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蛋白質核酸酵素:腫瘍マーカー抗体による診断と治療

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蛋白質核酸酵素:腫瘍マーカー抗体による診断と治療
して腫瘍マーカー抗体による診断と治療塚田
腫瘍 マーカ
裕ー抗 体 が 癌 の診 断 と治 療 に いか に利 用 され て い るか を, 治 療 に 力 点 を 置 い て
述 べ た 。AFP,
CEAに
始 ま り各 種 の 腫 瘍 マ ー カ ーに 対 す る抗 体 が, 放 射 線 また は 酵 素 標 識
され て, 血 清学 的, 組 織 化 学 的 に あ る い は画 像 診 断 用 と して利 用 され る と同 時 に, 単 独 あ
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る い は制 癌 剤, 毒 素 な ど を標 的 腫 瘍 へ と運 ぶ 担 体 と して利 用 され て い る。 抗 体 の適 切 な選
択 法 お よび制 癌 性 物 質 と腫 瘍 マ ー カ ー抗 体 との複 合 体 の作 製 法 と, そ の 制 癌 効 果 につ い て,
最 新 の知 見 を 網 羅 し, そ の 特徴 を 紹 介す る と とも に, 今 後 の 展 望 と して ヒ ト型 モ ノ ク ロー
ン抗 体 を利 用 した研 究 の重 要 性 に触 れ た。
は じめ に
腫 瘍 マ ー カー とは 『
腫 瘍に よ り生 合 成 さ
モ ノ ク ロー ン抗 体 が 利 用 され て い る。 抗 体 は単 独 で 用 い
れ, 腫 瘍 と密接 な 関連 性 を 有 す る物 質 で, 癌 の診 断 に 役
られ るほ か, 放 射 標 識 して用 い られ る。 体 液 に つ い て 免
立 ち, 担 癌 状態 の評 価 に 有用 な 物 質 』 と定 義 され よ う。
疫 化 学 的 方 法 お よび 標 的 組 織 ま た は 細 胞 へ の 抗 体 の 集 積
今 まで, 腫 瘍 の み で 産 生 さ れ 正 常組 織 に 存在 しな い物 質
性 を 利用 し, 抗 体 に蛍 光 また は酵 素 標 識 し, 組 織 また は
は, 見 い だ され て い な い。 した が って, 腫 瘍 マ ー カー は
細 胞 化 学 的 に 腫 瘍 マ ー カ ー を染 色 し癌 の診 断 に 供 す る。
一 方, 抗 体 を 担 体 と して制 癌 剤, 毒 素 との 複 合 体 を つ
腫 瘍 に 関 連 した 物 質 と同 じ意 味 で 用 い られ る こ とが 少 な
くな い 。 また 胎 生 期 の組 織 で作 られ るが, 成 体 で は 発 現
く り癌 の 治 療 に 用 い られ う る。“イ ム ノ ミサ イル” あ る
しない 物 質 の中 に は, 癌 化 に よ っ て再 び 合 成 され る もの
い は “イ ム ノ トキ シ ン” といわ れ るが, 古 くは19世
が あ る。 肝 癌 にお け る α-フ ェ トプ ロテ イ ン (AFP),
末エー ル リッ ヒ の時 代 よ り概 念 と して 存 在 し研 究 が 続 け
化 器 系 癌 な ど で上 昇 す る癌 胎 児 性 抗 原 (CEA)
消
紀
はその代
られ てい た が, モ ノ ク ロー ン抗 体 の 登 場 に伴 い研 究 のは
表 的 な も の で あ り, い ず れ も腫 瘍 マ ー カ ー と して癌 の診
ず み が つ き, 次 々 と新 しい複 合 体 の 作 製 法 の 工 夫 が な さ
断 に用 い られ て い る。 腫 瘍 は そ の無 限 の増 殖 性 のゆ え に
れ て い る。I
細 胞 増 殖 因 子 との関 連 性 も注 目され,
した が っ て癌 遺 伝
子 産 物 が 腫 瘍 マ ー カ ー と して分 類 され うる。 こ の よ うに
.
ポ リク ロ ー ン 抗 体 に よ る 癌 の 診 断 と 療 法
腫 瘍 マ ー カ ー は, 現 在 では か な り多 様 性 を有 す る物 質 の
モ ノ ク ロー ン抗 体 が 利 用 され る ま でに は, も っぱ ら こ
総 称 と考 え て お いた ほ うが よい と思 わ れ る。
これ ら の腫 瘍 マ ー カ ーが 癌 の診 断 お よび 治 療 の指 針 と
して重 要 な ご とは い うま で も な いが,
CEAお
よび2∼3の
の抗 体 が 利 用 され て い た。 ポ リ クロ ー ン抗 体 が 腫 瘍 マ ー
本 稿 で はAFP,
カ ー抗 体 と して利 用 され る場 合, 大 切 な 点 は 精 製 標 品 が
蛋 白質 性 腫 瘍 マ ー カ ー に対 す る抗 俸
数mg単
位 で必 要 な こ とで あ る。 した が って 量 的 に得 や
が 癌 の診 断 や 治 療 法 に ど の よ うに利 用 され て い るか を概
す いAFP,
観 した い。 抗 体 に は従 来 の ポ リ ク ロー ン抗 体 とと も に,
γ-グル タ ミル トラ ンス ペ プ チ ダ ーゼ (γGTP)^<3)>,ア ル カ
Yutaka
School
Tsukada,
of
北海 道大 学 医 学 部 第 一生 化 学 教 室
Medicine,
Hokkaido
University,
Kita
(〒060
15
札 幌 市 北 区 北15条
Nishi
7,
Kitaku,
CEA^<1)>以外 は,
西7丁
目)
Sapporo 060,
[First
フ ェ リチ ン^<2)>な
どの 蛋 白質,
Department
of
Biochemistry,
Japan]
Diagnosis and Therapy using Antibodies to Tumor Markers
Key 【腫
word瘍 マ ー カ ー 】 【モ ノ ク ロ ー ン 抗体 】 【免 疫 化 学 療 法 】 【早期 診 断 】
1511
12
蛋 白 質
リホ ス フ ァ タ ーゼ
核 酸
酵 素
(ALP)^<4)>な どの癌 胎児 性 酵 素 に限 定
Vol. 31
No. 14
表1.
(1986)
肝 癌 皮 下 移 植 ラ ッ トの シ ソチ グ ラ フ ィー の 判 定
され る 。 また 後 述 す る よ うに, これ らの腫 瘍 マ ー カ ー は
モ ノ ク ロ ー ン抗 体 もそ の特 性 を 生 か して利 用 さ れ る。
抗 体 作製 に は1回1mgの
精 製 標 品 を免 疫賦 活 剤 で あ
る フ ロイ ン ドの完 全 ア ジ ュバ ン トと と も に7∼10日
隔 で3∼4回
動 物 に免 疫 し, 最 終 免 疫7∼10日
間
目に動 物
を 屠殺 し, 免 疫 血 清 を 得 る。 動物 に は ウサ ギ, ヒ ツ ジ,
ブ タ, ヤ ギ, ウマ な どが 用 い られ るが, 大 動 物 とい え ど
も免 疫 量 を 必 ず しも増 量 す る必 要 が な く, ウマ は大 量 の
抗 体 活 性 の 高 い 免 疫 血 清 が 得 られ 経 済 的 で あ る。 免 疫血
清 よ り腫 瘍 マ ー カ ー とのみ 結 合 性 を有 す る特 異 抗 体 (以
下, 精 製 抗 体 と略 す) を 腫 瘍 マ ー カ ー をセ フ ァ ロ ー ス4B
な どに 結 合 させ た ア フ ィ ニテ ィ ク ロマ トグ ラ フ ィー で 得
る。 通 常 は 抗 体 グ ロ ブ リンの10%が
精 製 抗 体 と見 な し
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て よい 。
放 射標識抗体静注後, 経時的に移植腫瘍の描出像を調べ, 陽
性 (+) 陰性 (-) とした。
時 間後 に ガ ンマ カ メ ラで 全 身 シ ンチ グ ラ フ ィー を行 な っ
1.
AFP精
製 抗 体^<5)>
た 。 ま たAFP精
AFP^<1)>は胎 生 期血 清 蛋 白質 の主 要 成 分 で, ヒ トで は 胎
生12∼14週
で 最 高 に な り, 1∼3mg/m1に
達 す る。胎 生
後 期 に か け て 漸減 し, 生 後1年 以 内 に 血 中AFP値
0∼20ng
(平均 値10ng/ml)
量7万,
4%前
は
の成 体 レベ ル とな る。分 子
後 の糖 を 含 むpI4.7の
糖 蛋 白質 で あ る。
製 抗 体 お よび正 常 ウマ免 疫 グ ロブ リン
の F(ab)'_2に も^<125>Iを
標 識 し, 同様 に シ ンチ グ ラ フ ィー
を 行 な った 。 ま た腫 瘍 お よび各 臓 器 の組 織 標 本 を作 製 し,
ミク ロオ ー トラ ジオ グ ラ フ ィー を 行 な い検 討 した。 そ の
結 果 のAH7974皮
表1に
下 移 植 ラ ッ トの シ ンチ グ ラ フ ィー を
示 した 。血 清AFP値
は600∼7,500ng/mlを
胎 生 肝 お よび 卵 黄 嚢 (yolk sac) が そ の 合 成 部 位 で あ
して い る。抗 体 投 与 群5匹
る。 肝 癌 お よび 卵 黄 嚢 腫 瘍 が 発 生 す る と, AFPが
ィー の 結果 は, 全 例 と もに 陽 性 で, 中 に はNo.
合成
の120時
示
間後 の シ ンチ グ ラ フ
5の よ う
され る理 由が こ こに あ る。 癌 胎 児 性 蛋 白質 の 典 型 的 な 例
に 比較 的 遅 い 時期 に初 め て 陽 性 とな る例 も認 め られ た 。
で あろ う。 ウマ抗AFP精
対 照 と して の 正 常 ウマ 免 疫 グ ロ ブ リン投 与 群7匹 で は,
製 抗 体 に よ り得 られ た 実験 結
果 を 以 下 に述 べ る。
A.
腫 瘍 内 壊 死 の 著 明 な 一 例 で 非 特 異 的 取 り込 み が 見 られ た
精 製 抗 体 に よ る癌 の局 在 診 断
AFPは
の み で あ った 。 皮 下 移 植 ラッ トに お け る^<125>I-AFP精 製
分 泌 性 蛋 白 質 で は あ るが, 細 胞 表 面 に も この
抗 体 お よび 正 常 ウマ 免 疫 グロ ブ リン投 与 の各 群5匹
分 子 が 存 在 す る こ とが 知 られ て い る^<6)>。
した が ってAFP
討 で は3日
精 製 抗 体 は, AFP産
られ た 。7日
生 性 腫 瘍 細 胞 表 面 のAFP分
子 と抗
目, 抗 体 投 与 群 の腫 瘍/血 液 比 は1.0を
原 抗 体 反 応 に よ り結 合 す る。 あ らか じめ 放 射 標 識 した
え, 対 照 群 の 約4倍
AFP精
発 に腫 瘍 組 織 に取 り込 まれ た こ とを 示 して い る。
製 抗 体 (^<125>Iま
た は^<131>Iをク ロラ ミ ンT法 で標
識 。 比 活 性 噛10μCi/μg) を in vitro ま た は in vivo
で
抗 体 の F(ab)'_2 を 用 い た系 で も投 与 後24,
に 腫 瘍 はAFP精
局 在 診 断 す る^<7)>。
摘 出 され た 。 これ はFc受
担 癌 ラ ッ トに お け る放 射 標 識AFP精
製抗 体 の腫
AFP産
生 株AH7974系
48時 間 目
製 抗 体 の イ メ ー ジ ン グ でほ ぼ 同 程 度 に
容 体 に よ る非 特 異 的 な 集 積 因
子 の影 響 が な い こ とを示 唆す る結 果 と考 え られ た 。 標 識
抗 体 投 与 後7日
瘍 内 集 積^<8)>
こ
に達 した^<7)>。
すなわち標識抗体が 活
投 与 し, 標 的 臓 器 の 腫 瘍 (こ の 場 合 は 肝 臓 内 の肝 癌) を
a.
の検
目腫 瘍, 脾, 腎 で抗 体 投 与 群 に軽 度 高 値 が 見
目屠 殺 ラ ッ トの腫 瘍 組 織 の オ ー トラ ジ オ
の腹 水 肝 癌 細 胞 を生 後4週 雄
グ ラ ムで は, 腫 瘍 細 胞 に放 射 活 性 を示 す 黒 色 グ レイ ンの
の ドン リ ュ ウ ラ ッ トの大 腿 皮 下 へ5×10^4個 移 植 す る と,
集 積 像 が み られ, 抗 体 の腫 瘍 細 胞 へ の特 異 的 集 積 を示 唆
約10日
す る所 見 と考 え られ た 。 脾 細 胞 に軽 度 の グ レイ ン増 加 が
後 血 清ATP値
の上 昇 と とも に0.5∼2.0cm径
の腫 瘤 が 形 成 さ れ る。 こ の 実 験 モ デ ル に^<125>I-ラット
み られ た が, そ の他 の臓 器 対 照 群 の腫 瘍 組 織 では こ の よ
AFP精
うな所 見 は認 め られ なか った 。 移 植 肝 癌 のみ な らず 原 発
製 抗 体,
お よび 対 照 と して^<125>I-正
常 ウ マ免 疫 グ
ロブ リ ンを そ れ ぞ れ100μCi静
1512
注 し, 24, 48, 72, 120
性肝 癌 に おけ る肝 内腫 瘍 形 成 ラッ トにつ い て も検 討 され
腫 瘍 マ ー カ ー抗 体 に よ る診 断 と療 法
表2.
