 葉 を 用 い て い る。 ま た 、 こ の条 約 が 締 結 され た 当 時 、 モ ロ ッ コで は民 事 、 刑 事 の区 別 が 発 達 し て いな か った 。 従 って 本 条 の " 紛 争" は、 民 事 、 ( 13) 刑 事 の両 方 の事 件 に関 す るも のと 解 す べき であ る 。 よ って取 得 さ れ たも の であ り、 こ の裁 判 権 は、 イ ギ リ ス の 一九 三 七年 に お ア メリ カ側 の主 張 の第 二 点 は、 領 事 裁 判 権 は 最恵 国 条 項 と慣 習 ・慣 行 に け る裁 判 権 放 棄 に よ っても 影 響 さ れ な いと いう こと であ る。 (イ ギ リ スは 最 恵 国 条 項 は 、 欧米 諸 国が 出 来 る限 り広 範 な特 権 を 獲 得 す る た め に企 て ら の問 題 は領 事 裁 判 所 によ って 処 理 さ れ る こ とが 意 図 され て い る こ と は明 ら 一八 五 六年 の条 約 に よ って広 範 な 裁 判 権 を 獲 得 して おり 、 ア メリ カ は 最恵 れ た も ので あ り 、通 常 の最 恵 国条 項 と は異 な る性質 のも の であ って、 これ 皿 ア メリ カ は、 イ ギ リ スの裁 判 権 放 棄 は フ ラ ン ス地 域 に限定 さ れ、 ス う 。 し か し 、最 恵 国 条項 の 目 的 は す べ て の 国を 平等 に 待 遇 す る こと にあ け り 、 ア メリ カ の主張 は こ の平 等 の原 則 に反 す る も の であ る 。 一五 〇 年 間 の慣 習 、 慣 行 で あ る 。 し か し、 こ の期 間 を通 じ て、 ア メ リ カ の 主 張 す る 。 第 一は 、 イ ギ リ スが 裁 判権 を放 棄 し た 一九 三 七 年 に至 るま で の M ア メリ カは 、 モ ロッ コに お け る治 外 法 権 は、 慣 習 と慣 行 と に基 く と ア メ リ カは 、 モ ロッ コにお け る 領事 裁 判権 は、 ア ル ヘシラ ス議 定 書 によ って援 用 さ れ た特 権 は、 援 用 の時 から 独 立 の権 利 と し て 存在 す る と い か であ る。 そ の範 囲 内 に お い て、 ア メ リ カ は 領 事 裁 判 権 を 持 つが 、 本 議 い 定 書 が 完 全 な 領 事 裁 判 権 を包 含 す る と 解釈 す る こ と は不 可 能 であ る。 ペイ ン地 域 で は ま だ裁 判 権 が 維 持 され て い る から 、 最恵 国 条項 に よ って、 一80一 147 條 約解釈に関す る二判例(土 屋) 号 第 権 を 行 使 し て いる が 、 これ は モ ロッ コが 黙 認 し た暫 定 的 事 態 と 解 す べき で ア メ リ カ は 米 国 民 が 被 告 であ る 一切 の民事 ・刑 事 事 件 に お い て領 事 裁 判 スが 裁 判 権 を 放 棄 し た 一九 三 七年 以後 の実 行 であ るつ こ の期 間 に お い て﹂ 手 国 を 拘 束 す る 程 度 ま で に確 立 し て い た と いう 証 拠 も な い 。 第 二 は 、イギ リ く も の であ り 、 慣 習 ま た は 慣 行 に基 く も ので は な い。 か つ、 こ の慣 習 が 相 権 利 は 一七八 七 年 ま た は 一八 三 六 年 条 約 の諸 規 定 、 お よ び最 恵 国 条 項 に基 本 議 定 書 は厳 格 な 課 税 規 定 を 定 めて いる わ け で は なく 、 課 税 価 格 は税 務 当 基 い て課 税 す る こと は本 議 定 書 およ び 国 際 法 に違 反す る と い う。 し か し、 ア ル ヘシ ラ ス議 定 書 第 九 五 条 に定 めら れ て お り 、 モ ロ ッ コで の市 場 価 格 忙 メリ カ国 内 で の価 格 と モ ロ ッ コま で の輸 送費 を 加 え たも の とす る こと が 、 ㈲ ア メリ カ の反 訴 の最 後 の主 張 は、 ア メリ カ か ら の輸 入 品 の価 格 を ア ( 22) 問題 と な る の は関 税 であ って、 消 費税 は 条 約違 反 と は な ら な い。 一 二、 問 題 占⋮ あ る。 従 って、 一八 三 六 年 条 約 第 二〇 、 二 一条 お よ び ア ル ヘシ ラ ス議 定 書 の規 定 に該 当 す る 場 合 を 除 き 、 ア メリ カ の治 外 法 権 は 一九 三 七 年 のイ ギ リ に スの特 権 放 棄 の日 を 以 て終 結 し た と 判 決す る。 め て多 岐 にわ た る問 題 を 取 扱 ってお り 、 条 約 の解釈 に関 し て も多 く の問 題 本 判 決 は、 保 護 国 関 係 、 慣 習 ・慣 行 への法 的 拘束 力 の付 与 等 に つ い て極 局 に よ り合 理 的 に決 定 さ れ る べ き で あ り、 原産 地価 格 と モ ロ ッ コ市 場 価 格 お と は共 に評 価 の要 素 と な る 。 と は な いと いう ア メリ カ の主 張 を検 討 す る 。 い わゆ る "同 意 権" と は 、領 ③ 次 に判 決 は、 米 国 民 は ア メリ カ の同 意 な し に モ ロ ッ コ法 に服 す る こ た条 約規 定 が 廃 止 され た後 に於 ても 、 これ に よ って援 用 し た権 利 を主 張 す 時 に予 見 し得 な か った 権 利 を 創 設 す る こと で は な い。 従 って、 淵 源 と な っ は、 あ る国 家 内 に おけ る 諸 外 国 民 の平 等 待 遇 の保障 で あ って 、 条約 締 結 当 に つ いて の ア メリ カ の主 張 を 否 定 し た こと であ ろう 。 最 恵 国 条 項 の目 的 て、領 事 裁 判 所 の権 限が 限 定 され て い る こ と はす で に明 ら か にさ れ た 。 一 行 す る た め に領 事裁 判所 の介 入が 必要 な範 囲 に お い て の み存 在 す る 。 そ し る こ と は最 恵 国 条 項 の本 来 の目 的 に 反 す る結 果 と な る。 モ ロ ッ コの よう な 点 に つ いて検 討 し て い るが 、 も っと も 重要 な のは 最恵 国 条項 に関 す る解 釈 般 に は 三 つの 場 合が 問題 と な る。 ω 米 国 民 への モ ロ ッ コ法 .適 用 が 条 約違 反 国 と の条 約 に おけ る 最 恵 国 条 約 は 一種 の 立 法 で あ り、 こ れ に よ って援 用 さ み、 モ ロ ッ コ法 を適 用 す る ことが 出来 る 。 こ の 同意 権 は、 モ ロ ッ コ法 を 実 と な る 場 合 。 ア メリ カ の 同意 が な い時 は国 際 法 違 反 と な る。② モ ロ ッ コ法 事 裁 判 制 度 の コ ロラ リ ーに 過 ぎず 、領 事 裁 判所 は本 国 が 同 意 した 場 合 に の 実 行 のた め に領 事 裁 判所 の協 力 が 必 要 な場 An。 