図1.
3'-Me-DAB肝
13
AFP精
製抗体 による放射 免疫検出法に よる判定
癌 ラ ッ ト4匹 の全 身 シン チ グ ラ ム
放 射 標 識AFP抗
体 を ア ゾ色 素 飼 与20週
目の ラ ッ トに 静 生
し, 120∼144時 間 後 に 肝 癌 に 一 致 した 明 瞭 な 描 出 像 が 得 ら れ
た。
た 。 ドン リュ ウラ ッ トを0.06%3'-メ
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料 で飼 育 し, 20週
目, 血 清AFP値
チ ルDAB添
加飼
が5∼50μg/mlと
上
昇 した ラ ッ ト4匹 に^<125>I-AFP精製 抗 体100μCiを
静注
した。 経 時 的 に シ ンチ グ ラフ ィー を 施行 し, 144時
間目
の シ ンチ グ ラ フ ィー終 了 後 に 屠殺 し, 肝 そ の他 の腹 部 臓
器 を取 り出 して並 べ, 臓 器 シ ンチ グ ラフ ィー を試 み た。
ま た各 臓 器 の放 射 活 性 を測 定 した 。 皮 下 移 植 実 験 と同 じ
く, 24∼48時
のRIカ
間 目の全 身 シ ンチ グ ラム では 胸 腹 部 臓 器
ウ ン トが 高 く, 腫 瘍 へ の取 り込 み は 判 然 と しな
か った 。 しか し120∼144時
間 に な る と肝 腫 瘍 と思 わ れ
る部 位 に一 致 して, 明 瞭 な 画 像 が 描 出 され た (図1)。
以 上 の動 物 実 験 の成 績 はAFP精
AFP産
製抗体が 特 異 的 に
生 腫 瘍 に 取 り込 まれ る こ とを 明 瞭 に示 した も の
^<131>I-ヒトAFP精
で あ る。
b.
製 抗 体100μg静
られ た 場 合 を (+)
ヒ トAFP産
注 後, 明 瞭 な 描 出像 が 得
と判 定 した 。
生 腫 瘍 に 対 す る抗 体 シ ンチ グ ラフィ
表3.
AFP陽
性 腫 瘍12症
検 出による判定
例 (22ヵ 所)
の放射免疫
ー各 種 画 像 診 断 法 お よび腹 腔 鏡 検 査 な どで 肝 癌+肝 硬 変
と診 断 され た15例
癌1例
お よび血 清AFP値
正常の転移性肝
を 表2に 示 した 。年 齢 は36∼71歳
例, 本 法 施行 前15例
の血 清AFP値
で 男9,
女6
は75∼313,
300ng/
mlで あ った 。 ウ マ抗 体 に よ る皮 内 テ ス ト陰 性 を 確認 し
た の ち, ^<131>I-ウ
マ抗 ヒ トAFP精
製 抗 体100μgを
静注
し, 24, 48時 間 目に差 し引 き法 に よ るシ ンチ グ ラ フ ィー
を施 行 した。 す なわ ち, 標 識 抗 体 投 与 後24,
に は まだ 血 中 のRIカ
48時 間 目
a) 血 管造影その他で腫瘍部位が確認 され て い る数。 偽陽性
2, 偽陰性1が あ るが95%劣 と高率の陽性率であ る。
ウ ン トが 高 い の で, こ の血 中RI
分 布 を 表 わ す もの と して^<99>mTcパ ー テ クネ テ ー ト300
般 にAFP高
μCiを
や す い傾 向 を示 した。No. 12∼14の3例
シ ンチ グ ラ フ ィー施 行 前 に 静 注 し, ^<131>Iの
影像か
値 例, 腫 瘍 サ イ ズの 大 きな 症 例 が 陽 性 に 出
ら^<99>mTcの 画 像 を コ ン ピ ュ ー タ操 作 に よ り差 し 引 いた
2cm前
描 出像 と して表 現 した6<9)>。
な か った 。AFP正
患 者15例
の うち血 管 造 影 そ の 他 で 得 られ た 腫 瘍 部 位
に 一 致 す る描 出 像 を み とめ (+)
(47%),
(±)
1例,
残 りは (-)
と判 定 した もの は7例
で あ った (表2)。 一
は いず れ も直 径
後 の 細 小 肝 癌 例 で あ っ た が, 陽 性 所 見 は得 られ
あ った 。Goldenberg
方 法 で陽 性 率95%
常 の転 移 性肝 癌 例 (No. 16) は陰 性 で
ら もAFP精
製 抗 体 に よ る 同様 の
(21/22), 直 径2cm以
上 の サ イ ズを
と らえ る こ とが で き る と して い る^<50)>
(表3)。
1513
14
蛋 白 質
核 酸
酵 素
Vol. 31
No. 14
AFP抗
(1986)
体 の細 胞 集 積 性 を in vivo
較 した と こ ろ, AH66細
で5日 間 にわ た り比
胞 へ 有 意 の集 積 性 を示 した 。
ま た対 照 と して の正 常 ウマ放 射 標 識IgGはAH66へ
の
集 積 性 は認 め られ な か った。
この よ うに患 者 お よび ラ ッ ト実 験 モ デ ル 双方 で放 射 標
識 抗 体 が 抗 原 過 剰 の状 況 で も標 的 細胞 へ の 高 い 集積 性 が
確 認 され, 次 の ステ ップ と して の 治療 へ の応 用 へ道 を 開
いた。
図2.
AFP精
製抗 体 の 血 中 に お け る動 態 (ヒ ト)
^<
131>I-AFP抗 体 がAFP過
剰 の 血 中で24時
間後で も遊離
のIgG
(ピ ー ク2)
O……Oは
パ タ ーン 。
c.
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セ フ ァデ ック スG150で
AFP精
製抗 体 の 血 中動 態 と 腫瘍 親 和性
生 腫 瘍 患 者 で は, 血 中 に高 濃 度 にAFPが
存在
製 抗 体 ・制 癌 剤 複 合 体 に よ る特 異 的 免 疫
化学 (ミサ イル) 療 法
血 清を 分 離 した 場 合 の
AFPウ
放 射 標 識AFP精
AFP産
B.
が 存 在 す る こ とを 示 す 。
マ 特 異 抗血 清 に, in vitro
AFP産
お よび in vivo
で
生 性 腫 瘍 の増 殖 抑 制 効 果 の あ る こ とが 示 さ れ,
また 別 の グ ル ー プ に よ り確 認 され て以 来, ア ゾ色 素 に よ
す る のに 対 し, 投 与 され た 標 識 抗 体 量 は ご く少 量 (約
る原 発 性 肝 癌 の 発 生 抑 制 実 験 へ と進 展 した 。AFP精
100μg)
抗 体 に制 癌 効 果 が あ る こ とが 確 認 され た が, 補 体 が 関 与
AFPを
で あ る。AFP精
約150μgの
中 和 す る活 性 を有 す る の で, 100μgの
血 中AFP15μgと
ATP総
製 抗 体1mgは
抗体 では
複 合 体 を形 成 で き る。 し か し 血 中
量 は少 な い症 例 で も100倍
の1.5mgは
存 在 し,
抗 原 超 過 剰 の状 態 で あ る。 この よ うな状 態 で な お 抗 体 が
腫 瘍 に集 積 す る機 序 を解 明す る た め, 血 中 の標 識 抗 体 の
製
す る短 時 間 の変 化 で は な く, 効 果 に長 時 間 を要 す る。 ま
た, AFP精
製 抗 体 がAFP産
生 腫 瘍 細 胞 の表 面 に集 積 性
を有 す る こ とに よる栄 養 摂 取 機 構 の障 害 が示 唆 され て い
る。
この よ うにAFPに
対 す る精 製 抗 体 自身 にAFP産
生
動 態 を検 索 した 。 さ らに 培 養 細 胞 を 用 い in vitro で, 腹
細胞 に対 す る細 胞 障 害性 を確 認 で き る が, そ の作 用 は必
水 肝 癌 ラ ッ トを 用 い in vivo
ず し も満 足 す べ き強 さ で は な い。 そ こでAFP精
で, 腫 瘍 細 胞 とAFP精
製
製抗体
抗 体 との結 合 性 を 検 討 した 。投 与 され た 標 識 抗 体 の 血 中
を担 体 と して これ に 抗癌 剤 を結 合 さ せ た 複 合 体 に よる,
半 減 期 はRIの
ヒト
い わ ゆ る ミサ イル療 法 を 行 な った 。 複 合 体 の 作製 法 は後
で あ った 。 した が って ヒ トの 抗 体 シ ン チ グ
述 す るモ ノ ク ロ ー ン抗 体 と制 癌剤 との 複 合 体 の 作 製 法 と
で は約4.5日
血 中 消 失 曲線 よ りラ ッ トで約2日,
ラ フ ィー に 際 して は, 血 中RIの
影 響 が ラ ッ トよ り長 く
残 るこ とに な る。
る。
標 識 抗 体 投 与 後24時
G-150カ
間 目の 血 清 を セ フ ァ デ ッ クス
ラ ム ク ロ マ トグ ラ フ ィー で分 画 し, そ のRI分
布 を み る と図2の よ うに な る。 す なわ ち遊 離 のIgGに
一 致 す る ピ ー ク2と,
AFPと
の複 合 体 よ りな る ピー ク
1の2つ
の ピ ー クか ら な る。 こ の よ うに患 者 血 清 中 で,
標 識 抗 体 投 与24時
本 質 的 に は 同 じな ので, こ こに ま とめ て 総 論 的 に 記載 す
間 後 で も抗 原 過 剰 な状 況 下 で な お遊
a.
複 合 体 の作 製 法 とそ の 特 色
低 分 子 (10^3以下)
の制 癌 剤 との複 合 体 (図3)
をお
も に 利 用 した^<11)>葉酸 拮 抗 剤 で あ る メ ト トレキ セ ー ト
(MTX),
(CB),
ア ルキ ル化 剤 と して知 ら れ る ク ロラ ム ブ シル
ア ンス ラサ イ ク リ ン系 物 質 で あ る ダ ウノ マ イ シ
ン (Dau),
ア ドリア マ イ シ ン (AM)
お よび マ イ トマ イ
離 の 標 識 抗 体 が 存 在 す る。 これ は長 時 間 遊 離 の放 射 標 識
シ ンC (MMC)
抗 体 が 循 環 して い る こ とを 示 唆す る。 ピー ク2は53%
直 接 結 合 型 は, いず れ も抗 体1分 子 に3∼4分
のAFP結
か 結 合 で きず, か つ 制 癌 活 性 に少 なか らず低 下 を き た
合 活 性 を有 して い る の で抗 体 活 性 も保 有 して
い る。AFP高
産 生 性 ラ ッ ト腹 水 肝 癌AH66細
個 を培 養 す る と, 72時
ng/mlに
達 す る。 そ こ に放 射 標 識AFP抗
お よ び10ng添
AH66細
約1,000
体 を1, 2, 5,
加 し, 抗 原 過 剰 の 条 件下 で 標 識 抗 体 が
胞 を 標 識 で き るか ど うか が 調 べ られ た。い ず れ
の濃 度 で も120分
い た。 ま たAFP低
1514
間後 に培 地 のAFPは
胞 を10^6
後 に1%前
後 が細 胞 表 面 に 集 積 して
産 生腹 水 肝 癌AH41Cと
放 射標識
な どが あ り, 頻 用 され て い る。抗 体 との
子ほ ど し
す 。 したが っ て, そ れ ぞれ 独 自の方 法 で制 癌 剤 の結 合 数
を増 や し, 失 活 を で き る だ け少 な くす る工 夫 を こ ら して
い る。
図3の2)
の よ うに, 抗 体 お よび 制癌 剤 に共 通 の結 合
基 を もつ 中 間支 持 体 を 利用 す る場 合 〔例 : 制癌 剤 と して
は Dau,
中 間 支 持 体 と しては デ キ ス トラ ン (Dex)〕 は,
抗 体1分 子 に つ き30∼40分
子 の制 癌 剤 を 結 合 で き る。
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腫 瘍 ア ー カ ー抗 体 に よる 診 断 と療 法
図3. 抗体 ・制癌剤複合体の結合様式
1) 抗体 (Y) と制癌剤 (O) との直接結合型, 抗体1分 子
につ き3∼4分 子 の制癌剤が結合。
2) 抗体 と制癌剤が長鎖状 中間支持体を介 して結合 した複合
15
図4. 複合体 のDNA合
成抑 制能
標記 の抗体 と制癌剤を含む複 合体 (○) を培養AH66肝
癌培地 に添加 し, ^3H-チ ミジンの取込み率を制癌剤 (●) お
よび抗体 (△) と比較 した 。 複 合体は制癌剤 とほぼ 同等 の
DNA合
成抑制を示 した。
体。抗体1分 子につ き30∼50分 子 の制癌剤が結 合可能。
3) 抗体 と制癌剤が 中間支持体を介 して結合す るが, 2) と
異な り抗体 と唯一の特異結合部 をもち, 制癌剤 とは別 の特異結
合部位を もつ複合体 。a) は長鎖状 (ポ リL-グ ル タ ミン酸 な
ど),b) は球状 (アル ブ ミンなど) の中間支持体 で, 抗体1分
子につ き20∼30分 子の制 癌剤を結 合で きる。
4) リポ ソームに制癌剤 を封 入し, 膜上 に抗 体を埋め込んだ
複合体で, 抗体 は11分子につ き, 多数の制癌剤の 担体 とな り
うる。
3) は 中 間支 持 体 を利 用 す る 点 で は2)
と同様 で あ る が,
抗 体 と制癌 剤 との結 合 部 位 が そ れ ぞれ 独 自の特 異 結 合 部
位 を もつ 場 合 で, 抗 体 とは1ヵ 所,
制 癌 剤 とは15∼30
位 の結 合 部 位 を もつ こ とが 望 ま しい。 長 鎖 状 の 中間 支 持
体 と して は, ポ リL-グ ル タ ミン酸 (PLGA),
球状 の中
間支 持 体 と して は, 血 清 ア ル ブ ミ ンが 用 い られ て い る。
4) は リポ ソー ム に制 癌 剤 を封 入 し, 膜 上 に 抗 体 を埋 め
込 ん だ場 合 で あ る。 制 癌 剤 は二 重 膜 内 また は そ の 内部 に
封 入 さ れ た状 態 で利 用 され る。
b.
中 間 支 持 体 と して デ キ ス トラ ンを 利 用 した場 合 の
複 合 体 の 制 癌 活性
筆 者 らは, Hurwitz
剤 は Dau
ま た はAMを
図5.
複 合 体 の抗 腫 瘍 効 果
癌 細 胞 を1×10^4個,
腹 腔 内 移 植 後3, 5, 7目
AH66肝
精 製 抗 体, ----Dau, -・-正
物, ---正
常 ウ マIgGと
製 抗 体 と Dau
の複 合 体 。
用 い た。 分 子 量1万
の Dex を
Dau
常 ウマIgGと
Dau
との 複 合 体, -AFP精
と の 混 合 物, ----AFP精
の混合
製 抗 体 と Dau
と
られ るが, 複 合 体 の組 成 を規 制 で き な い 点 が短 所 で あ
る。AMを
ら の原 法 を改 良 し作 製 した。制 癌
目に
複 合 体 (抗 体400μg,
Dau 70μg含 有) を腹 腔 内 に 投 与 し,
ラ ッ トの延 命 を調べ た 。複 合 体 は64目 と顕 著 は 延 命 を示 した 。
-…-0
.15M NaCl, -----正
常 ウマIgG, ----AFP
使 用 す る場 合 は, 不 安 定 で活 性 の低 下 が起 こ
りや す い。 得 られ た 複 合 体 の in vitro に お け るDNA
合 成 抑 制能 が 調 べ ら れ た^<12)>。
複 合 体 は Dau
単 独 に比
過 ヨ ウ素酸 化 に よ りポ リア ル デ ヒ ドと し, 上 記 制 癌 剤 の
べ,
ア ミノ基 との 間 に シ ッフ塩 基 を形 成 させ る。 そ の後 還 元
活 性 も十 分 保 持 され て い た^<12)>。
この よ うな 複 合 体 は, in
す る こ とな くゲ ル 濾過 に よ り複 合 体 を分 離 精 製 す る。 抗
体 活性, 制 癌 活 性 とも に80%以
上 保 持 した複 合 体 が 得
よ くそ の活 性 を 保 持 して いた (図4)。 複 合 体 の 抗 体
vitro, inとvivo
も に制 癌 活 性 が 高 い 。
図5に in vivo
に お け る抗 腫 瘍 効 果 を示 した 。1×10^4
1515
16
蛋 白 質
Database Center for Life Science Online Service
図6.
核 酸
酵 素
Vol. 31
No. 14
(1986)
ポ リL-グ ル タ ミン酸 の ア ミ ノ末 端 にSHを
導 入 した 物 質 (PLGA-SH)
SPDP
: N-サ ク シン イ ミジル3- (2-ピ リジル ジ チ オ) プ ロ ピオン 酸
を 中 間 支 持 体 と した 複 合 体
a)
b)
c)
個 のAH66細
DTT
: ジ チ オ ス レイ トール
Ab : 抗 体
胞 を 移 植 後3,
(抗 体 量) -70μg
(Dau
5, 7日 目に複 合 体400μg
量) を腹 腔 内 に 投 与 後, 種 々 の
対 照 群 を と り, ラ ッ トの 生存 日数 を 調 べ た 。 無 処 置 群,
正 常 ウ マIgG投
AFP精
与 群 では16∼20日
製 抗 体, Dau
単 な る混 合 物 は33∼40日,
複 合 体 お よびAFP精
は43∼46日
体 と Dau
前 後 で腫 瘍 死 す る。
単 独, 正 常 ウ マIgGと
Dau
正 常 ウマIgGと
製 抗 体 と Dau
Dau
の
との
との 単 な る混 合 物
目に腫 瘍 死 した 。 これ に 比 べ, AFP精
との 複 合 体 では, 平 均 生 存 日数64日
製抗
と顕 著
な 延 命 が 観 察 さ れ た^<12)>。
c.
中 間 支 持 体 と してPLIGAを
利 用 した 場 合 の複 合
体 の制 癌 活性
複 合 体 の作 製 は, まずPLGA
の ア ミノ末 端 にSPDS
(分 子量1.2∼1.5万)
(N-サ クシ ンイ ミジ ル3- (2-ピ リ
ジル ジチ オ) プ ロ ピオ ン酸) に よ り2-ピ リジ ン ジ チ オ基
を 導 入 す る。 ジ チ オ ス レイ トー ル (DTT)
のSH基
に よ り遊 離
に し, チ オ プ ロ ピ ルセ フ ァ ロ ー ス6Bに
よるア
フ ィ ニテ ィ クロ マ トグ ラ フ ィー に よ りSH-PLGAを
製 し, 再 びSH基
保 護 のた め2-ピ
て, 制 癌 剤 Dau
の ア ミノ基 とPLGAの
精
リジ ル ジ チ オ 基 に し
カ ル ボ キ シル 基
を反 応 させ る。 カ ル ボ キ シル 基 の10%ま
で はDMと
安 定 な 共 有 結 合 体 とな りう る。 つ い でSH基
を脱 保 護
後, あ らか じめ マ レイ ミ ド基 を 導 入 したAFP精
製抗体
と反 応 させ, 複 合 体 が 完成 す る^<13,14)>。
こ の よ うに抗 体 と
PLGAは1ヵ
とDMと
1516
所 の 特 異 的 結 合 部 位 を も つ 一 方, PLGA
は 特 異 的 結 合 部 位 を10∼16個
もつ 安 定 な 複
図7.
AH66肝
PLGAを
中間 支 持 体 に した 複 体 の抗 腫 瘍 効果
癌 細 胞 を 腹 腔 内 移 植 後, (a)
は 複 合 体 (抗 体207
μg-Dau
56μg) を3,
5, 7日 目に, (b) は 複 合 体 (抗 体
350μg-Dau
25μg) を5,
5, 7, 9, 9, 11目 目に 腹 腔 内 投
与 し, ラ ッ トの延 命 を 調 べ た 。
-無処 置 群, -□-正
常 ウ マIgG, -○-正
常 ウ マAFP
精 製 抗 体, -×-Dau, -◇-PLGA-DM, -▲-AFP精
製 抗 体 と Dau の混 合 物, -■-正
常 ウ マIgGと
合 体, -●-AFP精
製抗 体 と Dau
Dau
と の複 合 体 。
の複
腫 瘍 マ ー カー 抗体 に よる診 断 と療 法
17
合 体 が 得 られ る (図6)。
未 精 製 で 純 度30%の
複 合 体1お
よび澱 粉 ブ ロ ッ ク電
気 泳動 法 に よ り精 製 し, 純 度70%の
複 合 体2の
ラッ ト
移 植 肝 癌 に 対 す る制癌 効果 を 図7に 示 した^<13)>。AH66腹
水 肝 癌1×10^4個
(複合 体1)
を 腹 腔 内 に移 植 後3日
は 隔 日に3回,
実 験B
目か ら実験A
(複 合 体2)
は 隔 日に
図8.
活 性 型 マ イ トマ イ シンCの
5回 腹 腔 内 に 複 合 体 を対 照 群 と と もに 投 与 し, 延 命効 果
(MMC-G-OSuと
化学構造
略 す)
が 調 べ られ た 。
AFP精
37日
製 抗 体 投 与 群 の生 存 日数 は, Aが32日,
で, 無 処 置群 の15.5日
示 した 。 正 常 ウマIgG投
に 比 べ, 有 意 の延 命 効 果 を
与 群 はAが17日,
Bは19.4
日 で延 命 は 認 め られ な か った 。遊 離 の Dau,
PLGAと
Dau
Dau
との 結 合 体 お よび 正 常 ウマIgGと
PLGAを
介 した 結 合 体 は, A,
37.6日
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Bが
∼45日
Bと
との
も に平 均 生 存 日数
に分 布 し, 各 群 問 に は有 意 の差 が 認 め ら
れ な か った 。AFP精
製抗 体 と Dau
与 群 のそ れ は47.8日
との単 な る混 合 物 投
で あ り, 遊 離 の Dau
との間 に有
意 の延 命 効果 が認 め られ た 。 これ らの対 照 群 に比 べ 複 合
体 投 与 群 はAで は10匹
中3匹 が70日
目で も生 存 し,
Bで は10匹
中4匹 が100日
目で も生 存 した 。こ の よ う
にPLGAを
中間 支 持 体 に した 複 合 体 も顕 著 な抗 腫 瘍 効
図9.
AH66肝
2mg-MMC35μg含
投 与 後,
-----
果 を 示 した。
d.
MMCの
有) を3,
製 抗 体 の複 合 体
目に腹 腔 内
AFP精
常 ウ マIgG
製 抗 体, ---正
常 ウマIgGとMMC
製 抗 体 とMMCと
の 混 合 物,
----正 常 ウ マIgGとMMCと
の 結 合 体, ------AFP精
製 抗 体 とMMCと
の複 合 体 。
製 抗 体 を血 清 ア ル ブ ミ ン
を 介 して 結合 させ た 複 合 体 の 制 癌 活 性
り, 安価 か つ 安 定 であ る。 ヒ ト血 清 ア ル ブ ミンを利 用 す
ア ジ リジ ン環 に 図8に 示 す よ うな 活 性 エ ステ
ル を導 入 し,AFP精
5, 6, 7, 11日
ラ ッ トの延 命 を 調 べ た 。
-0
.15MNaCl, ---MMC, ----正
との 混 合 物------AFP精
活 性 エ ス テル とAFP精
お よびMMCとAFP精
MMCの
AFP精
製 抗 体-MMC複
合体 の抗腫瘍効果
癌 細 胞1×10^4個 を 腹 腔 内移 植 後, 複 合 体 (抗 体
製 抗 体 と反 応 させ る と,AFP精
体1分 子 につ き8分 子 のMMCが
製抗
結 合 した 活 性複 合体
れ ば反 復投 与 に よ る ア レル ギ ー反 応 も考 慮 す る必 要 が な
い な どの利 点 を有 す るか らで あ る。 ア ル ブ ミ ンには ア ミ
ノ末 端 よ り34番
目に 遊 離 のSH基
が1個 存 在 す る の
が 得 られ る^<15)>。
図9に 複合 体 の 抗 腫 瘍 効 果 を 示 し た 。
で, こ の反 応 基 とマ レ イ ミ ドを 導 入 したAFP精
AH66-細
胞1×10^4個
との特 異 結 合 部 位 に 利 用 され た^<16)>
(図10)。
に5回,
1回 量AFP精
を腹 腔 内 投 与 後, 3日 目か ら1隔日
製 抗 体2mgとMMC35μgを
まず ア ル ブ ミンの遊 離 のSH基
製抗体
す な わ ち,
を 保 護 し, リジ ン残 基 に
含 ん だ 複 合 体 を 対 照群 と と も に 腹 腔 内投 与 し, 延 命 効
由来 す る ε-アミ ノ基 と ア ジ リジ ン環 に 活 性 エ ステ ル を
果 を 調 べ た と こ ろ, 生 理 食 塩 水 投 与 群 は, 平 均 生 存 日
導 入 したMMCと
数17.4日
後, あ らか じめ マ レイ ミ ドを導 入 したAFP精
で腫 瘍 死 した 。 また, MMC投
与 群 は23.4
日 と若 干 の延 命 を示 した が, これ は正 常 ウマIgG投
群 と同 じで あ った。 正 常 ウ マIgGとMMCの
合物 お よび正 常 ウマIgGとMMCと
れ27.2日,
28.2日
な る混 合 物 は38日
基 づ く有
製抗体の単
とさ らに延 命 を 示 し た が,
著 な延 命 を示 した のはMMCとAFP精
体 で あ り, 57.2日
の結 合 体 は そ れ ぞ
であ り, 正 常 ウ マIgGに
効 性 は認 め られ なか った 。MMCとAFP精
与
単 な る混
最 も顕
製 抗 体 の複 合
で あ った 。
さ ら に有 用 な複 合 体 の 開発 の た め, 血 清 ア ル ブ ミンの
使 用 が 検 討 され た。 ア ル ブ ミンは大 量 に 入 手 可 能 で あ
の結 合 体 を作 製 し, SH基
の脱 保 護
製 抗体 と
の複 合 体 を 作 製 す る。 抗 体1分 子 につ き ア ル ブ ミン1,
MMC30の
安 定 な活 性 複 合 体 が 得 られ る。
複 合 体 の 治 療 効 果 を ヒ トAFP産
生性卵黄嚢腫瘍 の ヌ
ー ドマ ウス移 植株 を 用 い て判 定 した (図11)。
後8日
目に 体 積18mm^3の
2μgを
含 有 す る複 合 体 を8,
腫瘍移植
大 き さ に達 した時 点 でMMC
9, 11, 13,
に腹 腔 内 へ投 与 し, 腫 瘍移 植 後35日
15,
17日
目
目 まで の体 積 の増
加 度 を比 較 した^<17)>。
生 理 食塩 水投 与群 は 対 数 増 殖 を 示
し, 正 常 ウマIgGとMMCの
盛 な増 殖 を示 した 。MMCお
結 合体 も ほ ぼ 同 様 の 旺
よび アル ブ ミン を 介 し た
1517
18
蛋 白 質
Database Center for Life Science Online Service
図10.