条 約 違 反 と は 関 係 な く ア メ れ た権 利 は独 立 の権 利 と し て 存 在 す る と いう ア メリ カ の主 張 は、 先 進 国 に よ る恣 意 的 解 釈 であ って充 分 な 理 論 的根 拠 を有 し な いと いう べき であ る。 注 ω 横 田 喜 三 郎 ﹁国 際 判 例 の 研 究 ﹂ (一九 三 三 年 ) 皆 川 泌 編 ﹁国 際 判 例 要 録 ﹂ リ カ の 同意 が 必要 であ る。 ③ 領 事 裁 判 所 と は関 係 のな い モ ロッ コ法 の米 国 民 への適 用が 条 約違 反 と なら な い場 合 。 ア メ リ カ の同意 は必要 で は な い。 従 って ア メリ カ は、 フラ ン ス地 域 に おけ る米 国 民 への モ ロッ コ法適 用 に り は、 す べ て ア メリ カ の同 意 が 必 要 であ ると 主 張 す る こと は 出 来 な い。 幻8 器 = 自Φω ﹀ 護 ⑪爵 (一九 六 二 年 ) 高 野 雄 一編 ﹁国 際 司 法 裁 判 所 ﹂ (一九 六 七 年 )。 冒 o只 一 Φ器 ロ①ω け蠢 くpロ× ①け ω①︻く一 8 ω ら三 一 一諄ひ 05 pロ 8 茸 円2 Φ ℃目げ一一 〇 α① 8 ロ一①ω 一 Φω 、 . 窪 噌p 覧 。ヨ ω ℃o葺くo冒ω ℃oロ﹃ 勺費 目 p 。旨き け① 山① 冒 巴 8 位 冨 ロO﹂ G。∼ b。O⋮ 委 任 状 第 一 一条 の 仏 文 は O。g ② ヨ芦 ρロ9三 冒ロげ一一ρqo αΦず ひ雪 げ一冨 oロ 帥 馬 蝉 9三 一残、 .英 文 は 、 、 . ωぎ ︼一葺 くΦ hロ一一 ℃o≦①﹃ ﹁①ωωo自﹃8 ω コ9葺 ﹃Φ=⑦ω α撃 ℃9団ω. 8 αひ9 α興 ㈲ 一算 Φ﹁昌碧 凶oづ巴 ρ ω驚 δ ︾I Z 。b.や 這 寄 げ一 8 豊 o口 山① 冨 ペ イ ン に保 証 さ れ た 課 税 から の免 除 は 、 米 国 民 に適 用 さ れ る べき であ り、 ω ア メ リ カ は、 そ の反 訴 に お い て、 最 恵 国 条 項 によ り 、 イ ギ リ スと ス メリ カ の特 権 は継 続 す る と 主 張 す る。 し か し 、 領事 裁 判権 の 場合 と同 様 こ す で に述 べ た理 由 に より 、 イ ギ リ スと ス ペイ ンが権 利 を放 棄 し た後 も 、 ア の主 張 は認 め ら れな い。 また 、 ア メ リ カは 、 一九 四 八年 二月 二 八 日 の勅 令 に よ って課 せ ら れ る消 費 税 は、 条 約 義 務 違 反 で あ る と 主 張す るが 、 条 約 上 一81一 1970 20 滋大 紀要 146 決 で は、 総 監 命令 の有 効 性 と 並 ん で 、 領 事 裁判 権 の範 囲 、 裁 判 権 の根 拠 、 モ ロ よう とす る フラ ン スとが対 立 し 、 フラ ン スの提 訴 に至 った の であ る。 従 って判 oh 芽 Φ 暴 言 茜 一 8 只 o︿置① ま吋 ε げ一 一 〇 〇≦器 窃三 b o﹃ 8 韓 腕巳 oh p。蔓 ッ コ法 適 用 に 関 す る ア メリ カの同 意 の要 ・不要 、, 課 税 免 除 、課 税 基 準 、等 の多 ッシ ョンは 、 これ に服 し な いこと にな る 。 し か し、 . . oo⇒窪 9、 .は 、私 企 業 に関 と い う表 現 を 公 的 企業 に の み 限定 すれ ば 、 後 述 の ル ー テ ンベ ルグ 氏 への コンセ 企 業 を 接 収 し 、ま た は これ に 干渉 す る手 段 を意 味 す る 。 