核 酸
酵 素
Vol. 31
アル ブ ミンを介す るAFP精
No.
14
(1986)
製抗体 とMMCの
図12.
AH66肝
複合体
AFP精
製抗 体 のAFP産
癌 細 胞 にAFP精
生 細 胞 の結 合
製 抗 体 を 添 加 培 養 後, ^<125>I-標
識 プ ロテ ィンAを 加 え, 細 胞 と結 合 したAFP精
べた。
-▲-正 常 ウ マIgG
図11.
ア ル ブ ミンを 介 す るAFP複
製抗 体 とMMC
複合体の抗腫瘍効果
ヒ ト卵 黄 嚢 腫 瘍 を ヌ ー ドマ ウ ス に 移 植 し,
回, 複 合 体 (抗 体30μg-MMC2μg含
し, 腫 瘍 の 体 積 を 測定 した 。
-●-0.15M
NaCl
-■-正
常 ウマIgG-MMC結
-◆-MMC▲-AFP複
MMC投
8日 後 か ら6
を腹 腔 内 投 与
トAFP精
ッ トAFP精
ヒ トAFP精
結 合 性 を 示 し,
ィンAと
製抗 体 のF(ab)'_2
製抗体
製抗体
製 抗 体 は ラ ッ トAFPと
ラ ッ トAFP精
結 合能 を もつFcが
の 交 叉反 応 性 のた め
製 抗 体 のF(ab)'_2は
プ ロテ
な い た め 結 合 で きな い 。
合体
製抗 体-MMC複
与 群 に 対 し29日
有)
-□ラ ッ トAFP精
-●-ヒ
-〇-ラ
製 抗 体 を調
合体
月 まで 有 意 (p<0.05)
の増 殖
抑 制 を 示 した 。
複 合 体 投 与 群 は少 な くと も22目
が 観 察 され た 。 そ の後29日
目ま で は 完 全増 殖 抑 制
以 降 はMMCと
同 様 の増 殖
曲 線 を 示 した 。 これ は 投 与 後 の工 夫 に よ り複 合 体 の制 癌
AFP精
製 抗 体 とMMCと
の複 合体 は, そ れ に反 し投 与
効 果 の可 能 性 を示 唆す る も の と考 え られ た 。
中 は増 殖 の著 明 な抑 制 が 観 察 さ れ た。 しか しMMCで
e.
は 薬 剤 投 与 終 了 後 ま も な く増 殖 が再 開 され た の に対 し,
こ こで も う一 度AFP精
1518
特 異 的 免 疫 化 学 (ミ サ イ ル) 療 法 の意 義
製 抗 体 とAFP産
生性腫瘍 と
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腫 瘍 マ ー カ ー抗 体 に よ る診 断 と療 法
図13.
ポ リクローン お よび モ ノ ク ローンAFP精
19
製 抗 体 と 制癌 剤 複 合 体 の 抗 腫 瘍 効 果の 比 較
複 合 体 は ポ リク ロ ーン とモ ノ ク ロ ーン と もに 同程 度 の顕 著 は 抗 腫 瘍 効果 を 示 した 。
none (無 処 置), Ho, IgG (正 常 ウ マ免 疫 グ ロブ リン), Dau.
(ダ ウ ノ マイン), sp. Ab.
(ポ リ ク ロ
ーンAFP抗
体), mono . Ab. (モ ノク ローンAFP抗
体), Dau.+Dex.
(ダ ウ ノマ イ シン と デキ ス ト
ラン の結 合 体), Dau.+sp.
Ab.
(ダ ウ ノ マ イ シン と ポ リク ロ ーンAFP抗
体 の 混 合 物), Dau.+mono.
Ab.
(ダ ウノ マ イ シ ン と モ ノ ク ローンAFP抗
体 の混 合 物), Dau.-Dex.-Sp.
Ab.
(デ キ ス トラン を 中
間 支 持 体 と した ダ ウ ノマ イ シン とポ リク ロ ーンAFP抗
ス トラン を 中 間 支 持 体 と した ダ ウ ノ マイ シンAFPと
の 反 応 に実 験 的 考 察 を 加 え,
て 言 及 した い。AFP精
り, 残 りの1/3がIgTで
し,AFP精
ミサ イ ル療 法 の意 義 につ い
製 抗 体 は そ の2/3がIgGで
Ab.
(デ キ
さ て抗 体 に制 癌 剤 を結 合 させ た複 合体 の運 命 は ど うで
あ
あ ろ うか 。 抗 体 に よ る細 胞 接 触 後 腫 瘍 細 胞 の示 す 旺 盛 な
癌 細 胞 を培 養
エ ン ドサ イ トー シス に よ り複 合 体 の ま ま細 胞 内 に取 り込
あ る。AH66肝
製 抗 体 を15∼250μg/ml添
体 の 複 合 体), Dau.-Dex.-mono.
モ ノク ローン 抗 体 の 複 合 体)。
加 し, 37℃, 2時
ま れ, 細 胞 内 の リソ ソ ー ム酵 素 に よ り共 有 結 合 の切 断後
澗 艀 置 後, 洗 浄後^<125>I-標
識 プ ロテ イ ンAを 加 え, 再 び洗
遊離 した 制癌 剤 の 核 へ の作 用 が 筋 道 と して推 定 さ れ る。
浄 後 の 細 胞 の^<125>I標
識 量 を 測 定 した^<12)>。
図12に
AFP産
果 を 示 す が, AFP精
上 昇 が 見 られ, AFP精
合 集 団 で あ る こ とが 判 明 してい る。 複 合 体 で完 全 治 癒 の
製 抗 体 の細 胞 表 面 へ の 結 合 性 が
例 が 見 られ る こ とは 固 形 腫 瘍 の 場 合 を想 定 す れば, 複 合
結 合 性 を示 さ な い の は 当
製 抗 体 のF(ab)'_2の
昇 が な い の は プ ロテ イ ンAは 抗 体 のFc部
カ ウ ン ト上
細 胞 に接 触 して存 在 す る うち抗 体 と結 合 され た 制 癌 剤 の
作 用 を受 け る こ とも あ ろ う。 そ の 証 拠 と して, あ ま りに
製抗体
が 若 干 の結 合 性 を示 す の は, ラ ッ トと ヒ トのAFPに
交
叉 反 応 性 が あ るた め と理 解 され る。
間 の 時 間 が 必 要 で あ る。
正 常 ウ マ血 清 処理 細 胞 に 比 べ2-デ
強 固 な共 有 結 合 に よ り作 製 さ れ た複 合 体 は 制 癌 活 性 をほ
とん ど示 さ な い。 こ の よ うに結 合 法 もま た複 合 体 の 制 癌
活 性 発 揮 に不 可 欠 の要 因 の ひ とつ で あ る。
こ の よ うに細 胞 表 面 に 抗 体 が 結 合 した 場 合, 細 胞 障 害
性 を示 す が, そ れ には2∼6時
体 が 必 ず しも細 胞 内 に取 り込 まれ る必 要 が な く, む しろ
分 とのみ 結 合
性 を示 す た め で あ る と考 え られ る。 ヒ トAFP精
抗 体 処 理 細 胞 は,
生 性 細 胞 は 産 生 量 の多 い も の と少 な い も の の 混
製 抗 体 の 濃 度 依 存 性 に カ ウ ン トの
確 認 で き る。正 常 ウマIgGは
然 で あ ろ うが, AFP精
そ の結
オ
AFPは
そ の均 一 性 のた め, 従 来 主 と して ポ リ ク ロ ー
ン精 製 抗 体 を 用 い て研 究 が 進 め られ たが, そ の過 程 で モ
ノ ク ロー ン抗 体 と の制 癌 活 性 の比 較 が な され た^<19)>。
ポ リ
キ シ-D-グ ル コ ー スの 取込 み が 悪 くな る^<180>。
抗 体 処 理30
ク ロー ンお よび モ ノ ク ロー ン抗 体 とも にAFPと
分 で は正 常 ウ マ血 清 と大 差 は な い が, 2, 6時 間 と処 理 時
定 数 が10^<-8>∼10^<-9>Mの
親 和 性 の高 い抗 体 が 用 い ら れ た 。
闘 の延 長 と と もに2-デ
オ キ シ-D-グ ル コー ス の取 込 み が
図13に
そ の抗 腫 瘍 効 果 を示 した 。AH66細
の結 合
胞1x10^4
落 ち る。 これ は 抗 体処 理 細 胞 は栄 養 摂 取 機 構 に何 らか の
個 を腹 腔 内移 植 後, 複 合 体 を3日 目 よ り隔 日 に5回,
障 害が あ る こ とを示 す も のか も知 れ な い。 今 後 の検 討 が
腔 内 な い し静 注 した あ1回 投 与 量 は 腹 腔 で抗 体400μg,
肝 要 で あ ろ う。
Dau
腹
40μg相 当量 で あ り, 静 注 の場 合 は そ の5倍 の抗 体
1519
20
蛋 白 質
核 酸
図14.
Database Center for Life Science Online Service
2mg,
200μgで
Vol. 31
No.
臨 床 応 用 例 に お け る 血 中AFPレ
14
(1986)
ベルの推移
あ る。A,
C群
が ポ リ クロ ー ン
AFPレ
AFP精
製 抗 体 投 与 群 で あ り, B,
D群
がモ ノクローン
複 合 体 投 与 例 とも に1/3が
AFP抗
体 投 与 群 で あ る。種 々 の対 照 群 よ りAFP抗
Dau
Dau
酵 素
体と
と の複 合 体 が 最 も 延 命 効 果 が 高 く, 静 注 群 は そ の
量 の 多 さ もあ るが, 10匹 中5匹 が 完 全 治 癒 を示 した 。 ま
ベ ルが 再 び 元 の値 に戻 る例 で, 抗 体 単 独 また は
該 当 した 。II型 は数 週 間 か か
り, 徐 々に 原 値 に近 づ く型 で, 抗 体 投 与 例37.5%,
体20%で
あ っ た。
注 目す べ きは10週
を こえ て な お血 中AFPレ
た ポ リク ロ ー ンお よび モ ノ クロ ー ン抗 体 を 含 んだ 複 合 体
低 値 を維 持 して い る例 で あ ろ う。抗 体 単 独28.1%,
と もに 同 程 度 の抗 腫 瘍 効 果 を示 した 。
体50%で
以 上AFP精
複合
ベ ルが
複合
複 合 体 投 与 例 が 高 率 で あ った 。 投 与 さ れ た
製 抗 体 を用 い た 制 癌 剤 との複 合 体 に よる
AFP精
製 抗 体 は,
ヒ トに とっ て異 種 抗 体 で, 半 減 期 が
癌 の 治 療 効 果 を概 観 した。 これ は 腫 瘍 マ ー カ ー の モ デ ル
4.6日
と短 い た め,
3週 間 後 には ほ とん ど血 中 より 消 失
と してAFPを
用 い た ので あ っ て, 今 後 さ らに有 望 な腫
瘍 マ ー カ ー抗 体 が 得 られ れ ば, た だ ち に応 用 可 能 で あ る
して しま うも の と思 わ れ る。10週
AFPの
低 値 持 続 は, AFP産
以上 に わ た る血 中
生 細 胞 に 対 す る選 択 的 効果
こ とは い うま で も な い。 事 実 そ の よ うな抗 体 が, 新 しい
を示 唆す る も のか も しれ な い。 異 種 抗 体 投 与 に よ る と思
方 法 論 の下 に開 発 さ れ始 め て い る。
わ れ る副 作 用 は3例 に 軽 度 の発 疹, 発 熱 を見 た のみ で,
f.
ス テ ロイ ド剤 の投 与 に よ りす ぐに消褪 した 。
臨床 応用例
AFP精
製 抗 体 は抗 体 単 独 で も 腫 瘍 増 殖 抑 制 効 果 を 示
す た め, まず 抗 体 単 独 の 投与 が 行 なわ れ た 。32例
25, 肝 芽 腫3,
卵 黄 嚢 腫 瘍4)
じて300∼1,000mgを
で血 中AFPレ
(肝癌
ベ ル に応
生 理 食 塩 水 に溶 解 し, 点 滴 静 注
2.
CEA精
精 製CEAは
製抗体
分 子 量 約20万
度 を 示す 。 約50%の
で, βグ ロブ リ ンの易 動
炭 水 化 物 を 含む 典 型 的 な糖 蛋 白質
した 。 複 合 体 は現 在 諸種 の検 討 が 最 も進 ん で い る Dex
で あ る。 ア ミノ酸 組 成 は一 定 して い るが, 糖 含量 が40∼
を 中 間支 持 体 と したAFP精
75%と
製 抗 体 とAMと
の 複合体
相 違 す る た め, CEAは
電 気 泳動 上 広 い分 布 を示
を使 用 した。 点滴 静 注 また は 手 術 時 に 動 注 され た20例
し, シ ャー プ な1本 の バ ン ドに な らな い。 得 られ た 精 製
(肝癌15,
CEAは
肝 芽 腫3,
卵 黄 嚢 腫 瘍2)
で あ る。 投 与 例 は
そ の材 料 ご とに 糖 組 成 が 異 な り, 抗 原性 も ま た
いず れ も例 外 な く進 行 癌 で, 手 術, 制 癌 剤, 放 射 線 治 療
そ の 標 品 ご とに 異 な る。 す なわ ち免 疫 に 使 用 したCEA
も併 用 され て い る例 も多 く, 抗 体 また は 複 合 体 のみ の効
に よ って, そ の 特 異性 を 異 に した 抗血 清が 得 られ る。 そ
果 判 定 は 困難 で あ る。
の 理 由 は 免 疫 学 的 に 交 叉 反 応 を 示 す物 質 が, 正 常組 織 に
ここ に は 図14の
投 与後 の血 中AFPレ
よ うにAFP精
製 抗 体 また は 複 合 体
ベ ル の推 移 のみ を示 す 。AFP精
製
も癌 組 織 に も広 く分 布 して い るた め で あ る。
これ らCEA関
連 抗 原 に は分 子 量5万
抗体 ま た は 複 合 体 投 与 後6時 間 以 内 に, 全 例 とも に血 中
specific cross-reacting
AFPレ
量10万
の糖 蛋 白 質が あ り,NCA-2ま
gen”
と呼 ば れ る。 す な わ ちNCA,
ベ ル は0と な る。 しか しそ の後 の 経 過 は大 別 し
て3種 に 分 類 で きた 。I型
1520
は投 与 後1週
間 以 内 に血 中
の糖 輩 白 質 (non
antigen ; NCA),
糞 便 中 の分 子
た は “fecal anti
NCA-2な
どは,
腫 瘍 マ ー カ ー抗 体 に よ る診 断 と療 法
表4.
156症
例 のCEA放
射 免 疫 検 出 法 に よる 診 断 陽 性 率
21
に^<123>I-放
射 標 識Fabを
用 い20例
ヵ所 の腫 瘍 部 位 をECTで
の患 者 につ い て41
調 べ た とこ ろ, 40/41 (97%)
が 検 出可 能 で あ った と報 告 して い る。ECTは
鋭敏 であ
り, また 差 し引 き法 が 必 要 な く, 今 後 有 力 な 影 像 に よ る
局 在 診 断 法 のひ とつ に な る も の と思 わ れ る。
b.
抗 体 薬 物 複 合体 に よ る 研 究
ポ リ クロ ー ンCEA抗
体 と ピ ンデ シ ン (VDS)
との 複
合 体 が 培 養 ヒ ト癌 細 胞 に細 胞 障 害 性 を 示 す 報 文^<25)>お
よ
び Ford
ら^<26)>に
よ る進 行 癌 患 者 (大腸 癌4,
に ヤ ギCEA抗
a)
N.A.=not
applicable.
(原 発 不 明 の た め)
血 管 造 影 な ど で診 断 が 確 定 した も のに つ き判 定 され た 。
体-VDS複
卵 巣 癌4例)
合 体 を ま ず影 像 に よ る局 在 診
断 のた め, 230∼520μgの^<131>I-標 識CEA抗
体を投与後
(5例 で+,
度 に 応 じ抗
1例 ±, 2例-),
体1.2∼42mg
血 中CEA濃
(VDS24-1,800μg)
を 投 与 した が, 副
作 用 は ま った くなか った との報 告 が あ る。 複 合 体 は 抗 体
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CEAと
共 通 の抗 原 決 定 基 のほ か に, そ れ ぞ れ 独 特 の 抗
原 決 定 基 を もつ 。 したが っ て ポ リ ク ロー ンCEA精
体 は この よ うなCEAの
製抗
性 質 を反 映 した 抗 体 とい うこ と
1分 子 につ き4∼11分
が, 今 後CEAの
子 のVDSが
結 合 した も ので あ る
モ ノ ク ロー ン抗 体 の 解 析 の 進 歩 と と も
に, よ り効 果 的 な複 合 体 の 登場 が 期 待 され る。
が で き る。
a.
CEA精
製 抗 体 に よ る腫 瘍 の 局 在 診 断
CEAはCEA産
3.
生 性 腫 瘍 の表 面 をつ つ む グ リ コカ リ
ックス を 形 成す るの で, CEA精
製 抗 体 をCEA産
生性腫
γ-グル タ ミル トラ ンスペ プ チ ダ ー ゼ に対 す る 抗体
γ-グル タ ミル トラ ンス ペ プチ ダ ーゼ (γGTP)
は膜結
合 性 酵 素 で, 哺 乳動 物 の上 皮 細 胞 に 広 く分 布 す るが,
と
瘍 の 局在 診 断 に応 用 した 例 は 多い 。 ポ リ ク ロー ンCEA
くに腎 で高 い活 性 を有 す る。 成 体 肝 では 活 性 が 低 いが,
精 製 抗 体 を 用 い て Goldenberg^<10)>らは156例
胎児 お よび肝 癌 で10∼100倍
CEA陽
に及 ぶ
性 患 者 に^<131>I-標
識 抗 体 に よる放 射 免 疫検 出 法 を
行 な い, 57∼90%が
陽 性, 直 径2cmく
らい ま で の 固型
腫 瘍 を摘 出 可能 と して い る (表4)。
一 方, Mach
ら^<20)>は
ポ リク ロー ンCEA精
の高 い活 性 が見 られ る。 ラ
ッ トに化 学 発 癌 剤 で誘 発 した 肝 癌 お よ び 前 癌 状 態 で γ
GTPの
活 性 上 昇 が 観 察 され, 腫 瘍 マ ー カ ー と して の意
義 が論 ぜ られ て い る^<27,28)>。
腹 水 肝 癌AH66細
製 抗 体 のF
離 精 製 さ れ た γGTPは,
分 子 量6.8万
胞 か ら分
と4.5万
の大 小
(ab)'2画 分 を 放 射 標 識 し, 放 射 免 疫 検 出 法 を 行 な い, 40
2つ の不 均 一 な サ ブユ ニ ッ トか らな り, 種 々 の割 合 に糖
%の
性患
を 含 ん で い る。 血 中 の γGTPの
上 昇 は 肝 に 由来 す る こ
報 告 した 。 ポ
とか ら, ヒ ト肝 癌 よ り γGTPが
分 離 精 製 さ れ, ポ リ ク
陽 性 率 と して い る。 小 路 らは, 6例 のCEA陽
老 の うち 陽 性 例 は3例 で, 陽 性 率50%と
リク ロ ー ン抗体 使 用 の過 程 で, モ ノ ク ロー ンCEA抗
が モ ノ ク ロー ンAFP抗
のCEAに
300株
体
ロー ン抗 体 に よる肝 癌 診 断 に 応 用 され,
有用 と さ れ た
体 と並 行 して多 数 作 製 され, そ
が, ア ル コー ル 中毒 胆 管 閉 塞 な ど で も上 昇 す る ため, 腫
対 す る特 異 性 が 詳 細 に検 討 され た 。松 岡 らは
瘍 マ ー カー と して の意 義 づ け が そ の糖 鎖 構 造 に 向 け られ
に 及 ぶ モ ノ ク ロー ンCEA抗
体 を作 製 し, そ の反
た^<29,30)>。
す なわ ち ヒ ト肝 癌 γGTPを
応 特 異 性 に よ り6種 類 の 抗 体 に 分 類 し た^<21)>。
そ の中で
Bio-Gel
CEAに
ロー ン抗 体 (IgM)
特 異的 に反 応 性 を有 す る モ ノ ク ロー ン抗 体 を 放
射 標 識 し, 局在 診 断 を行 な っ た。 そ の結 果12例
中6例
P-2カ
ヒ ドラ ジ ン分 解 後,
ラ ム で糖 鎖 を分 離 し, 常 法 に よ りモ ノ ク
を 作 製, 酵 素 免 疫 測 定 法 (EIA)
定 した とこ ろ, 転 移 性 肝 癌,
で測
肝癌 に 高値 を 示 した。γ
に 陽 性所 見 が得 られ た^<22)>。Machら^<23)>も50例の患 者 で
GTPは
モ ノ ク ロー ンCEA抗
よ る治療 に は現 在 の と ころ応 用 され て い な い。 ラッ ト肝
体 に よ り50%の
陽性率 であった
と記載 した 。
Mark
CEA精
と肝 癌 の γGTPの
ら^<23)>は
さ らにそ の診 断 陽性 率 の 向上 を め ざ し,
製 抗 体 のF(ab)'_2を^<123>Iで
放 射 標 識 し, 直 腸
癌 患 者 で コ ン ピ ュー タ を 導 入 し た ト モ グ ラ フ ィー
(ECT)
技 法 を採 用 し, 33例 中28例
腎 に活 性 が 高 いた め, 制 癌 剤 な ど との複 合 体 に
陽 性 (85%),
さら
比 較 で は 肝 癌 では 糖 鎖 数 が4倍
に増
加 し, す べ て が酸 性 糖 鎖 で あ った 。 また 肝 で は ま っ た く
認 め られ な い, bisecting
GlcNAcが
大 量 含 まれ て い る
とい う。
この よ うな方 向 の 研 究 か ら肝 癌 に特 異 的 な ポ リク ロー
1521
22
蛋 白 質
核 酸
酵 素
Vol. 31
No.
14
(1986)
ン, ま た は モ ノ ク ロ ー ン抗 体 に よ る肝癌 の診 断, あ るい
は 治療 へ の応 用 が 考 え られ よ う。
4.
II.
モ ノ ク ロー ン抗 体 は抗 原 決定 基 の1個
鉄 結 合 性 蛋 白質 に 対 す る抗 体
腫 瘍 マ ー カー と して の鉄 結 合 性 蛋 白質 は, フ ェ リチ
と反 応 す る抗 体
で あ るか ら, 多種 多様 の組 織 抗 原 が 混 在 す る腫 瘍 組 織 の
ン^<2)>お
よび トラ ンス フ ェ リン^<2)>で
あ る。 フ ェ リチ ンは 分 子
中 か ら腫 瘍 関 連 (特 異) 抗 原 を 拾 い 出す の に, 好 個 の試
量 約450万
薬 とい え よ う。培 養腫 瘍細 胞, ま た は手 術 時 に摘 出 した
の鉄 貯 蔵蛋 白質 で, 精 製 フ ェ リチ ンは フ ェ リ
チ ンの 蛋 白質 部 分 に 由来 す る 不 均 一 性 を 示 す 。 等 電
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モ ノ ク ロ ー ン 抗 体 に よ る 診 断 と療 法
腫 瘍組 織 の 細 切 物 でBALB/cマ
ウ ス を免 疫 し, そ の 脾
真(pI) を 異 に し, 肝 癌 の フ ェ リチ ンは肝 よ り酸 性 のpI
細 胞 とマ ウ ス骨 髄 腫 の 間 で選 択 培 地 に増 殖 した ク ロー ン
を もち, 胎 児 肝 も 同様 で癌 胎 児 性 蛋 白質 の性 格 を もつ 。
を 免 疫 学 的 手 法 に よ り選 別 す るの が 常 法 で あ るが, 多 数
しか し, 正 常 の腎,
の クロ ー ンか ら 目的 とす る特 異 性 の 高 い 抗 体 を 得 るの は
膵,
心 に も酸 性 の フ ェ リチ ンは 存
在 す る。 肝, 脾 の塩 基 性 フ ェ リチ ンに対 す る ポ リ クロ ー
容 易 では な い。 た とえ ば 後 述 のCA19-9は,
ン抗 体 を 用 いた ラ ジ オ イ ム ノア ッセ イ (RIA)
ロ ー ンの うち か ら得 られ た1個
で も, 血
15,000ク
とい わ れ て い る。 した が
清 フ ェ リチ ン値 は 生 体 の貯 蔵 鉄 量 を反 映 して変 動 し, 悪
っ て あ らか じめ 免 疫 す る抗 原 を 部 分精 製 し, 目的 とす る
性 腫 瘍 ではCEAと
同 様 に肝 癌, 膵 癌, 肺 癌, 急 性 白血
モ ノ ク ロー ン抗 体 選 別 の頻 度 を上 げ るな どの 工 夫 も必 要
病 な どで 陽 性 率 が 高 い。 これ ら の癌 は酸 性 フ ェ リチ ンで
とな る。 以 下 に現 在 ま で に得 られ た モ ノ ク ロ ー ン抗 体 の
産 生 す るた め, 本 来 は酸 性 フ ェ リチ ンに よるRIAを
用
い る のは 理 にか な って い る。
うち, 診 断 と治 療 に利 用 され てい る も の につ い て 述 べ
る。
モ ノ クロ ー ン抗 体 に よる酸 性 フ ェ リチ ンの系 も利 用 さ
れ 始 め て い る。 ウ サ ギ, ブ タ, ヤ ギ を ヒ トフ ェ リチ ンで
1.