も し 、 、 B 三一 〇〇8 霞oり、 、 、 ℃ロげぎ o≦昌Φ屋三 〇、 .と の 関 連 にお いて 用 いられ る . 、 8 算 ﹃9、 .は 、 当 局 が 私 と公 共 事 業 に関 す る 〃公 的 所 有 " ま た は "公 的 管 理 " の 取 得 を 意 味 す る。 ⑯ 一 げ一 α●Oワ 一 ΦG。∼ お 9 ⑮ ま 乙 ●OO・ 一 8 ∼ H8 . bP ω謡 ∼巽 ¢) oh Z暮 一 〇爵 一 ω oh 目冨 ⑭ 一 σ凶 F 署 ・ 一 〇H ∼ お P (≧ 。・oω8 "一 e ⑬ 凶 げ一 α﹂ Q◎Q。∼ 一 c。P ' ∼一 〇 Q9 二σq犀 ω 冒 ζo目08 P <o一 . H コo巴 一 コσQω⋮ 9 ω ① 8 昌8 同巳 凝 唱 ・ H器 ①ω雷巨 δ冨 q o﹃ 8 げo ①ω欝げ一 同 ω冨 角 、であ る 。 仏 文 に よれ ば 、 当 局 は 天然 資 源 す る 国家 の何 等 か の行 為 の形 態 を 示 す為 にも 用 いら れ る。 こ の場合 にも 、 公 的 ω 一 げ一 α・℃. HΦ9 幻8 。ユω oh 一& σqΦヨ⑦導 ω"H 導 Φヨ m仲 一 8 巴 O。葺 け。h日露ω一 一 8 ﹂ O賛 機 関 のす べ て の行 為 を意 味 す る ので は なく 、 私 企 業 を公 的 機 関 に 従 属 せし める ⑫ く の問 題 が 取 扱 わ れ た。 器ω o霞 8 ω oh夢 Φ 8 口導 蔓 o同oh島 ① 切賃三 一 〇 ≦o﹁ 訴 .ω ①﹃︿一 8ω £。昌儀9 一 一 詫凶 Φω と公 共 事 業 に関 し 、 公 的 所 有 と あ ら ゆ る 形 態 の管 理 に関 す る 、す べ て の決 定 を よう な 経済 的 政 策 と 関連 す る手 段 を意 味 す る。 この 英文 の表 現 のよ り広 い意 味 ⑲ ま 一 9 b戸一 8 ∼卜。O一● ㈹ ま 置 ・Oロ. 一 ミ ∼お c◎. 行 なう 権 限 を 有 す る こ と にな る。 英 文 で はよ り制 限 的 な 意味 とな り 、 天 然資 源 が、仏文 の 、 . 8葺 H 2Φ bβげ嵩o. .を無 効 と しな い 唯 一のも の であ る と 判 決 は述 d 巳一 ①α ω冨仲Φω oh >日 ①ユ8 べ て いる。 この問 題 は、結 局 、 . oo鼻 8同.と . . 8 コ實2Φ. 、の ニ ュア ンス の違 いか ⑳ 一 げ一 拝 リリbOω∼baミ ・ ⑳ 帥 げ凶 q・℃Ob8 ∼ 卜。Oω■ 一 げ乙 .℃b這 ● ら 来 る も の で 、容 易 に理解 出 来 るも ので は な い。 - ⑳ ω こ の コ ンセ ッシ ョンは 、 委 任 状 第 四条 及び 第 一 一条 二項 に規定 さ れ た ユダ ヤ 人機 関 Qo≦一 ωゴ ﹀σ qΦ昌o寓) と の合意 の下 に、 パ レ スタ イ ン高 等弁 務 官 に よ って 結 時 に存 在 す る諸 外 国 の特 権 を 一々列 挙 す る手 数 を 省 く た め に 、 最 も 広範 囲 の 侯 が ヨー ロッパ諸 国 に 認 め た こ と に始 ま る と 云 われ て いるが 、 元 来 は 、条 約 締 最 恵 国 条 項 の歴 史 は 一二 世紀 か ら = 二世紀 に かけ て、 北 部 ア フ リ カの回 教 諸 承 認 さ れ る こ と にな って い た。 