免 疫 して得 た ポ リク ロー ン抗 体 を^<131>Iで
放 射 標 識 し, 腫
瘍 の局 在 診 断 お よび 治療 が行 なわ れ て い る^<31)>たと えば
肝 癌 患 者 に^<131>I-フ
ェ リチ ン抗 体 を, 50, 100,
(比活 性1mCi/2.5mg)
150mCi
を与 え た と こ ろ, 血 小 板, 白血
診 断 に 利 用 され て い る モ ノ ク ロー ン腫 瘍 マー カー
抗体
CA19-9^<35)>は大 腸 直 腸 癌 の腫 瘍 マ ー カ ー と して 発 表 さ
れ た が, 最 も役 立 つ の は膵 癌 といわ れ る。IgG_1悔
で認
識 さ れ, 抗 原 は モ ノシ ア ロガ ング リオ シ ド (ヒ トLe血
球 の減 少 以 外 の副 作 用 は な く, 寛解 状 態 が2年 近 く続 い
液 型 抗 原 の ハ プ テ ン) と され て い る。血 清 で は 膵癌 で79
た 例 が あ っ た。 この場 合 大切 な こ とは い か に腫 瘍 に 局在
%(63/80),
して長 く^<131>Iを
照 射 す るか とい う点 で, 比 活 性 の高 い標
識 抗 体 の使 用, 投 与 量 投 与 間 隔 の 検 討 に よ り, 効 果 的療
法 が 模 索 さ れ て い る。 頻 回 注 射 に よ る ア レル ギ ー反 応 の
予 防 と して, ウサ ギ, ブ タ, ヤ ギ で 作製 した 抗体 を2ヵ
胃癌66%,
は0.6%(6/1020),
86%,
大 腸 直 腸 癌46%陽
性, 健 常 人
免 疫 組 織 化 学 的 に は 胃癌89%,
大 腸 癌59%を
膵癌
検 出 した。
CA125^<360>はや は り糖 鎖 を 認 識 す る抗 体 で, 卵 巣 癌 で
90%以
上 の 陽 性 率 を示 すが,
健 常 者 で は女 性 (20∼40
月間 隔 で輪 番 に 用 い るな どの 工 夫 も して い る。 モ ノ ク ロ
才) が 男 性 よ り有意 に 高 く, 良性 腫 瘍 で は子 宮 内膜 性 嚢
ー ン抗 体 も放 射 標 識 して利 用 され た が, この場 合 は 抗 体
腫 で63%,
の サ ブ ク ラ スに か か わ らず, 抗 体 か ら 遊 離 した^<131>Iが
妊娠 初 期 で50%以
上 陽 性 とな る。
CA15.3^<37,38)>はヒ ト乳 脂肪 球膜 に対 す る抗 体115D8
胃 に取 り込 ま れ る現 象 (脱 ハ ロ ゲ ン化) が起 こ るな ど の
と乳 癌 肝 転 移 細 胞 に対 す る抗 体DF3
(IgG_1) を 利 用 し
問 題 が あ る。
た も の で, 認 識 抗 原 (分 子量30万)
は, 血 清 中 で進 行
トラ ンス フ ェ リ ンは 血 清 中 に存 在 す る鉄 輸 送 蛋 白質 で
分 子 量8.5万
乳 癌40∼80%,
肺 腺 癌53%の
陽 性 を 示 す 。乳 腺 良性 腫
の β位 の易 動 度 を もつ 糖 蛋 白 質 で あ る^<32)>。 瘍, 肝 硬 変, 妊 娠 な ど で偽 陽 性 は ほ とん ど出 な い 。
この トラ ンス フ ェ リ ンか ら鉄 を摂 取 し利 用 す るた め, 受
容 体 が 細 胞 表 面 に あ るこ とは予 想 にか た くな い。 と くに
細 胞 増 殖 に トラ ンス フ ェ リ ンが 重 要 な こ とか ら,
トラ ン
DU-PAN-2^<39)>は,
膵 癌90%以
上, 胆 管 癌81%に
陽 性 とな る。
腺癌 関連 抗 原 を血 中 で検 出可 能 な抗 体 (IgM)
が得 ら
ス フ ェ リ ン受 容 体 と細 胞 増 殖 との関 連 性 が 注 目され る と
れ た^<40)>。
これ は, 肺, 胃, 膵 の 腺癌 を 特 異 的 に 検 出 す る。
こ ろ とな った 。 トラ ンス フ ェ リ ンまた は トラ ンス フ ェ リ
認 識 抗 原 は分 子 量3.3万
ン受 容 体 に対す る モ ノ ク ロー ン抗 体 と制 癌 剤 との複 合 体
健 常 人10%陽
の 制 癌 効 果 も検 討 され 始 め て い る^<132∼34)>。
体 も得 られ て い る。ヒ ト肝 癌 に対 す る3種 の抗 体 (IgG_<2a>
1522
で あ る。 腺 癌 検 出 率45∼73%,
性 とな る。 また スキ ル ス 胃癌 に対 す る抗
腫 瘍 マ ー カ ー抗 体 に よる 診 断 と療 法
2種 とIgG_1)
23
が作 製 さ れ た^<42)>。4種
の ヒ ト肝 癌 の 異 な
る抗 原 決 定 基 を 認 識, ラ ッ ト肝癌 の 抗 原 決 定 基 とも反 応
す る。 しか し正 常 細 胞 との反 応 性 は な く,他 の ヒ ト癌 細
胞38株
中1株
と しか反 応 しな い 。3種
の抗 体 は そ れ ぞ
れ 分 子 量5万 の細 胞 表 在 性 蛋 白質, 6.5万 の 細 胞 膜, お
よび 細 胞 質 にそ の認 識 抗 原 が 認 め られ た 。 他 の グル ー プ
では3.9万
の蛋 白質 を 認 識 す る ヒ ト肝 癌 に対 す る抗 体 を
得 て い る^<43)>。
こ の蛋 白質 は 培 養 癌 で のみ 検 出 され, ラ ッ
トの肝 癌 に も存 在 す る。 この ラ ッ トの 抗 原 は1本
DNAと
鎖 の
特 異 的 な結 合 活 性 を もつ とい う。
図15.
モ ノク ローン 抗 体 単 独 投 与 に よ る血 中 リン
パ球 の 変 化
メラ ノ ー マ関 連 抗 原 に 対 す る モ ノ ク ロー ン抗 体 の 研
究^<44)>は,
最 も進 ん だ も の で あ る。 白血 病 細 胞^<45)>,
骨 肉腫
細 胞, 神 経 芽腫 細胞 株^<46)>に
対 す る モ ノ クロ ー ン抗 体 とそ
の認 識 抗 原 につ い て も注 目す べ き報 文 が 多 い。 た とえ ば
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メ ラノ ー マ に対 す る マ ウ ス抗 体 (IgG_1)^<47)>は17/20 (85
%)
の メラ ノ ー マ細 胞 株 と反 応 し, 5/14 (35.7%)
の癌 細 胞 株, 3/3 (100%)
の 正 常 色 素 細 胞 培 養 株 と反 応
の正 常 あ る いは 悪 性 腫 瘍 株 と
共 通 の抗 原 決 定 基 を もつ こ
の抗 体 の認 識 抗 原 は, 糖 蛋 白 質 で, 分 子 量9.5∼15万
あ り, これ 以外 に20万
のCEA様
A
B
抗 体150mg/2時
抗 体300mg/2時
C
抗 体300mg/2時
mg)。
間+20mg/時
間+20mg/時
間 ×27時間 (総 量690mg)
間 ×40時 間 (総 量950mg)
間+22mg/時間
×46時
間 (総 量1,300
の他
性 を示 す が, そ の他35種
は反 応 しな い。 精 製CEAと
リンパ 腫 の患 者 に抗 イ デ ィオ タ イ プ抗 体 を ↓の よ うに 投 与
した 。 血 中 の リン パ球 は そ の つ ど著 明 に 減 少 した 。
で
分 子 を認 識 す るわ け
ーマ患 者 に対 す る マ ウス モ ノ ク ロー ン抗 体 投 与 の実 験 が
報 告 され て い る^<50)>。
B.
モ ノ ク ロー ン抗 体 と 制 癌 剤 との 複 合 体 に よ る研 究
ヒ ト骨 鴎腫791株
α791T/36
に対 す る マ ウス モ ノ ク ロー ン抗 体
(IgG_<2b>)と ビ ンデ シ ン (VDS)
で あ る。 今 後 も こ の よ うな抗 体 が 多 数 見 いだ され, 診 断
(抗体 との結 合 比1
に貢 献す る こ とに な ろ う。
株 に 対す る 選択毒性 を 勿
VDSか
: 6.1∼6.5)
と の複 合 体
を 作 製 し, そ の791T
伽70で
調 べ た^<51)>。
遊 離 の
らは 細 胞 毒 性 の低 下 が あ っ た が, 複 合 体 は 濃 度
2.
モ ノ ク ロー ン腫 瘍 マ ー カ ー 抗 体 に よ る治 療
依 存 性 に効 果 が 増 強 し, 細 胞 あ た りに 結 合 す る抗 体 分 子
A.
モ ノク ロー ン抗体 単 独 投 与 に よ る 研 究
数 に比 例 して細 胞 障 害性 を示 した。
ヒ ト白血 病 患 者 (急性 骨 髄 性 白血 病12,
急 性 リ ンパ性
葉 酸 拮抗 作 用 を 有 す る メ ト ト レキ セ ー ト (MTX)
と
の末 梢 血, 骨 髄 細 胞 ま
モ ノ ク ロー ン抗 体 との複 合 体 の 制 癌 効 果 が 調 べ ら れ
た は 単球 と, そ れ ぞ れ の細 胞 を個 別 に認 識 す る モ ノ ク ロ
た^<52)>。
抗 体 に は 大 腸 癌 に対 す る抗 体 (IgG_<2b>)と, Tリ ン
ー ン抗体 を in vitro
パ球 性 白血 病 細 胞 表 面 に 存 在 す る,
白血 病2,
慢性 骨 髄 性 白血 病1)
で反 応 させ
, 細 胞 障害 性 を調 べ る
トラ ンス フ ェ リン受
と, 10/14が 抗 体 を結 合 し, 細 胞 融 解 を示 した 。4/14は
容 体 に対 す る抗 体 (IgG_1) が 用 い られ た 。複 合 体 の作 製
抗体 との結 合活 性 が あ ま り高 くな く, 細 胞 障 害 性 が な い
に はMTXの
活 性 部 位 で あ る ア ミノ基 を保 存 す る た め,
とい う報 告 が あ る^<48)>。
一 方, 治 療 的 に モ ノ ク ロー ン抗 体
ヵ ル ボ キ シ ル基 を 化 学 修 飾 し活 性 エ ス テ ル誘 導 体 と し,
を投 与 した 例 もあ る。 進 行 性 で末 期 のB細 胞 非ホ ジ キ ン
抗 体 の ε-ア ミノ基 との共 有 結 合 法 を採 用 した 。 結 合 比
病 型 リンパ腫 患 者2例
は そ れ ぞ れ1
に マ ウス モ ノ ク ロー ン抗 イ デ ィオ
タイ プ抗 体 を投 与 した^<49)>。
そ の結 果, 図15に
示 す よう
りMTXの
: 8, 1 : 13で あ る。抗 体 のサ ブ タ イ プ に よ
結 合 量 と 複 合 体 の 安 定 性 に相 違 が あ りそ う
に, 抗 体 投 与 後 に一 時 的 で血 中 の悪 性 細 胞 が 減 少 した。
で あ る。 この 場 合 も in vitro で は 標 的 腫 瘍 に対 して複 合
抗 体 が血 中 の腫 瘍 細 胞, 骨 髄,
体 は濃 度 依存 性 に 細 胞 障 害 性 を 示 した が, 同濃 度 の遊 離
も確 認 され た。3.8gあ
リ ンパ節 に集 積 した こ と
るい は5.8gと
い う大 量 の抗 体
のMTXに
比 べ, そ れ ぞ れ1/22,
1/20の 効 果 しか 示 さ
が反 復 投 与 され たが, 副 作 用 は な く, マ ウス蛋 白 質 に対
な か っ た。 しか し ヌ ー ドマ ウス に移 植 した 大 腸 癌 細胞 株
す る異種 擁 体 もで き なかっ た 。 抗 体 の変 調 も起 こ らず,
に対 して は, 図16に
腫 瘍 の破 壊 が著 しか った 。 これ は患 者 血 中 に細 胞 障 害性
抗 体 とMTXの
を示 す 網 内系 細 胞 が 出現 し, 一 時 的 に抗 腫 瘍 効 果 を示 す
示 した 。MTXを
た め で あ り, 補 体 は 関 与 しな い。 これ よ り先 に, メ ラ ノ
示 す よ うに 生 理 食 塩 水 投 与群 と,
単 な る混 合 物 に 比 べ 有 意 の 増 殖 抑 制 を
高 分 子 の 中 間 支 持 体 を介 して モ ノ ク ロ
ーン抗 体 と結 合 させ れ ば, さ ら にMTXの
結 合分子数
1523
24
蛋 白 質
核 酸
酵 素
Vol. 31
No.
14
(1986)
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図16.
MTX・
モ ノ ク ロ ーン 抗 体 複 合 体 の抗 腫 瘍 効 果●- 0.15M
NaCl
-▲MTXと
抗体の単なる混合物
-★-
複 合 体 (抗 体64μg-MTX
↓
ヌ ー ドマ ウ ス群6匹
1μg)
の腫瘍内へ投与。
図18.
複 合 体 投 与 群 のみ 有 意 の増 殖 抑 制 を示 した 。
CILを1回
を 示 した 。
○
PBS,
CILの
● ACD
(ACD
1μg) □ CIL
処 置 後 にCIL
(ACD
図17.
アル ブ ミン (HSA)
を 介す る 抗 体 (Ab)
ト トレ キ セ ー ト (MTX)
と の複 合 体
製 抗 体 と Dau
1μg,
(ACD
1μg)
ロー ン抗 体 (IgM)
る。 リポ ソー ム は あ らか じめ 精 製 し単 層 の も のを 利 用 す
る。in vitro に お け るMM抗
で, MTXと
MM抗
抗 体 を ア ル ブ ミンを 介 して結 合 させ 制 癌 活
性 を 調 べ た 報 告 が あ る^<53)>。
骨 肉腫 に対 す る前 述 の α791
体 を 利 用 した 系 で, まず 抗 体 の ε-アミノ基 を ヨ
ボ キ シ ル基 にSPDPを
を 導 入 し, MTXの
MTXの
ヒ ト血 清 ア ル ブ ミンの カ ル
用 い, ジ チ オ ビ リジ ン (DTP)
ア ミノ基 と反 応 させ,
ソー ム
1μg), ■ 多 層 リポ ソ ー ム前
を投与。
基 に よ りマ レイ ミ ド基 を介 して リポ ソー ム と 結 合 さ せ
との複 合 体 の項 で述 べ た, ア ル
ー ドアセ チ ル化 す る。 一 方,
△ Chemo-BSA-リポ
を還 元 し, Fc部 分 に あ る遊 離 のSH
ブ ミンを 中 間 支 持 体 と して用 い る方 法 とは異 な る結 合 法
T/36抗
顕著は増殖抑制
とメ
が 増 加 し, 制 癌 活 性 の上 昇 が 期 待 され る。
AFP精
抗 腫瘍 効 果 (in vivo)
↓の と きに 静 注 した 。CILが
ア ル ブ ミンー
結 合 物 を つ くる。つ い で こ の結 合 物 と ヨー ドア
原 陰 性 のMM48腫
比 較 され た。 遊 離 のACD,
(IL)
原 陽 性 のMM46腫
瘍 に 対 す るCILの
ACDと
の単 な る混 合 物 に 比 べ, CILは
が 示 され た。 一 方,
MM抗
MM48で
瘍 と,
効 果 が
イ ム ノ リポ ソ ー ム
顕著な選択的毒性
は 三 者 に 差 異 が な く,
原 に特 異 的 な効 果 で あ る こ とが わ か る。図18に
c3H/Heマ
ウス の皮 下 に10^6個
4日 後 に直 径5mmに
のMM46を
移 植 し,
な って か ら経 静 脈 的 にCILを
投
セ チ ル化 抗 体 を反 応 させ, 複 合 体 で作 製 す る (図17)。
与 し, そ の効 果 を判 定 した 。 リポ ソー ム は宿 主 の貪 食 細
結 合 比 は 抗 体 : ア ル ブ ミン : MTX=1
胞 に取 り込 まれ る の で, あ らか じめ 多 層 の リポ ソー ム を
る。 この 複 合 体 は 抗 体 お よびMTXの
: 1.3 : 32で あ
活 性 を保 持 して
マ ウス に投 与 後1時
間 目に1μgのACDを
含 むCILを
い る こ とが 示 され て い る。 しか し骨 肉腫 細 胞 の うち0.3
静 注 し, 定 期 的 に腫 瘍 径 を測 定 した 。CIL投
%以
こ の複 合 体 処 理
食 投 与 群 に比 べ て ご く軽 度 の増 殖 抑 制 を示 した が, 有 意
後 の生 残 細 胞 につ い て, そ の抗 原 性, 薬 剤 感 受 性 の変 化
の差 異 で は なか った 。 しか し多 層 リポ ソー ム前 処 置 群 で
を 調 べ てみ る と,
は, CIL投
与 後4日 間 は 顕 著 な増 殖 抑 制 が 観 察 され た 。
投 与 後12日
目に 屠殺 し, 腫 瘍 重 量 を比 較 す る と, 生
下 の少 な い 細 胞 集 団 で は あ るが,
と く に変 化 は な く, 複 合 体 の処 理 時
間, 濃 度 の工 夫 に よ り制 癌 性 の増 強 が可 能 で あ った^<54)>
リポ ソー ム (人 工 脂 質 膜 小 胞) の膜 また は そ の 内部 に
ア クチ ノ マ イ シ ンD
(ACD)
を封 入 し, 膜 表 面 に抗 体 を
結 合 させ た ケ モ イ ム ノ リポ ソー ム (CIL)
た^<55)>。
マ ウ ス乳 癌 関連 抗 原 (MM抗
1524
も研 究 され
原) に 対 す るモ ノ ク
理 食 塩 水 投 与 群 に比 べ 有 意 (p<0.05)
与 例 では 生
に少 なか った 。
ACD単
独 お よび 抗 体 の 代 わ り に ウ シ血 清 アル ブ ミ ン
(BSA)
を 結 合 した リポ ソ ー ムは 抗 腫 瘍 効 果 は な く, 多 層
リポ ソー ム前 処 理 を しな い と, む しろ腫 瘍 増 殖 を促 進 し
腫 瘍 マ ー カー 抗 体 に よ る診 断 と療 法
25
図19.
ヒ トメ ラ ノー マ 高 分 子 抗 原 に 対 す るモ ノ クローン 抗 体 とNCSと
の 複 合 体 の制 癌 活 性 (in vitro)
^3H-チ ミジン の取 込 み 抑 制 で 調 べ た
。 複 合 体 は 抗 原 (+) の 細 胞 に の み 選 択 的 に 低 濃 度 でDNA合
成 を 阻 害 した 。
Database Center for Life Science Online Service
た。 こ のCILは
ヒ ト膀 胱 癌 に 対 す るモ ノ ク ロ ー ン抗
の研 究 は, 制 癌 剤 と の複 合 体 の研 究 よ りむ しろ 論 文 は 多
体 の系 に応 用 され, しか るべ き効 果 が 得 ら れ つ つ あ
い^<60∼65)>。
毒 素 は 細 胞 へ1分 子 で も入 れ ば, 確 実 に 宿 主 を
る^<56,57)>。
死 に 至 ら しめ る ほ ど強 力 な た め,
分 子量1万
余 の 中等 度 の大 き さ の制 癌 剤 で あ る ネ オ カ
ル チ ノ ス タチ ン (NCS)
ミサ イ ル と して 魅 力 が
あ る か らで あ ろ う。 した が って 複 合 体 は精 製 が 大 切 で あ
は, 蛋 白質 部 分 と非 蛋 白 質性 ク
り, ま た 生体 内 で の代 謝 な ど の基 本 的 な 問題 が 残 され て
ロモ ホ アか らな り, 後 者 に そ の制 癌 活 性 を有 す る。 抗 体
い る。ジ フテ リア毒 素 また は リシ ン(ricin) に 代 表 され る
との 複 合 体 を つ くる場 合,
細胞 毒 が, 初 期 に は 利 用 され た 。 細 胞 毒 と して の機 序 は
この ク ロモ ホ ア は10^<-9>Mの
低 濃 度 で高 い 制 癌 効 果 が あ るた め, こ の ク ロモ ホ ア の活
同様 と考 え て よ い。 す な わ ち 分 子 量 約3万
性 を 損 わ な い よ うな 結 合方 法 を用 い れば, そ れ ほ ど大 量
がS-S結
のNCSを
細 胞 膜 上 の 認 識 部 位 と結 合 し (リ シ ンは ガ ラ ク トー ス で
抗 体 に 結 合す る こ とな く, 選 択 的 制癌 活 性複
合 体 が 得 られ る。
ク ロー ン抗 体 (IgG_1) と, NCSと
作 用 させ, NCS
い で抗 体 を還 元 し, 遊 離 したSH基
応 させ, 抗 体-S-S-NCSを
導 入す る。つ
とNCS-DTPを
反
作製 す る。抗 体1分 子 につ
1∼4分 子 で, 抗 体 お よびNCS活
20∼50%保
性 は それ ぞ れ
持 され て い る。こ の複 合 体 の選 択 的 制
癌 活 性 を 図19に
示 した 。(a)
は 抗 原 陰 性 細 胞 であ る。(a)
ゥ スIgG_1とNCSと
は感 受 性 の あ る
は 同 定 され てい な い), A鎖
が 細 胞 膜 を 貫通 し,細 胞 の 蛋
白 質合 成 機 能 を停 止 さ せ る (リ シ ンAは
リボ ソ ー ム60S
に対 す る制 癌 効 果 の研 究 が あ る^<58)>。 サ ブユ ニ ッ トの 直接 障 害, ジ フテ リア 毒 素Aは 伸 長 因子
の 蛋 白質 部 分 の カル ボ キ シ ル基 にDTPを
きNCS
に 対 す るモ ノ
の複 合 体 の標 的 メ ラ ノ
複 合 体 作 製 に は まずNCSにSPDPを
80%,
とB鎖
終 わ る糖 蛋 白質 と糖 脂 質 を認 識 す る。 ジ フ テ リア毒 素 で
ヒ トメ ラ ノ ー マ の高 分 子 抗 原 (A-143)
ー マ細 胞 (A-375)
合 で 結 ば れ た 構 造 を もつ 。B鎖
のA鎖
の結 合 物 に比 べ,
正 常マ
たA鎖
モ ノ ク ロー ン抗 体 を結 合 させ, 標 的腫 瘍 細 胞 へA
鎖 を送 り込 も う とい うのが イ ム ノ トキ シ ン療 法 であ る。
最 近 は 植 物 毒 素 の研 究 が 進 み,
リシン, ア ブ リ ンの よ
B鎖 よ りな る もの の ほ か, A鎖 様 の 蛋 白質 のみ
か らな るサ ポ リ ン, ジ ェ ロニ ン, ア メ リカヤ マ ゴ ボ ウ抗
ウ イ ル ス蛋 白質 (PAP)
そ れ ぞ れ70∼
ボ シ ル部 分 の転 帰 の 阻 害)。した
的 選 択 毒 性 を発 揮 で きな い 。 こ の性 質 を利 用 して 分 離 し
うなA,
は抗 原 陽 性 細 胞, (b)
で は遊 離 のNCS,
EF-2NAD^+のADPリ
が っ て, ど ち ら もA鎖 の み で は 感 受 性 細 胞 に対 す る特 異
が 利 用 され る よ うに な った 。 こ
用
れ ら植 物 毒 素 の利 点 は, 取 扱 い が 容 易 で あ り, 精 製 も比
ラ ンス フ ェ リン複 合 体 の トラ ン ス フ ェ リン
較 的 簡 単 で, そ れ ぞ れ 免 疫学 的 に 交 叉 性 が な い の で, 各
受 容 体 を もつ 腫 瘍 細 胞 に 対 す る抗 腫 瘍 効 果 の報 告 も見 ら
種 毒 素 の組 合 せ で利 用 で き る こ とで, 今 後 の研 究 の進 展
れ る^<59)>。
これ ら め場 合, い ず れ も標 的 腫 瘍 細 胞 へ の選 択
が 期 待 で き る^<66)>。
100,
40∼50倍
いたNCS-ト
の抗 腫 瘍 活 性 を 示 して い る。SPDPを
酌 集 積 性 が 高 く, か つ 細 胞 の 旺 盛 な エ ン ドサ イ トー シ ス
に よ り in vitro
に お い て も高 い 選択 的 抗 腫 瘍 活 性 が 得
られ た も の と推 定 され る。
毒 素 を モ ノ ク ロー ン抗 体 と結 合 させ た イ ム ノ トキ シ ン
リシ ンAと モ ノ ク ロ ー ン抗 体 の 組 合 せ は 数 多 くの報 告
が あ るが, こ こ で は Canevari
らの 報 告 を 述 べ る^<67)>。
ヒ
ト乳 癌 の 中性 糖 脂 質 抗 原 お よび 卵 巣 癌 の糖 鎖 抗 原 に 対 す
るモ ノ ク ロ ー ン抗 体 (IgM)
が 用 い られ た 。 リシ ンAと
1525
26
蛋 白 質
核 酸
酵 素
Vol. 31
No. 14
(1986)
る方 法 (抗体-NH・OC・CH_2・CH_2・S-CH_2・CO・NH-リ
シ ンA), あ る い は ビ リジ ル ジ チ オ プ ロ ピオ ン酸 (PDPA)
と水 溶 性 カ ル ボ ジ イ ミ ド (EDC)
DTPを
を 用 い, 抗 体 (Ab)
に
結 合 させ る方 法 も あ る^<68)>。
成 人T細 胞 白血 病 細 胞 は, イ ン タ ー ロ イ キ ン2
2) の受 容 体 を発 現 して い るが, IL-2受
(IL-
容 体 に 対 す るモ
ノ ク ロー ン抗 体 と リシ ンA複 合 体 が 選択 的 制 癌 効果 を 示
す 報 告^<69)>も
あ り, イ ム ノ トキ シ ンの 臨床 応 用 に 向 け て 基
礎 的 検 討 が 進 ん で きた 。 リシ ンA様 の 植 物 毒 で あ るサポ
リ ン と抗 体 と の複 合 体 の 制 癌 効 果 を 見 た 報 告 が あ る^<70)>。
マ ウ ス のT抗 原 の一 種 (Thy 1 .1) を 細 胞 膜 表 面 に も つ
リ ンパ 腫 (Thy 1.1^+) を標 的 細 胞 と して, Thy 1.1に 対
す る モ ノ クロ ー ン抗 体 (IgG_1) とサ ポ リンの 複 合 体 の抗
腫 瘍 効 果 を,
リシ ンAと の複 合 体 と比較 して い る。 ま た
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抗 体 を ペ プ シ ン処理 に よ り抗 原 結 合 部 位 の み に し たF
(ab)'_2分 画 とサ ポ リン複 合 体 も用 いた (図21)。
そ の結
果, サ ポ リン, モ ノ ク ロー ン抗 体 単 独 投与 群 は, 無 処 置群
と同 様 に22日
前 後 で 死亡 した の に対 し, モ ノ ク ロー ン
抗 体-サ ポ リン複合 体 は, 10匹
図20.