こ の ユダ ヤ人 機 関 は 、 経 済 ・社会 問題 に関 して 特 権 を有 す る 国 と同 一の待 遇 を 確 保 す る 旨 の条 項を 条 約 に含 め て 、 そ の目的 を パ レ スタ イ ン当 局 に助 言 ・協 力 す る こと を 目 的 と す る 公 的 機 関 で あ り、 当 局 は 直 接 、 又 は この機 関 を 通 じ て 経 済 政策 を遂 行 す る の であ る。 ルー テ ンベ ルグ 氏 現 わ れ たも の であ って 、 元 来 無 理 な 理論 構 成 で あ ったと いう ことが 出 来 よう。 は 疑 いのな い事 実 であ り 、 `特 に モ ロッ コの よう な 国 と の 条 約 にお け る場 合 に の み 例 外 を認 めねば な ら ぬ理 由 は見 当 ら な い。 後 進 国 の国 内 法 制 上 の 不備 を 口実 と し て 獲得 し た領 事 裁判 権 を、 他 国 が 相次 い で放 棄 し た後 に お いて も な お維 持 し ょ う と し た ア メリ カ の企 てが 、 最 恵国 条 項 を 一種 の 立 法 と す る 主 張 とな って (δ 一℃δ巴 貯σqω⋮o℃・o#・"⇔δ ) し か し、 そ の発 端 が ど のよ う なも ので あ っ た に せ よ 、 現 代 にお け る最 恵 国 条 項 が諸 国 民 の平 等 待遇 を そ の目 的 とす る こと 最 恵 国条 項 は、 元 々権利 の永 久 化 を 目的 とす る も の であ って 、 平 等 待 遇 を 目 的 と す る欧 米 諸 国 間 の 条 約 にお け る 最 恵国 条 項 と は 性 質 を 異 にす る と 主 張 す る この よう な 歴 史 か ら 、 ア メリ カは 、 欧 米 諸 国 と回 教 諸 国 と の間 の条 約 にお け る 権 の みな ら ず 、 将 来 他 の国 に与 え られ る べ き特 権 ま で 包 含 す る こ と とな った。 諸国 相互 間 にも認 め られ る よ う に な り、 そ の内 容 も 条 約 締 結当 時 に存 在 す る特 達 し よう と す るも の であ った 。= 五世 紀 以 降 、 最 恵 国 条 項 は 次第 に ヨー ロッパ の コン セ ッ シ ョンは こ の方 法 で〃 公 的 管 理" に服 す る こと にな る。 句 曲 げ一 9 bロb刈∼鵠 . 署 . 旨 ∼鎚 ・ ⑯ 幻8 ロΦ= αΦω碧 み けωいZ 。 朝・ロOb㊤∼ ωP ω 一 げ一 山・弓"bbQ∼ 窃 ・ 幻8 ロΦ= α。ω碧 み 仲ω⋮Z 。 F ㈲ 一 玄 α・石弓躯①∼㎝ρ ⑨ ㈹ 条 約 法 に関 す る ウ ィー ン条 約 第 三 三 条 4参 照。 こ の原 案 と な った 国 連 国 際法 委 員 会 条 約 法草 案 第 二九 条 3 の審 議 に お いて 、 本 件 は調 和 の原 則 の 先 例 であ る こ とが 強 調 さ れ て いる 。 ( 小 川 芳 彦 訳 ﹁国 際 法委 員 会 条約 法 草 案 の コメ ン タリ 本 件 の発 端 は総 監 命 令 の有 効性 に関 す る 両 国 の対 立 であ る が 、 根 本 的 に は 一 一 (三)﹂法 と 政治 第 一九 巻 第 四 号 、 一三 六一 七頁 )。 ㈲ 通 商 の自 由 と に関 し、 これ を 継 続 し よう と す る ア メ リ カと 、 制 限 又 は撤 廃 し 八世 紀 以 来 ● モ ロッ コに お いて 維 持さ れ て来 た アメ リ カ の特 権 i 領事 裁 判 権 1 一82一 145 條 約解釈に関す る二判例(土 屋)