モ ノ ク ローン 抗 体 ・リシンA複
(a) は 乳 癌 細 胞,
合体の制癌活性
(b) は 卵 巣 癌 細 胞 に 対 す る選 択 的 制 癌 活
ポ リン複 合 体 は38日,
中4匹 治 癒, F(ab)'_2-サ
抗 体-リ シ ンA複 合 体 は29日
と
顕 著 な 抗腫 瘍 効果 を示 した。F(ab)'_2が 効 果 が 劣 る理由
性 を 示す 。
-☆-リ シ ソA鎖, -○-抗
体 単 独, -△-リ
体 との単 な る 混 合 物, -□-乳
と リシンAの 複 合 体, -●-抗
癌 に 対 す る モ ノ ク ローン 抗 体
体 単 独, -▲-リ
シンAと 抗
ほ うが 半 減期 が早 い た め とも考 え られ る。 サ ポ リ ンが リ
体 との単 な る 混 合 物, -■-卵
巣 癌 に 対 す るモ ノ ク ローン 抗
シ ンAよ
シンAと
抗
体 と リシンAの 複 合 体
図 の下 に複 合 体 の 処 理 時 間 と^3H-プ ロ リン処 理 時 間 を 示 し
た。
は, Fc部
分 が宿 主 の 防 御 機 構 の上 昇 お よびF(ab)'_2の
り優 れ て い る の は, リシ ンAが 側 鎖 に糖 鎖 を も
ち, 流 血 中 で糖 鎖 に対 す る受 容 体 を もつ 網 内系 の細 胞 に
よ り消 費 さ れ るこ と と, サ ポ リ ンは 等 電 点 が9.5で
生理
的条 件 下 で は プ ラス の荷 電 を有 す る ため, マ イ ナ ス の荷
抗 体 とはSPDPを
用 い, 次 の方 法 で複 合 体 が作 製 され
た 。 まず リシ ンA蛋 白 質 の ε-ア ミノ基 にDTPを
させ る。 つ い で リシ ンAのSH基
と の間 でSH,
換 反 応 に よ り, 抗 体一-NH-CO-(CH_2)_2-SS-リ
結合
S-S交
シ ンA複
電 を有 す る抗 体 と緊 密 な化 学 構 造 を保 ち得 る が, 7.5で
あ る リシ ンAは 荷 電 が な く, 流血 中 で 比較 的不 安 定 な た
め で あ る と推定 され る。
ジ ェ ロニ ン, PAPと
モ ノ ク ロー ン抗 体 と の複 合 体 を
合 体 が で き る。 こ の場 合 の 抗体 と リシ ンAと の 結 合 比 は
高座 に精 製 し, そ の抗 腫 瘍 活 性 を調 べ た 報 告 が あ る^<71)>。
1 : 1.5で
抗 体 の サ ブ ク ラス に よ る精 製 法 の若 干 の相 違, 抗 腫 瘍 活
あった。
図20に
複 合 体 の選 択 的 制 癌 活 性 を 示 した。(a)
は乳
性 と抗 体 の標 的 腫 瘍 細 胞 に対 す る親 和 性 の関 連 につ き検
は 卵 巣癌 細 胞 培 養 株 に対 す るそ れ ぞ れ の モ
討 され て い る。 メ ラノ ー マ の高 分 子 抗 原 を認 識 す る抗 体
ノ クロ ー ン抗 体 と リシ ンAと の複 合 体 の効 果 が示 され て
を利 用 して, ム ギ 由来 の細 胞 毒 性 を有 す る低 分 子 ペ プ チ
癌 細 胞 (b)
い る。IC_<50>
(50%の
細 胞 を死 滅 させ る に必 要 な リ シ ンA
の濃 度) で 比較 す る と, (a)
Aの 約200倍,
(b)
で は複 合 体 が 遊 離 の リシ ン
で は1,000倍
に 達 す る。抗 体 お よ
ド (SP-H)
を 結 合 した 複 合 体 は in vitro, in vivo と も
に選 択 的 制 癌 活 性 を示 した^<50)>。
一 方,
イ ム ノ トキ シ ンが
標 的 腫 瘍 へ 到 達 す る ま で の循 環血 液 中 で の安 定 度 が 調 べ
び 抗 体 と リシ ンAと の単 な る混 合 物 で は, 10^<-7>Mまで何
られ た^<72)>。PAPと3種
ら影 響 を 与 え な か った 。 抗 体 と リシ ンAと の複 合 体 の作
いた 結 果 で は, 遊 離 のPAPは95%が2時
製 法 に は,
り消 失 す る の に対 し, 複 合 体 は 遅 く半 減 期 が17∼24時
リシ ンAの 多 量 体 形 成 を避 け るた め 抗 体 に
の モ ノ ク ロー ン抗 体 複 合 体 を 用
間 で血 中 よ
SHを 導 入 し, 抗 体-NH・OC・CH_2CH_2・SS・CH_2CH_2・CO・
間 で, 90%以
NH-リ
た。 ま た標 的腫 瘍 組 織 で の活 性 も保 持 して いた 。 す なわ
1526
シ ンAと す る方 法, 安 定 な チ オ エ ス テ ル基 にす
上 が4時 間 後 で もそ の ま ま の形 で 存 在 し
Database Center for Life Science Online Service
腫 瘍 マ ー カ ー抗 体 に よ る診 断 と療 法
図21.
抗Thy
1.1モ
27
ノク ローン 抗 体 ・ナ ポ リン 複 合体 の抗 腫 瘍 効 果
標 的 腫 瘍10^6個 を ヌ ー ドマ ウス に 移 植 後1日
目に サ ポ リン また は リシンA10μgを
結 合 した Thy
1.1抗
体 複 合 体 を 注 輸 し, 生 存 日数 を 調 べ た 。
対 照 群 と して の抗 体 (---),
サ ポ リン また は リシンA10μg
(----) 稀 釈 液 (-)
の 生 存 日数 (22日)
に 比 べ, F(ab)'2-サ ポ リンは38日
に延 命, MoAb-サ
ポ リン は10匹
中4匹 が治 癒 した 。MoAb-リ
シンA
は29日
と多 少 の 延 命 を 示 した 。
ち ジス ル フ ィ ド基 に よ る共 有 結 合 は血 中 で か な り安 定 で
形 質 細胞 腫 ま た は 骨 髄 腫 と の融 合 株 を用 い る。 どち ら も
あ り, イ ム ノ トキ シ ン療 法 に 明 るい 見通 しを 示 した 。
現段 階 で は マ ウ スの 系 に 及 ば な いが, 早 晩, マ ウス の系
C.
放 射 標 識 抗 体 に よる 放 射 療 法 に 関 す る研 究
抗 体 そ の も のを放 射 標 識 した 同 位 元 素 に よ る放 射 療 法
が 試 み られ て い る。Thy
1.1^+に 対 す る モ ノ ク ロー ン抗
体 (IgG_<2b>)を^<131>Iで
標 識 し, 500μCiを
触 知可能の リ
ンパ腫 移 植 マ ウ ス に投 与 した とこ ろ, 44%に
うち2/5が
腫 瘤 退 縮,
治 癒 した^<73)>。
制 癌 性 物 質 に比 べ た 利 点 は, 抗
に と って 代 わ る こ とで あ ろ う^<76)>。in vitro
で抗 原 を プ ラ
イ ミン グす る技 法 の進 歩 お よび 組 換 えDNAの
技 術 を
導 入 した キ メ ラ抗 体 分 子 の作 製 に よ り, 自己 の 腫 瘍 の 微
細 な 抗 原 構 造の 変 化 を 認 識 す る抗 体 の検 出 も可 能 で あ ろ
う。 ヒ トIgG分
子 の イ デ ィオ タ イ プ に対 す る抗 体 は,
マ ウ ス の系 では マ ウ ス のIgG分
子 に特異的な抗原構造
体 そ の も のが 標 識 され てい るた め に隣 接 す る抗 原 陰 性 の
を まず 認 識 す る の に対 し, ヒ トの系 で は イデ ィ オ タ イプ
腫 瘍 に も影 響 を与 え 得 る こ と, エ ン ドサ イ トー シ スが 不
を まず 認 識 す る の で, B細 胞 性 白血 病 の 診 断, 治 療 へ も
要 な 点 で あ ろ う。 神 経 芽 腫 に対 す る 抗 体 を^<131>Iで
標識
応 用 で き る。 抗 イ デ ィオ タ イ プ抗体 が 腫 瘍 関 連 抗 原 と類
し, ヌー ドマ ウ ス に移 植 した 腫 瘍 に対 す る効 果 を見 た 研
似 の化 学 構 造 を示 す た め, こ の 抗 体 そ の もの が 腫 瘍 に対
究^<74)>,
メ ラ ノー マ のP97に
対 す る抗 体 を^<111>In
で標 識 し
す る能 動 免 疫 に使 用 で き よ う。 ま た そ の 機 序 が 不 明 な抗
メ ラ ノー マ患 者 の全 身 分 布 状 態 を見 た 研 究^<75)>が
あ り, 放
原 変 調 の解 析, 転 移 能 な どに 関 連 す る腫 瘍 の モ ザ イ ク構
射 標 識 抗 体 療 法 の基 本 的 問 題 を提 供 して い る。
造 の解 析 に も, ヒ ト型 モ ノ ク ロー ン抗 体 は 必 須 で あ る。
ヒ ト型 モ ノ ク ロー ン抗 体 は個 々の 実 験 室 で も作 製 可 能 と
な り始 め て い る。 マ ウス の系 で 認 識 され た 新 型 腫 瘍 マ ー
お わ りに-ヒ
ト型 モ ノク ロー ン抗 体研 究へ の期 待
ヒ ト型 モ ノ ク ロー ン抗 体 の作 製 には 抗 体 産 生 ヒ トBリ
ンパ球 をEBVで
トラ ンス ホ ー ム さ せ た 系, お よび ヒ ト
カ ー^<77∼80)>が,
既 知 の マ ー カー を 含 め ヒ トの系 で 再 編 さ
れ, 診 断 お よび 治療 に 貢 献 す る こ とを念 じて い る。
恩師平井秀松北大名誉教授をは じめ, 小路, 石井 (長崎大学),
1527
28
原
蛋 白 質
(帝 人 生 医 研),
大 川 (北大 医療 短 大)
核 酸
酵 素
の諸 博 士 との 共 同 研
Vol. 31
No. 14
(1986)
23•zBuchegger,
究 を 一 部 掲 載 致 しま した 。記 して謝 意 を表 します 。
24)
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文
献
25)
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塚 田
裕 ・平 井 秀 松 : 岩 波 講 座
, 2384-2392
26)
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